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山で嗜みたいお酒と適した運び方 〜その一滴にひそむ物語〜

山の夜の楽しみといえばやっぱりお酒。ここでは山にはどんな酒が向いているのか、そしてなにで運ぶのが適しているのかを考え、さらには山と酒を愛してやまない2人の先輩にお話をうかがいましょう。

文◉麻生弘毅 Text by Koki Aso
イラスト◉永盛文生 Illustration by Fumio Nagamori
出典◉PEAKS 2016年2月号 No.75

人は山でなにを飲むべきか?

昨年の夏、雲ノ平のテント場でのこと。ぬるいウイスキーをすすっていると、隣にテントを張る20代の男がバックパックから350㎖缶を取りだして飲みはじめた。彼が喉を鳴らすのは、ノンアルコールビールテイスト飲料……。重い肝硬変を患う登山者か、はたまた壮大なボケなのか。世間はまだまだ広いと思うとともに、改めて、男は山でなにを飲むべきか、考えようと思ったしだいです。

Theme 1/なにを持っていく?

味わい、それとも酩酊?

コンビニでも簡単に入手できる、5種の酒を取りあげた。至高のひと口目を誇る黄金麦酒、それとも味わい深い醸造酒か、はたまたきっちり酔える蒸留酒。山に合う酒とは?

日本酒

味わい抜群。名山に銘酒あり!

常温でよし、沢で冷やしてよし、熱燗でよしの優等生。乾き物や缶詰などの山食に合うのも嬉しいところ。低めのアルコール度数をどうとらえるか。各地の山を、そこから生まれた水で醸す酒を携え登るのも一興。重ミニ負ケズ清酒ヲ背負フ、サウイフモノニワタシハナリタイ。

ビール

旨いけど重い。要冷蔵

渇いた喉という名の荒野を潤すよう注ぎこむ冷たいビールの旨さは悪魔的! とはいえアルコール度が低いこと、冷たくないと意味がないことなどから、No.1 の山酒とは言いがたい。財力にものをいわせ山小屋で買う冷たいビールは、学生には許されない勤労登山者の特権。

ウイスキー

山男に愛される琥珀色の美酒

アルコール度数は40~50度と「重量対酔価」に優れる、キング・オブ・ザック酒。つまみに合おうが合わなかろうが、とにかく酔えれば幸せだというあなたに最適。コーヒー、紅茶との相性も焼酎以上。ハードな山男を気取ってバーボンと干し肉……的な感じでどうでしょう。

ワイン

山で飲むなら赤が有利か

日本酒同様、アルコール度数は15度前後。北八ツあたりの山小屋で「ランドネちゃん」と飲んだらおいしそう。とはいえそんな女子となら牛乳でも旨いわけで、だいたい山でワインを嗜む輩なぞ紳士の皮を被ったドスケベに決まってる……などと思いは千々に乱れてしまう。

焼酎

365日のお友達は山でも優しい

翌朝の目覚めも軽やかすっきり、「アルコール度数対価」もフレンドリーなお父さんの友は、山でも大活躍! 沢水で割るもよし、コーヒーに入れてよしと汎用性の高さも魅力。山食との相性を考えると、2泊3日程度までの山行ならば、これがファイナルアンサーか。

Theme 2/どう持っていく?

漏れずに軽いこと。そして……

飲むべき酒が決まったら、あとはそれを1㎖でも多く運びたいというのが人情。漏れないことがいちばんで、軽いほうがいい。そして好きな酒をよりおいしく……。まだまだ悩みはつきない。

ポリ製ボトル

液漏れなし。空になっても使える

こちらも多くの登山者に愛用されているウォーターキャリーの大看板。漏れるのではないか……という不安を軽減してくれる点が魅力。空いたボトルは、残り汁が漏れやすいゴミの運搬に適している。

ソフトボトル

やっぱり便利。でも間違いに注意!

すべての登山者が持っているのではと推測されるウォーターキャリーの雄は、酒の容器としても便利。ワインの酸化を防ぐ専用ボトルは効果云々よりも、焼酎と水を間違えるという惨事を防いでくれる点で秀逸。

ペットボトル

シンプル・イズ・ベスト!

質実剛健なハードな山ヤ、沢ヤに愛用されるのがペットボトル。くしゃっとたためる「いろはす」派や、酒の移し替えが容易な広口タイプの「ビタミンウォーター」派が存在するなど、その世界は奥が深い。

スキットル

かっこいいけど足りねえっす(涙)

雰囲気はグランテトラ以上に醸しているものの、いかんせん、80~240㎖程度と容量が少ないのが大問題! 訳あり美女との道ならぬ恋路にはよさそうだけど、山での使用にはどうにもこうにも物足りない。

スチール製ボトル

やや重いけど雰囲気は満点!

グランテトラをはじめとしたスチールボトルは重いものの、雰囲気は満点。水も酒もこちらに入れたほうがおいしく感じるのは、本当に感覚だけの問題なのか? 空になった帰り道は山の水を汲み、自宅でコーヒーを淹れてみて。

2人の酒好きが語る“わたしと山、そして酒”

酒好きです。愛してやまぬからこそ……

「基本的に休肝日はないし、酒が一滴も入らないという日はありえない。キンミヤ焼酎と菊正宗を愛飲しています。特別にうまくはないけれど、毎日飲むには安くてさっぱりしていてベスト。

お袋のおにぎり的存在ですね。そんなわたしですが、山には酒を持っていきません。タバコとコーヒー、文庫本があればいい。山での夜は気を張っていて、判断力を鈍らせたくない……なんて言ってますが、山にどのくらいの酒を持っていけばいいかが分からない。

1ℓのワインでは一晩であけてしまうし、それが3週間続く旅でどうすればいいのか! 最初からなければ“世の中に酒という存在がないものとする”とあきらめがつくけれど、途中でなくなるのは絶っっっっっ対に許せないっ!!

ストイックさでも神聖な山に酒など……という寝言でもなく、“酒を持っていかないというエゴ”を貫いているんです」

ハイカーズデポ オーナー/土屋智哉

1971年生まれ。「ライト、シンプル&ナチュラル」をテーマとしたハイキングの専門店「ハイカーズデポ」のオーナー。おしゃれなイメージのお店とは裏腹な、探検部出身の泥臭い酔っ払い。

酔いたいわけじゃなく儀式ですよ

「酒と焚き火が好きで、いまも渓の夜には欠かしません。山の酒で思い出すのは剱沢大滝での一杯。厳しい登攀を前に、なんとかペットボトル一本分のバーボンを忍ばせたのは意地でしょうね。

あの絶望的な壁には“焚き火のテラス”というツエルトひと張り分の空間があります。せっかくの焚き火のテラスならば雰囲気だけでもと小枝を燃やし、ちびちび舐めてから、火を消して眠りました。

沢人生で最短最小の焚き火でしょうね。翌日は小さな足場に座ってビバーク。あんな究極の状況で酒が飲めるぜいたく……。相棒は嗜まない男だったのですが、そんな状況で楽しんでいるとねえ(笑)。

若いころならば、テメエで持ってこいと怒鳴るところだけど、申し訳なさそうにねだる姿がかわいくてね、先輩だし。大岩壁に50がらみの男がふたり……そう思うと一杯どう、と言いたくなるってもんですよ」

登山家・作家/高桑信一

1949年生まれ。浦和浪漫山岳会を率い、奥利根や下田・川内、南会津などの沢を明らかにしてきた渓の先駆者。遡行中は渓に溶けこむように、深夜は焚き火を守りながら杯を傾ける酒仙人。

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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