BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

【月】お花つみに行こうよ!|タキザーさんちの親子登山《やまいく》

おもいきり子どもを自然のなかで遊ばせたい。 と子育てにいそしむタキザーさんが、せっせと親子で山に行くうちに、 子どもから教えられた新たな登山の楽しみ。 そんな経験や発見を通し、親子登山の魅力を伝えます。

お花つみに行こうよ!

がむしゃらなころの山登りで覚えている光景といえば、前を歩く先輩の小汚いザックか、ほこりっぽい自分の足下、もしくは、忌まわしいラッセルのトレースぐらいしか正直、記憶にありません。

ずいぶんといろいろな山へ四季おりおり、行っていたような気もするのですが、思い出すのは、どれもしょうもないことばかりです。

しかし、女房と出会って、いっしょに山登りをするようになってからの記憶は、鮮やかな光景として思い出すことができます。大雪山で見たチングルマの群落、利尻岳にひっそりと咲くリシリソウ、色とりどりの落ち葉に彩られた西吾妻のトレイル脇に顔を出すベニテングダケなどなど……。

そんな花の美しさや可憐さ、そして自然界の華やかな彩りに素直に感動する彼女の姿に、新たな山登りの楽しさを教えてもらったような気がします。そして、子どもができると、さらに、子どもから教えてもらえる発見もあり、自然を見る目は変わり、山登りの世界が広がっていきました。

「お花つみに行こうよ」 「お花つみ」といえば、山の隠語で女の子が外で用をたしにいくことを言うのですが、わが家では山に遊びに行くことを言います。とくにこの季節、野山はまさに花ざかりです。ここで言うお花とは、レンゲやタンポポ、ナノハナなどの野花です。そんな野花をつんで小さな花束をつくったり、お弁当箱にいろんな花をつめてままごとをしたりと、とくに女の子は夢中になり、山登りに行くのも楽しくなります。

あるとき、娘とふたりで山に遊びに行き、道脇に咲いている花を「これ、ママのおみやげにしよう」とつんだところ、子どもに「ダメだよ、お花はとっちゃいけないんだよ?」とたしなめられました。幼い彼女にとって、これまで目にした花のたいていは、観賞用に植えられた庭の花木や鉢植えです。

「そうだね、でも、このお花はつんでも大丈夫だよ」と言っても、なにが大丈夫で、どれがダメなのか、幼い子どもにはわかるわけがありません。それどころか、彼女の言うことのほうが、自然に対する接し方としては、一理あるとさえ言えます。たしかになにを根拠に自分が「大丈夫」だと言っているのか、考えさせられてしまいました。

子どもの好奇心は尽きることがありません。目にしたもの、触るもの、すべてが発見であり、驚きです。山を歩いていると「これはなに、あれはなに」とつぎつぎに聞いてきます。そして、その好奇心にきちんと応えてあげることが親の腕の見せどころです。かといって、そのギモンにすべて答えられるわけでもありません。 「うーん、あの花はなんだろう? ちょろり〜ん、と咲いているから、チョロリンソウかなぁ」。

別段、ごまかしているわけではありません。自分も知らない花などは、まずは、ふたりの間で、名前をつけてみます。すると、歩いていると「あっ、チョロリンソウだ、あっ、またあったよぉ」と、先ほど名前をつけたその花を見つけるたびに教えてくれます。山にたくさん生えている植物の中から特定の植物を同定し、識別できたことが、楽しくて、誇らしいのです。

そして、家に帰り、図鑑をふたりで眺めながら、「お父さん、これもあったよね、あっ、これも咲いていた」と、正しい名前と、どんな花なのかをいっしょに遊びながら、覚えていくのです。すると、次に山に行ったとき、子どもは、自分なりのルールと距離感をもって、花をちゃんと選ぶことができるわけで、お花つみも楽しくなります。

こんな遊びは、じつは山に行かなくても、玄関を出たらすぐにでもできます。知ることの楽しさ、見分けることの喜び、そんな子どもの自尊心を適度にくすぐりながら、自然と接する知識と力を、身に付けていく。それこそが本来的なエコロジー(生態学)であり、親子登山はそんな機会でもあるのです。

お花をつむときの注意点

登山道脇や野原などには、小さな花々がたくさん咲いています。楽しい経験をともなった記憶は、知識や思い出として長く残ります

大切に保護されている、その山にしかない貴重なスミレやランの仲間など、いくらきれいで、かわいいからといっても、絶対にとってはいけません。また、野花だからと、いたずらに花をつんでもいけません。あとから来る人のためにも、きれいなものはちゃんと残してあげましょう。

花をつむときは、小さなナイフが便利です。もちろん、子どもに刃物を持たせるのですから、使い方のレクチャーと注意が必要。刃物をちゃんと扱えることも経験です。

今回の子どもと行くおすすめ山ルート

丹沢・弘法山

富士山や丹沢山塊、そして相模湾が見わたせる絶好の見晴らし山。小田急線秦野駅から歩いて、のどかな里山風景のなか、浅間山、権現山、そして弘法山へと続く道は、危険な箇所もなく、春になるとお花見のハイカーで賑わう。めんようの里へと下れば、ヒツジがいる小さな牧場もあり、アイスクリームも食べることができて、子どもも大よろこび。そのまま足をのばして、東海大学前駅へも、吾妻山を経て鶴巻温泉駅へ下りることもできる。

広々とした芝地の権現山の頂上では、走り回って遊ぶのもよし、のんびりお弁当を広げてもよし

小田急線 秦野駅〜(20分)〜登山口〜(15分)〜浅間山〜(15分)〜権現山〜(20分)〜弘法山〜(50分)〜吾妻山〜(30分)〜小田急線 弦巻温泉駅 計2時間30分

*参考コースタイムは、子どもといっしょに歩くことを想定した目安の時間で、休憩時間などは含まれていません。

 

SHARE

PROFILE

滝沢守生

PEAKS / ヨンロクニ代表

滝沢守生

ウラヤマからヒマラヤまで、長年にわたり国内外で登山活動を展開。山岳専門出版社勤務を経て独立。現在はアウトドアや登山の雑誌・書籍の編集、野外イベントの企画制作を行う。 

滝沢守生の記事一覧

ウラヤマからヒマラヤまで、長年にわたり国内外で登山活動を展開。山岳専門出版社勤務を経て独立。現在はアウトドアや登山の雑誌・書籍の編集、野外イベントの企画制作を行う。 

滝沢守生の記事一覧

No more pages to load