10年間ゴミを集め続けたPirikaが、2040年までにゴミの収支を逆転する【アースディ2】
- 2022年04月19日
INDEX
10年間発展し続けてるゴミSNS
10年前にiPhone、AndroidアプリとしてローンチしたPirika(ピリカ)というアプリをご存知だろうか?
Pirika
https://apps.apple.com/jp/app/id434984120
恥ずかしながら、筆者は知らなかったので、さっそくダウンロードしてみた。
アカウントを作って……周囲を見回して、ゴミを拾う。筆者は今ちょうどオーストラリアのメルボルンにいるのだが、芝生の上にファーストフードのジュースのフタを見つけたので、写真を撮って、拾って投稿した。
すぐに、Twitterなどのいいね!に相当する『ありがとう』が何十個も付いて、コメントまでいただいた。なにこれ。なんか嬉しい。
実は、Pirikaは10年以上の前からスタートしているアプリで、基本的にはボランティアの力を結集することを目的としている。しかし、非常に興味深いのはちゃんと収益を上げることに成功しており、だからこそ10年も継続できているというポイントだ。
Pirikaの代表は、小嶌 不二夫さん。大阪府大の機械工学課を卒業し、京大の大学院でエネルギー科学を専攻するが、その時に世界一週の旅に出てゴミ問題の深刻さに気付き、大学院を中退してPirikaを起業。今に至る。
ビジネスとして収益を上げ、継続拡大しているところがポイント
10年間の取り組みの結果、Pirikaは112カ国で使われるに至り、2億3000万個のゴミを回収。のべの参加人数は200万人にいたり、環境スタートアップ大賞で、環境大臣賞を受賞している。
環境問題などに取り組む善意のビジネスは、ちゃんと収益を上げられておらず、人を増やせなかったりすることが多いが、現在のPirikaはフルタイムのスタッフ17人、パートタイム24人、プロボノ(プロがスキルを活かしてボランティアすること)9名というメンバーで事業を行っており、それでも人が足らず、どんどん求人活動を行っているという。
Open Network Lab.で磨かれたからこそのサクセス
なぜPirikaは上手く収益を上げて継続することができているのだろう? Pirikaはスタート時から、ベンチャーキャピタルであるデジタルガレージのOpen Network Lab.に参加しており、さまざまなメンターから事業のテーマや、収益方法に関してミーティングを重ね、アドバイスを受けており、プレゼンなどの訓練も受けた。そうしたビジネスとしての洗練と熟成が、この成果に繋がっているのだろう。
一般ユーザーが使うPirikaは普通にゴミを拾って投稿し、交流するゴミをテーマにしたSNSだが、それをベースに上手く自治体や企業と協力し、収益を獲得している。
Pirikaはゴミ集めに関して各地の自治体と協力し、それぞれが開催している地域清掃活動の見える化・活性化に協力しており、それぞれ独自のサイト、サービスとして提供することで、補助金を得ている。
また、自分で拾えない大きなゴミの不法投棄が通報されると、それを地方自治体に伝えるサービスを提供している。
自治体からの収益と、企業からの収益
また、昨今企業はSDGs活動として、ゴミ拾いなどの活動をしているところが多いが、その企業の活動成果を集約し、企業ごとのサイトに表示したりするサービスを提供することで、企業からフィーをもらっていたもする。
企業のゴミ拾い活動に参加する社員がアカウントを作って、連携させると、その企業と連携した社員アカウントの拾ったゴミの投稿を集約してデータ化したり、サイトに表示したりできる機能を、書く企業に提供したりしている。
『ピリカ』と『タカノメ』と『アルバトロス』
Pirikaが提供しているのは、ゴミ拾いプラットフォームのPirikaだけではない。
Pirikaのゴミ拾いの情報の収集機能を撮り出し、それを高機能化した『タカノメ』というサービスではスマホのカメラの映像を画像解析、ゴミの位置と分布を解析している。
なにしろ、地球上のゴミを減らそうにも、ゴミの総数が分かっていないのだ。まずは、どれだけのゴミが排出され、どれだけのゴミを回収できているのか計測できなければ目標設定もできなければ、達成度も分からないというわけだ。
たとえば、タカノメを営業車に積めば、その営業車が走った場所のゴミの種類の分布、密度などのデータが得られるというわけだ。
これにより、どこにゴミが多くて、どこで活動すれば効果的にゴミを集められるかなどのデータが得られるし、どのエリアにはどんなゴミが多いかを解析することで、ゴミの発生元に対して対策を講じるころもできる。
海洋ゴミの発生源を解析し、問題を解決
Pirikaの活動は陸だけでなく、海にも広がっている。
アルバトロスは海洋のプラスチックゴミを収集、分析するサービス。専用の調査装置を開発、低コストで調査可能となっている。
これによりプラスチックゴミの分析ができるようになった。
そうすると、たとえばある地域の海洋ゴミの多くが、水田から流出した肥料のカプセルであることが判明したり、国内水域のプラスチックゴミの約20%が人工芝であることが判明したりしている。
これらの分析のおかげで、解決に手を打てるようになるというものだ。
Pirikaが地球を救う
Pirikaのミッションは『2040年までに自然界に流出するごみの量と、回収するゴミの量を逆転させる』というもの。
壮大な目標だが、Pirikaがこの目標を達成できないと2050年までに海を泳ぐ魚の重量以上のゴミが海洋に流出し、海洋生態系自体が壊滅的なダメージを受けることなると言われている。
Pirikaに我々の運命がかかっているのである。とりあえず、アプリをインストールして、ゴミを拾うところから始めよう。
Pirika
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PROFILE
flick! / 編集長
村上 タクタ
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。
デジタルガジェットとウェブサービスの雑誌『フリック!』の編集長。バイク雑誌、ラジコン飛行機雑誌、サンゴと熱帯魚の雑誌を作って今に至る。作った雑誌は600冊以上。旅行、キャンプ、クルマ、絵画、カメラ……も好き。2児の父。