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覚えておきたい現代登山の遭難対策と心得

登山をしていれば、だれもが怪我や遭難する可能性を否定できない。そうしたもしものときに備えて、あらゆる状況への対処方法を知っておくことが大切だ。ここでは古くから登山者たちが守ってきた山の常識とともに、スマートフォンなどの普及によって生まれた新しい登山の流儀をおさらいしておこう。

文◉村石太郎 Text by Taro Muraishi
イラスト◉永盛文生 Illustration by Fumio Nagamori
出典◉PEAKS 2019年9月号 No.118

実際の山行をイメージしてシミュレーションしてみよう。

遭難しないための心得編

1. 道迷いを防ぐには分岐点でつねに行先を確認

ふたり以上で行動していれば、いずれかが気がつくような過ちも、単独行では見逃しがちである。分岐点で進むべき方向を間違って、「なにかおかしいな」と思いながらも歩みを進め、判断が遅れてしまうものだ。道間違いを原因とした遭難を防ぐには、なにか変だと思ったら立ち止まって地図を確認するのが基本。

また、登山道が左右に枝分かれしているところでは、踏み跡に注目する。歩いていた登山道の踏み跡が細くなってしまったら、道間違いの可能性を考え、来た道を戻るように心掛けたい。個々の体力や技術力に見合ったルートを計画することで、こうした誤りをある程度防ぐこともできるだろう。

2. 登山道を見失ったら尾根へと向かうのが鉄則

道迷いをきっかけとした遭難事故は絶えることがない。低山域などでは獣道や作業道が複雑に交差しているので、北アルプスなどの標高が高いエリアと比べて注意が必要だ。万が一歩いてきた道が見つからないほど迷ってしまったら、周囲を見渡すことができる尾根筋へと向かうこと。

日本の山は、谷へ下りるほど深く切れ込み、崖や急流に出合うことが多いためだ。こうした地形に出くわすと身動きがとれなくなってしまうばかりか、携帯電話の電波も届きにくくなる。そのため救助要請も難しくなり、さらに救助時には捜索隊からも発見しづらくなってしまうのだ。

3. 現在地確認はGPSアプリが主流となってきた

わずか5 ~ 6年前まで、登山者のほとんどは紙の地図とコンパス、周囲の景色を頼りに現在地を確認していた。それまでにも小型のGPS端末は存在したが、決して安価ではないから、すべての人が備えている装備ではなかった。しかし現在は、だれもがGPS機能が搭載されたスマートフォンを持って登山に出掛け、地図アプリで簡単に現在地を知ることができるようになった。

なにしろ、小さな本体に携帯電話や登山地図、GPS、カメラ機能を備えるほか、登山届の提出までできてしまうのだから、軽量コンパクトな道具が求められる登山にはうってつけの道具である。こんなに便利なのだから、みなが頼りにするのも当然であるともいえるだろう。

電波が届かなくても現在地を知ることができる「ヤマップ」などをインストールし、これらを活用することで安全な登山に繋げたい。

4. 自分の体を理解して無理のない行動を心がける

登山での事故の原因は、経験や体力の不足から起こることがほとんどだ。登山技術は経験を積んでいくほかないけれど、まずは疲労を蓄積させない歩き方を取り入れよう。基本は、1時間程度歩いたら荷物を降ろして、10分程度の休憩時間を挟むこと。

休憩することで体力を回復させるはもちろんだが、思考をクリアに保つために重要なのだ。さらに、水分や糖分をこまめに補給して、膝が痛くなってしまうならサポートタイツやトレッキングポールを使うことも考えたい。下り道で膝が笑ってしまう人は、少し横向きになりながら歩くと軽減されるので試してみよう。

5. もしも暗くなるまでに目的地にたどり着けなかったら

想定していた計画よりも行動が遅れてしまい、目的地や登山口へと到着できなかった。そのような事態は避けなければならないが、もしも起こってしまったならば、まずは気持ちを落ち着かせること。周囲が暗くなってしまったら、ヘッドランプで照らしながら安全に到着することが可能かを考えよう。

夜道を歩くときは、焦らず、ゆっくりと確実に目的地に向かうこと。一方、地図などに記載されているルート時間から考えて、危険度が高いと判断したらビバークを検討する。下山を諦めようと決心したら、日が沈む前に平らで安全な場所を探し始めたい。

不測の事態に陥ったら編

6. 転倒や滑落をしてしまった。骨折か捻挫かの判断基準は?

