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日帰りか小屋泊で冬山を楽しめるルートガイド12選

首都圏から日帰りないし小屋泊まり1泊2日で登れる、入門~中級者向けの代表的な冬山ルートをセレクトした。
推奨装備品類を参考にトライして、冬山力レベルアップを目指してみてはどうだろうか。

文・写真◉編集室アルム(野村 仁) Text & Photo by ALM OFFICE
出典◉PEAKS 2019年12月号 No.121 

レベルに見合ったルートを日帰りから山小屋泊で紹介!

 

富士山と太平洋を広く望む展望台。

塔ノ岳(丹沢)

  • 日帰り
  • 総距離:13km
  • コースタイム:6時間40分
  • <推奨装備品類>トレッキングポール、チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

ルートは長く標高差も大きい。できるだけ早い時刻に登り始める計画にしよう。大倉バス停から大倉尾根を登る。中間点の駒止茶屋か堀山の家あたりまでは雪がないかもしれない。

塔ノ岳頂上から見た蛭ヶ岳(左)と不動ノ峰(右)。

標高が上がるにつれ、霧氷に彩られた樹木が多くなり、地面にも薄く雪が積もりはじめる。花立山荘から少し登った花立ピークは展望がよく、雪で装った鍋割山稜や表尾根方面の山々が望まれる。

馬ノ背付近は雪をつけた樹木が美しい(写真は下り方向)。

これから塔ノ岳までブナの古木なども現れ、雪山の風景がもっともきれいなところだ。塔ノ岳の頂上からは、真っ白な富士山をはじめ、相模湾から箱根、伊豆に房総方面まで広く見渡せる。

金冷シの先で崩壊地に桟道が渡された場所を通る。足元のスリップに注意しよう。

この大きな展望が塔ノ岳の一番の魅力だ。ランチタイムをすごしたら大倉尾根を引き返す。時間に余裕があれば鍋割山を回って下るのもいい。

アクセス

小田急線渋沢駅からバス15分で大倉へ(往復とも)。クルマの場合、東名道秦野中井ICより約10㎞、およそ15分で大倉へ。県立秦野戸川公園に数カ所の駐車場(有料)がある。

アドバイス

凍結した地面や木の階段でのスリップに注意。ルートが長いので、遅くとも14時には下山を開始したい。低気圧通過後を狙って入山すると、雪の多い冬山登山を満喫できる。

北面の谷から登る変化のあるルート。

川苔山(奥多摩)

  • 日帰り
  • 総距離:13km
  • コースタイム:6時間20分
  • <推奨装備品類>トレッキングポール、チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

奥多摩の名山・川かわ苔のり山やまへ、雪の多い北面から登って明るい南面へと縦断するルート。川乗橋バス停から川乗林道を歩き、細倉橋からは谷沿いの山道に入る。1時間ほどで着く百尋ノ滝は、運が良ければ全面凍結した絶景が見られる。

川苔山稜線、頂上の50m ほど手前の景色。

ここから急な岩混じりの山道を登るが、谷側が切れ落ちた崖になっているので、滑落には十分注意する必要がある。この危険箇所を通過すると、川苔谷の支流である火打石谷から横ヶ谷へと複雑なルートをたどっていく。

百尋ノ滝の手前から危険箇所が始まり「通行注意」の表示がある。油断せず進もう。

稜線へ登りつめれば「東ノ肩」と呼ばれる付近で、右折して約15分で川苔山に着く。下りは東ノ肩まで戻り、右折して鳩ノ巣方面へ向かう。

雪景色の川苔谷。右上に見える谷沿いの道を歩く。

分岐が多いので、地図でよく確認しながら下ろう。大根ノ山ノ神まで来れば、30分ほどで鳩ノ巣の集落に出る。

アクセス

JR青梅線奥多摩駅から川乗橋へはバスで13分。鳩ノ巣駅の無料駐車場に駐車し、電車・バスで川乗橋へ向かうことも可能。※11月現在、日原街道崩落のため上記バスは運休中。

アドバイス

細倉橋から先の谷道は雪がつくと滑りやすく危険。百尋ノ滝前後の区間も滑落事故が多発しており、慎重に通過してほしい。全体的にルートが複雑なので地図読みはしっかりと。

 

