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おいしいものを山でも諦めない人たちの山ごはん品評会!

山を歩く以上、登山者から切っても切れないのが、山での食事。今回は「せっかく山に登るのだから、おいしいものを食べたい!!」と食への情熱を燃やす山好きが集い、レシピの品評会を実施!

山ごはんにこだわる4名が集合

山で食べるごはんは「お腹が満たされればいい」という人がいる一方で、「せっかく山に登るのだからおいしいものを食べたい」と、街と同様かそれ以上に情熱を燃やす人もいる。今回集まったのは職種や山の得意分野は違えど、その情熱を共有できる山好きの4名。

左からアウトドアズマン/大木ハカセさん、ヨシキ&P2/吉野時男さん、フリーエディター/池田 圭さん、コロンビアスポーツウェアジャパン/新井春菜さん。

普段から作っている山ごはんを披露するとともに、たがいの料理を試食し合う場を設けることになった。
今回各自が作ったのはテント泊の夕飯として1食分3品。軽量化に直結する乾物を積極的に用いたものや、逆に健脚を活かした〝重くて上等!〞なもの、斬新すぎる調理法を取り入れたものまで、十人十色のレシピが登場!

料理人の数だけ独自レシピがあり、なかには仰天の調理法を繰り出す人も……。たがいのアイデアがまた次の山ごはんに繋がるのだ!

読者のみなさんにとっても大いに今後の山ごはんの参考になること請け合いだ。
そして、この品評会を通じて全員が日常的に考えていることが見えてきた。それは「この食材は山でも使えるかも」という視点で普段からさまざまな食材や調味料を見ていること。それらをどう取り入れて組み合わせるかが「山ごはんのおもしろさ」だというのが全員の共通認識だった。

品評会のルール

テント泊の夕飯として、各自1食分3品を作る。調理時間は無制限、事前の下ごしらえも可とする。その後、自分以外の三者の山ごはん(計9品)を試食し、右記のふたつを各自選出する。

<No.1>

No.1 山ごはん

「おいしさ」「調理の手軽さ」「食材の選び方」など、山ごはんに求められるさまざま要素を踏まえて総合的に品評し、ナンバーワンの献立3品を選出。

<Good Idea!>

このアイデア使える!

自分の山ごはんに今後ぜひ取り入れてみたいお役立ちアイデアレシピを選出。

フリーエディター/池田 圭さん
「家で少し手間をかけて、現場では瞬殺おいしいレシピ」

総調理時間:約7分30秒/食材総重量:238g

【使用した道具】
乾燥食材をお湯で戻すだけという簡単な調理法から道具はシングルバーナーと小型フライパンのみ。
【食材】

具だくさん海鮮かた焼きそば

色どりよく、乾燥食材をぜいたくに使って
乾燥食材と調味料合わせて60g。軽くて超時短のレシピだ。

〈 材料 〉

  • かた焼きそば 1人前
  • お好みの乾燥野菜 大さじ2
  • 乾燥エビ(桜エビで代用可) 2尾
  • 乾燥ホタルイカ(スルメで代用可) 5個
  • 合わせ調味料
    (鶏ガラスープ小さじ1、オイスターソース小さじ½、料理酒大さじ2、片栗粉小さじ2、塩・黒こしょう各ひとつまみ。付属のスープでも代用可)
  • ラー油 お好みで
  • 水 250㎖

〈 作り方 〉

❶乾燥食材と水をフライパンに入れ、火にかける。
❷沸騰したら火から下ろし、合わせ調味料をすべて入れてかき混ぜる。具材を片側に寄せ、かた焼きそばを添えればできあがり。

酢黒豆

クエン酸効果で疲労回復
自宅で仕込んでくれば、豆の中まで味がしっかり染みる。

〈 材料 〉

  • お酢 大さじ2
  • 炒り黒豆 20g

〈 作り方 〉

❶お酢と炒り黒豆を容器に合わせ、1時間ほど置けばできあがり(※酢っぱいのが苦手な人はお酢と黒酢を各大さじ1に。黒豆を自分で炒って作るとさらに美味)。

あっさりとろろスープ

自家製合わせスープの素で作る
調味料と食べたい乾物を事前に合わせ、お湯を注ぐだけ。

〈 材料 〉

  • お好みの乾燥野菜 大さじ1ほど
    (今回はホウレンソウ小さじ1、乾燥アサリ小さじ1、とろろ昆布ひとつまみ)
  • 乾燥刻み揚げ ひとつまみ
  • 塩コショウ ひとつまみ
  • 鶏がらスープ 適量

