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高価な新型iPad Pro 12.9インチ。旧モデルやiPad Airとの決定的違いは何?

最新iPad Pro 12.9インチの性能は有効や否や

5月21日に発売された、iPad Pro 12.9インチの第5世代モデル、借用するのが遅れてしまい、レポートも遅くなってしまったが、その分、あわてず詳細にレポートしよう。

iPad Proの12.9インチモデルは、2018年の10月末にニューヨークはブルックリンのオペラハウスで発表された第3世代から、第4世代、第5世代と同じボディデザインになっている。

iPad史上最大のディスプレイと、レスポンスのいいProMotion、書き味が良く、描画面とペン先が接して見えるマルチタッチディスプレイ、第2世代Apple Pencil対応、他のiPadを圧倒する高度な処理能力が本シリーズの一貫した売りだ。

他のレポートで『iPad Airで十分』『旧モデルでもOK』という記述を見かけるが、たしかにそれで十分な人には十分。私自身の仕事の使い方でも旧モデルのiPad Pro 12.9で大丈夫だし(私は第3世代を使っています)、ビジネス用途などではiPad Airでも十分だろう。

ただ、高度な描画性能、美しい写真の色表現、高速なチップセットの処理能力を必要としている人は確かにいるし、そういう人にとっては、第5世代iPad Proの性能は不可欠だし、趣味として高性能を楽しむ人には、感覚性能の高さは非常に重要なのだ。「最新のiPad Proの高性能は必要なのか?」というのは愚問で、国産乗用車でも箱根の大観山の駐車場まで行くことはできるが、ポルシェ911に乗って行くのはまったく別の体験だろう。いや、ポルシェは運転したことないけど、凡百のバイクで行くのと、ドゥカティ・パニガーレV4Rで行くのは全然違う体験だ。

というわけで、結論を最初に言うと、iPad Pro 12.9インチは間違いなく現時点で最高のアップルデバイスだし、これが欲しいと思う人は、買った方がいいと断言できる。

圧倒的じゃないか! M1の威力は!

まずは当たり前のポイントから行くと、チップセットが旧モデルのA12Z Bionicから、M1に変更されている。Macに使われているM1というのは、iPhone 12やiPad Airに使われているA14 Bionicの高効率コア、CPUのコア数を2倍にしたものなので、圧倒的高性能を獲得しているのは言うまでもない。

まずは、GeekBench 5によるベンチマークテストの結果を見ていただこう。
シンプルに言うと、過去のiPadの中で圧倒的に最高。MacBook Air、Pro、Mac mini、iMac 24など、M1搭載モデルとほぼ同じ性能ということになる。他のiPadと比べてみよう。

圧倒的であることがお分かりいただけると思う。

もうちょっと詳しく解説すると、iPad Pro 12.9の第3世代(2018)と第4世代(2020)は、A12XとA12Zを積んでいるので、ほぼ同等(GPUの稼働しているコア数が違うだけと思われる)。iPad AirはiPhoneと同じA14 Bionicなので、5nmプロセスの新世代プロセッサーだが、CPUの高効率コアと、GPUのコア数が少ない。それでも一部A12Zを越える性能を持っているのは、驚きに値するが、そのA14 Bionicと同じコアを使って、高性能CPUとGPUを2倍(A12Z Bionicと同じ数)積んでいるのがM1だから、そりゃ圧倒的なのは当然。

もはや、速過ぎて一般のユーザーには体感する機会がないともいえるが、Photoshopでレイヤーをたくさん重ねて絵を描く人、動画の編集をする人、3Dグラフィックを扱う人……などは、この歴然たる高速化の恩恵を被れるはずだ。数値だけでいうと、ただでさえ速い第4世代のiPad Pro 12.9のほぼ2倍なのだから、圧倒的といっていいだろう。

Thunderboltの速さはテストでは発揮できず

Thunderboltポートを使えるようになったのも大きなメリットだ。Thunderbolt接続のディスプレイが使えるので、わが家のLG 5Kディスプレイも使えるし、わが家にはないが、XDRの6Kディスプレイも使えるはず。

Thunderboltストレージが使えるはず……というところで、試してみたが、こちらはあまり速度的には芳しい結果は出なかった。

600MB(0.6GB)のファイルをThunderbolt接続のSSDから、本体内にコピーしてみたのだが4秒ぐらいかかった。第4世代にUSB-C接続のSSDからコピーしても6秒ぐらい。正直期待した程速くない。M1 MacBook Airだと1秒もかからない量なので、これはどういうことなのだろう? コピー自体の速度というより、コピーが始まるまでに時間がかかってるのかもしれない。iPadOS側の問題か(たぶんコレ?)、SSDの性能差なのか? テスト環境の問題なのか?(これかも)また、状況を変えてテストしてみたい。もしかしたら、OSのアップデートでなんとかなる問題かもしれない。

XDRの真価は見比べれば歴然!

次に圧倒的に違うのはディスプレイだ。

これも、もともとの第4世代のモデルとまったく違う仕組みを使っている。もちろん、第4世代のディスプレイもとても美しいから、これで十分というのはわかるが、しかし、やっぱり第5世代のiPad Pro 12.9のディスプレイは圧倒的に美しいのだ。

分かりやすく写真を撮ってみた。左が第5世代、右が第4世代だ。

左の方がしっかり黒い。右の旧モデルは黒い部分は少し明るく見えてるのは分かるだろうか? 人間の目は良くできているので、旧モデルだけ見ると、それでも黒い部分は黒だと思っているのだが、比較してみると、旧モデルの黒は黒ではないことに気付いてしまう。

