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「ダイニーマ」を素材に採用したロードバイクを日本で初試乗。DSM株式会社に単独取材

「ダイニーマ®︎」といえば、「強くて軽い繊維」として知られるが、この「ダイニーマ®︎」を製造しているのがDSM株式会社(以下略DSM社)だ。ロードレース好きな人ならピンとくるかもしれない。そう、ロマン・バルデやニコラス・ロッシュを擁するワールドツアーチーム「チームDSM」の冠スポンサーだ。実際「チームDSM」がウエアに「ダイニーマ®︎」繊維を使ったウエアを使い、その破れにくさが話題となっている。

その「ダイニーマ®︎」を一部素材として使用したロードバイクが日本にたった一台のみ存在している。バイシクルクラブ編集部は、その「チームDSM」と深い関係にある世界的企業に取材。ロードフレーム史上初の素材にして、ロードバイク界の未来にもなりうる「ダイニーマ®︎×カーボンのロードバイク」に乗ってきた。

ワールドツアーチームのスポンサー、DSMとは?

パリ~ニースの第2ステージで優勝したケーズ・ボル(オランダ) A.S.O./Fabien Boukla

取材に向かったのは東京都港区にあるDSM社の日本オフィス。ダイニーマ®︎を製造するDSM社はオランダに本社を置き、55カ国で事業を展開する世界的企業であり、ライフサイエンスとマテリアルサイエンスをサポートする科学企業だ。ビタミンを始めとする栄養素や高機能素材を多くの企業へと販売し、製品となったアイテムがわれわれ生活者に届けられているというBtoB企業だ。おもにサステナビリティを企業戦略の中核とし、栄養と健康、気候とエネルギー、資源と循環型経済の3つの事業ドメインに注力。ほぼすべての製品で持続可能性に寄与している。

世界55カ国で事業を続けるDSM。栄養素と高機能素材が主な取り扱い品となっている

ダイニーマ®︎とは何か? 工業やアウトドア界に幅広く活用

まずは前提の話として。ダイニーマ®︎について説明していく。

ダイニーマ®は、マス・バランス方式によるバイオベース(=自然素材)から作られた超高分子量ポリエチレン繊維のことでDSM社の繊維ブランド名だ。伸びない、錆びない、軽い、強い、扱いやすいという多くのアドバンテージを有する「糸」と考えるとわかりやすい。

とても強靭なダイニーマ®︎の糸(繊維)。切れない、伸びない、軽いと非常に優秀
カーボン素材と組み合わせることで、より優れた振動吸収性を発揮。しかも軽さにおいてもディスアドバンテージにならない

なんとダイニーマ®︎の細い糸一本で人間一人を吊り上げられるほどの強度(鉄の15倍)をもっていて、その特性を生かして防弾着や耐切創手袋、工業用ロープ、ネットなどの素材として使われている。また我々の身近にある靴やジーンズ、テントやリュックにも近年採用されだしているなど、非常に利便性の高い繊維だ。

ひとつの使用例として海洋船舶などで使用する鎖があげられる。重くて錆びつく鉄(上)から軽くて錆びない、しかも強いダイニーマ®︎(下)へと変換
透けるほどに薄いシート状にも加工可能。これ一枚を組み込むことで、製品の裂けや破れにくさを各段に向上させられる

日本にたった一台! ダイニーマ®︎×カーボンバイク

そんなダイニーマ®︎とカーボン繊維のコンポジット素材で作られたのが今回紹介する一台。市場で販売する製品としてのバイクではなく、あくまでも参考品としてのモデルであるため正式な名称はない(製作会社は非公開)。

カーボンシートにダイニーマ®︎を織り込むことで、通常のカーボンフレームと比較して軽さと振動吸収性の向上を実現。また、落車時にフレームがダメージを受けた際の破断率を大幅に下げられ、ライダーへの安全性も向上している。このフレームは2018年に製作され、今年になって初めてオランダから日本に移された。

※今回紹介するフレームはチームに供給されているモデルではない。

フレームの見た目は化粧カーボンの格子柄に似て、彩り気はなくシンプルな仕上がりだ。前三角のチューブは大径の真円形状に近く、全体のシルエット自体に派手さはない
ダイニーマ®︎を採用している証明になるのは、トップチューブとBB周辺に設置されたラベルのみ
ストレート形状のフロントフォーク。ここもダイニーマ®︎×カーボンを採用

さらに試乗したホイールのスポークにもダイニーマ®︎が使われている。これはアメリカのブレッドスポークから市販されているもので、白くやや太いダイニーマ®︎製スポークは、バテッドで設計され、結束することでハブに固定、ニップル側がねじ式になっている(ベースはシマノ・デュラエースWH-9000-C24-TU)。

ハブ側は結び目によって固定する方式
ニップル側は金属とダイニーマ繊維を接着し、ネジでテンションをかけていく

編集部山口が試乗してみた

このダイニーマ®︎×カーボンバイクが日本のメディアに取り上げられたことはまだなく、バイシクルクラブの山口が新素材バイクの初インプレッションとなる。気になるその印象とは?