〈 作り方 〉

★自宅で事前にすべての材料を合わせておく。
❶お湯200㎖を注いで、具材が戻ればできあがり。

池田さんの「山ごはんのこだわり」

乾物選びにこだわることで山の食事が豪華になり、出発前に手をかけることで現場の調理が簡単になる……が今回のテーマ。この3品は10分もあれば調理できるし、豪華で軽く、酒のツマミにもなります。美味しくてオススメの酢黒豆は食べ切ったら豆を足して翌日も楽しめ、お酢は飲んだり焼きそばにかけたりしてもいい。調味料は塩だけは多めに持ち、あとは軽量化のため使うぶんだけ小袋やボトルに合わせていきます。レシピは日程とルートで変わりますが、4泊5日程度の山行なら初日だけ生野菜や生肉を使い、あとは乾物を多用。普段からの「この食材は山で使えるかも」「山で食べたらうまいかも」という目線が大事だと思っています。

エビやホタルイカなどの乾燥食材は「富澤商店」にて購入。

三者の品評コメント

新井さん

池田さんのレシピは「こんな乾物もあるんだ!」という乾燥食材のバリエーションの多さが本当に参考になりました。かた焼きそばは乾物の旨味が凝縮されぜいたくな山ごはんだし、酢黒豆は歯ごたえと酸っぱさが新鮮! 登山で疲れた身体に染みそうです。スープは一部焼きそばと同じ乾物を用いていたのに、また違う味わいで美味しく、繊細な海の味をしっかり感じました。池田さん、本当に乾物マニアですね。

吉野さん

今回僕がもっとも参考になったのが池田さんの乾物使い。これまで取り入れたことがなかったですが、かた焼きそばはめちゃめちゃ出汁が出ていてびっくりしました。レシピは単純だけどいつまでも食べられそうなのが酢黒豆。かた焼きそばにお酢をかけて味に変化をつけるというのもアイデアですね。とろろスープはメインに添えるのにちょうどよい優しい味。ハードな山行で疲れていても、これならスッと食べられそうです。

大木さん

僕も乾物は山へ持って行きますが、用途の多くは出汁や隠し味。結局バックパックの中で細かく砕かれてしまうし、「山では乾燥してるものしか食えないのか」みたいに、どこか残念な気持ちになるからあえて表には出してこなかった。でもこういった豪華な乾物を食材のメインに据えて持って行くのは中華料理のシェフみたいでいいよね。普段から山ごはんのために使える乾物探しをするのも楽しそう。今回は乾物にやられたぜ!

コロンビアスポーツウェアジャパン 新井春菜さん
「レトルト頼みのズボラ飯~別腹スウィーツ添え~」

総調理時間:約30分/食材総重量:766g

【使用した道具】
オールインワンクッカーのジェットボイルを熱源とし、ナイフやまな板を組み合わせたセット。
【食材】

揚げバナナ

シェラカップでカリっと揚げて
少ない油でシェラカップを使い、揚げ焼きするのがポイント。

〈 材料 〉

  • バナナ 1本
  • 春巻きの皮 2枚
  • サラダ油 大さじ2
  • グラニュー糖 適宜
  • シナモンパウダー 適宜

〈 作り方 〉

★春巻きの皮はあらかじめ自宅で4等分にカットしておく。
❶バナナを3等分にカットし、それぞれを半分の厚さに切る。
❷春巻きの皮にバナナ、シナモンパウダー、グラニュー糖をのせて巻く。
❸シェラカップにサラダ油を入れて火にかける。
❹②で巻いたバナナを1 ~ 2本ずつ揚げ焼きにする。