岩場で足を滑らせて滑落してしまった。木に足をひっかけて足をひどく捻って転倒した。そのような状況で心配になるのが、骨折してしまったのか、それとも捻挫なのかということ。痛みが引いたら、まずは立ち上がって歩けるか確認してみよう。

正確な判断は病院での診断を受ける必要があるけれど、ゆっくりでも2 ~ 3歩を歩けるのならば、骨折の可能性は低いと考えられる。なお、足が腫れて靴を履けなくなる可能性が高いので、登山靴は絶対に脱がないこと。

7. 登山口まで向かうかそれともビバークするか

万が一、山中で怪我をしてしまったら、多くの登山経験を積んでいても、自力で下山するのか、安全な場所を見つけてビバークするか決めるのはとても難しい。ひとつめの判断基準は、足首などを骨折しているならば自力での下山は無理だということ。

捻挫程度でも、明るいうちに山小屋や登山口まで到着できないのであればビバークを決断するべきだ。怪我の程度にもよるのだが、地図などに記載されているルート時間に対して、怪我した足で歩くには4 ~ 5倍以上の時間が必要だと考えよう。

8. ビバークを決断したあと行なうべきこととは?

足を骨折してしまい、まったく身動きが取れない。そうした状況では、後述の通信端末や携帯の電波が届かなければ、すぐに救助要請をすることができず、その場でのビバークをするほかない。

まずは周囲が暗くなる前に、バックパックからエマージェンシーシートやツエルトなどを取り出して、そこでひと晩すごす準備を始めよう。足を骨折しているときはツエルトを設営するのは無理なので、そのまま包まって体が冷えるのを防ぐ。

9. 救助を待つ際の心構えと準備

ビバークを決断しても救助を要請できなければ、いつ助けに来てもらえるのか知る術もない。携帯電話は繋がらず、ほかの登山者が訪れそうにない状況下では、長期戦に備える用意を始めよう。まずは十分な食糧や飲み水があるか確認して、救助に時間が掛かることが予想されるならば昼食だけにするなど節約をする。

また、体力を温存するためになるべく睡眠をとること。天候が悪化することが予想されるならば、エマージェンシーシートやツエルトなどの口を閉じて、雨水などが浸入しないようにバックパックや石を
使う工夫も必要だ。

10. 救助要請に備えると役立つもの

携帯電話が繋がらないエリアでの救助要請サービスとして始まったのが、グローバルスターの「スポット」シリーズや、ガーミンの「インリーチ」シリーズといった通信機器だ。もともとは辺境地を旅する登山家や冒険家のために開発された救助要請端末で、事故や怪我、病気などにより自力で戻れなくなってしまったときの心強いサービスとして普及してきた。

両社とも日本国内サービスの展開もあり、基本料金などのプランも揃う。また、失踪者リスクの低減や生存率の向上に大きく貢献する「ココヘリ」も登場しており、山岳保険と併せて加入を検討したいサービスが年々広がりを見せている。

ガーミン/インリーチエクスプローラー プラス

¥54,800
サイズ:D38×W68×H164mm
重量:213g
問:ガーミンジャパン

もっとも通信範囲が広いイリジウム衛星を使い、救助要請者と捜索者との双方向通信が行なえる救援要請端末。衛星携帯電話に比べると利用料金も低く、ガーミンのGPS機能も搭載する。

ココヘリ会員証(発信機)

サイズ:D13×W39×H57mm
重量:20g
問:オーセンティックジャパン

サービス加入者に貸与される小型端末。会員証を兼ね、捜索端末との直接通信により、精度の高い位置情報を発信する。発見実績も多数上がっており、多くの登山者が愛用している。

グローバルスター/スポット GEN3

サイズ:D25.4×W65×H87.2mm
重量:114g
問:グローバルスタージャパン

携帯電話の通じないエリアからでも緊急救助の要請を行なうために作られた小型軽量端末。救助要請端末としてはもっとも利用者が多く、地球上のほとんどのエリアでの使用が可能だ。

 11. ヘリコプターなどで救助される際の注意点

救助のヘリコプターを呼んだら、早期に発見してもらえるように準備を始めよう。もし、多少でも体を動かせるのならば、なるべく見晴らしのいい場所へ移動しておきたい。発色のいいツエルトやレインウエアなどを広げたり、着用したりするとこで、上空からでも発見しやすくなる。

実際に救助されるときは、ヘリコプターが空中停止しているときに強烈な風が吹き下ろしてくるので、荷物が飛ばされないようにひとまとめにしておくこと。帽子などの飛ばされやすいものは収納して、ジャケットのフロントジッパーも閉めておく。サングラスも飛ばされてしまう可能性が高いので、あらかじめケースなどに収納しておこう。

村石太郎

登山用具について日本随一の知識を有するアウトドアライターであり、北アラスカの原野を旅する冒険旅行家としても知られている。被救助者経験あり。

出典

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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