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雪中テント泊の鉄則! 快適に過ごすための13の基本テクニック

ここで紹介するのは、雪山で快適に一夜を過ごすための基本的な技術。それほど標高が高くない山域、森のなかのキャンプ地での一例だ。要点を覚えておけば、今後さらに高い山を目指す際にも役立つだろう。

編集◉PEAKS編集部
文◉高橋庄太郎 Text by Shotaro Takahashi

写真◉加戸昭太郎 Photo by Shotaro Kato
出典◉PEAKS 2015年3月号 No.64

確実なテント設営を目指す

重要なのは、テント設営地のコンディションだ。体を横たえるスペースだけでもしっかりと雪を踏み固めて平らにならすことから、快適な一夜が始まる。周囲の樹木の葉が枯れ果てた雪山では、強風にさらされることも多く、ペグやアンカーで確実にテントを固定する技術も覚えたい。

暖かく眠るには、大前提として断熱性が高いマットと保温性が高い寝袋を用意すること。その後、それらの実力を効果的に発揮させる工夫をプラスすればいい。

TECHNIC 01 テント設営地は平らに

大きめのショベルは必携。テント設営時以外にも、 撤収時にペグなどを掘り出す際にも大活躍する。

あらかじめテント下のスペースをしっかりと固めないと、寝転んだときの体重に加え、体温で雪が緩み、雪が沈み込んでいく。

平らな場所を選び、十分な広さを踏み固める。わかんを足につけたり、荷物を背負ったまま強い圧力をかけたりと、雪質に応じた効果的な方法を。

テント内に傾斜ができて快適に眠れないばかりか、荷物の位置も安定しない。軽量なショベルを用意し、水平な場所を作ろう。

踏み固めた雪には高さの差や凹凸が残る。その部分をショベルで削り、反対に埋め立てたりして、できるだけ水平な雪面を作り出していく。

TECHNIC 02 雪上にテントを固定する方法

強風に対応するためにもテントは確実に固定しよう。無雪期用の一般的なペグも横倒しにして埋めれば使えないことはないが、形状が細くて雪中では安定しないので、雪山用のペグやアンカーを用意すると安心だ。雪と似た色で紛失しやすいシルバーよりも赤や黄色がよい。レジ袋もある程度は使える。

強風時にはテントを飛ばされないように風上から固定していく。雪が柔らかい場合はなかなか安定しないが、日が暮れて低温になると雪が硬く締まり、固定力は増していく。

軽量な竹ペグ

割った竹を2枚組み合わせた竹ペグを十字型に広げて埋設。かさばるのが難点だが、簡単に自作でき、昔から日本の山で使われてきた。

市販のスノーペグ

雪用ペグはかなり大きめで、強度も十分。これにつけられた孔に張り綱を付け、横倒しにして埋める。確実だが、少々高価だ。

雪に刺したポール類

トレッキングポールやピッケルに張り綱をかけて、深く雪に刺す。使える数には限度があるが、安定感は高く、外すのも簡単だ。

コンビニのレジ袋

レジ袋に雪をつめて埋め立てると、ペグ代わりのアンカーに。白い袋は雪中で目立たないので、色がついたものをキープするとよい 。

TECHNIC 03 雪中での紛失防止に

小さなものは雪のなかに埋もれると、二度と見つからない。面倒でも荷物は広げたウエアの上やシー トの上に置くクセをつける。付着した雪が溶けて荷物が濡れることを防止するのにも効果的だ。また、カラフルな袋を利用するとますます雪中で紛失する恐れが減る。

TECHNIC 04 テント内には雪を入れない

バックパックのパッド部分などには、細かな雪が付着する。そのままテント内に入れると体温で溶けてシュラフや着替えが濡れてしまうこと に。手で叩いてもそれなりには落とせるが、小さなブラシを持っていくと便利だ。ほうき代わりにテント内の雪を掃き出すこともできる。

細かな金属ブラシは登山店でも売られているが、ホームセンターのほうが安価。アイゼンなどにこびりついた氷も落とせる。

TECHNIC 05 テント周りではアイゼンを外す

面倒だからとアイゼンをつけたままテント周りを行動するのは危険。気をつけていたつもりでも鋭い爪で破ってしまう失敗はよくあることだ。とくにテントの設営時には絶対に外そう。

TECHNIC 06 ギア類はまとめて一カ所に

わかんやアイゼンなどのテント内に収納しないギア類は、まとめて立てて一カ所に。大量の雪が降って埋もれていったとしても、一部でも雪の上に出ていれば、後から探しやすいからだ。