桜エビのスープ

エビ出汁とスキムミルクの優しい味わい
隠し味はスキムミルク。桜エビの出汁にコクが出る。

〈 材料 〉

  • 乾燥桜エビ 大さじ1
  • 乾燥野菜 ひとつかみ
  • コンソメキューブ 1個
  • スキムミルク 大さじ½
  • 水 300㎖

〈 作り方 〉

❶300㎖の水に乾燥桜エビと乾燥野菜を入れて火にかける。
❷煮立ったらコンソメとスキムミルクを入れ、よく混ぜればできあがり。

担々麺

調理手早く、“追い山椒”で刺激的に!
流水麺はさっと水でほぐすだけで茹でずに簡単に食べられる。

〈 材料 〉

  • 流水麺 ½袋
  • 汁なし担々麺の素 1人前
  • 和豆ミックス ½袋
  • チキンささみ ½袋
  • 山椒 適宜
  • 水 50㎖

〈 作り方 〉

❶流水麺を少量の水でほぐし、具材をすべて載せる(今回はタンパク質の取れる具材をチョイス)。
❷坦々麺の素をかけ、お好みで山椒を振りかける。

新井さんの「山ごはんのこだわり」

食べるのが大好きな私にとって、山ごはんは確実に登山の目的のひとつ。今回は最近の私の定番の流水麺を使った高タンパクなレシピをメインにしました。担々麺のソースは丸美屋「汁なし担々麺」がオススメ。パウチ食材のミックスビーンズとチキンささみも含め、全然軽くないんですが、調理が手早く、暑い夏の登山で疲れた身体にもスッと入ります(刺激的な「追い山椒」もオススメ!)。その代わりスープは軽量化を図って乾物で。そしてお腹が満たされたところで、ゆっくりデザートを楽しむイメージですね。グラニュー糖とシナモンパウダーは多すぎるかな? と思うくらいかけても意外と大丈夫。山の揚げ物、身体に染みます!

シマダヤ「流水麺」。うどんのほか、そばや中華麺なども。

三者の品評コメント

池田さん

水でほぐすだけですぐ食べられる流水麺は夏に便利ですね。麺のゆで汁をどうするか……という問題もこれで解決します。桜エビのスープは山椒で刺激的な担々麺のあと、最後に食べたいほっこり味。料理には人柄がにじみ出ますよね(笑)。僕的にヒットだったのはデザートの揚げバナナ。山で揚げ物は……と思っていましたが、これくらい少ない油でしっかり揚げられるなら“あり”だな~! これには驚きでした。

吉野さん

今回僕は新井さんの3品をNo.1に選びました。担々麺のようにたくさん食べられる慣れた味というのは山ではうれしいものです。それに火を使わず混ぜるだけ、というのは空腹なときに手早く作れていいですね。スープはスキムミルクを入れることによってポタージュのような柔らかい風味になっていたことにビックリしました。山を登ってカロリーを使ったあとなので、甘い揚げバナナは身体がよろこびそうですね。

大木さん

新井さんの献立を見て、女子というのはこういうことかと改めて気づいた3品でした。なかでも桜エビのスープにスキムミルクを使うというのは僕にはない発想。ほっこりしましたね。あと担々麺をツルツル山で食べている女子って、なんかいい(笑)。そもそも流水麺を山に持って行くことを僕自身あまり考えないし、自分だったら潰れた麺を揉みしだいて五平餅とか作っちゃう。おじさんにはほほ笑ましいレシピでした!

ヨシキ&P2 吉野時男さん
「スタミナ韓国風定食」

総調理時間約23分/食材総重量:618g

【使用した道具】
分離型バーナー、大型フライパンにケトル。ガテン系オトコ料理を感じさせる調理道具一式。
【食材】

キュウリのスープ

お酒のツマミにもなるニクイ存在
下味を付けたキュウリにお湯を注ぐだけでスープが完成!

〈 材料 〉

  • キュウリ 1本
    (下味調味料)
  • ダシダ(韓国の粉末調味料) 大さじ2
  • 塩 小さじ1
  • ゴマ油 小さじ2
  • 黒コショウ 少々
  • 白ゴマ 小さじ2

〈 作り方 〉

★自宅で事前に小さめに乱切りにしたキュウリと下味調味料をジップロックに入れしっかり混ぜておく。
❶お湯を沸かし、キュウリをカップに数切れ入れてお湯を適量注げばできあがり(余ったキュウリはそのまま食べてお酒のつまみに!)。

キンパ風ごはん

塩ゴマ油風味の韓国のり巻き
アルファ化米は早めにお湯を注ぎ戻しておくと調理が速い。

〈 材料 〉

  • アルファ化米 1袋
  • 韓国のり 10枚ほど
  • ゴマ油 小さじ1
  • 白ゴマ 小さじ1
  • 塩 小さじ1

〈 作り方 〉

★自宅で事前にアルファ化米の袋の中に白ゴマと塩を入れて混ぜておく。
❶お湯を沸かし、アルファ化米の袋にお湯とゴマ油を入れてよく混ぜる。
❷20分経ってごはんができたら、韓国のりで適量を巻いてできあがり!

