筆とまなざし #108「恵那山登山口でクライミングウォールのお披露目会」
PEAKS 編集部
- 2018年10月24日
「小屋の階段の吹き抜けにクライミングウォールを造りたいんだ」
恵那山登山口にある萬岳荘の管理人Hさんからそう連絡があったのは、夏のことだったでしょうか。Hさんはガイドでもあり名門山岳会に所属するクライマー。しかし、ぼくは本格的な人工壁を造ったことはありません(高校時代に自宅の倉庫に作った程度)。いつも行くクライミングジムのオーナーSさんに相談すると、作ってくれるとのこと。HさんとSさんをつなぎ、ようやくクライミングウォールが完成したのは先週のことでした。その週の土曜日に、村の役員の人たちも交えた竣工式を行なうということで、それに間に合わせてギリギリ完成。ぼくも壁造りを少し手伝い、真新しいホールドで課題をセット。ここに来る人はクライミングしたことのない人がほとんどだろう。ハイキングシューズで登るだろうし、子どもだっているかもしれない。ホールドの間隔を狭くして、登りやすい大きなホールドを取り付けました。
竣工式当日は晴れ。紅葉が見ごろだということで、萬岳荘は老若男女問わずたくさんの人で賑わっていました。恵那山に登る人はもちろん、小屋の裏にある富士見台にハイキングに行く人、キャンプや小屋に泊まって明日の登山に控える人などさまざま。10時すぎから竣工式(お披露目会と体験会)が行なわれました。
関係者のみなさんがひと通り登ったところで、小さなふたりの女の子を連れた家族がやってきました。
「登ってもいい?」
女の子が尋ねてきました。
「いいよ、今日できたばかりだよ」
そういうと、2人の姉妹はするすると上手に登っていきます。
聞くと、名古屋のクライミングジムに何度か行ったことがあるらしい(しかもSさんの経営するジムだった)。今日は富士見台にハイキングにやってきたということでした。
「あ、ボルダリングだ!」
階段の下から男の子の声がしました。こんなに普通に、クライミングやボルダリングという言葉が飛び交うとは……。ここにやって来るのは山が好きな人。この人工壁が新しい世界への扉となりますように。
そうだ、このクライミングウォール、登山靴はOKですがアックス、アイゼンは禁止です。ご注意ください。
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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