トレッキングブーツのメンテナンス方法

アウトドアに関するすべての道具で、地面に常に接しているブーツ類はもっとも汚れやすい。だが念入りなメンテナンスさえ行なっていれば、いつも機能的な状態をキープできる。

崩れやカビ防止のため保管は完全乾燥状態で

山から自宅に帰ったら、ブーツをそのままにしていてはいけない。とくに表面が汚れていると、ブーツがもつ透湿性が発揮できず、湿気がこもることにつながるからだ。

「湿った状態が続くと、カビが生えてきたりしてブーツの素材が傷みます。レザー製のブーツは型崩れも起こしかねず、履き心地がとても悪くなってしまいますので、クリーニング後には完全に乾燥させることを心がけてください」とは、モンベル広報部の葉狩さん。

乾燥させたあと、最後の仕上げは撥水剤で行なう。「素材との相性もあり、ときどき風合いや色が変わってしまうこともあるので、注意が必要です。とくにレザーは繊細なので、気になる人ははじめに端のほうに付けて試してみてください」

葉狩さんによれば、帰宅後のメンテナンスをスムーズに行なうには、山中にいるときからブーツのようすを確認しておくことだそう。

「例えば、歩いていてソールが滑る気がしたら、帰宅後にはすり減り具合を細かくチェック。一部の摩耗は自分で補修材を使って処置できますが、摩耗が激しい場合、ソール張り替え可能なシューズは早めに修理へ。張り替えには1万円前後かかる場合が多いですが、買い直すよりも安上がりで、履き慣れたブーツを長く使えます」

理想的な保管には、湿気がこもらない風通しがよい場所を選ぶ。「また山に行くからと、車中に放置すると劣化しますよ」

  • ポイント
  • ①帰宅後は放置せず、早めにメンテナンス
  • ②専用の道具は、やはり効果が高い
  • ③こまめなチェックで傷みを早期発見

金具の破損は早期発見

金属のパーツは壊れにくいものの、ひとたび破損すると自分では修理できないものが多い。壊れた部分、または壊れそうな箇所を見つけたら、早めにメーカーに修理に出す。

剥がれやすいつま先

岩や地面に強くぶつかりがちなつま先部分は、とかく傷みが激しい。ゴムが剥がれてきた場合は、傷んだ部分が大きくなってしまう前に自分で接着しておくとよい。

アウトソールは消耗品

ダイレクトに地面に接する部分だけに、次第にすり減るのは仕方ない。できるだけ長く使うには、正しいメンテナンスを。そして、すり減りすぎないうちに張り直そう。

乾燥させたいブーツ内

内部を湿らせたままでいると、防水透湿メンブレンなどが傷みやすいだけではなく、雑菌が繁殖して悪臭のもとになる。メンテナンス後はしっかりと乾燥させておこう。

撥水力重視のアッパー

アッパーが土や砂で汚れたままだったり、雨などにより濡れてしまっていたりすると、ブーツの透湿性が発揮できない。メンテナンスでは、撥水力の向上をお忘れなく。

掃除とお手入れの流れ

ひと口にブーツといえども、パーツはさまざま。アウトソールやインソール、ブーツ内部のメンテナンスはどんなブーツも共通だが、アッパーは素材によって少々異なる。

このページで紹介するのは現在のブーツの主流ともいえる化学繊維を使ったタイプのメンテナンスだ。レザーブーツに関しては次ページを参照してほしい。

①シューレースを外す

まずやるべきことは、ブーツのシューレース(靴ヒモ)をすべて外すこと。ついでにシューレースがほつれていないか、切れそうな部分がないか、確認しておくとよい。

②インソールのクリーニング

インソール(フットベッド)もブーツ内から取り外し、砂などの異物はブラシで落とす。土汚れがひどい場合は、洗剤を付けたスポンジで擦り落とし、それから干しておく。

③内側の汚れを拭き取っておく

ブーツ内部が汚れていれば、洗剤を含ませたスポンジで叩くようにして汚れを落としていく。その後、スポンジの洗剤を洗い流し、再度水を含ませて同様の作業を行ない、洗剤を除去する。

④ソールから小石を取る

アウトソールの溝に食い込んだ小石は、ソールや手を傷つけないように注意しつつ、マイナスドライバーなどで外す。そのままにしておくと、アウトソールの傷みが激しくなる。

⑤ソールにブラシをかける

細かな砂や泥を落とすには、ブラシの出番。汚れが多い場合は水洗いしたほうがよいが、そのために複数のブラシを用意しておくと便利だ。ブラシは使い古した歯ブラシでも充分使える。

