BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

「阿曽原温泉小屋」北アルプスの山小屋完全ガイド

登山者にとって快適な山歩きを楽しむための心強い味方、山小屋。館内施設や食事、成り立ちや売店メニューなど、山小屋の膨大な情報を集約しているので、山行計画に役立つこと間違いなし!

憧れの北アルプス一の秘湯

白馬鑓温泉、高天原温泉、湯俣温泉などと並び、北アルプスのなかでもファンが多いのがこの阿曽原温泉。

断崖に穿たれ、一歩踏み外せば黒部川までまっさかさまという水平歩道をたどらないと行き着けず、いつかは行ってみたい山小屋のひとつに数えられている。

小屋が建てられたのは1949年。仙人谷ダム建設の際に建てられた作業員宿舎の跡地が土台になっており、現在でもコンクリートの基礎にその名残りがある。急斜面上の台地にあり、雪崩の巣となっている地形のため、冬は解体されてトンネルに収納される。

もっとも混み合うのは紅葉のシーズン。とくに上流の下ノ廊下が開通する10月以降は、多いときで150人ほどが泊まることもあるという。一方で夏はといえば、山小屋のなかでは標高は高くないので涼しくはない。だが温泉をひとりじめし、セミの鳴き声のなかでビールを飲みたいならば夏がおすすめだ。

温泉の源を探りたいときは、温泉の脇にあるトンネルに入ってみよう。でも、充満する熱気に耐えられず、すぐに飛び出してしまうかもしれないけれど。

どうしてここに温泉が?

黒部渓谷の断崖のど真ん中に湧き出る、阿曽原温泉。その起源は1939年に開通した、阿曽原谷から上流の仙人谷をつなぐ高熱隧道に由来する。

黒部第三発電所と仙人谷ダムを建設するために行なわれたこのトンネルの開通は、165℃にも達する岩盤の掘削を伴い、約300人の作業員が死亡する難工事となった。ダイナマイトが自然発火する高温のなか、水をかけあいながら掘削工事が行なわれ、さらに谷間の独特な地形から発生した大規模な雪崩も発生する過酷な条件。そんななかでの工事の様子は小説『高熱隧道』に詳しく描かれている。

そのときに湧き出た高熱の地下水がこの温泉に引かれたのだ。源泉は98℃という超高温で、単純硫黄泉。源泉のホースがのびてきている温泉脇にあるトンネルでは、その温度を体感できる。

いまは、けわしくはあるものの一般登山ルートを通ってたどりつける山小屋であるが、小説を読んで当時の状況に思いを馳せてみると、よりこの温泉を深く楽しめるだろう。

コンクリート打ちっぱなしの阿曽原温泉

小屋からは徒歩10分ほど下っていったところにあり、湯船がひとつあるだけで、それ以外の設備はまったくない野趣あふれる温泉。13時から20時の間は1時間ごとの男女交代制で、それ以外の時間帯は混浴となる。テント泊や日帰りの場合は700円。

上流に1時間ほど歩く仙人谷の高熱隧道の入口にある壊れた温度計。50℃程度まで上がった形跡がある。

源泉が湧いており、雨が降ると着替え場所にもなるトンネルの中は熱気が充満している。

雨天時には風呂に向かうための傘を貸してくれる。サンダルも貸してくれるが、スリップ注意。

温泉と人間との壮絶な戦いを知るには、吉村昭の小説『高熱隧道』をぜひご一読あれ。

館内施設

客室にもなる食堂

テレビが置いてあり、オーナーの登山道整備の様子をビデオで見られる。小屋の混雑時には食事後に布団が敷かれ、客室にもなる。

小屋を貫く廊下

食堂から奥の客室まで、小屋を貫く廊下。廊下のつきあたりにもうひとつのトイレあり。

水が豊富な水場

小屋の入口にある水場は、谷あいならではの豊富な水源からひかれている。もちろん、飲むこともできる。冷たくておいしい水だ。

乾燥室兼倉庫はトンネルに

冬は小屋自体が収納される乾燥室。宿泊者が多いときは、荷物をすべてここに置いて部屋へ。

食事

朝食

ごはん、味噌汁、卵焼き、納豆、のり、漬物といった朝食。夕食のカレーと同じく、ご飯はおかわり自由なので、元気をつけていこう。

夕食

取材時はちょうど繁忙期だったため、夕食はおいしいカレー。空いているときは山菜のてんぷらやおひたしなど、地元の食材が出る。

お土産・売店

おみやげには下ノ廊下の途中にある十字峡をあしらったワッペンがおすすめ。ちなみにビールはトロッコ列車をあしらった黒部渓谷のロゴ入りのアサヒスーパードライを販売している。

部屋

部屋は全4室で、混雑時には食堂も加えて5室になる。冬には撤去されるプレハブ小屋のため、部屋と部屋は板で仕切られただけの簡素なつくりだ。

洗面所・トイレ

水洗のトイレは、小屋の入口と廊下のつきあたりに2カ所。テント場にもトイレはあり、こちらはコンクリートづくりの豪雪にも耐えられる仕様。

テント場

温泉のほうに少し下ったところ。欅平方面への道はテント場から続くので、朝は少し騒々しくなる。

DATA
設営数:30張
利用料:800円/人
水場:あり
小屋からの時間:徒歩1分
地面:土
トイレ:あり

「阿曽原温泉小屋(あぞはらおんせんごや)」の基本情報

設備

テン場:あり
水場:あり
個室:なし
自炊室:なし
乾燥室:あり
お風呂:あり
生ビール:なし

営業期間

7月中旬〜10月末

電話・電波

ドコモ:通話不可
au:不安定
ソフトバンク:通話不可
公衆電話:あり

収容人数

50人

標高

860m

宿泊料金

1泊2食:10,000円
素泊まり:7,000円
お弁当:800円

連絡先

0765-62-1148
https://azohara.niikawa.com/

※2018年2月現在の情報です。営業時間や定休日などは変更となる場合がございますので、お出かけ前にご確認ください。

SHARE

PROFILE

PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

No more pages to load