スーパーライトジギング 西伊豆・土肥沖の開拓釣行【後編】
SALT WORLD 編集部
- 2021年12月07日
全国各地でいろんな魚たちをターゲットに盛り上がるスーパーライトジギング。ところが関東近郊では、とくにイサキやマダイはエサ釣りが盛んなこともあって、いまひとつ盛り上がりに欠ける。そんななかにあって、スーパーライトジギングでそれらの釣りを確立すべく、積極的にポイント開拓を行うアングラーたちがいる。
今回、そんな彼らの釣行に同行。後編では、2日目の実釣の様子をお届けする。
徹底的に狙うはイサキとマダイだ!
二日目は、徹底してイサキとマダイを狙うことになった。前日の状況からすれば厳しい釣りになるのは想像に難くないのに、この日から参加したベインズ常連であるふたりの渡辺さんは快く付き合ってくれた。
鈴木船長は、ベイト反応や過去に実績のあるポイントなどをひとつひとつ丁寧に、まさに虱潰しに狙っていく。水深も、根のトップが5mほどの浅場から80mまでと幅広く探った。
▲とび島丸と同じ港の「大奉丸」船上ではコマセ釣りでイサキを2点、3点掛けで次々と取り込んでいく。そのすぐ横でジグをしゃくるも……。悲しくなってくる。
コマセでイサキを狙う仲間の船の真横でも狙わせてもらった。コマセではコンスタントにイサキを釣り上げ、なんと3点掛けもしているのに、ジグには無反応だった。
時間だけがどんどん過ぎていく。何時間もほとんど魚からの反応がない。こうなると、釣り人はもちろん船長も耐えられなくなってくる。
▲海底地形が複雑な西伊豆でボトムも狙うとなれば、フックポイントはすぐに甘くなりやすい。魚を掛けるのがハリ。平田さんは常にハリ先のチェックを怠らない。
とはいえ、闇雲に根魚を狙うようなことだけはしなかった。この日はしっかりとテーマを持って釣りに挑んでいるからだ。
鈴木船長は、「ここはマハタ狙いです」と言ってポイントに船を着ける。すると、本当にマハタがヒットする。
「ここはホウキハタの実績ポイントです」と言えば、良型のホウキハタがヒットする。このように、ターゲットを明確にして攻めると、よりゲーム性が高くなり釣りとしてのおもしろさがグッと増す。スーパーライトジギングはジグを小さくしたことにより、より多くの魚種が釣れるようになった。だからこそ、こういった遊び心やコダワリが大切なのだ。
▲(写真左)カサゴもスーパーライトジギングの重要ターゲット。この他、カンコなどと呼ばれるイズカサゴも。2kgを超えるサイズもいる。/(写真中)伊豆近海はアカハタが多い。スーパーライトジギングの重要なターゲットのひとつだ。とはいえ、小型はぜひリリースを!/(写真右)「ホウキハタがこれだけ釣れるエリアは最近では本当に少なくなりました。貴重です」とは、メロン屋工房の永井真人さん。
▲こちらもグッドサイズのホウキハタ。こんなサイズのホウキハタが何匹もヒットしてくる西伊豆のポテンシャルは本当に凄い! 今後の開拓が楽しみだ。
そして、今回素晴らしいと感じたのは、二日間乗船したアングラーたちはみな資源保護に対する考えをしっかり持っていたこと。とくに二日目に乗船したチームベインズの渡辺さんは自作のリリーサーを持ち込み、根魚を確実に海に戻していた。こういった動きがさらに広まれば、末永くこの釣りが楽しめることとなるだろう。
▲(写真左)ライトラインのスーパーライトジギングでは、ロッドをしっかりと曲げてファイトが鉄則。ロッドがショックアブソーバーの役割を果たしてくれるのだ。/(写真中)ヒラメは水面から頭を出すと激しく暴れるので、取り込むまではできれば水面下で泳がせておくとよい。水深が浅ければ別のヒラメが着いて来ることも!/(写真右)水深が浅いポイントではジグを前方に軽くキャストして、広範囲を攻めることが有効となる。そんなときはスピニングタックルをセレクトしたほうが快適だ。
▲小型のアカハタやカサゴはすべてリリースした。ポイントの水深が浅いので、魚たちは元気に帰って行った。
試行錯誤して作り上げていくことで、苦労もあるがそれ以上の喜びがある!
結局、まる二日間土肥沖を攻めに攻めまくったが、残念ながらイサキとマダイは姿を見ることはできなかった。その原因はいったい何なのか……?
このエリアではイサキもマダイもコマセ釣りが盛んであるため、いくらベイトがたくさんいたとはいえ、コマセのほうを強く意識してしまっているのだろうか。とはいえ、三重や九州でもイサキのコマセ釣りを行っているエリアもあり、そこでもイサキはジグに食って来る。
▲(写真左)浅いポイントでヒットした根魚は、魚体に触れないようにペンチリリースも有効。フックには十分に気をつけよう。/(写真中)「目が飛び出してしまった根魚もこれならちゃんと帰っていきます。ブルブルっと魚が暴れたら止めて、しゃくれば魚が外れます」/(写真右)渡辺さん自作のリリーサー。このために電動リールとバッテリーまで持参。環境保護への意識が高く、ぜひ見習いたい行動だ。
もしかしたら時期が合っていないのかもしれないし、ベイトが入って来てまだ間もないので、イサキはベイトをエサとして認識していないのかもしれない。水深は? ポイントは? 水温は……? などと、いろんなことが想像される。
▲鈴木船長が「底潮が濁っている」というだけあり、ムツのヒットも多かった。とはいえ、「こんなところでムツ?」と船長も驚きだった。
だが、裏を返せば、ここはそれだけまだ開拓されていないということ。釣り人と船長が試行錯誤し、ひとつのスタイルを作り上げていく。そこには膨大な労力が必要かもしれないが、開拓者としての楽しみがあり、そしてひとつのスタイルとして確立されたときは、その何十倍にも及ぶであろう何物にもかえがたい喜びがあるはずだ。
きっとそうは遠くない時期に、彼らのチャレンジが日の目を見ることとなるのは間違いないだろう。
▲「ベイトの下のボトム付近に浮いた反応があるよ!」と鈴木船長が言ったとたんにヒットしたのがこのヒラメ!
▲ベインズ・平田さんも良型ホウキハタ! ジグはもちろんメロン屋工房。「ウィークベイトショート」だった。
▲チームベインズの会長を務める渡辺さんは、「このポイントの狙いはマハタです」という鈴木船長狙い通りのマハタ!
▲こちらはオオモンハタ。これも良型。根魚類が多いということは、それだけ釣り場が荒れていないということだ。
【この記事は2020年2月現在の情報です】
スーパーライトジギング 西伊豆・土肥沖の開拓釣行【前編】はこちら>>>
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近海から夢の遠征まで、初心者からベテランまで楽しめるソルトルアーフィッシングの専門誌。ジギングやキャスティング、ライトゲームなどを中心に、全国各地の魅力あるソルトゲームを紹介しています。
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