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Miles、ピクミンブルーム大流行……ポケモンGOやIngressが確立したGPS情報の価値

複数の位置情報アプリを並行して稼働させる時代

『すべての移動に、マイルを』というキャッチフレーズで登場した『Miles』(マイルズ)、AR空間の街に花の種を蒔いて歩く『ピクミン ブルーム』と、GPS情報をテーマにしたスマホアプリが話題になり続けている。

すべての移動でマイルが貯る。『Miles(マイルズ)』シリコンバレーから日本上陸!

すべての移動でマイルが貯る。『Miles(マイルズ)』シリコンバレーから日本上陸!

2021年10月22日


ピクミン ブルームで、花の種蒔くオジサンに

ピクミン ブルームで、花の種蒔くオジサンに

2021年11月08日

徒歩、自転車、電車、クルマ、飛行機などすべての移動でマイルがたまり、しかもエコな移動ほど高効率でマイルが貯っていろいろな商品と交換できるというMilesは初日に10万ダウンロード、発表2週間後には50万ダウンロードを記録するヒットとなった。

ピクミンブルームもIngress、ポケモンGOのNianticと、任天堂のタッグとあって、好調な滑り出しを見せているようである。

いずれも、プレイしている間、常時開いている必要はないので、ポケモンGOや、ドラクエウォークという既存のタイトルと並行してプレイすることができる。重度のGPSゲームマニアの方の場合、ピクミン ブルームの苗と種をセットし、ポケモンGOかドラクエウォークをプレイ、そうやって歩いてるうちにMIlesのマイルが貯る……という二毛作、三毛作を営んでいらっしゃるのではないだろうか?

逆に、「位置情報をずっと記録されるなんて、気持ち悪い!」と、どれも使ってらっしゃらない方もいるだろう。特にiPhoneの場合、Appleの個人情報の取り扱いが厳しくなっているので、「位置情報を共有しますがいいですか?」「写真を共有しますがいいですか?」と、最初にさまざまな情報の取得の許可を求められるので、あまりに取得される情報が多くて、気持ち悪くて辞めた方もいらっしゃるに違いない。

いずれも、情報は外に漏れないようになっているハズだし、個人の情報というよりは移動の統計の追跡だったりするので、ストーカー的問題が起こるわけではないが、これら企業の情報運用が適切でなかった場合、何か間違いがあって移動情報が漏れた場合、トラブルが起こる可能性はゼロではないことは確かだ。

位置情報ゲームの歴史は古いが成立させるのは難しい

本項では、なぜこれらGPSゲーム、位置情報サービスが成り立っているのか? というお話をしようと思うが、その前に、これまでの歴史的経緯をたどってみよう。

実は位置情報をゲームにしようという挑戦は、ガラケーの時代からあったのだが、ゲーム性と位置情報の取り扱いを上手くバランスさせるのはななかな難しかった。

店舗や位置情報にチェックインするfoursquareや、ロケタッチもそんなゲームの一種だといえるだろう。そのランドマークに一番多くチェックインした人の証であるメイヤーの取り合いなどが懐かしい(http://blog.sideriver.com/flick/2011/07/1-8203.html)。

筆者の体験としては、iPhone登場当初、まだ、iPhone 3Gか3GSを使っていた頃に、『Parallel Kingdom』というゲームをプレイしたことがある(『Parallel Kingdom、iPhone』で検索すると、当時の記事が出てくる)。

iPhoneのマップ上で、近隣の人と土地の取り合いをするという原始的なゲームだったのだが、人というのは非常に土地の所有というものに固執するらしく、激しい領土争いが起こったことを思い出す。マルチプレイヤーしかも、現実世界とリンクしたものというのは非常に難しく、圧倒的に強い人が近隣の土地を制圧してしまうと、軽く遊んでいる層の人は太刀打ちできないので、そうそうに廃れてしまったように思う。

