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デナリの名物店主に聞く自分にとって最適な登山靴を選ぶためのキモとは?

多くの靴から自分好みを選んだところで、サイズが合っていなければ登山靴として機能しない、と平野さん。では、どのようにして選び、自分に最適の1足を見つければいいのだろうか。

文◉編集部 Text by PEAKS
写真◉タカヒロ Photo by Takahiro
出典◉PEAKS 2019年6月号 No.115

東京四谷・デナリの名物店主に聞きました。

靴選びのポイントを語ってくれた店主の平野応典さん。自身は垂直志向の山登りが多いが、テント泊縦走などへの靴選びも応えてくれる。

靴選びのキモは、シビアな状況に合わせるか
一番長い行程で楽な状態に合わせるか。

靴を活かすも殺すもすべてサイズ次第

靴選びは難しい。そんな声をよく耳にする。そこで、山のガイドが信頼を寄せるショップ、「デナリ」店主の平野さんに、自分の足にあった最適な靴の選び方を聞いた。

「反対に聞くけど、痛くない靴が欲しいの? それとも登れる靴がほしいの?」
開口一番そう聞き返す平野さん。
「山に登るための靴を選ぶのであれば、どういう山でどういう登り方をするのか。そこを決めないと〝最適〞なものは選べません」

まずは自分の山行に合う性格の靴を選び、そのスペックだけでなくそれを活かすサイズを選ぶことが重要だと語るが、そこがいちばん大きな悩みのポイント。

「靴のサイズ選びは、うちでは縦寸(長さ)が基準。ハイキングなど比較的穏やかな登山をベースにするなら足の実寸プラス1㎝余裕をみます。難易度の高いバリエーションルートなどに合わせるなら、それよりももうワンサイズ小さいものを勧めることもありますよ」

楽なサイズ(右)と攻めたサイズ(左)のインソールに足を乗せた状態。つま先部分の余りに注目。クライミングゾーンに合わせるなら左のサイズが向いている。右は多用途向け。

サイズを選ぶ際は足の実測値を測ったりもするが、インソールの上に足を乗せてつま先の余りとアウトソールを確認するのも有効だそう。併せて、カカトの浮きや圧迫感にも注意して選ぶという。

「適正サイズのひとつ下をじわじわ作っていくのが理想。それでハーフサイズ上までは育ちますから。だけどその間に足が痛くなったり、そもそもそこまで攻める靴を求めてなかったりもしますから、一概には言えませんね。それで悩むお客さんは多いです」

実際に10㎏ほどの荷物を背負わせてもらい、適正サイズとワンサイズ小さいものを履き比べてみた。
そこまで求めた靴を選ぶ人は多くはないだろうが、悩んでしまう人がいるというのにも頷ける。

「あくまで最後はお客さんのチョイス。用途に応じて選べば、どちらも正解なんです。あと、よく『甲高だから……』とか言われるんですが、みなさんそんなに大きく違いはありませんから」

甲の圧迫に関しては紐の結び方で調整は可能だそうだ。
「そもそもみなさん甲を締めすぎです。甲は圧迫感がない程度に逃がして、足首をグッと締める。タンを締めていくときもフックに力をかけるのではなく、タンの上でクロスした紐をキッチリ押さえて結んでいけば、しっかり足首はホールドされて甲は普段の靴と同じような締め具合で履けます」

そのように結んでもらうと、確かに靴のフィット感が増した。
それでも選んだ靴が足に当たって痛い場合は〝当たり出し〞という調整も行なってくれるという。

ピンチクリアと呼ばれる鉄球と鉄の輪で親指の付け根あたりを伸ばした靴と、縦横にサイズを伸ばす機械も見せてくれた。これで当たっている部分の補正もできるという。

縦寸で選んだ靴でサイドの当たりが気になるようであれば補正も可能。

「昔の登山靴は靴に足を合わせるものでした。でもそれは選択肢が少なかったから。いまは多くのなかから選べるので、足に靴を合わせるよう選べます。だけど完全にカカトが浮かない靴はないし、当たりがない靴は機能しない。大きな当たりは補正して、どこまで用途に合わせたサイズまで絞り込みたいか、そこがキモですね。靴は育てていくものですから」

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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