小屋泊まりで楽しむ2 , 0 0 0 m 級の冬山。

大菩薩嶺

  • 山小屋泊
  • 総距離:15.5km
  • コースタイム:7時間50分
  • <推奨装備品類>トレッキングポール、チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

大菩薩峠登山口バス停(裂石)から右に分岐する林道を行くと、丸川峠分岐に車両通行止めのゲートがある。次のカーブから右の山道に入り大菩薩峠道を登っていく。

展望がすばらしい雷岩だが、強風と寒さのため長居するのは困難だ。

上日川峠には数軒の山小屋があるが、冬は休業中の小屋が多い。勝縁荘の左から再び山道に入ると、針葉樹の森から明るい笹原に変わり、介山荘のある大菩薩峠に着く。

針葉樹林帯のなかにある大菩薩嶺頂上。樹林帯に囲まれるため展望はない。

少し北上すると富士山が美しく望まれ、南アルプスは甲斐駒ヶ岳から聖岳、上河内岳までの大パノラマだ。すばらしい展望は雷岩まで続く。直進して針葉樹林の森に入ると、大菩薩嶺の山頂に着く。

丸山峠へ下る凍結したトレース。スリップ防止のためチェーンスパイクを使いたい。

北面の丸川峠への道は急に雪が多くなる。急斜面のトラバースや、細い尾根の下降など、これまでの大菩薩峠道よりも険しくなるので気をつけよう。沢に下り着くと林道に出て、丸川峠分岐に戻る。

アドバイス

積雪は少ないが、気温は低く凍結している。とくに大菩薩嶺~丸川峠間でチェーンスパイクの必要度が高い。ウエアの寒さ対策も万全に。日帰りするにはクルマ利用で早朝から歩き始めないと難しい。

アクセス

JR中央本線塩山駅からバス27分で大菩薩峠登山口へ(往復とも)。クルマの場合、中央道勝沼ICより約17㎞、およそ20分で裂石(大菩薩峠登山口)へ。丸川峠分岐に無料駐車場がある。

アクセスが便利な冬山入門ルート。

赤城山

  • 日帰り
  • 総距離:5.5km
  • コースタイム:4時間30分
  • <推奨装備品類>トレッキングポール、チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

あかぎ広場前バス停から凍結した車道を歩き黒檜山登山口へ。ここでチェーンスパイクを装着しよう。30分ほど急登した猫岩で展望が開け、大沼と周囲の山々が見渡せる。

猫岩から見下ろした大沼、赤城神社と地蔵岳。

さらに樹林帯の急登を続け、1時間強で稜線へ登りつめる。左へ行くとすぐ黒檜山頂上。さらに5分ほど進んだ展望台からは、尾瀬、日光、谷川連峰、信越方面の広い展望が見られ壮観だ。

黒檜山から展望台へ向かうルート。稜線一帯は霧氷をつけた樹木が美しい。

引き返して黒檜山と南峰をすぎ、ひとしきり急な下りをこなして鞍部の大ダルミへ下る。登り返した駒ヶ岳からは関東平野が広く望まれ、富士山、筑波山も見える。雪庇の出た稜線を慎重に南下し、道標のある下降点から右折して尾根を外れる。

駒ヶ岳南方の下降点付近からふり返った黒檜山。ここから下りとなるが、気を抜かないよう注意しよう。

階段の多いルートを45分ほど下ってバス道に出る。赤城山ビジターセンターへ行くと、強風を避けてバスを待つことができる。

アドバイス

黒檜山からの下りと、駒ヶ岳下降点からの下りは、クランポンの爪を引っかけての転倒に注意。富士見温泉に駐車してバスで入山すると、スタッドレスタイヤなどクルマの雪上装備が不要になって便利だ。

アクセス

行きはJR前橋駅からバスを富士見温泉で乗り換えあかぎ広場前(70分)。帰りは赤城山ビジターセンターから乗車。クルマでは関越道前橋ICからあかぎ広場前まで約32㎞、およそ90分。雪上走行あり。

ロープウェイ利用で2 , 5 0 0 m 級の冬山へ。

日光白根山

  • 日帰り
  • 総距離:6.5km
  • コースタイム:6時間10分
  • <推奨装備品類>トレッキングポール、アイスアックス、12本爪クランポン

関東最高峰の日光白根山は、丸山高原スキー場のロープウェイを利用すれば標高差600m弱になって日帰りが可能だ。ロープウェイ山頂駅から外に出ると、大ナギを落とした日光白根山が高くそびえている。