そう、現実の位置情報と、ゲーム性をバランスさせるのはとても難しいのだ。

位置情報ゲームの極限を追求したIngress

そのバランスを、巧みに成立させたのがIngressだった。

・実際に言った土地をポータルとしてユーザーが登録し、運営が審査する
・足を運んでポータルを登録し、それを3角形に繋いだエリアの取り合い
・レベル8で一人前の強さになってからは、ゲーム中の強さはあまり変わらない

・EnlightenedとResistanceという2陣営に分かれてのSF仕立ての戦い
・ローソン、伊藤園……などとの収益性の確立

などが特徴。小さなマニアのブームとして始まったが、非常に多くの人が、現実に重なるAR空間での戦いの面白さに気がついたゲームだった。

実際のポータルに固執する戦いも起こったし、Guardianメダルをめぐる確執などの問題もあったが、情熱的な運営と、それを支持するコアなファンがバランスし、大きく成長し、現在も続いている。実際に世界中のポータルと何百万というエージェント(Ingressではプレイヤーのことをこう呼ぶ)の動きをリアルタイムで反映するには、相当なリソースが必要だったのだが、最初にGoogleの社内ベンチャーとしてスタートしたのが功を奏してなんとか乗り切ることができた。

ITベンチャーで常に問題になる収益性だが、実際にプレイヤーが移動する、足を運ぶ……という点が話題になった。従来のインターネットのマーケティングでは、サイトへのアクセスをCTRなどというカタチで計ることができても、実店舗への集客を計ることは難しかった。その実店舗への集客をゲーム上でのメリット……というカタチで提供できるというのは大きな発見で、これが後の位置情報ゲーム隆盛の礎になったことと思う。

そのIngressの知見を反映して作られたのがポケモンGOだった。位置に縛られすぎない、他プレイヤーとの競争を激化させすぎない……などの配慮と、ポケモンというIPの強さを背景に、空前の大人気を博した。現実空間と軋轢を起こさないように配慮してても、あまりに人が集まるのでローンチ当初は問題になったが、レアポケモンの出現場所を制御することで、ユーザーの集客を自由にコントロールできるので、人が集まっても問題のない広い公園に誘導したり、スポンサーのイベント開催場所に人を誘導できる能力があった。

マクドナルド、セブンイレブン、ファミリーマート、小田急、スシロー、住友生命、マツモトキヨシなど数多くのブランドと連携し大成功を収めたといえるだろう。

その後、ドワンゴの『テクテクテクテク』、ガンホーの『妖怪ウォッチワールド』、スクエアエニックスの『ドラクエウォーク』など数多くの位置情報ゲームタイトルが登場したのも、このポケモンGOの成功あってのことだろう。

位置情報ゲームの問題と難しさ

ポケモンGOが大成功の道筋をつけた位置情報ゲームだが、運営には常に、現実世界を題材にしたゲーム故の難しさがつきまとう。

まず、地図のデータソースを入手しなければならない。初期のIngress、ポケモンGOが、Googleの地図を利用できたのは大きなアドバンテージだった。ドラクエウォークも当初は Google Maps Platform を利用していた。しかし、利用料などの問題もあり、どちらも現在はOpen Street Mapを使っている。

さらに、建築物や目印などのデータも必要だし、日本中、もしくは世界中のデータを用意し、ゲームを成り立たせるいんは、かなりの規模が必要になる。ポケモンGOやピクミン ブルームで使われるスポットの情報はIngress時代に我々エージェントがせっせと登録してメンテナンスした情報だ。都会だとユーザーが多く、目印も集中し、地方だとユーザーもプレイヤーも過疎になるという問題もある。また、前述のスポンサーを得るにも、結局のところ規模が成立してこそという側面もある。ポケモンGO圧勝、IPの力を使ってドラクエウォークが食い込む……という構造もこの規模が必要だからこそだ。

また、ゲーム性を高めすぎると熱中しすぎてプレイヤーの日常を蝕んでしまうとか、加熱しすぎるという問題もある。自宅でコンソールに向かうゲームと違って、表で遊ぶゲームだけに、人目にについて問題にもなりがちだ。制御されたポケモンGOだが、それでも人が集まり過ぎることによる問題が発生したことをご記憶の方も多いだろう。

