「平乃小屋」北アルプスの山小屋完全ガイド
PEAKS 編集部
- 2018年03月23日
INDEX
登山者にとって快適な山歩きを楽しむための心強い味方、山小屋。館内施設や食事、成り立ちや売店メニューなど、山小屋の膨大な情報を集約しているので、山行計画に役立つこと間違いなし!
渡船を操るお父さんの小屋
黒部の奥地にありながら、平乃小屋は「山小屋」というくくりにしてしまうには少し違和感がある。イワナの職漁師の家系に育った佐伯覚憲さんは、もちろん渓流釣りの名人。その名人を慕ってくる釣り愛好者が多い宿だからかもしれない。建物に入ると、山小屋というよりも知り合いの家を訪れたような気がする。ログハウス調の居間には、本や釣竿、酒瓶が並べられており、ご主人の趣向が伺える。
平乃小屋には「渡船業務」というもうひとつの顔がある。ダムができる以前にあった「平の渡し」という橋が水没してしまって以降、奥黒部方面への登山道は途切れてしまった。そこで、電力会社からの補助のもと、登山者に無料で渡し舟を提供しているのだ。期間中、1日4〜5往復。一日も休まず、登山者の交通を確保し続けてくれている。
館内施設
食堂兼リビングスペース
小屋のメインルームは、薪ストーブのある吹き抜けの広い居間。窓際の望遠鏡は、対岸に渡船の利用者がいるかどうか確認するために使う。
熊の毛皮
食堂の壁。黒部伝説の猟師・遠山品右衛門の拠点がゆかりの小屋であることを感じさせる。
トイレ
水周りもきれいで使いやすい。宿泊者が少ないときはお風呂のサービスも。
食事
朝食
朝食は切り干し大根の煮物やレンコンの炒め物など、シンプルながら家庭の味。夜アルコールを摂りすぎてしまった身体にも優しい。
夕食
平乃小屋では、食事を満喫したい。地のものを知り尽くしているから出せる味。日によって名物のイワナやニジマスの刺身が出ることも。
お土産・売店
ここでしか手に入らない、イワナの燻製。100円/cmで切り売りしている。ほかに、手づくりのマグネットなど。
部屋
2階の東向きの客室は、黒部湖を望むことができ、ベランダがついて落ち着くにはベストな場所。客室はすべて2階にあるつくりになっている。
2階西側の客室は、大人数が入ることが想定された部屋。2段ベッド状になっており、一度に10人が泊まることができる。
布団はひんぱんに干されており、いつでもふかふかだ。
小屋を知るには
小屋主の本、あります
職業イワナ釣り師の家系の佐伯家3代と、現在の湖底にあったころからの小屋の変遷を追ったドキュメント。この本を読むと、平乃小屋を訪れたくなる。
「平乃小屋(たいらのこや)」の基本情報
設備
テン場:なし
水場:あり
個室:あり
自炊室:なし
乾燥室:なし
お風呂:あり
生ビール:なし
営業期間
6月下旬〜10月末
電話・電波
ドコモ:良好
au:通話困難な場合が多い
ソフトバンク:通話不可
公衆電話:なし
収容人数
60人
標高
1,500m
宿泊料金
1泊2食:¥9,500
素泊まり:¥6,500
お弁当:¥800
連絡先
090-2039-8051
※2018年2月現在の情報です。営業時間や定休日などは変更となる場合がございますので、お出かけ前にご確認ください。
- BRAND :
- PEAKS
- CREDIT :
- テキスト/渡辺幸雄 森山憲一 写真/宮田幸司 仁田慎吾 野口祐一 後藤武久 宮上晃一 渡辺幸雄 杉村 航 新井和也 井上大助 森山憲一 高橋庄太郎 岡野朋之 亀田正人 梶山 正 三宅 岳 内田 修 矢島慎一 加戸昭太郎 星野秀樹 西田省三 太田孝則 中村成勝 泥谷範幸 大森千歳 宇津木昌樹 山小屋提供
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PROFILE
PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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