
股関節曲げ伸ばしを生かしたペダリング、お腹を意識して腰を使えば楽に踏める|チルクライムのためのテクニック

Bicycle Club編集部
- 2023年03月24日
平地はスイスイ進むのに上りがキツくて苦手! と悩むライダー必見。バイシクルクラブでおなじみのベテランライダー、管 洋介がフォームからペーシングまでわかりやすく解説する!
アップライトになりがちな上りのフォームは、いつの間にか背中が丸くなりハンドルにしがみ付いて走ってしまうもの。ここでは腹圧をしっかりと利用して、腰を入れたフォームの作り方を紹介する。
腹圧を高めると疲れにくくパワーも出る
腰を入れていくシッティングでポイントになるのが腹圧だ。腹圧を高めるとは、お腹に空気を入れ、内圧を高めた状態をキープすること。これが、力を押し出す際に、体幹を支えるための芯の役割を担うのだ。
腹圧を利用してモモをお腹から押し出すことで、上体の自重をクランクにかぶせるだけでなく、臀筋群とハムストリングスを動員した大きなパワーを生み出すことができる。
このとき小指と薬指を意識すると上腕三頭筋にスイッチが入り、脇でハンドルを引き付けて腹圧をクランクに押し込める。またペダリングのリズムを変えるためには、中指をブラケットに添えるといい。これにより肩まわりの筋肉を動員して楽にハンドルを引き寄せられる。
この2通りの手法を組み合わせてリズム良く上るのが股関節の屈曲伸展を生かしたペダリングだ。いっぽう、腹圧を使わずにペダルを脚だけで踏み込むフォームは背中が丸まってしまい、腰が抜けやすい。さらに距離を重ねて疲れてくると、ハンドルにしがみつくことになり、腰にもヒザにも良くないため、腹圧を使ったペダリングを覚えたい。
腰を使うと股関節の上下でペダリングできる
上腕を軸に胸を前に向け骨盤から前傾を作ると腹圧が利用できる。クランク1時の位置から上体の自重を乗せペダルを押しだす。このフォームなら臀筋・ハムストリングスなどの大きな筋肉を動員できる。
ヒザの曲げ伸ばしでペダリングするとつらくなってしまう
必死にペダルを踏み込んでいるときにありがちなのが、目線がヒザに向き、背中が丸まって腰が抜けている状態。足が止まってくると一気に失速してしまう。
階段を使って腰と股関節の連動を覚えよう
階段を使えば股関節の屈曲伸展運動のイメージを容易につかむことができる。大きな一歩を踏み出す一段飛ばしの階段上りは、体を前へ押し上げる体の動きが腰の入った股関節中心になる。逆に猫背で上ると、体を効率よく前に押し上げられないばかりか、ヒザへの負担も大きい。身近な階段や段差などで試してみよう。

股関節から踏み出すと体が前に持ち上がる
胸を前方向に向け、股関節を屈曲すると腹圧が高められる。股関節を伸展すると、重心を前にしながらモモ裏の筋肉で前に進む。
ヒザの曲げ伸ばしでは体が前に倒れる
焦って重心を乗せると、背中が丸まってしまい、腰が後方に抜けてしまう。さらに前モモに負担がかかり体も前に進まない。
中指を使うと肩の筋肉でハンドルを引きつけられる
腰が後ろに引っ張られ、脇でハンドルを引くのに疲れたときは、中指をブレーキレバーのくぼみに引っ掛けておく。これで、肩まわりの筋肉が連動し重心を前に簡単にキープすることができる。これだけでフォームの崩れが少なくなり、リズムよくピッチが保ちやすくなるのだ。
先生&生徒役はこの人
生徒役
愛あむちゃん
「あむちゃん!」チャンネルでロードバイクやゲーム実況を配信するユーチューバー。日本全国をロードバイクで走っている。イラストレーターやデザイナーとしても活動中。
先生役
管 洋介
転車歴32年、競技歴24年のベテランライダー。20代でスペイン・アフリカ・アジア圏のレースを転戦し、広い世界観で自転車を楽しむ。本誌ではカメラマンやインプレライダーとしても活躍する。
※この記事はBiCYCLE CLUB[2022年3月号 No.442]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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- CREDIT :
- 編集:BiCYCLE CLUB TEXT:管 洋介 PHOTO:猪俣健一
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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