トップライダーから新星まで ジロ・デ・イタリア2021ヒーロー名鑑|ロードレースジャーナル
福光俊介
- 2021年06月05日
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vol.7
ひとりひとりに感動のドラマが!
ジロ・デ・イタリア2021ステージ優勝者まとめ
国内外のロードレース情報を専門的にお届けする連載「ロードレースジャーナル」。5月30日に感動のもと閉幕したジロ・デ・イタリア2021から、大会のスター選手を一挙総まとめ。数々のヒーローの中から、今回はステージ優勝者にフォーカスし、その人となりやキャリアにおけるバックボーン、勝利コメントなどのトピックをまとめてみる。トップスターから新鋭まで、ジロを盛り上げた男たちを称えよう!
第1・第21ステージ優勝 フィリッポ・ガンナ(イネオス・グレナディアーズ、イタリア)
大会の開幕と閉幕を飾ったのは、いまのプロトンではダントツのTTスペシャリスト。もともとはトラック・中距離種目を専門としていて、4km個人追抜の世界記録保持者でもある。ジロに向けては、有力視された北のクラシックを回避して高地トレーニングに励んだ。来る東京2020五輪では、個人TTとトラック・チームパシュートでの金メダルが目標。今大会終了後は、バンクでのトレーニング比重を高める予定だ。
第2ステージ優勝 ティム・メルリール(アルペシン・フェニックス、ベルギー)
一見、マチュー・ファンデルプールのワンマンチームに思えるアルペシン・フェニックスだが、侮ることなかれ。いまやUCIワールドチームと対等に渡り合えるだけの戦力を整える一大勢力だ。特にスプリントに強く、大将の1人が28歳のメルリール。センセーショナルなスプリント勝利で見せた「W」サインは、2011年大会での事故で死去したワウテル・ウェイラントへささげたもの。ジュニア時代は同じトレーニンググループに属し、憧れの大先輩だった。
第3ステージ優勝 タコ・ファンデルホールン(アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ、オランダ)
トップカテゴリーに昇格したばかりのチームに今季最初の優勝とジロ勝利をもたらしたのは、27歳のファンデルホールン。オランダでは“逃げ屋”として知られていて、2018年のビンクバンクツアー第3ステージでも大逃げを決めていた。それを機にユンボ・ヴィスマで2年間走ったが、グランツールメインのチームでは戦力になれず。新たな環境で自由を与えられての大勝利だった。あまりの興奮に「最後の100mで喜びすぎてしまった」。
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PROFILE
サイクルジャーナリスト。サイクルロードレースの取材・執筆においては、ツール・ド・フランスをはじめ、本場ヨーロッパ、アジア、そして日本のレースまで網羅する稀有な存在。得意なのはレースレポートや戦評・分析。過去に育児情報誌の編集長を務めた経験から、「読み手に親切でいられるか」をテーマにライター活動を行う。国内プロチーム「キナンサイクリングチーム」メディアオフィサー。国際自転車ジャーナリスト協会会員。