⑥アッパー全体をスポンジできれいに

水や洗剤で軽く濡らしたスポンジを用い、アッパー全体の汚れを靴用クリーナーで落とす。この作業をしっかり行なっていないと、あとで撥水剤を使ってもあまり効果が出ない。

⑦金属パーツの汚れを落とす

フックやアイレットなどの金属パーツにこびりついた汚れはブラシできれいにする。大きなブラシが使いにくいときは使い古した歯ブラシも便利だ。

⑧水分の吸収は古い新聞紙で

内部がかなり濡れてしまったときは、丸めた新聞紙を押し込み、水分を吸い取らせる。いったんある程度吸い取ったら、別の新聞紙に交換するようにすると、早めに水分を除去できる。

⑨乾燥の際は、立てかけて

クリーニング後は2〜3日陰干しする。壁などを利用して斜めに立てかけておくと、水分が早く切れる。ブーツ内部の湿り気が少なくなってきた際に新聞紙を抜いておくと完全乾燥は早い。

⑩乾燥後には、仕上げの撥水剤を

完全にアッパーが乾燥したら、最後に撥水剤をむらなくスプレー。歩行中に濡れやすいつま先やかかとは、念入りに行なおう。撥水スプレーはブーツを汚れにくくする効果ももたらす。

アッパーがレザーの場合

汚れには消しゴムをかける

ヌバックレザーの汚れを効果的に落とすのは、ずばり消しゴム。皮革製品用のゴムが市販されており、ブラシをかけたあとにこするときれいな状態にしてくれる。

手入れの際のチェック項目

ミッドソールの劣化

ポリウレタンを使ったミッドソール(写真のグレーの部分)は加水分解による経年劣化は避けられない。山中でソールが突然剥がれないように、いつも確認を。

ラバーの剥がれ

ランドなどと呼ばれる部分のラバーは薄く、剥がれやすい。放置するとますます剥がれていき、防水性を損なう恐れも出てくるので、接着剤で張り直しておく。

アウトソールのすり減り

ラバーがすり減ってエッジがなくなると、ソールの寿命だ。張り替え可能なものはショップに持っていき、張り替え不能なタイプは、ブーツ自体を買い直す。

シューレースの傷み

傷んだ場所があれば、新しいシューレースにチェンジ。 それでも山行時に突然切断することもあり、シューレ ース代わりになる細いロープをつねに持参するといい。

傷んだソールの補修

破損した部分を再形成

ソールが欠けたり、一部だけ過度にすり減ったりしたら、パテのように使える補修剤をテープで作った型に流し込めば、ある程度の厚みにも形成できる。

メーカーでの修理も検討しよう

今回の取材先のモンベルでは、持ち込みによるソール交換も行なっている。修理方法や費用、かかる日数はシューズによっても変わるので、直接店舗で確認を。

知っておきたい応急処置

ミッドソールは3〜5年で加水分解を起こし、早めに張り替えしないと歩行中にソールが剥がれるというトラブルに。

その場合は応急処置でなんとか下山するしかないが、実用的な方法は下のふたつ。多目的に使える2㎜ほどの細引き(ロープ)やテーピングはいつも持ち歩こう。

細引きで巻く

ブーツ本体と剥がれたソールをいっしょに巻くときは、細引きができるだけソールの溝に食い込むようにする。地面と擦れて切れにくくなり、長く歩ける。

テーピングで貼り付ける

地面に強く擦れるつま先やかかとではなく、土踏まずの窪んだ部分を利用してテーピングで固定。少々ソールがブラつくが、状況によって針金などでも補強する。

保管の方法

濡れたまま、湿ったままで長時間放置するのは最悪の行為。アッパーの裏にある防水透湿性メンブレンの傷みも激しくなる。保管前に完全乾燥させておくのが鉄則だ。とはいえ、過度の乾燥も避けるべきで、直射日光に当てて高温にならないように注意したい。

保管に適しているのは、直射日光が当たらず、風通しのよい場所。扉が閉まるシューズボックスよりも、オープンなラックがいい。

購入時に入っていた箱に戻して収納するのはよろしくない。湿気がこもってしまい、劣化の原因になる。やめておこう。

内部に湿気が溜まってしまわないように、収納時はシューレースを上まで締めない。緩めにまとめておくほうが、乾燥が進む。

使ったままでクルマの中に置きっぱなしにするのもNG。とくに夏は高温多湿になり、素材の劣化やカビ、悪臭の原因になる。

教えてくれた人

モンベル広報部 葉狩奈穂子さん

自社ブランドに加え、イタリアの登山靴メーカー「アゾロ」の製品も取り扱うモンベルの広報担当。一般的な登山以外にも多様なアウトドアアクティビティをこなす。

出典

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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