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プレー前日までにどんな準備をするべきか?|プロキャディに教わるゴルフの「準備力」

ゴルフに限らず「準備」が大事だというのは誰でも理解しているはず。では、ゴルフにおいてはどのような準備をすればスコアアップにつながるのだろうか。 プロキャディ杉澤伸章流の「準備」の考え方と、「準備力」を身につけるハウツーを紹介していく。

【解説】杉澤伸章(すぎさわ・のぶあき)
1975年生まれ、愛知県出身。21歳で横田真一の専属キャディとなり、2002年からはプロキャディとして丸山茂樹と契約して渡米。米PGAツアーを転戦した。2011年からは宮里優作と契約し、2013年の日本シリーズ優勝をサポート。現在はツアー中継の解説やリポート、企業向けの講演などでも活躍している。

ゴルフはボールを打つまでの「準備」ですべてが決まる

朝一番のスタートホールでいきなりチョロして、「あれっ、おかしいな?」なんて首をかしげている人。スタート前の練習をきちんとやりましたか?コースへの到着が遅れて、スタート前の練習がまともにできないということは、体も心も準備ができていない状態ですから、ナイスショットが打てるはずがありません。プロゴルファーは早い人でスタートの3時間前にコース入りして、ゆっくり食事をし、ストレッチや練習など準備を万端整えます。準備のルーティンは個々で違いますが、準備が一番の決め手であることをきちんと理解しているのです。

打ったボールは、もう自分ではコントロールできません。飛んでいくボールに向かって「もっと飛べ!」とか「止まれ!」と声をかけることもありますが、それは気持ちをボールにのせたい一心の行為に過ぎません。ゴルフは「ボールを打つまで」にすべてが決まるのです。ティーチングプロたちもレッスンで、「アドレスが大事」、「テークバックの最初の30センチが大事」などと説明しますよね。

実際に、アドレスが優れている人はスイングも優れています。要はすべてが「準備」であり、準備の段階ですべてが決まるのです。強い選手と、そうでない選手の差は、準備力の差でもあると思います。

コース到着が遅れるとスタート前の準備がおろそかになってしまう。これでは良いプレーができなくなってしまうのも当然だ。

「準備」がとても大切なこれだけの理由

ツアープロたちがどんな準備をしているかといえば、月曜日はまず1週間分のゴルフウエアを並べます。火曜日は何を着る?水曜日は何色を着る?そんな感じで日曜日までのウエアを決めておくのです。

それらをバッグに詰める時は、最終日に着る予定の服を一番下に並べて、土曜日、金曜日、木曜日と重ねて、最初に着る火曜日のウエアを一番上に並べるという具合です。もちろん途中で変えることもありますが、それも想定した上で準備をしています。

どうしてこれをやるかといったら、頭で考えるエネルギーの100パーセントをゴルフにしておきたいからです。今やれることは最初にやっておく。そして試合が始まったら、ゴルフに100パーセント集中できるように準備しておくのです。

ビジネスマンにたとえれば、帰る前に10分で良いから「明日、会社に着いたら何をするか」をメモしておくと良いでしょう。その準備をしてから帰るだけで、次の日に余裕が出て、一日の余裕度がまったく違ってきます。その準備をせず、次の日の朝、会社に着いてから「今日は何をしようかな?」と考えていると、どんどん時間が経過してしまうでしょう。

余分なことにエネルギーを費やさなくて済むようにしっかり準備しておくことで、何事に対しても慌てなくなります。その結果、メンタル的に落ち着きが出てプレーに集中しやすくなるのです。

コースでのプレーに備えて事前にしっかりと準備しておけば、自分のプレーに集中しやすくなる。準備いかんでスコアに差がつく。

様々な場面や状況を想定しておくことも「準備」のひとつ

ホールのロケーションによって、どこに打ってはいけないかを的確に把握すると同時に、どんなミスが生じやすいかもじっくり考えよう。

ゴルフは、とんでもないミスをしたり、まったくイメージしていない球筋が出たりと、何が起こるかわからないスポーツですが、そうしたケースを想定しておくのも準備の一つです。

「几帳面」というと、どこかマイナスのイメージがあるかもしれません。しかし、ゴルフには細かい「観察力」、プラス「洞察力」が求められます。どこにOBがあって、どこに池があって、風がどのくらいの強さでどの方向から吹いているか、といったことすべてに気がつける人がリスクマネジメントの上手な人です。

