【火】〜密林楽天男〜｜ユーコンカワイの山岳妖怪図鑑

あなたは登山中に不思議な人に出会ったり、説明のつかない怪奇現象に遭遇したことがないだろうか？ それらはすべて“山岳妖怪”たちの仕業である。 謎だらけな彼らの生態、そして不意に出くわしてしまった際の対処法を、令和の陰陽師ことユーコンカワイが解説していく。

密林楽天男

気になった山道具を調べようとネットを開く。しかしあなたは「あれもいい……、これも気になる……」と脱線を繰り返し、気づいたときには深い「物欲ダンジョン」へと迷い込んでいく。

新作ジャケットが「ゆうしゃの鎧」のように輝いて見えたり、薬草があれば十分なくせに「賢者の石」を無駄にほしがってしまったり。だが人間には「理性」があるので、「いやいや、落ち着け。いまの俺には必要ないはずだ」と自制心が働く。

しかし、そんなときに限って突然現れるのが「妖怪密林楽天男」だ。そいつは「どうせいつか買うんでしょ？ね？」と囁き始める。すると自分の意志に反してカーソルが勝手に購入ボタンへと近づくのだ。

そこで「やめろおおーッ！俺には妻子がいるんだ！貯金が必要なんだあッ！」と抵抗しても無駄だ。密林楽天小僧は「いまならポイント10倍。ね？」「プライム会員なら明日には手元に。ね？」とねちっこく迫り、さらに「この商品を買った人は他にこんな商品も買ってるよ。ね？」と欲望の炎に油を注ぐ。

やがてあなたは朦朧とした意識のなかで「ポチリ、ポチリ……」という恐ろしい音を聞くことになるのだ。そして「ハッ」と目が覚めたとき、あなたの手元には身に覚えのない荷物が大量に届いている。散財遭難は、ある意味山よりも危険なのである。

一般的対処法

欲を持って欲を制す。ヤバイと思ったらすかさずエッチなサイトに切り替え、別の欲で心を満たしてしまおう。ただしそっちの世界にも「課金坊主」という恐ろしい妖怪が存在する。下手するとパソコンもフリーズするから気をつけろ。

ツウな対処法

物欲に負けそうなときは、いったん画面を閉じて滝に打たれろ。そして洞窟にこもり、3日間断食をして100万回のお経を唱えよ。それでもその商品が頭から離れなかったなら、きっとそれは必要なアイテムだ。堂々とポチるがいい。