NECレノボ社長の書いた『外資系社長が出合った不思議すぎる日本語』が面白すぎる
- 2020年07月21日
NECレノボ社長、デビット・ベネットさんの書いた本が面白すぎる
尊敬する広報マンである、NECレノボの鈴木正義さんから本をお送りいただいた。
鈴木さんは、日経クロストレンドで『風雲!広報の日常と非日常』(https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/00157/?i_cid=nbpnxr_child)を書いてらっしゃるので、ご存じの方も多いと思う。鈴鹿サーキットランドから、アップルなどを経て、現在NECレノボの広報をご担当されている。4月号のテレワークの記事でもお世話になった。
その鈴木さんが、同社の社長であるデビット・ベネットさんのお書きになった本を私に送って下さった。私は当初、失礼にも「広報さんも、社長さんの書いた本のパブリシティまでしないといけないのか……大変だな」と思いながら読み始めたのだが、これがとても面白いのだ。
というわけで、ぜひフリック!の読者さんにもご紹介したいと思い、ご紹介する次第。
天は2物も3物も与える
まず、NECレノボという会社と、デビット・ベネットさんについてご紹介しよう。
レノボはちょっとややこしい。
元々レノボは聯想集団という中国の会社である。それが、IBMのPC事業を買収した。あの赤いぽっちの付いたノートパソコンは、元々IBMだが、今はレノボのパソコン……ということになる。その後、NECのパソコン事業を担うNECパーソナルコンピュータと事業統合。さらに、富士通クライアントコンピューティングや、モトローラまで合流している。
その会社の社長を2018年から務めるのがデビット・ベネットさんである。
巻末の表記によると、正確な肩書きはレノボ・ジャパン合同会社代表取締役社長、NECパーソナルコンピュータ株式会社代表取締役執行役員社長。カナダのトロント大学の大学院を出てから、早稲田大学で日本語を習得。2004年から2年間、文部科学省国際交流員として、香川県に勤務したそうである。
その後、東京都でコンサルタントとして勤務しながら日本古典文学を学んだそうである。好きな作品は『土佐日記』。紀貫之の「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり」という平安時代の日記文学である。日本人でも読むのに苦労する古典文学を『好きな作品』として挙げるところに、いかにベネットさんが日本語に堪能であるかが見てとれる。
この写真は、4月号に掲載した『在宅勤務導入のコツ』の中で取材したNECレノボの前者テレワークデーについて、取材させていただいた時のものだが、実にスムーズに日本語でプレゼンテーションされていた。
私は日本語以外の言語はさっぱり不得手なので、複数の言語を習得している人を本当に尊敬する。ベネットさんは、英語と日本語に堪能な上に、経営にも長けてらっしゃるということで、本当に驚くばかり。天は2物も3物も与えるのか……と嘆きたくなるが、きっとひと一倍努力されたのだろう。
ちなみに、テレワークの取材の時に、ご自宅のパソコンが立派なのに驚いたが、ベネットさんはゲーマーであるらしく、そのために自宅にハイパフォーマンスなパソコンをお持ちなのだそうだ。
で……話は戻って、このご本なのだが、実際に面白い。
もはや、日本語でもベネットさんに負けそうだ
一応、私はこれでも、30年ぐらい雑誌を作っているので(せめて)日本語には堪能である……はずである
にも関わらず、私の知らない面白い日本語にまつわる話が次々と出てくる。
曰く、『ヤニ下がるのヤニって何?』『サバを読むって、なぜサバ?』『なぜ富士山(サン)、立山(ヤマ)と読み方が違う?』……など、僕らでも答えられない疑問をしっかりと調べて書いてある。
『1階、2階、3階……で、なぜ3階だけ『ガイ』になるのか?』『パンツ一丁とパンツ一枚はどう使い分けるのか?』など、他言語話者が日本語を学んだからこそ思い浮かぶ疑問についても調べてある。
「三単現のs」について、一般の英語話者に質問しても正確な答えが帰ってこないのと一緒で、普段何気なく僕らが使っている日本語について、新たな発見ができるのが本書なのだ。
グリーンというか緑色を「青」と表現することがある理由や、音読み由来の言葉、訓読み由来の言葉(大和ことば)についても考察されていて、本当にこれをカナダから来た外資系会社の社長さんが書いているのかと驚くばかりだ。
(ほぼ)日本語しか話せない私としては、せめて日本語ではデビット・ベネットさんの前で恥をかかないように、本書を熟読しておこうと思う。
(村上タクタ)
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。