この場面ではどういう心理になるのか?どっちに打ちたいのか?体がどう反応しやすいのか?どんなミスが起こりやすいのか?そうだとすれば、どういう対処の仕方があるのか?打ち上げが苦手なのか?打ち下ろしが苦手なのか?あるいは右や左のドッグレッグのホールはどちらが攻めにくいか?などなど。

自分が苦手とするホールには必ず特徴や傾向があるものです。そういう時にどのような対処をすれば良いかを頭の中で整理しておくことも大切です。同じような状況で、同じようなミスをしてしまうことも案外多いもの。

どういう時に自分が失敗することが多いのか。「己を知る」ことで、準備の整え方もつかめてきます。

良いスコアが出た時の傾向をデータ化しておこう

プロキャディはゴルフ場で働くハウスキャディとは違って、ツアープロと契約を結んで帯同するキャディです。毎週各地を転戦するツアープロにとって、初めて会うハウスキャディと信頼関係を築くには時間がかかりますが、気心の知れたプロキャディとペアを組めば気楽ですし、何よりも試合に集中できるのが一番のメリットです。

プロキャディの立場上、コンビを組むツアープロが試合に集中できるように十分配慮するのは当然のことですし、それだけの準備もしています。準備のことを取り上げたらきりがありませんが、自分なりのデータを取ってみると様々な気付きがあって面白いと思います。

例えば食事ひとつとっても、何を食べた時に良いスコアが出やすいのかをデータ化するのです。前の日に何を食べたのか?スコアがよくなかった日の前日は食べ過ぎなかったか?逆にスコアが良かった日は腹八分目だったのか?当日の朝食は洋食だったのか、和食だったのか?

それらをメモしておき、後日整理してみると自分なりの傾向がきっとつかめることでしょう。こうしたデータを次回のラウンドに向けての準備材料として活かすことが大切です。

良いスコアが出る日は、何らかの共通点や傾向がある場合が多い。スタート前に何を食べたかなどのデータも自己発見にもつながる。

ショットの結果を受け入れる気持ちの準備もしておこう

「どうしても集中力が途切れてしまいやすい。集中力をキープするにはどうしたら良いですか?」という質問をよく受けます。

メンタルに関することですが、私が思うに集中力の欠如は「自意識過剰」が一番の原因ではないでしょうか。まっすぐ飛ばそうと思ったのに、まっすぐ飛ばなかった。そこで「何でだろう?」、「どうしてだ?」と自分を詰問してしまうわけです。「何でうまくいかないのだろう?」と思うのは人間の性ですが、ミスした事実は事実。それをしっかりと受け止めて、次に進まなくてはなりません。

自分が最高のパフォーマンスをするための準備をしっかりしておくのはとても大事なこと。しかし、ミスを含めたショットの結果をすべて受け入れることも大事です。ミスショットも許容する心を常にもって、1打1打を高めていきましょう。

ミスも受け入れるのなら、そもそも最高のイメージなんてもたなくて良いのではないかと思うかもしれません。しかし、最初からイメージを下げてしまうと、パフォーマンスも低下しやすいですし、ショット前の準備もおろそかになりやすいのです。

しっかり準備をして、最高のイメージをもって打ったのにOBだったとしたら、結果をすべて受け入れましょう。自分を過大評価しすぎる人ほど自分のミスを受け入れられず、次のプレーへの準備がなかなか整いません。それが集中力を途切れさせてしまうのです。そんな人に限って打つ前の準備もあまりできていないものです。

ショットの準備を入念にしておくことが大事だが、ショットの結果をすべて受け入れる心をもつことも同じくらい大切だ。

失敗を忘れる作業よりも次にやるべきことに集中する

ミスした時に感情に表わすのが悪いわけではない。終わったことにいつまでも気を奪われずに、次のショットに意識を向けよう。

もしミスを受け入れられないなら、タイガー・ウッズのように「10秒間ルール」を取り入れてはどうでしょうか。ミスした直後の10秒間だけは、その半径5ヤード内で怒ったり悔しがったりなどの感情対応をします。そして10秒たったら歩き出して、次のプレーに集中し、ショットにエネルギーを注ぐのです。このように自分でルールを決めておくのも良い方法です。

ローリー・マキロイのように肩を落としてみせるプレーヤーもいれば、ブルックス・ケプカのようにミスしても無表情のプレーヤーもいます。感情を表すのはメンタルの世界ではあまりよろしくないといわれがちですが、ポーカーフェースの人は感情を表さないようでいて、本当は感情の起伏が激しい人といえます。どちらが良くて、どちらが悪いかではなく、ミスした後の自分なりの対処法を見つけておくことが大切です。