スキー場トップから見える日光白根山。左から北峰、中央峰、南峰、中央に大ナギが落ちる。

左手に進んで鳥居をくぐり、シラビソの森に入る。トレースが踏まれていれば七色平まで1時間ほどで行ける(トレースがなければ登頂できない可能性が高い)。

七色平への樹林帯を行く。雪を纏ったシラビソが風を遮ってくれる。

ここから山腹の明確なトラバースに移り、斜め上に登って高度を上げていく。新雪が多いときは雪崩の警戒も必要だ。森林限界からは上部に見える浅い雪のルンゼを目指し、ルンゼに入ったら右端に寄ったラインを登る。

森林限界上部の雪のルンゼを登る。まっすぐに登れば白根権現の祠に出る。すぐ目の前がピークだ。

登りつめると白根権現の祠に出る。目の前の凹地を下って登り返せば頂上だ。360 度の広大な展望を時間の許すかぎり楽しもう。下山は往路を引き返す。

アドバイス

トレースがないと日帰りでは登頂できない場合がある。またスノーシューなどの用具がないとラッセルは困難だ。森林限界より上部では、基本的なアックス・クランポン技術を使って登下降する。

アクセス

JR 沼田駅からバス1時間半、JR上毛高原駅からバス2時間でロープウェイ山麓駅。ロープウェイ15分で山頂駅(往復とも)。クルマの場合、関越道沼田ICより約40㎞、およそ70分でスキー場。

アイスアックスで登る初級冬山、強風に注意。

茶臼岳(那須連峰)

  • 日帰り
  • 総距離:8km
  • コースタイム:4時間30分
  • <推奨装備品類>トレッキングポール、アイスアックス、12本爪クランポン

大丸温泉バス停から30分強登れば峠ノ茶屋の広場に着く。広場の奥に登山指導所(無人)の建物と鳥居があり、小さな沢の対岸の尾根に取り付いて登る。すぐに森林限界に出て展望が開ける。

大丸温泉駐車場から見上げた茶臼岳。左上に「天狗の鼻」の岩峰が見える。

右に朝日岳がそびえ、左は茶臼岳の大きな山腹である。無雪期の道形を追っていくと避難小屋の建つ峰ノ茶屋跡に導かれ、ここでアックス・クランポンを準備して冬山の完全装備にする。

茶臼岳最高点の頂上。晴れれば360 度の展望が待っている。

茶臼岳へは岩場やガレと氷雪を踏む登りで、八ヶ岳などの本格的冬山と変わらない。しかしルートは短く、傾斜が緩いので恐怖感は少ない。30 ~ 40分登って旧火口の一端に出たら、左へ稜線をたどって鳥居の立つ最高点に着く。

旧火口の縁を時計回りに歩いて峰ノ茶屋へ。強風で雪が飛ばされている箇所が多く、岩が露出している。クランポンの扱いに注意。

360度の展望を楽しんだら、旧火口を時計回りに一周し、登ってきたルートに合流して左へ下る。峰ノ茶屋跡からは往路を下山する。

アドバイス

強風のために氷雪が硬くクラストしていて、ポールやチェーンスパイクでは危険。アックス・クランポンを正しく使って歩くようにしたい。強い冬型のときは、体が倒されるほどの強風で歩けないことも。

アクセス

JR那須塩原駅から大丸温泉バス停へバスで1時間75分(往復とも)。クルマの場合、東北道那須ICより約18㎞、およそ30分で大丸温泉駐車場(無料)へ到着する。途中から雪道の走行あり。
※2020年のロープウェイの営業は12/13(日)まで

五竜・鹿島槍ヶ岳の豪快な展望。

大遠見山(北アルプス)

  • 日帰り
  • 総距離:7.5km
  • コースタイム:6時間10分
  • <推奨装備品類>トレッキングポール、アイスアックス、12本爪クランポン

五竜岳への冬山ルートは中級以上だが、遠見尾根だけなら比較的簡単に登れる。スキー場のゴンドラとリフトで最上部へ上がる。左に回り込んで地蔵ノ頭をエスケープし、バックカントリーの入山口から入山する。