『ユルい』ことが大切な、新時代のGPSゲーム

そんな問題を踏まえて登場したのがピクミン ブルームだといえるだろう。ピクミンブルームはディープにハマらなくてもプレイできそうだ。他のゲームと並行して遊ぶことができる。苗や種をセットして歩けばいい。課金アイテムはあるのがそれほど思い課金はないので、そのうちにスポンサーとのタイアップが始まるのだろう。全国のファーストフードやコンビニで珍しいピクミンやアイテム、デコピクミンなどが見つかるなら足を運ぶ理由になる。

ゲームではないが、Milesも現実世界での移動がテーマになったアプリ。アプリを開いてみると驚くほど(ある意味不安になるほど)緻密に移動の記録が残されている。Milesの場合は、徒歩、自転車、電車、クルマ、航空機など移動手段も記録に残されていて、現実社会で使える『マイル』になるというのがよりシビアだ。

ある意味、我々ユーザー側は1円も払わないのに、歩けば、コーヒーがもらえたり、割引券がもらえたりと、メリットしかないのがすごい。実際には、それらの割引券や、クーポンが店舗などへの集客のために使われており、マイルズが収益として受け取るのは『集客費用』なのが興味深い。

それが単なる駅前で配られている『割引クーポン』に過ぎないのか、実際に我々ユーザーにメリットのある『特典』になるのかは、今後のMilesの営業能力次第……というところだが、なにしろユーザーは位置情報を提供するだけ。とりあえずはオンにしておいて、日常移動をしながら今後の趨勢を見守りたい。気がつくとそれなりのマイルが貯っているはずだ。しかし、オンにしたままで何年か経ったクーポンを一気に交換に来る人が出る……というリスクに安定して耐えるのって、けっこう大変そうだ。通常の特典の他にも、『抽選(額面以上の期待感が得られる)』『寄付(短期的な利益ではなく、社会貢献をしたという満足感を得られる)』という項目があるのも面白い。

マーケティング用位置情報争奪戦

これらのアプリの最大の資産は我々の行動履歴である。単に、実店舗に集客することが可能であるということのみならず、統計データを得られるというのもメリットだ。たとえば、ある航空機に乗って成田から千歳空港に行った人は、札幌のビジネスホテルに泊るのか? 時計台を観光するのか? 摩周湖を見に行くのか? どこに行き、どこに泊まり、何を食べるのか? これら位置情報を集めいてる会社は、我々の行動履歴からそれらのマーケティングデータを構築し、販売することができる。

ある北海道のホテルに羽田から航空機に乗って来る人が多いのであれば、その航空機のチケットを購入するサイトにホテルの広告を出すという意思決定ができるだろう。位置情報は、マーケティングデータの宝庫なのである。

アップルがiPhoneに搭載する地図を、2012年にGoogle Mapから、自社製に換えたのも、この位置情報マーケティングデータをGoogleに独占されるのを防ぐためである。

『パスタが食べたいな……』と思って地図で検索した時に、どの店が表示されるかが非常に重要であることは、いまさら言うまでもないだろう。

実際にGoogleやアップルが測量車を走らせて、単なる平面マップではなく、立体的なポリゴンとして緻密なデータを取得しているし、Street View、Look Aroundなど空間として、AR情報として地図情報は進化してきている。さらに、自動運転車の情報としてもこれらの情報は重要になってきている。

そういう意味では、位置情報、GPSゲームの世界はまだ始まったばかりともいえる。NianticのNeonや、Lightshipなど新しいテクノロジーの進展もあるし、ARゴーグルの技術により様相が一変する可能性もある。

また、現実世界とラップしない閉じたVR空間を推進するMeta社ことFacebookのメタバースとの関係性もある(メタバースはディストピアの悪夢です。より良い現実の構築に焦点を当てましょう——https://nianticlabs.com/blog/real-world-metaverse/?hl=ja)。

位置情報、行動履歴、AR/VR空間、メタバース……このあたりの情報からは、今後も目が離せなさそうだ。

(村上タクタ)

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PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

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