
代表兼デザイナーの小杉敬さんが描くアウトドアの未来。ゼインアーツの新たな挑戦と ブランドとしての哲学

PEAKS 編集部
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昨年、山岳向けテントと保温ボトルの販売を開始し、アウトドア好きに大きなインパクトを与えたゼインアーツが、この春、プロダクト第3弾となるスリーピングバッグをリリースする。
挑戦し続ける新興メーカーの根底に流れる哲学とは。
編集◉PEAKS編集部
文◉松元麻希
写真◉花岡 凌(インタビュー)、熊原美惠(製品)
1年分の在庫が1時間で完売!山岳向けテント「ヤール」の衝撃。
2024年6月、登山用品市場に彗星のごとく現れた「ヤール」。長野県松本市のキャンプギアメーカーとして知られる「ゼインアーツ」が、山岳シリーズの第1弾として打ち出したこの山岳テントは、販売開始から1時間で完売するほどの注目を集めた。
代表の小杉敬さんは、登山用品市場への進出の手応えをこう語る。「『ゼインアーツ、なにそれ?』と、もっと斜めに見られると思っていたので、予想以上に受け入れられてとても感謝しています。ユーザーの方々は冷静にものを見て、自分で背景を調べて選んでくれたんだなと」
ダブルウォールで、2人用でも最小重量が1kgを切るという軽さを実現した高スペックにもかかわらず、価格は税込4万円以下。反響は想定をはるかに超えたものの、売れないとはもちろん思っていなかった。

同年8月には真空保温ボトル「ダブルウォールボトル500」を発表し、12月にはJR松本駅の徒歩圏内に本社を新設。そして今春はスリーピングバッグとアパレルをリリースし、愛知県と東京都に直営店をオープンする。業界全体で新興ブランドが勃興するなか、ゼインアーツは攻めの手を緩めない。
「山岳シリーズは、当初からテント、寝袋、アパレルの順番で展開しようと決めていました。寝袋は昨年中にリリースする予定でしたが、安定した品質で製造できる体制を作るのに時間がかかり、このタイミングになってしまいましたね」
新製品の開発にあたってマイナス20℃の冬の八ヶ岳で寝袋の防寒性や寝心地を確かめたり、ウエアを着用して北アルプスを歩いたりと、山に囲まれた松本の地の利を活かしたフィールドテストも行なったという。加えてゼインアーツの山岳ギアのクオリティの高さは、代表兼デザイナーである小杉さん自身の豊富なアウトドア経験によるところも大きい。

学生のころは地元・新潟県の低山ばかり登っていたという小杉さん。社会人になり仕事でキャンプの楽しさに目覚め、一時期登山から離れていたが、フライフィッシング用に買ったソロテントをきっかけにソロキャンプにはまり、登山への情熱が再燃。本格的な山岳会に入り、毎週のように山へ出かける日々を送った。
「入った会は、すごく激しい人が集まっていて。新潟なので沢登りやバックカントリースキーが中心でしたが、クライミングなどを覚えるようになって、どんどん高みを目指すようになりました。バカみたいにいろんなものを担いで登ったり……少しおかしな方向へ行ってました (笑)」
会社勤めをしながらハードな登山経験を積んでいた小杉さんは、ヤール同様、今回リリースする新製品にも山でリアルに必要となる機能性を可能な限り盛り込んでいる。
「たとえばウエアの場合、〝壊れる〞とか〝切れる〞の前に、まず臭くなるんですよ。防臭機能は重要だとすごく感じましたね」

ブランド創業の原点に立ち返り〝王道の経営〞を追求する。
シンプルなデザイン、過不足ない機能性を特徴とするゼインアーツの山岳シリーズ。ユーザーにとってなによりの魅力は、このクオリティにもかかわらず、手が届きやすい良心的な価格に設定されている点だ。この価格設定には、小杉さん自身が製品開発において抱いている信念や哲学が、深く関わっている。
「もともと僕が会社を作った理由は、利益最大化がゴールの経営に疑問をもったから。お金ではなく、社会に貢献している状況で経営を続けることも絶対できるはずだ、と」
ゼインアーツが2019年にキャンプ用のテントの販売を開始した際も、その質の高さと手頃な価格がキャンプ市場に衝撃を与えた。
「ディーラーさんから『なんでこんな価格でできるの』と驚かれましたね。自分としては、いいものを適正価格で提供する〝王道の経営〞をしたほうが多くのアウトドア愛好家に喜んでもらえると思っていたので、利益をとにかく低くして自分たちの経費を下げるところから始めました」
身銭をまず切る。むやみに値引きをせず、定価で安定した状態を作る。それがスムーズに受け入れられ、ゼインアーツはキャンプ市場において一定の地位を築いた。創業7年目を迎え、今年の2月に全体的な値下げも実施した。
「コロナ禍中に盛り上がったキャンプブームが落ち着いて、改めて自分たちがやりたかったことをもう一度見つめ直し、再スタートを切りたいと思いました」