中遠見山から見下ろした小遠見山とテント場になっている鞍部。

最初から急登となり、稜線上に出てルートは右に曲がる。支尾根が右から合流する一ノ背髪、二ノ背髪をすぎ、尾根が緩やかになると五竜岳と遠見尾根上部が見えてくる。小遠見山へ登ると鹿島槍ヶ岳が圧倒的な姿でそびえる。

中遠見山西側の鞍部から膝上の雪をラッセルするグループ。雪は深いのでスノーシューも携行したい。

ルートは90度右折して鞍部に下り、中遠見山へ登り返す。手前の稜線は細いところがあるので、転倒しないよう慎重に。中遠見山からは広々とした雪の散歩道が大遠見山、西遠見ノ池へと続いている。

小遠見山へ登る雪の豊富な雪稜ルート。長野県北部の山々を一望する展望だ。

ゴンドラの最終時刻を考えて引き返す地点を決めよう。通常は大遠見山付近で戻るのが適当だろう。

アドバイス

降雪後でトレースが薄い場合、ラッセルになると2~ 5倍の時間がかかり、それだけ日帰りできる距離も短くなる。スキー場内を徒歩で下ることは禁止されているので、ゴンドラ最終時刻に遅れないように。

アドバイス

JR神城駅から徒歩30分で白馬五竜スキー場、ゴンドラ8分でアルプス平(往復とも)。登りのみリフトで地蔵ノ頭直下へ上がれる。クルマの場合、長野道安曇野ICまたは上信越道長野ICから約1時間。

豪雪の山で、本格的冬山登山の第一歩。

谷川岳

  • 日帰り
  • 総距離:6.5km
  • コースタイム:6時間10分
  • <推奨装備品類>トレッキングポール、アイスアックス、12本爪クランポン

豪雪で有名な谷川連峰で、条件がよければ初級者にも登れるのが天神尾根ルートだ。ロープウェイ天神平駅を出て、スキー場の右端を急登して田尻沢ノ頭付近に出る。

オキの耳から見たトマの耳。マチガ沢側に大きな雪庇が張り出している。

北上してアップダウンをくり返すこと数回で熊穴沢避難小屋に着く。小屋は雪の下に埋まり、目印の赤い鉄柱だけが立っている。ここから尾根は急登し、すぐに森林限界を越えて一木一草もない純白の別世界となる。

森林限界付近から上部。上方に「天狗の腰掛岩」が、右に西黒尾根のザンゲ岩が見える。

40 ~ 50分登ると唯一の目印となる露岩があり、「天狗の休み場」「天狗の腰掛岩」などと呼ばれている。さらに1時間ほどがんばれば肩ノ広場に着く。そのまま北方向に10 分ほどでトマの耳頂上だ。

肩の小屋周辺でお昼休憩する人たち。小屋内は避難スペース(約10人)が開放されている。

頂上は狭いため、肩ノ小屋周辺で休憩する人が多い。約20分のオキの耳まで足を延ばせばトマの耳の美しい姿が望める。標高もオキの耳のほうが高い。

アドバイス

2月前半までは冬型の悪天候が続きチャンスは少ないが、2月後半から晴天の日が多くなってくる。ルート全般で基本的なアックス・クランポン技術が必要。頂上稜線の東側に発達する雪庇は要注意だ。

アクセス

JR水上駅からバス23分で谷川岳ロープウェイ土合口駅、ロープウェイ15分で天神平駅(往復とも)。クルマの場合、関越道水上ICから約14㎞、およそ25分で谷川岳ロープウェイ。駐車場(有料)あり。

展望がすばらしい北アルプスの初級冬山。

唐松岳(北アルプス)

  • 日帰り、または山小屋泊
  • 総距離:10km
  • コースタイム:6時間30分
  • <推奨装備品類>トレッキングポール、アイスアックス、12本爪クランポン
八方山ケルン付近から望んだ五竜岳(右)と鹿島槍ヶ岳(左)。

