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瑞牆山で雪山テント泊|静かな山で、気楽に1泊

とにかく寒い雪山の夜。だが夏以上に静かで透明な空気が流れ、そこで過ごす夜は最高だ。 また、雪山でのテント泊には、夏とは異なる知恵や技術も必要になるのも面白い。 今回はのんびり過ごせる奥秩父の瑞牆山(みずがきやま)でテント泊山行を行なった。

文◉高橋庄太郎 Text by Shotaro Takahashi
写真◉加戸昭太郎 Photo by Shotaro Kato
出典◉PEAKS 2015年3月号 No.64

静かな山で、気楽に1泊。

雪山でのテント泊は、寒い!
本当に寒いのだ。これはもう避けられない事実である。だが、夏場とは異なる面白さがあるのも、また事実だ。

まず、人が少なくて静かな山の雰囲気を味わえること。とくに日帰りも可能な山域で雪中テント泊を行なう人は稀だ。雪で美しい山を独占的に楽しめるのである。

富士見小屋に近づくと傾斜は緩やかに。重い荷物でも気楽に歩いていける。

次に、無雪期のテント泊とは異なる知識や技術が要求され、工夫して泊まる楽しさというものを体験できること。どうすれば雪のなかでも快適な夜を過ごせるのか考えるのは面白い。

とはいえ、高山の稜線などに比べれば、樹林帯でのテント泊は難しくない。

瑞牆山荘近くの駐車場からは歩きやすい登山道が続く。瑞牆山には冬で も多くの登山者が訪れるため、大雪が降った直後でもなければ、以前に人が歩いた跡は判別できるだろう。

周囲は真っ白な雪景色。木の葉を落とした樹木越しには、夏ならば視界を遮られて見えない山々も眺められる。頭上も同様に見通しがきき、澄んだ空気のなかには無数の星が光り輝いている。冬のテント泊ならではの心地良さだ。

クルマで登山口まで向かう途中、西側から見ると瑞牆山はこのような姿。岩ばかりでいかにも登りにくそうに感じられるが、冬ですら意外なほど難しくはない。

さて、出発!

今回計画した、奥秩父の西側に当たる瑞牆山は、雪中テント泊を気楽に楽しめる場所だ。駐車場から1時間程度でテント泊を行なう富士見平に到着し、そこから標高2230mの山頂までは2時間ほど。

多くの人が日帰りで往復するコースをわざわざ1泊して歩くわけで、しかも2日目はテントを張ったまま朝早くから身軽な格好で山頂を目指せる。

富士見平の水場。完全に凍結しているかもしれないと思っていたら、なんとか水が汲めるほどの水量は残っていた。

雪山でのテント泊登山として、これほど難易度が低い場所はめったにない。しかも百名山のひとつとあって、ゴツゴツした岩が連続する登山道は歩いて面白く、行き帰りに遠望する山頂も美しすぎるのだ。

富士見小屋に到着。今日はこの雪のなかに張ったテントで1泊する。

駐車場から雪で覆われた登山道を登っていく。30分もせずにいったん休憩。そうでもしなければすぐに到着してしまう。しかし2度目の休憩を取る前に、富士見小屋についてしまった。

何度も歩いたルートだが、雪山装備の重い荷物を背負っていてもいつもながらラク すぎる。

テントの設営後には大きな袋に雪を入れ、テントの前室にキープしておいた。いつでも雪を溶かして水を作れるようにしておくためだ。

日帰りの登山者は何人か見かけたが、テント泊を行なう人は、この日はやはり僕のみ。テント場にはテントを張った跡が2~3カ所残っていたが、せっかくの広い雪原で、わざわざ誰かが一度使った場所を使う必要はない。日没までに時間はたっぷりとある。

夜メシは数種の野菜と焼き豚を適当に煮込んだ、鍋のような何か。最後にゴハンを投入した。

僕はきれいに積もった雪を踏み固め、「自分だけの場所」を作っていく。そしてテントを張り、山中での一夜を過ごしやすいようにテント内部を整理。雪の上に道具を配置する。

マイナス15°C 以下になる山中なのに富士見小屋付近の水場は凍らないらしいが、雪を溶かして水を作れるようにと、汚れのない雪を袋に入れて集めておく。

テントの前に立ち上る湯気。クッカーを火にかけたままにすれば食事中に料理が冷えず、体も温まる。

いかにも寒い冬らしい静けさ。こんな時間がたまらない

夜になると一面の星空に。湿気が少ない冬の山では、夏以上にきれいな空を眺められるのである。

コーヒーを入れ、のんびりと寛いでいると、夜が訪れた。

気温の低下を感じるなか、バーナーでお湯を沸かして野菜とチャーシューを煮込んでいく。今夜のメニューは、具だくさんの鍋のようなものだ。野菜に火が通った後も火を止めず、弱火のまま食事を始める。

翌朝はテントを張りっぱなしにし、身軽なスタイルで山頂へ向かう。ダウンジャケットを着たままで最後の準備をした。

金属のクッカーに入った食べ物は火を止めた途端にどんど ん冷たくなっていくが、このような方法を取れば、最後までアツアツの夕食が食べられる。燃料は余分に持つ必要はあるが、雪山ではオススメの方法なのである。

冷たい空気のなかに立つ道標。富士見小屋から山頂までは夏でも2時間ほどだが、雪がある今回も同じくらいの時間で山頂まで到達できた。

満腹になった僕は、シュラフのなかに潜り込んだ。テントの入口を開け放ったまま、しばし星空を眺める。わずかな風が立てる音すら柔らかな雪が吸収し、じつに静かだ。こういう時間があるからこそ、寒い冬でもテント泊はやめられない。