チーズタッカルビ

鶏肉と野菜を甘辛く炒めた韓国料理の定番
吉野さんお気に入りのチーズソースは業務用スーパーで購入。

〈 材料 〉

  • 市販の焼き鳥(塩) 2本
  • ミックス野菜 1袋
  • チーズソース 1袋
  • ゴマ油 適量
    (下味調味料)
  • しょうゆ 大さじ2
  • コチュジャン 大さじ3
  • ゴマ油 大さじ1
  • 砂糖 小さじ1

〈 作り方 〉

★自宅で事前に焼き鳥を串から外し、下味調味料といっしょにジップロックに入れてしっかりもみ込んでおく。

❶熱したフライパンにゴマ油を引き、ミックス野菜を炒める。
❷野菜に火がとおったら、下味を付けた焼き鳥をタレごとフライパンに入れる。
❸全体にタレを絡ませて熱々になったら火を止め、チーズソースをかければできあがり。

吉野さんの「山ごはんのこだわり」

学生時代の飲食アルバイト経験から、まかないを作るようにすでにあるものからなにかを作るほうが得意。調味料とスープの素だけは種類を多めに用意し、入山前に立ち寄るコンビニで食材を見て献立を考えることが多いですね。今回は市販のチーズソースが好きでメインをタッカルビにしてみました。肉は生ではなく、コンビニでも買える火のとおった焼き鳥をバラして合わせ調味料に漬け込んだもの。生だと火入れに時間がかかるし、これなら夏でも安心。それに具材の生野菜も、スープもアルファ化米も、最悪水でも食べられるので、万が一の際にも対応できるレシピでもあります。スープに使ったキュウリは、キンパで巻いたりツマミにしても!

タッカルビは火のとおった焼き鳥をばらしたものを使う。

三者の品評コメント

池田さん

濃厚なチーズソースの味は鶏肉にからめて山で食べたらさらに美味そう。ジャンクでいい! キンパ風ごはんはこんなに簡単なのにしっかりキンパ味なのがすごい。乾物やジャーキーなど、具材もアルファ化米といっしょに混ぜておくアレンジもできそうです。スープはもう間違いなくおいしいでしょう。暑い夏山で冷製スープにして食べたいひと品。この3品はビールやマッコリ(ボトルで)を飲みたくなるセットですね。

新井さん

これは使える! と思ったのがキュウリのスープ。簡単でみずみずしく本当においしかった。材料が手に入りやすいうえに、冷やしスープやオツマミなどアレンジが豊富なのもいいですね。タッカルビは見た目のインパクトと、チーズ×コチュジャンの組み合わせが最高! これは間違いなくビールが必要です。あとフリーズドライにアレンジができるなんて、キンパも目からウロコでした。みんなで山の上でパーティしてもいいかも。

大木さん

山に大きなフライパンを持って行く男の料理! 自分は道具を削る目線でレシピを考えるので、今回の男らしい潔さは自分と真逆でおもしろかった。取材のあとチーズソースをウェブで調べてみたんですが、チューブタイプとかあるんですね。山に取り入れると料理のバリエーションが広がりそう。あと野菜を漬物にして持って行くのも使えるアイデア。というか僕だったら途中で食べちゃってテント場までもたない(笑)

アウトドアズマン 大木ハカセさん
「洒落乙オトコ飯」

総調理時間:約25分/食材総重量:618g

【使用した道具】
焼きクレープとメニューにあるも、クッカーは内径10㎝以下のソロ用のみ。これいかに!?
【食材】

セミーニのビーフリゾット風

粒状パスタを極旨スープで煮込んで
ジャーキーやドライトマトなどの乾物からいい出汁が出る。

〈 材料 〉

  • セミーニ(米粒型パスタ) 100g
  • 乾燥具材(細かく切ったジャーキー、ドライトマト1個、フライドオニオン、ベーコンビッツ)お好みで
  • 乾燥バジル 適量
  • ペッパー 適量
  • オリーブオイル 小さじ1弱
  • 塩 適量

〈 作り方 〉

★テント場に着く前の最後の休憩で、ジップロックにセミーニとセミーニが浸るくらいの水を入れておく。
❶セミーニの倍の量の水と乾燥具材をクッカーに入れ、火にかける。
❷沸騰したらセミーニを水ごと加え、2分(少し水分を飛ばしたい場合は3 ~ 5分)煮る。
❸乾燥バジル、ペッパー、オリーブオイルを加え、塩で味を調えればできあがり。

スパムのステーキグレイビーソース

まるでハンバーグ!」と全員がざわついた
水で溶くソースもあ るが、鍋で作る方が おいしく香りも立つ。

〈 材料 〉

  • ランチョンミート ⅓缶
  • ケチャップ 小分け袋1つ(12g)
  • 中濃ソース 小分け袋1つ(10g)
    水で溶くソースもあるが、鍋で作る方がおいしく香りも立つ

