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ザ・ノース・フェイス のレインウエア、フューチャーライトとゴアテックスモデルの使い分けとは

さまざまな種類が展開されているアウトドアウエア向けの防水透湿性素材。
そのなかでもとくに注目なのが、話題の新素材「フューチャーライト」と大定番の「ゴアテックス」。それぞれどんな山やスタイルに合うのか?

どちらの素材も採用し続ける理由

昨年、ザ・ノース・フェイスから発表され、大きな話題を集めた新素材が「フューチャーライト」だ。その特徴は、高い防水透湿性に加えて、通気性まで持ち併せていること。そのために蒸れにくさは圧倒的ともいえるほどだ。

しかもストレッチ性にも優れ、この素材を使ったウエアはどれもしなやかな着心地である。レインウエアに適した画期的な新素材として、フューチャーライトが一躍脚光を浴びたのも納得で、気が早い人は、これからの同社のレインウエアにはすべてフューチャーライトが使われていくと思ったかもしれない。

▶︎【フューチャーライト採用モデル】FLスーパーヘイズジャケット

だが、ザ・ノース・フェイスはこれまでどおりに防水透湿素材の代表格ともいうべき存在である「ゴアテックス」を用いたレインウエアも製作し続けている。

▶︎【ゴアテックス採用モデル】クライムライトジャケット

なぜか?

それは、これらは同じ防水素材でありながら、それぞれに持ち味が異なり、得意とする山行スタイルが違うためだ。だから、両者の個性の違いを理解して選び分ければ、登山がより快適になっていく。
では、フューチャーライトとゴアテックスがそれぞれどのような性質なのか、改めて確認したい。

話題の新素材「フューチャーライト」と
大定番の「ゴアテックス」の違い

フューチャーライトはナノレベルのポリウレタン繊維をミクロ単位で吹き重ねることで、その繊維の間に隙間を生みだしたフィルム(メンブレン)だ。その隙間は目には見えない微細なものだが、空気を通す大きさはある。しかもフィルムの厚みを変えることができ、ウエアの機能性も調整できる。

ゴアテックスのメンブレンも水蒸気を通すが、こちらは隙間というよりも微細な穴で、空気は通さない大きさとなっている。そしてメンブレンの厚みは均一だ。

フューチャーライト防水フィルムに張られた裏地はわずかに起毛させてあり、さらっとした肌触り。

実際に、このページで紹介している2着のウエアをチェックしてみると、おもしろい。

フューチャーライトを使用したFLスーパーヘイズジャケット」は、生地表面に口を当てて思いっきり息を吹き込むと、裏面に空気が吹き出していくのがわかる。いや、吹き出るというのは大げさで、わずかに染み出てくる感じだ。

それに対し、ゴアテックスを使った「クライムライトジャケット」は、いくら息を吹き込んでみても、裏面に一切空気が出てこない。完全にシャットアウトされた状態だ。

ゴアテックスの「マイクログリッドバッカー」テクノロジーを採用した裏地は、軽さのわりに耐摩耗性が非常に高い。肌に張り付きにくいのもポイントだ。

この差を考えると、フューチャーライトには防水透湿性という言葉以外に「防水通気性」という表現も使えそうである。そして本来の「防水透湿性」を突き詰めたのがゴアテックスということだ。

ちなみに、一般的に生地の柔らかさやストレッチ性は、おもにフィルムに貼り付けられた表地と裏地で違いが出る。だが微細な隙間をもつフューチャーライトのフィルムならば、より柔軟で高通気性のウエアに仕上げられる。

そんな長所をもつフューチャーライトが優位なのは、ファストパッキングやトレイルランニングのようにたくさんの汗をかくアクティビティ。つまり内側からの濡れに強く、高山よりも気温が高い低山や、ただでさえ蒸し暑い夏にも向いている。透湿性だけではしのぎ切れない不快なムレを、通気性という機能で軽減してくれるからだ。

ゴアテックスは通気性をもたない代わりに、防水性はフューチャーライト以上。体の冷えがトラブルの原因になる高山は、外側からの濡れに強いゴアテックスのほうが確実だ。メンブレンの強度も高く、たとえば濡れたままのバックパックを背負っても、ハーネスで強くこすれた場所から水が染み入ることもない。タフな状況でも安心感が高いのだ。

そんなことを参考に、自分の山行スタイルに合わせて、フューチャーライトとゴアテックスを選び分けたい。だがもっともよいのは、目的の山域や行動の仕方によって使い分けることだろう。

【フューチャーライト採用モデル】
FLスーパーヘイズジャケット

フューチャーライトを使用した製品のなかでも今期を代表するモデル。20Dという非常に薄い生地はストレッチ素材で、体の動きを妨げず、体の動きに追従する。表地、裏地ともにリサイクル素材が使われている

  • 価格:¥39,000
  • サイズ:S 〜 XL
  • カラー:TNFレモン×ブラック、他3色
  • 重量:365g(L)
大きく開く前身頃のポケット。内部にはメッシュ生地が使われ、開け放しておけばベンチレーターとしても機能する。
ロントに使われているファスナーは細身ながらも頑丈でしなやか。裏側にはフラップもあり、雨水の浸入をしっかりと防いでくれる

FLスーパーヘイズジャケット

 

【ゴアテックス採用モデル】
クライムライトジャケット

ゴアテックスを使用した同社の定番的レインウエア。素材は20Dと薄手だが、裏地にマイクログリッドバッカーを採用するなど、耐久性は充分に考えられている。生地は硬めでも行動中に腕上げがしやすい設計だ

  • 価格:¥30,000
  • サイズ:S 〜 XL
  • カラー:ケルプタン、他5色
  • 重量:270g(L)
ポケットを覆うようにフラップが取り付けられ、防水性を高めている。
ロントのファスナーは止水タイプ。ウエアの着心地を損なわない細さと硬さで、スライダーの滑りもいい

クライムライトジャケット

問:ゴールドウインカスタマーサービスセンター フリーダイヤル:0120-307-560 www.goldwin.co.jp/tnf

出典

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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