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【月】子どもの身の安全は親が守る|タキザーさんちの親子登山《やまいく》

おもいきり子どもを自然のなかで遊ばせたい。 と子育てにいそしむタキザーさんが、せっせと親子で山に行くうちに、 子どもから教えられた新たな登山の楽しみ。 そんな経験や発見を通し、親子登山の魅力を伝えます。

文・写真◉滝沢守生 Text&Photo by Morio Takizawa
出典◉PEAKS 2012年8月号 No.33

子どもの身の安全は親が守る

今から3年ほど前、九州の高千穂連峰、韓国岳(1700m)で小学5年生の男の子が行方不明になり、2日後に遺体で発見されるという痛ましい遭難事故がありました。韓国岳は、登山口であるえびの高原から、2時間もかからずに登ることのできる比較的やさしい山で、休日ともなれば多くの行楽客や家族連れでにぎわいます。

秋晴れの土曜日、この男の子も、両親と妹、そして、おじいちゃんとともに、家族で頂上をめざし、テクテクと歩きはじめました。そして、200mほど登った2合目(1400m)あたりで男の子は「先に行くね」といって、ひとりで先行し、そのまま行方がわからなくなってしまったのです。家族が頂上に到着して、あたりをいくら探しても男の子の姿は見当たりません。

あわてて家族は下山し、警察に通報しました。翌日曜日、朝から雨や風、そして濃霧という厳しい気象条件のもと、消防団や陸上自衛隊など、1100人が捜索にあたりましたが、手がかりはなく、悪天候のため、捜索は夕方で打ち切られました。翌日も朝から1200人での捜索を開始、そして、ようやく、お昼過ぎに男の子は8合目(1650m)付近で、心肺停止の状態で見つかりました。

発見された場所は、頂上へと続く遊歩道からわずか3mほど外れたガケの下でした。亡くなった原因は低体温症で死亡推定時刻は、日曜日の未明から早朝であったといいます。登山道からわずか3mしか離れていないのに、家族とはぐれてしまったこの男の子が、どれだけ心細く、どれだけ怖かったことか……、それを思うと、本当に胸がしめつけられ、心が痛みます。息子さんを亡くされたご両親に対しても、ただただ、ご冥福をお祈りするばかりです。

しかし、このようなことは、いつ、だれの身に起きてもおかしくありません。元気でやんちゃざかりの男の子であれば、好奇心と冒険心をくすぐられ、ひとりで先に行ってしまうということなどよくあることです。だからこそ、子どもと山に行く親は、二度とこのような悲しい事故を起こすことのないように努めなくてはなりません。

自然のなかで遊ぶ際は、子どもから絶対に目を離さないのはもちろんのこと、わが家では、この事故以来、子どもたちには、必ず自分のザックは自分で背負おう、自分の荷物は自分で持つ、という常識を徹底させています。そして、ザックの中に入れるお菓子と飲み物、防寒具を自分で詰めさせます。どんなお菓子を持っていくか、どんな飲み物を持っていくか、あれこれと楽しく準備ができると同時に、なにが自分のザックに入っているかがわかります。

あまり考えたくはありませんが、もし、万が一、かのような状況になってしまったとき、ケガさえしていなければ、なんとかひと晩ぐらいであれば、持ちこたえることができるかもしれません。そんな過酷な状況で子どもがザックからお菓子と防寒具を出せるかどうかは、わかりません。ただ、もしそうなったら、このザックが一縷の望みとなるのです。

なので、子どもたちには、下山するまで、お菓子は全部食べてしまわないこと、そして飲み物も全部飲んでしまわないように教えています。親はつねに最悪の状況をイメージしておかなくてはなりません。何気ない登山道を歩いているときでも、もし山側から落石が落ちてきたら……、もし谷側のガケ下へと転げ落ちてしまったら……と、絶えず周囲の状況と子どもの様子に気を配りながら、最悪の状況を想像しながら歩くのですから、親子登山は本当に疲れます。

そうならないように未然にケガや事故を防ぐこと、最終的に子どもの安全は、絶対に親が守らなくてはならないのです。

ちゃんと歩いてくれればいいのですが、寝てしまうと、幼児ふたりで30kg以上。お父さんはそれを担いで登ることができないといけません。

親は子どもから目を離さない!

子どもは山に入ると、野生の血が騒ぐせいなのか、なぜだか、テンションがときどき上がることがあります。急に子犬のように駆け出したり、ガケを登りはじめたりと、思わぬ行動をするものです。なので、親は絶えず、子 どもの行動から目を離してはいけません。危ないところは、手をつなぐなどして、いっしょに歩きましょう。谷側がガケになっているときは親が谷川を歩いて、まさに身を挺して子どもを守りましょう。

今回の子どもと行くおすすめ山ルート

百名山のひとつにも数えられる大菩薩嶺は、手軽に本格的な登山を親子で楽しめる絶好のコース。途中にはいくつも休憩のできる山小屋があり、道も平坦で危険箇所も少ない。上日川峠までは、バスや車で入れるので、アプローチも容易だ。親子登山デビューをして間もない家族が、ちょっとステップアップするターゲットとして挑戦するもいいだろう。大菩薩峠からは展望が広がり、遠く南アルプスや富士山が一望できる。途中、岩場もあって 子どもたちはアスレチック気分で楽しめるに違いない。ただし、大菩薩峠から先の稜線上は遮るものがないので、風の強いときなどはバランスを崩さないよう注意が必要だ。

上日川峠駐車場(ロッジ長兵衛)〜 (35分) 〜 福ちゃん荘 〜(60分)〜 大菩薩峠 〜(60分)〜 大菩薩嶺 〜(55分)大菩薩峠 〜(60分)〜 上日川峠駐車場
*大菩薩嶺まで足を伸ばさなくても、体力や子どもの年齢に合わせて、大菩薩峠を目指すだけでも本格的な登山を満喫できる。

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PROFILE

滝沢守生

PEAKS / ヨンロクニ代表

滝沢守生

ウラヤマからヒマラヤまで、長年にわたり国内外で登山活動を展開。山岳専門出版社勤務を経て独立。現在はアウトドアや登山の雑誌・書籍の編集、野外イベントの企画制作を行う。 

滝沢守生の記事一覧

ウラヤマからヒマラヤまで、長年にわたり国内外で登山活動を展開。山岳専門出版社勤務を経て独立。現在はアウトドアや登山の雑誌・書籍の編集、野外イベントの企画制作を行う。 

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