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新型MacBook Pro 14/16のM1 Pro/Maxに、アップルファンはなぜ夢中になるのか?

金銭感覚がなくなる不思議

「普段『節約』とか言ってる人が、急に興奮して、30万円、40万円、人によっては70万円の買い物をしてて不思議!」と言っている人がいた。

大慌てで預金通帳と相談しながらMacBook Proを買っている人もいれば、「意味がわからない」と言ってる人もいるのが、今日の筆者のTwitterのタイムライン。たしかに、なぜ、M1 Pro、M1 MaxにMacファンが興奮するのかが分からないと、意味がわからないということになる。Apple Silicon搭載Macの何がそんなにすごいのか、なるべくわかりやすく説明してみよう。

台湾のTSMCとアップルが分かち合った成功

これまでのMacは、多くのWindowsなどのと一緒のインテルCPUを搭載してきた。しかし、昨年、発売されたM1搭載MacBook Air以来、アップルは自社開発の『Apple Silicon』を搭載するようになった。

このApple Silicon、『自社製』とは言いつつ、イギリスにルーツのあるARMアーキテクチャを使っており、製造は台湾のTSMCという会社が行っている。

このARMアーキテクチャでTSMC製造というのは実はiPhoneやiPadと同じ。TSMCにとってアップルはiPhoneだけで年間約2億台分のチップセットを頼む超大口顧客だ。iPhone 6に搭載したApple A8以来、iPhoneの成功はずっとTSMCのチップセットと共にあった。つまり、アップルとTSMCはiPhoneの成功を共に分かち合うパートナーなのである。

TSMCはこの成功を次世代チップの開発に投資している。M1やA15 Bionicに使われているような最先端の5nmプロセスで設計されているチップは、インテルもSamsungも量産移行が遅れており、TSMCひとり勝ちの状態が続いている。

実際、世界的な半導体不足で、多くのメーカーが減産している中でも、(今のところ)アップルだけが影響を受けずに生産を続けられているのも、このTSMCとの強力な関係によるものだ。

iPhoneのAシリーズチップから、MacのMシリーズチップへ

M1シリーズチップの圧倒的性能は、iPhoneで開発したAシリーズチップの技術をパソコンに積んだことによって実現している。

従来、大電力を使い高いパワーを維持するパソコンのチップと、少ない電力で動作するスマホのチップはまったく別のものだった。しかし、世界的なスマホ需要を背景に、iPhoneの性能はどんどん上がってゆき、一部の性能はパソコンと比べられるほどになってきた。

それを、一気にパソコンに積めるものにすると発表したのが2020年6月のWWDCでの『Apple Silicon』の発表だ。

元来、スマホのチップセットは低消費電力でできるだけ高い処理能力を持つ方向に開発されている。それを、多少電力を消費してもいいから多数積む……という方向で組み合わせることで、高い処理能力を発揮できるようにしたのがMシリーズのチップだ。

両者はiPadでクロスオーバーする。iPad Proでは、A12X Bionic、A12Z Bionicを積んだ次のモデルで、M1を搭載しているし、開発者向けに提供されたApple Silicon搭載版のMac miniにはA12Z Bionicが搭載されていたので、両者にはあるていど互換性があるのだろう。単純に言えるものではないだろうが、乱暴な言い方をすれば、Aシリーズで使われているチップのコアを増やしたのがMシリーズのチップの元になっている。

ワンチップにすべてを積むスマホ手法をMacに

ご存知のように、MacBookシリーズを含め、従来のパソコンはCPUとGPUは別のチップとして搭載されている。IntelのIris GraphicsのようにCPUに内蔵される場合もあるが、この場合はパワフルなGPUを搭載しない場合に使われるそれほどパワフルでないGPUであることが多い。

また、I/Oのコントローラーチップや、メモリーなども基板上に搭載されていた。だから、グラフィックボードを差し替えたり、メモリーを追加したりすることができたのだ。

それに対して、iPhoneなどスマホの場合は、スペースが限られるし、消費電力も節約せねばならない。そこでCPU、GPU、画像信号プロセッサ、ストレージコントローラなども1チップに集積されている。差し替え可能な端子で組み付けるより、集積する方がデータのやりとりは速いに決まっている。

この方法をそのまま活用したのがM1だ。CPU、GPU、画像信号プロセッサ、ストレージコントローラの他に、Thunderboltコントローラなどもすべてワンチップに搭載し、さらにメモリーも同じパッケージに乗せることで、超高速なアクセスを実現している。Keynoteで、メモリーバンド幅がM1 Proで200GB/s、M1 Maxで400GB/sと高らかに宣言していたのはこの部分だ。さらに、搭載したメモリーをCPUとGPUで共有することで、互いのメモリーに書きこみ直す必要がなくなるので、さらに処理速度の向上に寄与するとのこと。

また、大容量のメインメモリーをGPUのグラフィックメモリーとして使えるというのも大きな武器になっていそうだ。

まとめ。M1 Pro、M1 Maxが非常に高速だと思われる理由

これらの相乗効果で、M1は非常に高速であることを、我々は身を持って体験した。

要約すると、
・TSMCとiPhoneの成功を共有しながら、それをMacに活かす方法を考えた
・ただでさえ高速なiPhoneのチップのコア数をさらに増した
・拡張性を犠牲にしてまでして、ワンチップにすべてを乗せた
・同じパッケージにメモリーを乗せることで超高速化
・さらにCPUとGPUで共有することで高速化
これにより、M1は、10万円そこそこのMacBook Airに乗るほどの低消費電力、静音性を実現しながら、50万円を超える最高スペックのCore i9搭載MacBook Pro 16インチを(部分)しのぐ性能を示したのだ。

そのM1は、iPhone 12の118億トランジスタに対して、160億トランジスタでその性能を実現している。であれば、337億トランジスタのM1 Proや、570億トランジスタを搭載している新しいM1 Maxに期待するなという方が難しいというものだ。

ここまで、まったく違うアーキテクチャだからこそ、旧モデルの3.7倍のCPU速度、同じく9倍、もしくは11倍のGPU速度というのも納得できるし、実現した時の凄まじいパフォーマンスに期待してしまうのだ。

唯一の不安要素といえば、ParallelsでWindowsを動かせるかどうかがまだ不明瞭だということだ。ARM版であれば技術的には動かせることが分かっているが、マイクロソフトが独立したライセンスを出すかどうかがわからない。もし、Windowsが動けば、M1シリーズの高性能をWindowsでも享受できるようになるのだが、それができないのなら、世界の半分の人……Windowsユーザーにはまったく評価されないアーキテクチャになってしまう。

我々のように基本的にMacでワークフローが完結するユーザーはいいが、ある程度以上の割合でWindowsマシンを使いたい人にとっては不便だろう。この点さえクリアになれば、M1シリーズMacの価値はグッと上がるはずなのだが。

(村上タクタ)

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

村上 タクタの記事一覧

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