BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

【月】登れなくってもいいじゃない|タキザーさんちの親子登山《やまいく》

おもいきり子どもを自然のなかで遊ばせたい。 と子育てにいそしむタキザーさんが、せっせと親子で山に行くうちに、 子どもから教えられた新たな登山の楽しみ。 そんな経験や発見を通し、親子登山の魅力を伝えます

文・写真◉滝沢守生 Text&Photo by Morio Takizawa
出典◉PEAKS 2012年9月号 No.34

登れなくってもいいじゃない

残念ながら、ついにこの日が来てしまいました。この親子登山の連載も、これが最後の回になってしまうかもしれません。これまで読んでいただいた読者のみなさま、本当にありがとうございました……。

というのも、先日長女に「明日のお休みは、お山に行こうよ」と誘うと、「お山は疲れるからイヤ!」と言われてしまいました。小学校三年生ともなると、学校の勉強やお稽古ごとなど日々忙しく、週末のお休みは、どうやら彼女にとっても貴重な時間であり、お友だちと遊びの約束やらなんだと、いろいろとプライベートな予定があるらしいのです。子どもといっしょに山に行けないとなると、もう親子登山とはいえません。

ただのさびしい中年おじさん登山の連載になってしまいます。「えーっ、そんなこと言わないで、いっしょに行こうよ」とねばりますが、しつこくすればするほど娘からは疎んじられます。もう典型的な「しつこいお父さん」です。ちょっと前までは、お菓子やアイスクリームをだしにすれば、いつでもついて来てくれたのですが、もうそれも効果がありません。

またいつの日か、大きくなって、OLにでもなり、独り身の時間とお金をもてあますようにでもなれば、きっと山に戻ってくるはずです。そんな立派な山ガールになってくれることを今はただ祈るばかりです。

お年頃の長女はそんなわけなので、ちょっとそっとしておいて、いまは3番目の長男に期待しています。いまから仕込んで、将来はザイルパートナーとして、かの三浦親子のように親子でエベレストでもめざしたいものです。

プロスキーヤーでもあり、80歳で3度目のエベレスト登頂に挑戦している三浦雄一郎さんの息子、豪太さんは11歳でアフリカの最高峰キリマンジャロに家族で登頂、その後スキー界で活躍した後、2003年に親子でエベレストに登頂しています。おじいさんの敬三さんが、日本スキー界の草分けでもあったことを考えると、親子三代にわたる究極の親子登山の形かもしれません。

それと反対に、先日エベレストで遭難してしまった登山家の尾崎隆さんは、1985年に当時1歳の息子を連れて家族でヒマラヤのアイランドピーク(6189m)に登頂しました。幼児をヒマラヤに連れて行くその是非については、賛否両論ありましたが、その後、尾崎さんの息子さんが13歳になったころ「もう山には登らない」と宣言されてしまったそうです。

いろんな人にきいてみたところ登山を始めたきっかけとして、影響があるのは、やはり親が登山をしていた、というのがいちばんのようです。子どものころは、つまらなかったけれども、大人になってみて登山のおもしろさにあらためて気づき、親の気持ちがよくわかったという話をよく聞きます。

登山の本当の魅力や楽しさというのは、子どものうちは、なかなかわからないもののようです。なので、お父さんはあまり子どもに無理強いをしないで、楽しい思い出だけが残るように、山で遊んであげてください。ときどき、子どもが登山道に座り込み、すっかりすねてしまい、ストライキを起こしている光景を見かけることがよくあります。

それを親がなんとかなだめすかし、叱咤激励をしているのですが、お尻を叩いて登らせても、登山の楽しさは子どもに伝わりません。最近、〇〇山登頂最年少記録などといって、子どもの意志に関わらず山に登らせる親がいるようですが、親のエゴを子どもに押し付けると、幼児虐待にもつながりかねません。

親子登山の秘訣は、子どもの意志を最大限尊重してあげること、別に頂上なんか無理にめざさなくてもいいのです。楽しく、いっしょに山で遊んでくれれば、お父さんはそれで充分です。

山は登るところではなく遊ぶところ

山登りというと、「頂上をめざしてナンボ」みたいな考え方がありますが、親子登山では、無理に登らなくてもかまいません。山で遊ぶという考え方が重要です。山は遊び場であり、子どもは遊びの天才です。そこらに落ちている小枝や小石でも、なんでもおもちゃにしてしまいます。そんな自由な発想にこちらが驚かされることもしばしばです。

今回の子どもと行くおすすめ山ルート

山形・蔵王連峰

ロープウェイを使っていっきに高いところまで行ける蔵王連峰は、夏休みに家族で遊びにいくにはとても楽しいコース。ロープウェイの終点の地蔵岳から熊野岳まで、子どもの足でおよそ2時間。標高差のあまりない登山道は、木道や石畳でしっかりと整備されているので安心だ。展望のいい広い稜線には、高山植物の花々なども見られる楽しいコース。風の強いときや視界の悪いときなどは、注意が必要だが、熊野岳の頂上には避難小屋もあるので休憩にも利用できる。下山後の温泉も楽しみのひとつだが、酸性が強いので、子どもと入るときは、お湯が目に入らないように。

地蔵岳へは木道が整備されていて、子どもでもとても歩きやすい。けれども滑りやすいので要注意

蔵王山麓駅〜(蔵王ロープウェイ約15分)〜蔵王地蔵山頂駅〜(20分)〜地蔵岳〜(1時間30分)〜熊野岳〜(1時間10分)〜蔵王地 蔵山頂駅
*熊野岳の周辺ではコマクサなどの貴重な高山植物も多いので、トレールを外れて歩かないよう注意しよう。

SHARE

PROFILE

滝沢守生

PEAKS / ヨンロクニ代表

滝沢守生

ウラヤマからヒマラヤまで、長年にわたり国内外で登山活動を展開。山岳専門出版社勤務を経て独立。現在はアウトドアや登山の雑誌・書籍の編集、野外イベントの企画制作を行う。 

滝沢守生の記事一覧

ウラヤマからヒマラヤまで、長年にわたり国内外で登山活動を展開。山岳専門出版社勤務を経て独立。現在はアウトドアや登山の雑誌・書籍の編集、野外イベントの企画制作を行う。 

滝沢守生の記事一覧

No more pages to load