BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

教育課題を乗り越える松阪市のiPad積極利用【GIGAスクール構想その後1】

教育へのiPad利用情報を共有してほしい

これまで、フリック!では数多くの教育へのiPad活用に関する記事を書いてきたし、『子供を伸ばす! 学校と家庭のiPad超活用術』というムックを作り、iPadの学習への利活用について、情報発信を行ってきた。

子供を伸ばす! 学校と家庭のiPad超活用術
https://peacs.net/magazines-books/flick-1064/

これは、iPadというデバイスが、教育において大きな可能性を持っていると信じているからだ。

しかし、同時に「iPadさえあればOK」というものでもないと思う。我々がコンピュータやスマートフォンを仕事に利活用する方法にもいろいろあるように、教育にiPadを利活用する方法論にもいろいろある。ご存知のように、上手く利活用できていない学校もあるし、取材したこちらの目からウロコが落ちるほどの成果を挙げている学校もある。

さまざまな例をご紹介するので、ぜひ取り入れられる点を参考にしていただきたい。

多様化する教育現場へのiPadの導入

さて、三重県松阪市は、古くから名古屋、京都、大阪、奈良など都市圏と伊勢を繋ぐ交通の要衝であり、伊勢湾に面し、商業、工業のにおいて重要な役割を果たしている。ご存知松阪牛の産地でもある。

現在は人口の微減が続く地方都市のひとつであり、高齢化も進んでいる。沿岸部の工業地帯の労働者として、海外から働きに来る人が増えている関係上、学校にも日本語を話せない児童が増えており、その対応も課題のひとつである。

令和3年5月現在の人口は約16万人、小中学校の児童数は約1万2000人で、36の小学校と11の中学校を抱えており、GIGAスクール構想によってひとり1台のLTEモデルのiPadが用意された。

今回話を聞いた松阪市立久保中学校は、680人の生徒を抱える市内随一の大規模校で、1〜3年生が各6学級に加え、特別支援学級を7クラス持つ。外国に繋がりのある生徒は78人と、多様化が進んでいる。

実は松阪市には、10年以上前、平成23年から総務省の『フューチャースクール推進事業』としてiPadを導入した中学校があり、そこから徐々にiPad導入を推進して今に至っている。

現在は、多くの学校ではGIGAスクール構想の後押しで大量導入が進んでおり、学校内で快適にiPadを利用するためのネットワーク回線の整備も進んでいる。各教室へのプロジェクター、スクリーンの導入、教員用iPadの準備……など、大きな変化があった。

それらの課題を、事前に導入していた学校からのフィードバックを活かしながら、解決していった。

説明することで理解が進む

ICT教育といえば、プログラミングやWordやExcelの使い方、キーボードが使えるようになること……的なイメージを持つ人が多いが、本質はそこにはない。

学習それ自体を、ICTデバイスの能力を使って改変していくことにこそ、その本質がある。

取材では、松阪市久保中学校の湊川祐也先生が、数学の授業での活用の様子を説明してくれた。

たとえば、KeynoteやClipsを使って課題を説明する動画を作る。説明するためには課題を理解せねばならず、わかりやすく説明するために、本質を考えるようになるのだという。このようなカタチの授業が、従来のテストに回答するだけの授業より、主体的で創造的な学びを引き出すのだ。

校長先生も一丸となってiPad利用を促進

もちろん、すべての授業、すべての先生が積極的にiPad導入を推進できたわけではないが、学校を挙げての活用の取り組みも行われた。

校長先生も、校内SNSなどで情報発信を行い、他の教員、生徒、そして保護者の理解を推進することを求めたという。

ちなみに、さまざまな学校の取材で拝見したが、生徒達はあっという間にiPadに習熟するケースが多く、先生はそれに負けじとiPadの活用について勉強される。そうなると、取り残されるのが保護者だ。公立校にはさまざまな保護者がいるし、たいていの場合、保護者の理解が一番進んでいない。

そんな中、松阪市は保護者の理解を促進する活動も積極的に行ったという。

利活用が進んでいることで、さらなる活用方法のアイデアも出てきていた。

たとえば、不登校児童への授業の配信や、大学生を活用した進路相談、生徒会活動等の応援という案が出てきている。これもiPadの大きな可能性のひとつだといえるだろう。

iPadの利活用はまだ始まったばかり。各校で利活用が促進され、それが共有され、さらに有効な利活用が行われることだろう。

(村上タクタ)

(最新刊)
おうち仕事を効率化する デジタル超整理術
(Amazonはこちら
flick! digital 2022年1月号 Vol.123
https://peacs.net/magazines-books/flick-1217/
子供を伸ばす! 学校と家庭のiPad超活用術
https://peacs.net/magazines-books/flick-1064/

SHARE

PROFILE

村上 タクタ

flick! / 編集長

村上 タクタ

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。

No more pages to load