筆とまなざし#131「五月晴れの日。『水彩絵の具で山の風景を描く。』」
PEAKS 編集部
- 2019年05月27日
日曜日は展覧会をしている「安曇野山岳美術館」で水彩画教室を行ないました。定員10名のところ満員御礼。キャンセル待ちがあるほどでありがたい限りの集客でした。長野県内はもとより千葉県など遠方からも参加していただき、気合いが入ります。
当日は爽やかな五月晴れ。美術館には中庭があり、レンガの敷かれたその一角にテントを張って行ないました。心地よい風が森から吹き抜けてきます。
今回のテーマは、「水彩絵の具で山の風景を描く」です。皆さん思い思いの山の風景写真を持参していただきました。燕、槍ヶ岳、阿弥陀岳、冬の黒百合ヒュッテのテント場などなど。その風景に、きっと大切な思い出があるのでしょう。
リピーターの方には毎回同じ内容で申し訳ないと思いつつも、最初に水彩絵具の特徴、透明水彩と不透明水彩の違い、代表的な技法とその応用などを、レジュメと実演を交えながらレクチャーしました。普段から絵を描いている方も多く、最初から込み入った質問が飛び交います。
解説がひととおり終わったら、早速鉛筆の下描きに取りかかってもらいました。質問があればその都度声をかけてもらいます。絵の描き方に正解はありません。質問内容を自分の経験と重ね合わせ、解きほぐし、実演を交えながら考えて応えます。展覧会会場で教室を行なうのは便利なもので、「例えば〜」と言いながら、展示してある絵の前に行って解説したり。熱心で細かな質問をしていただくのはとても楽しいひとときで、こちらも思わず熱がこもります。そんなことをしていると制限時間の3時間はあっという間に終わり、強かった日差しも随分と傾いていました。次回の水彩画教室のリクエスト、今度は山で行ないたいという声も聞かれ、満足していただけたようで一安心。充実の一日でした。
ここのところ出かけることの多い毎日でした。教室の翌朝はのんびりとすごしてアトリエへ。山菜の季節はとうにすぎ、ワラビはすっかり大きくなっていました。いつの間にかハルゼミの鳴き声が聞こえ、新緑が初夏の緑に色合いを濃くしていました。その日は風の強い日でした。アトリエのデッキを貫くように生えるヤマハンノキにもたれかかると、風でしなるヤマハンノキの動きが力強く感じられました。光を透かした明るい緑。青空を行き交う白い雲。テラスに踊るまだら模様の木漏れ日。水を張った水田はまるで湖のようで、波紋を作りながら風が吹き抜けていきます。一瞬で駆け抜けるこのわずかな季節は、ぼくの大好きな季節です。
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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