人間は「忘れること」がなかなかできないものですから、忘れる作業をするよりも次のことに意識を向けましょう。「何でミスしたんだろう?」とばかり考えずに、「もう終わったことだから関係ない」という具合に意識を変えて、次のショットの準備をスピーディに行いましょう。この気持ちの切り替えを習慣づけることで、準備力が向上していきます。

良いショットを打ってもミスしても表情を変えないブルックス・ケプカ。ミスしてもすぐに気持ちを入れ替えられる方法を見つけよう。

モヤモヤの要素とあえて向き合って気持ちを整理する方法もある

ミスショットをいつまでも悔やんでも始まらないが、ミスの原因を速やかに突き止めることで気持ちをスッキリさせるという方法もある。

私のプロキャディとしての経験上、ミスショットの対処の仕方には2つのパターンがあります。一つは「まあ、仕方ないか」とすぐに開き直れるタイプ。もう一つは逆にとことん考えるタイプで、考えないようにすると逆に気になってしまうからと、あえてミスと向き合ってみるわけです。

とことん考えるタイプの選手には、「ちょっとリズムが早かった?」とか「今のホールは打ちにくかった?」などと、具体的に聞いてあげます。すると「テークバックがちょっとインサイドに入りすぎちゃった」といった答えが返ってきます。そこから「どうしてインサイドに入りすぎたの?」と聞き返すと、「ちょっと左サイドを嫌がりすぎたのかもしれない」などと話がどんどん進んでいきます。

「あー、なるほどね」といった具合に考えていることを吐き出すことで対処法を見出すこともできます。ごちゃごちゃになったままでは不安なら、次のショットの地点に着くまでに気持ちを整理することで、次のショットに集中しやすくなるというわけです。

つまり、心の整理整頓です。押入れに入ったままのいらないものを処分するかのように、気持ちをすっきりさせましょう。

ショットの結果と向き合って気持ちを整理するのも良いが、次のショットに向けて準備を抜かりなくやっておくことを忘れてはならない。

癒しの会話を楽しんで気持ちの整理と準備をする

私のキャディ論でいうと、基本的にこれが正解というものはありません。プロゴルファーだって、なかなか答えを見出せないケースが多いですし、スイングにしても、個性的な打ち方をする人もいれば、とてもきれいなスイングをする人もいます。どちらが正しいとは言えないわけです。

キャディの立場としては、これをやれば良いと決め付けないで、色々な選択肢を用意しています。ミスショットした後、次のショットを考えるまでにどのように気持ちの整理と準備をするかということもそうです。

ゴルフとまったく違う会話をすることも多いです。食べ物やペットなど、その選手にとって癒しとなるような話です。丸山茂樹プロや宮里優作プロはお笑い系の話が好きだったので、気持ちをリラックスさせる効果が高かったことをよく覚えています。

「ミスした時は笑うと良い」と聞きますが、無理に笑うことってなかなかできないですよね。そこで癒し系の話をして、自然に笑みがこぼれるような雰囲気へと導いてあげるわけです。それだけで次のショットに向けて気持ちをスパッと切り替えられます。

たとえば、見た瞬間に心がなごむような写真をスマホの待受画面に設定しておくのは効果的な方法です。そんなわけで、私はスマホに様々な映像をストックしています。それも準備のうちです。

プロキャディの仕事として、プレーヤーをリラックスさせるためにペットなど癒しにつながりそうな映像を用意することもある。

ミスした時に落ち着くためのアクションを決めておこう

ミスした時に口笛を吹くマット・クーチャー。こうした行動を起こすことでメンタルを上手にコントロールできるという良き見本といえる。

米PGAツアーにマット・クーチャーという選手がいます。どちらかといえば地味な選手ですが、つねに好成績を残している実力者です。そのクーチャーですが、よく口笛を吹きます。ミスした時も吹くそうです。普通は悔しい時に口笛なんて吹きませんよね? しかし、口笛を吹くと、脳が勘違いを起こすそうです。

つまり、行動を変えることでメンタルを変えることもできるわけです。口笛の代わりに万歳してみるのも良いかもしれませんね。ミスショットした時に万歳をすると、お手上げのように見えてしまいそうですが……。あとは拍手です。良いことがあった時や、何かを褒め称えたい時と同じように拍手をすることでメンタルを変えることができます。