〈 作り方 〉

❶ランチョンミートをひと口大にカットし、クッカーで焦げ目が付くまでよく焼く。
❷①をお皿に移し、クッカーにケチャップ、中濃ソースを入れて温めながら混ぜる。
❸ランチョンミートに②のソースをかければできあがり。

チョコバナナの焼きクレープ

エンゼルパイでは破裂するそうです
全員ど肝を抜かれた焼き方。弱火の遠火だが焦げ目も付く。

〈 材料 〉

  • バナナ ⅕本
  • 餃子の皮 4枚
  • プチチョコパイ 2個

〈 作り方 〉

❶バナナの皮を剥き、5㎜ほどの厚さにスライスする。
❷餃子の皮にバナナ5 ~ 6枚を並べてチョコパイを載せる。周囲に水をつけたもう1枚の皮で挟み、しっかりと閉じる。
❸カップなどで少し押さえながら、クッカー(またはフライパンなど)で焦げ目が付くまで両面しっかりと焼けばできあがり!

大木さんの「山ごはんのこだわり」

長い縦走では食べることへの執着を減らすけど、短い山旅なら行き先と同じくらいなにを食べるかを考えるのが楽しいですね。日々目にする食材から「これ山でなにに使えるだろう?」とつい想像してしまうんですが、たとえば今回のクレープも、具材を潰した甘納豆としゃぶしゃぶ用の薄いお餅にすれば和風になるし、餃子の皮は茹でるとモチモチになって使い方の幅も広がる。山は持ち物が限られるので、なるべく汎用性の高い食材を持っていきます。今回の粒状パスタ「セミーニ」もそう。スープに直接入れて煮るだけのお手軽食材。しっかりお腹にたまり、和洋中に味付けも幅広くて便利。あとはアレンジができるように調味料は多めに!

セミーニは水で戻しておくと調理が早い。輸入食材店で購入。

三者の品評コメント

池田さん

今回のハカセさんのレシピは、手順は簡単だけど食材選びと調理の工夫で楽しく美しくなる好例。山でのごはんってまさにそういうことだと思います。乾物から出汁がしっかり出たセミーニはインスタントにはない本格的な味わいでした。ステーキはよく焼いたカリカリの部分がおいしく、まるでハンバーグ! 白飯のお共にも最高で
すね。餃子の皮を使ったデザートは応用できそうな調理法。ほかの具材でも試してみたいと思います。

新井さん

まるでレストランのフルコースを食べているような組み合わせと味、そして調理法に驚かされました! もちもち食感がおいしかったのがセミーニ。少しトロみがついて食べやすく、疲れた身体によい! ステーキはソースをかけるだけでレストランの味に大変身。カリカリスパム最高です! そして焼きクレープは山で潰れたり溶けたり
したプチチョコパイを使うのがナイスアイデア。どれも斬新で簡単で驚きでした。

吉野さん

調理中のビジュアルから斬新だったのが焼きクレープ。こんな鍋の使い方があるなんて……、今度仲間の前でやってみたいですね! セミーニはあらかじめ水で戻すなど調理時間は短いのに、スープは出汁がしっかり出ていて、ごはんみたいに食べごたえがあってよかったです。スパムは焼くだけでもおいしいけれど、ソースをかけることでハンバーグを食べているような味と食感に。これはビールがほしくなりました!

Profile

コロンビアスポーツウェアジャパン/新井春菜さん

同社広報担当。ぽわっとしたキャラとは裏腹に、高校時代は山岳部に所属。現職への転職直前には米国のロングトレイル・JMTをソロで踏破した。山で食べるごはんと下山後のビールが大好物!

フリーエディター/池田 圭さん

サーフィン誌、登山誌などの編集部を経て、フリーランスの編集者に。以前から料理の腕前には定評があり、役立つ山ごはんのノウハウも数多く保持する。現在のブームは「使える乾物探し」。

ヨシキ&P2/吉野時男さん

千葉のアウトドアショップ「ヨシキ&P2」スタッフ。登山からクライミング、BCなど山はもとよりアウトドア全般が専門分野。学生時代の飲食アルバイト経験からアウトドア料理への造詣も深い。

アウトドアズマン/大木ハカセさん

バックパッカーとして世界を放浪したのち音楽プロモーター、冒険家マネージメント、野外イベント運営などを行なってきたアウトドアズマン。今夏、新宿歌舞伎町にBar「ROVERS」を出店。

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

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