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山岳救助の現場に聞く、私たちが普段から備えるべきこととは?

近年、どのような山岳事故が多いのか。また、私たちが普段から備えるべきこととは? 初心者から経験者まで多くの登山者が訪れる東京・奥多摩。このエリアを管轄する奥多摩消防署の山岳救助隊の方々に話を伺った。

山の事故に日々接する救助隊員が考えていること

登山計画の甘さが落とし穴。遭難しないための準備をしっかりと

遭難のニュースを目にしても、私たちはついどこかで「自分には起こらないもの」と思いがちだ。しかし、山岳遭難は意外にも近いところにある。

今回、お話を伺った奥多摩消防署では署員48名のうち15名が山岳救助隊員で、5名で1部隊、三交替制で任務にあたっている。普段は火災対応などの仕事を行ない、山岳事案が起こると救助隊として活動する。署の規模は決して大きくないが、管轄するエリアは都内でもっとも広い。

奥多摩消防署の入口には「山岳救助隊」の看板が掲げられている。装備を身につけた人形も。

「希望して救助隊員になる人がほとんどです」と語るのは総務係長の奥脇州一さん。奥脇さん自身も昨年の春まで救助隊の隊長を務めていた。山好きな人が多いため、非番の日にはクライミングやトレイルラン、沢登りなどを楽しみつつ、管轄内のエリアを警防調査している。そこには任務を越えた山への想いがある。山中では積極的に登山者に声をかけているという。

管轄内では、年間30~40件の遭難が発生する。基本的には時間の経過した行方不明者の捜索は警察、怪我人や傷病者がいる遭難は山岳救助隊が行うが、おたがいに連携しながら救助にあたっている。

近年、多いのは「道迷い」だ。樹林帯は町よりも早く暗くなる。日が傾き始めたころに通報があり現場に向かうと、場所を特定する前に暗くなってしまう。
「道に迷ったと気づいても、できるだけ自分たちでなんとかしようと思う人が多いんですね」

山岳救助隊が活動の際に使用するのは吉備人出版発行の登山詳細図。マイナーなルートも多数記されている。

暗くなると捜索に時間がかかる。初心者など自力で下山できるか判断が難しい場合は、早めに救助要請してほしいという。位置を突き止める手がかりとなるのは、遭難者が最後に通った道標の記憶だ。分岐ではしっかり道標を確認したり、写真を撮ったりするなどして道迷いを防ぎたい。

「〝ながら登山〞が危ないんです。おしゃべりしながら歩いたり、スマホを操作しながら歩いたりして分岐を見落とすことが道迷いにつながります」
高齢者の事例も多い。年に1~2回しか登山しない人が「以前は楽に登れたから」と山を訪れ、体力の低下によって遭難してしまう。

「ひさしぶりに歩くと自分の体力の衰えに気づきにくい。人の体は常に変化しているものだとぜひ意識してほしいと思います」
救助対象者のなかには低山だからと軽装の人や、バリエーションルートで道を間違えたという人も目立つ。重要なのは登山計画だ。

救助活動のようす。ひとり20㎏ほどの装備を背負って救助現場へと向かう。担架は持ち運びしやすい二分割式。(写真提供:奥多摩消防署)

「自分ならこれくらいで歩けるだろう」と時間を甘く見積もり、下山が遅くなって遭難するケースもある。ライトを持参せずに動けなくなる人もいる。
「道に迷って暗くなったら、動かずに救助要請してください。暗くなるとメインルートでも見分けにくくなります。不測の事態に備えライトや防寒着、できればツエルトも持参してください」

捜索ではGPSの位置情報が威力を発揮する。スマートフォンのバッテリーは温存し、予備のバッテリーも持ちたい。通報の際に緯度経度で自分の位置情報を伝え、ヘリの見える位置や音の方向を伝えることで、場所の特定が格段に早まる。

身につけるものはヘリからでも見つけやすいように明るい色を。また、単独行はリスクが高いので、初心者の場合はなるべく避けてほしいと奥脇さんは言う。
遭難対策のためにできることをまとめてみよう。

  • (1)自分の体力やスキルに見合った登山計画を立てる。
  • (2)地図やコンパス、防寒着やツエルト、水、食料、予備バッテリーなどを持つ。
  • (3)明るい服やバックパックを身につける。
  • (4)日ごろから自分の体力や歩行スピードを知っておく。
  • (5)GPS機能のある機器やアプリを用意。
  • (6)汗冷えしないウエアで低体温症を防ぐ。
  • (7)初心者はなるべく単独行を避ける。

そして大切なのは「山は自己責任」という意識を忘れないこと。
「町とは違って救助隊はすぐには現場に到着できません。遭難対策をしっかりと行なって、これからも山を楽しんでください」

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

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