新社屋にも投資し、手を緩めたら経営が継続できない状況であることに変わりはない。それでも小杉さんは「私たちの存在意義は、アウトドア人口を増やすこと」「必要とされる企業にならなければいけない」と初心に返り、できる範囲で価格を抑えるという選択をしたのだ。
品質を下げずに適正な価格で製品を提供するためには、ロードサイドにある程度のフロア面積のある直営店を展開して全体的なロットを増やすことも、いわゆる〝王道の経営〞の常套手段。将来的には全国で多店舗展開をするという構想も描いている。
「お客さんが登山を始めたいと思ったときに、なにも考えずに選ばれて、満足して帰っていただく状態を作るというのが正しい店舗経営のあり方だと思います」
製品の拡充も、もちろん進めていく。とくに今後は総合メーカーとなるべくアパレルにも注力する予定だ。
「出せる製品はどんどん世に出していきたいです。愛好家のみなさんに喜んでもらえるものを提供するのが、我々の使命だと考えてますから」
ゼインアーツの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

クモ450レギュラー
850FPのダウンで全身を雲のようにふわりと包み込む。ダウンの容量別に350g、450g、600g、750g、900g の5型があり、それぞれレギュラーとショートサイズを展開。
- ¥29,980
- 快適睡眠温度:1℃
- 下限温度:-4℃
- 収納サイズ:φ20×H35cm
- 重量:700g



TOPICS|アパレルと直営店も展開!
機能はベーシックに、デザインはシンプルに。
アパレル展開の第1弾では、レインウエア、レインパンツ、Tシャツ、トレッキングパンツの4種類をリリース。防水性、速乾性、軽さ、肌触りなど、登山用ウエアに求められる必要十分な機能を備える。ユニセックスで、ゆったりとした着用感が特徴。コーディネートしやすいアースカラーに統一されていて、どの年齢層も気兼ねなく着こなせる。
フーザレインジャケット
耐水圧~ 40,000mm、透湿~ 20,000g/㎡・h(※)をもつ独自3層防水透湿素材を使用。名称は「風雨の座」の音から。風と雨から身を守りピーク(座)を目指せる心強い相棒。
※耐水圧はL1092B法、透湿はL1099B-1法を使用して算出
- ¥19,800
- サイズ:XS ~ L(ユニセックス)
- カラー:ホワイトアッシュ、サンドベージュ、セージグレー、ブラック
- 重量:260g(M)
ヤコTシャツ
松本の方言で“やわらかい”の意「やっこい」が由来。酸化チタンを含むフルダル糸を用い、薄くても透けにくく、やわらかな肌触り。吸水速乾性や防臭性にも優れる。
- ¥2,980
- サイズ:XS ~ L(ユニセックス)
- カラー:セージグレー、ブラック、ホワイトアッシュ、スモーキーブルー
- 重量:180g(M)
フーザレインパンツ
ジャケット同様に、独自の3層防水透湿素材を使用したレインパンツ。軽さとしなやかさ、ゆとりある着用感がポイント。ヒザから裾にかけて止水ファスナーを配置。
- ¥12,800
- サイズ:XS ~ L(ユニセックス)
- カラー:ブラック
- 重量:180g(M)
ハチヨンパンツ
体型が気にならないシルエットが特徴。裏地はダブルフェイスで汗をかいても不快感なし。お尻の両側のポケットは、物を入れた状態で座っても干渉しない位置に付く。
- ¥8,980
- サイズ:XS ~ L(ユニセックス)
- カラー:ダークブラウン、ブラック、ダークグレー
- 重量:330g(M)
アイテムを実際に手に取れる直営店を東京と愛知にオープン。
将来的な店舗展開も見据えて、この春、ゼインアーツが満を持して直営店2店舗をオープンする。3月7日に先行してオープンしたのが、愛知県のベッドタウンに建つ長久手店だ。駅近かつ大型商業施設が立ち並ぶエリアで、買い物ついでに立ち寄りやすい。4月上旬には、登山用品店が建ち並ぶ東京都神保町に神保町店をオープン予定。乞うご期待!
ゼインアーツ長久手
愛知県長久手市勝入塚206 couleurs BOIS 南棟4号
TEL.0263-87-2954(店舗総合窓口)
店休日と営業時間はゼインアーツのインスタグラムにて
@zanearts_outdoor
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文◉松元麻希
写真◉花岡 凌(インタビュー)、熊原美惠(製品)
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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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