エポンゴルフ45周年記念限定モデル「Personal」は初の完成品クラブだった
藤井順一
- 2022年05月31日
感性を極めし「Personal」という存在
今年、ブランド創立45周年を迎えたクラブメーカー「エポン ゴルフ」。年間にわたりリリースが予定されているアニバーサリーイヤーモデルの中でも象徴的な存在、それが本作「パーソナル プレミアム」だ。
一般的なゴルフショップに広く流通する完成品クラブではなく、専門知識を有するクラフトマンがユーザーに合わせてパーツから組み上げるヘッドパーツブランド。現在、その国内人気ナンバー1ともいえるブランド「EPON(エポン)」だ。世界のゴルフクラブメーカーの製品をOEMで数多く手掛けてきた遠藤製作所が、その持てるノウハウを惜しみなく投入したエポンにおいて、鍛造チタンのウッド類とならび、高く評価されているのが軟鉄鍛造のアイアンやウェッジ。新製品がリリースされるたび、ファンから熱い視線をおくられる彼らのプロダクトにあって、特別な存在が「パーソナル」だ。ユニークなのはそのコンセプトで、本作は文字通り”ある個人”をターゲットに絞ったヘッドであるということ。
その個人とは同社のクラフトマン、山宮秀一氏のこと。無論、それは単なるユーザーの個人的なクラブ欲などではない。氏は長年エポンゴルフの母体である製造メーカー「遠藤製作所」で有名クラブメーカーのアイアンのマスターヘッドを手掛け、ゴルフの技量も確かな人物だ。パーソナルは、長年、クラブづくりの最前線で培って来た知見や技術をベースに、”こんなアイアンを作ってみたい”という情熱を具現化した、個人的でありながら、実は我々ユーザーに向けたパブリックな提案ともなっているのだ。
エポンゴルフとして初めて、完成品クラブセットでリリース
前置きが長くなったが本作は、そんな同社パーソナルの4代目であり、ブランド創設45周年を記念したアニバーサリーモデルという位置付けだ。そのコンセプトは徹頭徹尾、異例づくし。まず第一に、ブランドとして初めて、ヘッドパーツでなく完成品クラブセットで提供されること。ヘッドはもちろん、ソケットからグリップ、ヘッドカバーにいたるまで完全オリジナルで、専用の化粧箱まで用意するという。
エポンゴルフの伝統であり、挑戦でもある
中でも特筆は「ファニング」と呼ぶ独自の形状。これはブレードのトゥ先端に曲げ加工を加えたもので、作り手である山宮氏が長年温めて来た本作の核心だ。本パーソナルは端的に言えばS20C軟鉄鍛造のマッスルバックアイアンである。同社のレギュラーモデルアイアンである『AFツアー MB』に比較してもやや小ぶりで、まさにアスリート仕様である一方、AF-ツアー MBよりも低重心で重心距離も長めに設計、安定性とボールの上がりやすさを追求している。さらには、このファニング加工により、実際よりロフトが寝て見えるため球が上げやすい安心感があり、アドレス姿勢からは、フェースが開いて見えるため左にいくイメージを低減させる。
と、こうして効能だけを聞くかぎりはよいことづくめなようだが、このファニング、全番手で曲げの度合いが異なり、金型でなく、精密鍛造後に曲げ加工を施す工程のため非常に手間が掛かる。その上スコアラインの曲がりなど各部に影響するリスクがあり、工業製品としての歩留まりの悪化も招きかねない。ゆえに、このファニングのアイデアは、これまで山宮氏の心の中に留まっていた。それが45周年記念の折、遠藤製作所の持つ金属組成の知見や、曲げの圧力の工夫、治具の開発など全社的な取り組みにより具現化されることになった。まさに同社の「伝統と継承、挑戦」を体現しているのだ。
本作、その思いに触れられるのは世界で350人のみ。シリーズがリリースされるたび、即完売となる、ヘッドパーツ界隈再注目プロダクトは、明後日6月2日発売である。
お問い合わせ
エポンゴルフ公式WEB:http://epongolf.co.jp/
電話:0256-64-5551
フィッティング予約:https://reserva.be/eponfitting
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