頭の中で心を切り替えるのは、すごく大変なことですが、口笛や万歳、拍手などをあえてやることで気持ちが切り替えやすくなるというわけです。

歩くスピードを変えて早く歩いたりゆっくり歩いたり、あるいは歩幅を広げるといった手もあります。ミスショットした後はどうしても動揺しやすいので、そういう時にあえて実行することで冷静になれる手段を用意しておくと良いでしょう。

ミスした時はこんな行動を起こそうと決めておけば、心の準備をしておくことができます。ミスした時に慌てなくて済むので、心の平静を保ちやすいのです。

歩くスピードを変えるなどミスした時の対処法を決めておくと、気持ちをスムーズに切り替えられるので試してほしい。

「しても良い」と「してはダメ」で心理はこれだけ変わる

たとえばコップに7〜8割くらいの水が入っているとします。そして6〜7歳くらいの小さな子供に向かって、10メートルくらい離れた場所から「そのコップをこっちに持ってきて」と言えば、子供でも普通に持って来ることができるでしょう。

しかし、「絶対に水をこぼしちゃダメだよ」と言うと、途端にコップを持つ手が震えてしまいます。言い回しの違いですが、「ミスして良いんだよ」と「ミスしてはいけない」では全く違うわけです。

朝一番のティショットなど、緊張しやすい場面を想像してみてください。「見られている」「上手く打ちたい」という心理の裏には、「絶対にミスしてはいけない」という強迫観念が含まれています。

これでは緊張で体がガチガチになって当たり前です。ちょっと発想を変えてみましょう。「もしチョロしたら何て言おうかな」、「OBになったら何て言おうかな」と考えるのです。もちろん結果が良い可能性もありますから、その場合のセリフも前もって決めておきます。結果に対しての対応策を準備しておくのです。

それだけで安心感が生まれてきて、「ミスしたって大丈夫さ」と思えてきます。結果に対して「何でミスするんだ!」など怒りの感情やイライラが減ってくるのです。色々な場面を想定して準備をしておくと、逆にミスした時の結果さえ楽しみになってきて、気持ちにゆとりが生まれます。その考え方はリスクマネジメントにも通じるのです。

「してはいけない」と思うと緊張が高まるばかりで何も良いことがない。上手なゴルファーは「してもOK」と考えてプレーしている。

自分のことをよく知っている「インナーキャディ」を雇おう

メンタルコントロールが上手いゴルファーは、自分の心の中にいるもう一人の自分と相談しながらプレーしてする術を知っている。

ゴルフ場のキャディさんは「右のOBには入れないでください」とか、「左のバンカーはアゴが深いので気をつけてください」などと親切にアドバイスをしてくれます。

しかし、そこから先の会話が続かないこともあるのではないでしょうか。その結果、右がOBなら「右に打たないようにしよう」と思っても、「では、どこに打とうか」という具体策を考えないままで打っていませんか?

プロキャディはツアープロをサポートする役割ですから、選手との会話がとても重要ですし、ときには二人でじっくり相談し、最善策をチョイスします。

プロキャディは選手にとっての名パートナーであり、名参謀です。そこで、あなた自身も自分の心の中にプロキャディを雇うと良いと思います。自分がミスしたり迷ったりした時に、自分をサポートしてくれる「インナーキャディ」です。

自分の中であだ名をつけて、「杉ちゃん、ここはどうしようか?」という具合に語りかけてみましょう。人間は弱気な自分を相手には見せたくないものですが、インナーキャディが相手なら自分の本音で語り合えますし、じっくりと相談もできます。

そのためには自分のことをよく理解し、認めてくれるインナーキャディでなくてはいけません。ミスするたびに「だからOBがあるって言っただろ!」とか「何でミスするんだよ、下手くそ!」などと、心の中にいるもう一人の自分とケンカばかりしては、メンタルコントロールどころではなくなってしまいます。

優秀なキャディがつねにそばについてくれると安心してプレーできる。そんなキャディを自分の心の中に雇うことも大切なポイントだ。

インナーキャディとの会話は最後に「肯定」が入ることが大事

自分の心の中で雇ったインナーキャディとの会話では、絶対に「否定」で終わってはいけません。必ず最後に「肯定」が入ることがとても重要です。

たとえば「OBに打ってはいけない」、「池に入れてはいけない」などと「〜してはダメ」で終わるのはNGです。もし右サイドにOBがあるのなら、「右サイドはOBがあるよ」、「では、どこに打とうか?」と会話をします。そして、「右サイドは危ないから左サイドを狙って打とう」、「どんな球筋で左サイドのどの辺りを狙って打つ?」、「軽いドローで左サイドのバンカーの手前を狙おう」などと話を具体化させるのです。