「試乗車に使っているホイールのダイニーマ®︎製スポークはすでに実用化され、アメリカのブレッドスポークから市販されているものだ。そのためホイールはソフトな乗り心地を生かした快適な走りが楽しめる。MTBやグラベルバイクにも向くだろう。また、フレームについては、ダイニーマ®︎自身はカーボンと比べ引っ張り弾性率が極端に高いわけではなく、ダイニーマ®︎らしさは正直わかりにくい。スタンダードな乗り味だ。ただし、ダイニーマ®︎を使うことで軽いままでフレームの破壊強度を高めることが期待でき、設計に余裕を持たせられる。今後ダイニーマ®︎が実用レベルで採用されたときに設計の自由度が広がりそうだ。こうなると乗り心地の良さがプラスされるなど期待がかかる」

DSMはあくまでもBtoBの企業のため、現状このバイクが正式にロードバイクフレームとして市場に流通するかは未定だ。

DSM社とチームDSMは、「キープチャレンジング」でつながる

ここまで読むと「DSM社は何をスポンサードしているのか?」という疑問が当然浮かび上がってくるはずだ。DSM株式会社代表取締役の丸山和則さんが、この問いに答えてくれた。

DSM株式会社代表取締役の丸山和則さん

若いメンバーを中心としたチームが掲げる『世界への挑戦』に共感した

「チームDSMは2015年(当時はチームサンウェブ)から、スポンサー企業として我々とコラボレーションを始めています。キーワードは『キープチャレンジング』。ちょうどSDGsやサステナビリティといった社会的評価を重んじるようになった弊社と、クリーンで若い自転車チームの掲げる、『世界への挑戦』という方向性が一致した結果でした。彼らへのサポートは主にサプリメントとウエアです」

チームDSM Photo: Syunsuke FUKUMITSU

「サプリに関しては、とくにスポーツニュートリション(=特殊なトマトエキスやホエイペプチド等)において選手のパフォーマンスを支えています。UCIの規定上、限られたサプリや薬しか使えない彼らにとって、自然由来のサプリメントは心身ともに安心できるサポートアイテムになっています」

破れにくいウエアが、選手たちの身体を守る!

「また注目していただきたいのがウエア、つまりジャージ&ビブショーツ(ビオレーサー製)です。こちらはダイレクトにDSM社のダイニーマ®︎が使用されています。レース中に選手が落車してウエアがビリビリに破け、太モモやお尻部分から出血していることがありますよね。こういった箇所に強靭なダイニーマ®︎を採用することで、落車時のウエアの裂けや破れを防ぎ、その内側にある選手の身体を守ります」

ダイニーマ®︎採用のビブショーツ。落車でダメージを受けやすい太モモ部分に使用している。重量やフィット感に悪影響はなし
ダイニーマ®︎の繊維を直接目視できるわけではないが、近くで見ると単純な格子柄ではなく、より複雑な模様になっているのがわかる

「時速70㎞の下りで複数人の選手が転倒してケガを負っても、『チームDSMの選手だけウエアがボロボロになっていない!?』ということも起きていて、プロの間でも話題になったそうです」

「いずれのアイテムにしても、チームDSMの選手を内側と外側の両方からサポートする、という目的はいっしょです。DSM社としても2021年以降も、よりいっそうこの協力関係を強め、自転車界と深くかかわっていく予定です」

じつは丸山さん自身もサイクリストで、息子さんと自転車を楽しんでいる。本国オランダDSMの社長も熱心なサイクリストだ

ダイニーマ®︎もDSMも自転車界の未来に!

近年各業界でその有用性が認められているDSMのダイニーマ®︎は、じつはサイクリストにとっても身近な存在になってきている。すでにいくつかの最新シューズやシートバッグは素材としてダイニーマ®︎を採用済みだ。

スペシャライズドの最新ロードシューズにはダイニーマ®︎が採用されている。2021年現在、世界のプロ選手たちが使用中だ
スエウの超軽量シートバッグにもダイニーマ®︎が使われている。長距離のツーリングやサイクリングに使えるタフネスさも特徴だ

今回紹介した「ダイニーマ®︎×カーボンのロードバイク」が、正規販売品となるかとうかは、現状まだ答えは出ていない。ただ、DSMに関わる選手や企業が挑戦を続けるかぎり、ダイニーマ®︎が自転車の未来に何らかの影響を与えることは間違いなさそうだ。

取材協力:DSM株式会社
https://www.dsm.com

 

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PROFILE

ハマダ

BiCYCLE CLUB / 編集部員

ハマダ

元自転車ショップ店員であり、最新バイクや新製品の情報を日々追っている編集部員。短期ツーリングや週末サイクリングを好むザ・アベレージ サイクリスト。国内外の選手たちを熱く見守るロードレースファンでもある。趣味はパン屋巡り。

ハマダの記事一覧

元自転車ショップ店員であり、最新バイクや新製品の情報を日々追っている編集部員。短期ツーリングや週末サイクリングを好むザ・アベレージ サイクリスト。国内外の選手たちを熱く見守るロードレースファンでもある。趣味はパン屋巡り。

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