TECHNIC 07 快適度を増す断熱シート

断熱性のあるシートは暖かい時期には必ずしも使う必要はないが、雪上では有用。シルバーの面を下に敷いたほうが効果があり、マットとともに冷気を遮断して寝袋の暖かさを増す。

TECHNIC 08 荷物を片づけて結露対策

夜間にはテント内で結露した水分は凍りつき、テントに振動が加わると細かな氷として降ってくる。これがテント内の荷物を濡らす。濡らしたくないものはスタッフバッグに入れておこう。

TECHNIC 09 テントの前室をうまく使う

テントの前室部分は、使いやすい形状にショベルで雪を少し掘ると便利だ。雪が深ければ20~30cmほど掘り、そこにバーナーを置くと風の影響が少ない調理スペースに。積雪量が少ない場合でも10cm低くするだけでブーツの脱着が楽になる。雪山らしい工夫だ。

形状に合わせた窪み を雪の上に作っておけば、滑ってむやみに移動してしまうクッカーやカップも安定。ハシやスプーンも雪に立てて保管すると紛失しにくい 。

TECHNIC 10 バーナーの使い方のコツ

ガスカートリッジは低温に弱い。とくに使用時間が長いと冷却が進み、寒冷地用のガスであっても火力が低くなってしまう。これを避けるためには、カートリッジの下に敷く板などを持っていき、雪の冷気を遮断することだ。大きなクッカーを置いたときの安定性も上がり、調理がしやすくなる。

板やシートを敷く前に底面の雪は平らに。火の温度で少しでも雪が溶けてくると板の傾斜がキツくなり、一気に倒れやすくなる。

薄い木板や ウレタンのシート

わずか数mmの厚みでも断熱性が格段にアップ。ガスカートリッジが十分に乗り、収納時に邪魔にならないサイズを。

TECHNIC 11 飲み水は雪から作る

今回のテント場では冬でも水場が使えたが、通常の雪山ではバーナーで雪を溶かして水を作る。そのことも計算に入れて、燃料は多めに。クッカーには雪が溶けやすいようにはじめに水を少量入れ、それから火にかけていくと効率よく水ができる。フタはできるだけ外さないように。

十分な水を作るには大量の雪がいる。きれいな雪を袋に詰め、テント近くにキープすると手間が省ける。表面の雪に はゴミが多いので、少し下からショベルで掘り出そう。

クッカーは大きめが便利

雪は水になると、ごく少量に。 小さなクッカーでは何度も雪を追加する必要があり、ふたの開け閉め回数も増えて効率が悪い。

結露は拭き取りながら

雪を溶かしていると、クッカーは結露で濡れる。そのままにしていると熱効率が下がり、水になりにくいので拭き取ろう。

浮遊物は濾しとる

雪のなかには細かな葉や枝が混じっている。ひとつひとつ取るよりも、最後にコーヒーフィルターや布で濾すほうが簡単だ。

TECHNIC 12 寒い夜を暖かく眠る

いかに自分の体温をウエアや寝袋内部から流出させず、外部の冷気を遮断するかが暖かく眠るときのポイント。シュラフのドローコードはしっかりと絞ってから眠りにつきたい。

大前提として、ダウンジャケットやパンツなどを着こんでからシュラフに。ツバのない帽子もかぶっておくと、より暖かい。マットは断熱性が高いもので、全身サイズがオススメ。

湯たんぽを作れば体温以外の熱も利用できるが、熱湯を入れると低温火傷の恐れもあるので着替えなどに包むとよい。

中綿が入ったブーティは就寝時にも使え、足元の冷えを抑える。短時間ならこのままテントの外を歩きまわっても問題なく、トイレの際にも重宝する。

バックパックを利用

足元は中身を抜いたバックパックに入れると温かい。だが口径が小さいものではシュラフのふくらみが抑えられ、むしろ暖かくならないので注意。

ボトルを湯たんぽに

お湯を入れたボトルを足元に入れると、抜群の効果。ただし樹脂製のものは熱湯を入れると成分が流れ出すので、金属製を。翌朝は飲み水になる。

TECHNIC 13 凍結には気をつけろ!

食料や水はたとえ凍りついても調理時に溶かせば問題ないが、凍結すると困るものはテント内の体温が利用できる場所でキープ。電子機器のバッテリーも低温化では放電が激しいので、つねにポケットに入れておこう。

寝袋のサイドに

テント外に汗で湿ったブーツを放置すると翌朝には凍ってガチガチに。袋に入れて寝袋の隣におけば、体温が伝わって凍らない。

ウエアのポケットに

不用意にコンタクトレンズを保管しておくと、翌朝には凍っていることも。忘れずに体温を利用できる場所に入れておきたい。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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