さらに、「球の高さはどうする?」、「風が吹いているから低めに打ち出そうよ」といった具合に、何をどうするかを肯定的かつ建設的に考えましょう。「状況はこうだよ」、「それならこうしよう」という方向で答えを見出していくのです。

インナーキャディとの会話を肯定文で終わるようにすれば、今やるべきことが明確になり、気持ちを整理しやすくなります。ショットのイメージも明確になりますから、それだけ成功の確率もアップします。

「右のOBに打ってはいけない」という心理状態のままでは、「絶対にコップの水をこぼさないでね」と言われた子供と一緒で、過度の緊張に縛られてしまうことになります。

インナーキャディとよく相談した上で、「こうしよう」と肯定的な結論を得ることで、自分のパフォーマンスをうまく引き出せる。

肯定文に変えて考えるだけで脳思考がプラスに転換する

思考や発想を肯定文に変えることで自分の今やるべきことが明確になり、ミスショットの防止にも大きく直結する。

私たちプロキャディがツアープロと上手にコミュニケーションが取れるのは、物事を肯定的に考えるからです。自分の思考を「肯定文に変える」という作業は、人間のコミュニケーション能力を高めてくれます。マイナスやネガティブなことを提言していると、それに対して緊張感がだんだん高まってきます。

「右に打ってはダメ」と一方的にいわれたら、「何で打っちゃいけないんだよ?」と反発や反論もしたくなります。相手を否定ばかりしていたら、最後には口論やケンカにまで発展してしまいます。

ミスショットした時は「スイングが早かった」とか「頭が早く上がった」などと反省したくなることもあるでしょう。もちろんスイングにも原因があるのですが、根本的には否定で終わるような言葉はミスを誘発させることにつながります。「スイングはこうしないとダメ」、「トップの形はこうならないとダメ」などとダメづくしで考えると、自分を苦しみに陥れてしまうだけです。頭が早く上がってはいけないのなら、「頭が早く上がらないためにはどうしたら良いか」を考えましょう。「ボールのどこを見るのが良いか」など具体的な方法を考えるのです。

人によってどこを見るのが適しているかの違いがありますが、「自分はボールの右半分を見て打とう」と肯定的に考えれば緊張がやわらぎますし、スイングもスムーズにいきます。「これをやってはダメ」ではなく、「何をするのか」で考える。肯定の言葉で考えれば、ミスも自然に減ってくるはずです。

自分のルーティンの入り口を決めればリズムが崩れない

アマチュアゴルファーの方から「自分のプレーのリズムを守り通すコツは何ですか?」と聞かれることがあります。リズムというと、クラブを振るスイングの動作だけを考えがちですが、ボールを打つ前のルーティンワークからボールを打ち終えるまでの一連の動作のリズムに着目してください。

私の場合、ルーティンの始まりの動作からスイングの終了までをワンショットと考えています。すべてのショットにおいてリズムを安定させるには、ルーティンの入り口をしっかりと決めておくことです。

ルーティンの入り口は、ショット開始のスイッチです。たとえば左手にグローブをつけたらスイッチオンとか、深呼吸して息を吐ききったらスイッチオン、腕を軽く回したらスイッチオンなど、プレーに集中させるための自分なりのルーティンを決めておくのです。

会社でも朝のコーヒーを飲んでから仕事を始めるとか、何かルーティンがあるでしょう。それと同じで、ゴルフにおいても「目をつぶる」とか「空を見る」とか、細かい仕草でもかまいませんから、それをやればショットが始まるというルーティンの入り口を決めておくのです。

結果的に自分のプレーのリズムを守れるようになります。

ルーティンワークの入り口を決めておくと、ショットの全体の動作がスムーズになり、スイングのリズムも安定しやすくなる。

どんな球を打ちたいのかを声に出して言ってみよう

多くのアマチュアは、構えてから「クラブをどこに上げようか」とか「トップの位置はこうだ」などと考えて、いつまでもモジモジしています。これはショット前の準備ができていない典型的なパターンです。ルーティンワークのスイッチが入ったら、そこでもうショット動作は始まっています。クラブをどう上げようかということよりも、打つ前に弾道やショットのイメージを明確にしておくことを優先しましょう。