旧モデル(というか、多くの液晶ディスプレイ)は、全体に蛍光板が入ってり、その光を液晶が塞がないと白、塞ぐと白……という表現をしているのだが、新モデルのミニLEDは、画面背後に1万個が内蔵されており、黒の部分のLEDを発光させないという処理をしているのだ。だから黒が黒い。

こちらもでも、下になっている旧モデルの方が黒が明るいことがお分かりいただけると思う。

写真だと、なかなか分かりにくいが、実物を見ると一目瞭然。新しいiPad Pro 12.9は黒が黒い。そして、その分白も白い。しかも色潰れしていたり、色飛びしていたりするわけでもない。

単に、黒と白との問題ではない。

これまた写真では分かりにくいが(なにしろ、この写真を写している私やあなたのディスプレイが、その違いを表示し切れない可能性が大きいから)、右が旧モデル左が新型iPad Pro 12.9だ。

こういう写真の場合、左の写真の方が岩肌の溝、シワ部分の黒が濃く、しっかりと暗く、明るい部分が明るいので、岩肌のザラツキを感じやすいというか、比較すると新型の方が岩が飛び出して見える……と言いたくなるほど、克明な立体感を感じさせてくれるのだ。

これは写真を扱ったり、映像を見たりする人にとっては大きな違いだと思う。

絵やマンガを描く人にとって重大な描き味の違い

実は、他のメディアではあまり言及されていないが、Apple Pencilの書き味も全然違う。

そもそも、iPad Proのマルチタッチディスプレイは他のモデルと全然違う。フルラミネーションによりApple Pencilのガラス表面と、映像が表示されている液晶の色面の距離が違いのだ。他のモデルはガラスの厚みを感じるが、iPad Proはとてもくっついて見える。

これは絵を描く人、特にマンガなどを描く人にとっては大きな違いだ。ガラスが厚いと同じところに線を引こうとしても引けない。

また、iPad Proは、描画速度が速いときは120Hzで画面を更新する(他のiPadは60Hz)ので、ハッチング(マンガの影の部分などで、細かい線を等間隔に引く技法)などを行った時に、iPad Proだとちゃんと描画が手の動きについてくるが、他のモデルだとちょっと遅れるを感じたりする。一般ユーザーだとほぼ感じないが、プロだと作業効率が大きく違うのだ。

実は、画面に目を近づけてApple Pencilで強く線を引いてもらうと分かるのだが、iPad Proの表面ガラスは薄い。だから強い線を引くためにグッと押すと他のiPadよりガラスが大きく凹むのだ。これがiPad Proの書き味を、他のiPadと違って紙のように抵抗感のあるものにしている。

ここまでは、iPad Proなら旧モデルでも同じなのだが、第5世代のiPad Pro 12.9のガラス面は表面処理が違うのか、第4世代までと少し書き味が違う。これは好みの問題かもしれないが、強く描いた時に少し紙のように引っかかる感じが強い。私自身は旧モデルの方が好きだが、新モデルの方が良いと感じる人もいるかもしれない。

また、従来のiPad Pro 12.9はかなり指紋が残りやすいのだが、第5世代はかなり指紋が残りにくくなっている(左が第5世代)。とはいえ、iPhone 12ほど、指紋がまったく付かない……というわけではないので、そこのところいろいろと表面処理や書き味、素材などとの都合があるのかもしれない。

あと、インカメラがセンターフレームのために122度の視野角を持つ超広角になっているが、外側のカメラ、LiDARスキャナーなどの性能は変わらない。

穴が11個で区切り線が左右対称! マニアックな違いがある外観

外観の話をしよう。

実は、ミニLED搭載のためだと思うが、本体が5.9mmから、6.4mmへと少しだけ厚くなっている。ごくわずかなので、Magic KeyboardやSmart Keyboard Folioなどの装着具合に変化はないが、社外品の全体を覆うようなケースだと、入らなくなる、入りにくくなるという可能性はあるので、注意したい。

あと、非常にマニアックな違いなのだが、上下のスピーカー穴の大きさと数が違う(シルバーが第5世代)。

従来は、iPad Proの12.9インチは、17個の穴が開いていたのだが、11個に減ってる。厚みが増えたから穴の直径を大きくすることができたのか? それとも内部スペースが狭くなったのかは良くわからないが、おそらく内部のスピーカーなどの構造の変化があるのだと思う。

また、iPhoneやiPadは外周部の一部をプラスチックで絶縁し、LTE、Wi-Fi、Bluetoothなどのアンテナとして使っているのだが、その区切り方が異なっている。

従来は片側だけに区切り線が入っていたのだが、第5世代は左右対称に区切り線が入る。おそらく5G対応でアンテナの長さを変える必要があったのだと思うのだが、第5世代iPadを見分ける時に、スピーカー穴は11個というのと、アンテナの区切り線が左右対称……というのは、知っておいて損のないポイントだといえるだろう(0.5mm厚いのは比較しないとおそらく分からないし)。

最新フラッグシップならではのアドバンテージがちゃんとある

というわけで、iPad Pro 12.9インチの旧モデルや、iPad Airとの決定的な違いについて解説した。

正直、iPadは一番安い3万8280円で買えるスタンダードモデルも良くできているから、違いが分からなければこれでもいいし、iPad AirもProに肉薄するほど良くできている。Airで十分だという判断も、それはそれで英断だと思う。

しかし、絵を描く人は、大きなキャンバス、優れた感覚性能のマシンで描くに越したことはないから、やっぱりiPad Pro 12.9インチの第5世代をお勧めしたいのが正直なところだ。他の用途なら、たしかにそこまでの差は出ないことが多いとは思う。

最新の第5世代 iPad Pro 12.9インチには、最新のフラッグシップならではの素晴らしい点があるのである。そこんとこ、iPad Proにやけに詳しい魔女の方ににも感じていただきたいな……と思うのである。

(村上タクタ)

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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