北アルプスの貴重な初級冬山ルート。スタート地点の八方池山荘に泊まれば余裕をもって行動できる。雪の状態によってスノーシューかクランポンかを選ぼう。

トイレの横を通って第2・第3ケルン方面へ。背景の山は右から不帰Ⅰ峰、Ⅱ峰(北峰・南峰)、Ⅲ峰。

山荘の左横からひと登りで八方山ケルンに出ると、五竜岳と鹿島槍ヶ岳の迫力ある姿に圧倒される。閉鎖中のトイレの横を通り、第2ケルン、八方ケルン、第3ケルンと通過する。少しはっきりしてきた尾根筋を登り、下しものかんばノ樺のダケカンバ帯に入り、右折して尾根沿いに登ると上かみのかんばノ樺を通る。

丸山から八方尾根上部の雪稜を登る。三角形のピークは唐松岳。

右下の斜面一帯がテント適地になっている。上に見える丸いピークを目指して20 ~ 30分登ると、最後の丸山ケルンだ。ここから尾根の両側が急傾斜になり、転落・滑落への注意も必要となる。主稜線に合流する最後のピークを左に巻いて唐松岳頂上山荘の真上に出ると、剱岳の雄姿が飛び込んでくる。

八方尾根最上部から主稜線へ出るところ。雪面をトラバースする箇所は雪崩の危険もチェックしよう。

ここから唐松岳は標高差100m ほど、約30分のがんばりで頂上に立てる。後立山連峰、剱・立山連峰はじめ、すばらしい展望が広がっている。下りは丸山までは転落・滑落に要注意。下ノ樺から下部はルートロスト(道迷い)に注意が必要である。

アクセス

JR白馬駅からバス5分で白馬八方尾根スキー場、徒歩10分でゴンドラ八方駅、ゴンドラとリフト2基計約30分で八方池山荘前。クルマの場合、長野道安曇野ICから約80分、または上信越道長野ICから約1時間でスキー場へ。

アドバイス

初級とはいえリスクの高いルートで、アックス、クランポンを使用する区間も長い。できれば中級以上の引率者と登ったほうが安心である。天候を慎重にチェックして、悪天候が予想されるときは登らないようにしよう。

もっとも容易に登れる3,000m級冬山。

木曽駒ヶ岳(中央アルプス)

  • 日帰り
  • 総距離:4.5km
  • コースタイム:4時間30分
  • <推奨装備品類>トレッキングポール、アイスアックス、12本爪クランポン

千畳敷の底から木曽駒ヶ岳まで高低差350mほど。もっとも楽に登れる3,000m 級の冬山といえる。ロープウェイ駅舎前のベンチでクランポンを装着する。

登り切って乗越浄土に出ると急激な強風と寒気にさらされる。冬山用の正しい装備・ウエアが重要だ。

建物の前を右へ進み、一度カール底まで下りて、そこから乗越浄土へまっすぐに登る。この区間は雪崩の危険箇所なので途中休憩はNG。苦しくても立ち休みでしのごう。

乗越浄土直下の急斜面を登る。このルート一番の危険箇所だ。

乗越浄土に出て左折すると、目の前に宝剣山荘が建っている。その裏手へ回り、右折して中岳へ向かう。広い雪原から緩やかに登っていくと祠のある中岳頂上に着く。ほぼ直角に左折して頂上山荘(閉鎖中)のある鞍部へ下り、高低差100mほど登り返すと木曽駒ヶ岳頂上だ。

宝剣山荘から中岳に向かう平坦な雪斜面。不思議な形をした宝剣岳の姿が立ち上がる。

御嶽・乗鞍、北・南アルプス、富士山など雄大な展望が広がる。下山は中岳付近での道迷いと、乗越浄土からの急斜面での滑落に注意が必要だ。

アドバイス

千畳敷~乗越浄土間は雪崩が発生するので、危険性を判断すること。少しでも危険なときは入山してはいけない。滑落注意箇所は乗越浄土直下の急斜面、中岳の南東側斜面。中岳は道迷い遭難もある。

アクセス

JR 駒ヶ根駅からバス42分でしらび平、ロープウェイ8分で千畳敷へ。クルマの場合、中央道駒ヶ根ICから約2㎞、およそ3分で菅ノ台バスセンター大駐車場(有料)。バスに乗り換え約30分でしらび平へ。

アイスアックス&クランポンで登る代表的ルート。

赤岳(八ヶ岳)

  • 山小屋泊
  • 総距離:18.5km
  • コースタイム:10時間
  • <推奨装備品類>トレッキングポール、アイスアックス、12本爪クランポン

美濃戸口から入山し、1日目は赤岳鉱泉に泊まる。2日目は行者小屋前でクランポンを装着し、道標を確認して地蔵尾根ルートへ。森林限界から多数のハシゴとクサリが設置されているが、クランポンをしっかり効かせて自分の足で歩くことが大切。