朝の空気は冷たく、出発してから30分ほどは、赤いソフトシェルの上に緑のハードシャルジャケットを重ねて着ていた。

翌朝は明るくなってから目を覚まし、ゆったりと行動を開始する。昨日に引き続き、今日も好天だ。山では早め早めの行動が肝要だが、なにしろ山頂までは時間。急いで行動しすぎると、午前中に駐車場までの下山が完了してしまう。

山頂へ近付いて行くと頭上が開け、青空が広がった。

こういう余裕がたっぷりとあるときくらい、じっくりと山の朝の時間を楽しんだってよいだろう。

山頂への登山道の途中にはいくつかの巨岩がある。夏であればクライマーの姿を見かけることも多いが、この日の瑞牆山には僕以外の誰もいなかった。

必要なものをサブパックに詰め込んだ僕は、山頂を目指して出発 した。人気の山とあって前日までの登山者がつけた雪上のトレースは明確で、ほぼ夏と同じコースで 標高を上げていく。

登ってきた方向を振り返ると、遠くの山々がかすんで見える。天気は悪化しそうだが、晴天はまだ続きそうだ。

降雪直後であれば踏み跡を見失うかもしれないわけではないが、ピンクのテープの目印が各所にあり、 注意して歩けば遭難の可能性は低い。

周囲の木や岩にはつららがついていたが、長いものはない。好天時の日差しで溶けてしまったのだろう。

すばらしい好天! アイゼンで雪を踏み、山頂を目指す

小屋から山頂までの標高差は 400m 以上。低温でも次第に汗ばみ、首元を開けて熱を逃がし、歩き続ける。

雪崩や滑落の危険性が高くないのも好都合だ。やはり瑞牆山は雪山登山の入門に適している。しかし、絶対になめてはいけないが。

強烈な紫外線に対応すべくサングラスを用意していたが、この日はなぜかそれほど眩しくなく、ずっと頭に乗せたまま。

日が高くなるにつれ、気温は上 がっていく。といってもマイナス5°C程度だが、防風性が高いハードシェルジャケットは暑過ぎる。 僕は通気性が高いソフトシェルジ ャケットになって標高を稼いでいく。冬でも寒さを感じずに山を歩けるのはありがたい。

途中にはクサリが取り付けられた場所も。だが、程よい積雪のためにむしろ通過はラクだった。

ときには硬く凍りついた氷の斜面もあるが、地面の雪は適度に緩み、アイゼンの効きも良好だ。大きな岩の横を何度かすり抜けていくうちに、頭上高くそびえていた 木はまばらになっていく。

山頂への最後の区間は、樹木のトンネル。ここを通り抜けると、突然のように左ページの広い空間に到着するのだ。

それに 従って、今までにはない強い風を感じはじめた。もうすぐ山頂だ。再びハードシェルジャケットを着込んだ僕は、山頂直前にある樹林のトンネルを通り過ぎた。あの景色をまた見られるぞ!

山頂から眺める奥秩父の景色は、すばらしいの一言! 手前の小川山へ延びる緩やかな稜線とともに、右のほうには金峰山の一角も見える。

山頂の岩場に出た。僕の目の前には、遠くまで連なる奥秩父の山々。その手前には瑞牆山らしい巨岩、奇岩がずらりと並んでいる。とりわけ冬季は、黒々とした岩と真っ白な雪のコントラストがすばらしく、いくら時間をかけても見飽きない。

これまでに何度も見た風景なのに、いつもながら感動……。この記憶を鮮明に残したいと、 カメラを持って山頂付近を何度もバタバタと往復してしまった。

瑞牆山の山頂は急峻な岩場。山頂碑とともに写真を撮ろうとするだけでも、少々怖い。

ただし、瑞牆山の山頂は今回のコース上で唯一の危険地帯だ。気を抜いて行動すると、大きな岩からまっ逆さまに落ちてしまう。はしゃぎ過ぎにはご用心を。

同じルートを使って下山。岩の隙間をくぐり抜ける箇所もあり、なかなか面白い。

あとはテントを撤収して下山するだけだ。サングラスもかけずに遠くの山々を見つめながら、僕は いつまでも満足感に浸っていた。

テントを撤収し、再び駐車場へ。大きくて重いバックパックを背負ったのは、往復2時間ほど。体力に自信がない人でも、今回のこのような計画ならば挑戦しやすいはずだ。

里宮平~富士見平~瑞牆山 (往復)

瑞牆山荘までのバスは、冬季は休業している。マイカーやタクシーを利用しよう。駐車場がある里宮平への道路は除雪されるが、降雪直後には通行不能になることも多い。除雪を待たないと、もっと手前から歩き始めなければならないので注意したい。

また、冬の富士見平小屋は週末と年始年末以外は閉まっている。テント場代(¥1,000/1 泊)は指定の場所に入れておく。水場は小屋から少し下がった場所にあり、冬季でも凍らずに流れているのがありがたい。

山頂部以外、富士見小屋から瑞牆山山頂までには滑落の危険がある場所はほとんどなく、ピッケルは必要ないだろう。だが、凍結した場所が長く続くので、アイゼンは必携だ。簡易的な軽アイゼンでは歩行が不安定 になるので、必ず10~12本爪の本格的なタイプを用意すること。

所要日数:1泊2日/歩行距離:約5km/難易度:初級者向け

  • 1日目 14:00瑞牆山荘~15:00富士見平小屋(テント泊)
  • 2日目 8:00富士見平小屋 → 10:00瑞牆山 → 12:00富士見平小屋(テント撤収)→ 13:30瑞牆山荘

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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