弾道イメージに対してアドレスをつくるだけですから、構えたらサッと打つというよりも、イメージした弾道に対して体を動かし始めて、スイングを始動させるという感覚です。弾道から巻き戻していくようなイメージといっても良いかもしれません。

そうするとテークバックでクラブヘッドを自然に始動させやすくなります。弾道なくしてアドレスはありません。低い球を打ちたければ、低い球を打つための構えとなります。高い球を打ちたいのに低い球を打つような構えになるのはNGです。

できるできないよりも、どういう球を打ちたいかをしっかりとイメージする習慣をつけましょう。お勧めは、「ハイドローでピンの右側を狙います」といった具合に、これからどういう球を打ちたいかを声に出すことです。そうすると、自分の言葉を聞いた自分がいるので、それに対して体が反応しやすくなります。音に出す準備によって、ルーティンワークの入り口からスイングの終わりまでの一連の動作がスムーズになります。

ショットの前に「こんな球で、フェアウェイのここを狙って打つぞ!」と声に出してみよう。ショットのイメージが明確になる。

スイングの準備体勢であるアドレスをおろそかにしない

スイングの練習も大事だが、アドレスをつくる練習はそれ以上に重要な意味をもつ。アドレスのチェックも忘れないようにしよう。

今年からシニアツアー入りした手嶋多一プロは、レギュラーツアー時代に2001年の日本オープンで優勝するなど活躍された選手ですが、22年連続シード権キープという大変な記録の保持者としても知られます。プロゴルファーたちがもっとも重視する平均スコアをきっちり意識していることの表れだと思います。

手嶋選手はプロの中で一番練習しない人などといわれることもありますが、ホテルの部屋にクラブを1本持ち帰ってアドレスの練習を入念にやっています。ゴルフで一番大事なのは再現性で、再現性を高めるにはアドレスが肝要です。手嶋プロはスイングの練習をしない時でも、アドレスの練習は欠かさないのです。

アドレスはクラブを振るための準備体勢です。バランス良く構えることで体がスムーズに動き、クラブを正しい軌道で振れるようになります。ミスの原因の約7割はアドレスの間違いにあると考えて良いでしょう。ミスショットが続いた時は、スイングよりもまずアドレスをチェックしなさいといわれるのはそのためです。

ところが多くのアマチュアはスイングの練習ばかりして、アドレスを軽視しています。再現性を高めるためのアドレスをつくる練習こそ大事です。普段からアドレスをつくる練習もしっかり積んでおきましょう。体型や柔軟性が変われば、アドレスも少しずつ変わります。年齢とともにスタンス幅やボールの位置などの微調整も必要になってきます。アドレスの練習こそ日々継続していくべきものなのです。

練習をしないといわれる手嶋多一プロだが、アドレスの安定性はピカイチ。誰も見ていないところでアドレスの練習を積んでいるからだ。

プレーの前日にコースの天気予報や風向きをチェック

天気予報などのアプリを事前にそろえておくことも準備の一つだ。情報は多いほうが良い。

ゴルフプレーはゴルフコースが相手ですが、自然現象との戦いでもあります。雨や風などは飛距離や方向性の誤差を生み出す要素ですから、十分に警戒しなくてはなりません。

私は、天気予報のアプリをスマホに10種類以上入れています。無料のものは全部利用しているくらいで、それらを上手に活用すると雨雲の動きや風の向き、強さ、湿度など詳しい情報を仕入れることができます。

なぜそこまでして準備するかというと、ゴルフは「情報戦」だからです。情報をいかに仕入れて、情報をどう処理するかが勝負です。天候だけでなく、コース内にあるバンカーもそうです。このバンカーは入れても大丈夫、このバンカーは入れてはいけないといった具合に練習ラウンドで事前に情報を仕入れておくことで、プレーヤーのパフォーマンスをうまく引き出すことができます。

風の話を続けましょう。ラウンド当日は天気アプリなどを活用して、ゴルフ場周辺の「基本の風」を把握します。基本の風は、地域や季節によって傾向が決まっていて、ガラッと変わることはありません。その風向きをコースレイアウト図に照らし合わせれば、各ホールに吹く大まかな風向きを把握することができます。ティーイングエリア上とグリーン上の風向きが違うこともありますが、わからなくなったら基本の風を信じるのが良いと思います。

芝を千切って風向きをチェックする人も多いが、事前に把握した基本の風向きを第一に考えよう。

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EVEN 編集部

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スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。

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