中山乗越展望台から見た赤岳西壁(横岳西壁もよく見える)。中山乗越から往復13分。時間があれば立ち寄るといい。

稜線に出るといったん傾斜が緩む。天望荘の先から正面に迫る赤岳の斜面に取り付き、岩でクランポンをガリガリ鳴らしつつ一気に登る。北峰から稜線を30m ほど進んで最高点の南峰に着く。

行者小屋前で準備をする登山者。クルマで美濃戸まで入って日帰りで登る人も多い。

見渡す限りの大展望を十分に楽しんだら、気持ちを入れ直して下りにかかろう。岩稜を南へたどり、浅いルンゼ状の岩壁に出て急下降する。

地蔵尾根の森林限界地点。ここからはハシゴとクサリが連続する。

40~50mほど下って右へトラバースし、中岳へ続く主稜線上へ抜けると難所は終わる。中岳分岐で右折して小さな尾根を下るとやがて樹林帯となり行者小屋に戻る。

アドバイス

ガイドレスで登るためには、基本的なアックス・クランポン技術を身につけていることが条件になる。しっかり学んで練習してほしい。また、最近は多くの人がヘルメットを被るようになっている。

アクセス

JR茅野駅からバス40分で美濃戸口へ(往復とも)。クルマの場合、中央道諏訪南ICから約10㎞、およそ20分で美濃戸口へ。駐車場(有料)あり。雪道対策をした車高の高い車なら美濃戸まで入れる。

個性的な3 峰を結んだミニ縦走。

赤岳~横岳(八ヶ岳)

  • 山小屋泊
  • 総距離:22.5km
  • コースタイム:12時間
  • <推奨装備品類>
    トレッキングポール、アイスアックス、12本爪クランポン
日ノ岳の稜線付近から見た美しい赤岳。左手には富士山も見える。

赤岳や阿弥陀岳に登れたら、次に挑戦したいルート。1日目は赤岳鉱泉に泊まり、2日目はできるだけ早い時刻に出発する。まず文三郎道から赤岳に登るが、ここまでで危なっかしいメンバーがいた場合は地蔵尾根で下山することにしよう。

二十三夜峰の登り。下部はリッジのすぐ右側を登り、途中から右上へトラバースする。

横岳南端の二十三夜峰はリッジ沿いを登り、途中から右側を巻く。続く日ノ岳も右側を大きく巻き、鉾岳との間の雪のルンゼを直上して稜線に戻る。振り返ると赤岳が美しい姿で望まれる。

鉾岳の手前から西側へ下降するクサリ場のルート(右上から左下へ下る)。最下段の1歩がやや難しい。

稜線の左(西)側へクサリ場を下りて鉾岳西面の長いトラバースになるが、足元が切れ落ちていて緊張するところだ。稜線に戻って石尊峰、三叉峰は問題なく最高点の奥ノ院に着く。

ここから最後の難所になる。高度感のある細い雪稜を下り、ハシゴで稜線の右側へ下りたらバンドからギャップを左側へ越え、クサリ場のバンドを伝って右側へ抜ける。

難所を通過してたどり着く奥ノ院。達成感のある展望が広がるが、この先にも難所がある。

横岳の領域後は山容が一変して穏やかになり、台座ノ頭、大ダルミ、硫黄岳へと気持ちよく歩く。硫黄岳で左折して主稜線から分かれ、赤岩ノ頭の手前で左折して雪面を下る。まもなく樹林帯に入って赤岳鉱泉に下りる。

アクセス

JR茅野駅からバス40分で美濃戸口へ(往復とも)。クルマの場合、中央道諏訪南ICから約10㎞、およそ20分で美濃戸口へ。雪道対策をした車高の高い車なら美濃戸まで入ることも可能。美濃戸口、美濃戸とも有料駐車場がある。

アドバイス

積雪状況によって難しさが変わり、雪が多いほど難しい。とくに降雪直後でトレースがない場合は、中級者でも困難だろう。降雪後は無理をせず、トレースが落ち着くまで待つことをすすめる。好天で条件のよいときに挑戦しよう。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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