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雪山日帰りルート16|雪山に慣れるために挑戦しやすいルート

ロープウェイやリフトで高度を稼げる場所も多く、天気がよければ絶景を拝める。ただし日帰りでもそれなりの装備は必要なので事前準備は怠らないようにしたい。

霧島連山の景色が美しい

1.白髪岳

  • コースタイム:3時間15分
  • 総距離:7.0km
  • 必要な装備:トレッキングポール/チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

白髪岳は熊本県の南部、宮崎県との県境に位置している。標高は1,417m。冬になると雪を纏った姿が白く輝いて見えることから、老人の髪を連想してその名が付いたといわれている。行程は北西に位置する白髪岳登山口から出発し、途中、猪ノ子伏という小ピークを越えて白髪岳山頂に達する往復ルート。稜線一帯は自然環境保全地域に指定されており、カエデやナラのほか、ブナの原生林が残されている。

左)猪ノ子伏から白髪岳の山頂へ向かう。樹林に覆われたなだらかな尾根を歩く。右)「白髪岳」と名がつく由来にもなったブナ林の霧氷。写真撮影が忙しくなり、山頂になかなか到着しない。

「登山口の標高が高いため、山頂までに大きな登り坂はありません。標高1,300m付近まで続く豊かなブナ林のなかを心地よく歩きましょう。到達した山頂からは南側の展望が開けるので、霧島連山を眺めることができます」(シェルパ熊本店・阿南さん)。

アクセス

クルマでのみアクセス可能。九州自動車道人吉ICより約23㎞、およそ1時間で白髪岳登山口手前へ到着する。

アドバイス

白髪岳登山口まで車で入れないため、少し手前から林道を歩くことになる。登山道に特に危険な箇所はないので、足元は12爪クランポンよりチェーンスパイクがおすすめ。

クランポンの歩行訓練にもおすすめ

2.阿蘇・高岳

  • コースタイム:6時間
  • 総距離:6.0km
  • 必要な装備:トレッキングポール/チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)/12本爪クランポン

世界最大級のカルデラで有名な阿蘇山の最高峰、高岳に登る往復ルート。北面の仙酔峡から出発し、高岳に登ったあとは目と鼻の先にある中岳の山頂も踏んで往路を戻る。「阿蘇山は約2年ぶりに火山活動が落ち着き、ルート調査が完了したことで晴れて登ることができるようになりました。

左)極寒のバカ尾根(仙酔尾根)をひたすら登り続ける。右上)登山口がある花酔橋にできる巨大なつららを見る。右下)鷲ヶ峰の下部ではアイスクライミングもできる。経験者と計画すること。

仙酔峡から高岳へ至る仙酔尾根(通称バカ尾根)のルートからは、東面に九州の岳人を魅了してやまない虎ヶ峰や鷲ヶ峰など、岩稜の勇ましい姿を確認できます。積雪期には岩と雪が繰り返し現れるので、クランポンの歩行訓練にうってつけ。山頂から中岳を経由して雄大な阿蘇の火口をのぞき見ると、地球の生命を感じることができます」(シェルパ熊本店・阿南さん)。

アクセス

クルマでのアクセスがおすすめ。九州自動車道熊本ICより43㎞、およそ1時間で仙酔峡インフォメーションセンターに到着する。

アドバイス

仙酔尾根は風を受けやすく、気温以上に体が冷えるので防寒対策は念入りに。足元は8歩爪アイゼンで対応可能。つまずき・引っかけに注意する。

凍結した御池めぐりが楽しめる

3.くじゅう・中岳

  • コースタイム:5時間
  • 総距離:10km
  • 必要な装備:トレッキングポール/チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

くじゅう連山を縦走する1泊2日の行程を縮めた日帰り計画がこちら。スタートとゴールが牧ノ戸峠になる。出発してすぐに沓掛山に登り、扇ヶ鼻分岐で進路を左手にとる。さらに久住山避難小屋がある久住分れを右手に進むと、九重連峰の最高峰である中岳はすぐそこだ。山頂の麓にある凍りついた御池で神秘的な風景を堪能しつつ、氷上を歩いてみるのもおもしろい。

ルートの最高峰、中岳山頂(1791m)から御池を見る。御池を中央に、左にそびえるのが久住山で、右に見えるのが天狗ヶ城。

体力や時間に余裕があれば、途中で久住山や星生山に登るのもおすすめだ。「九州の山で冬の絶景を案内してほしいと依頼されたら、まずはここを紹介します。凍結した御池は一見の価値あり。行程が短いので体力や時間、天候の変化に対応しやすく、全体的に難所が少ないため、難易度が低い点もポイントです」(シェルパ熊本店・阿南さん)。

アクセス

クルマでのアクセスが一般的。九州自動車道九重ICより約23㎞、およそ40分で牧丿戸峠に到着する。冬は牧ノ戸峠~長者原間でチェーン規制が発令されることが多いため、レンタカーの場合は足回りに注意。

アドバイス

久住山のアドバイスと同様、御池への道は天候が悪いとルートを見失いやすいので、地図やGPSを必ず準備。足元はチェーンスパイクがおすすめで、トレッキングポールがあると歩きやすい。

日帰りスノーシューでスノーモンスターを楽しむ

4.西大巓

  • コースタイム:4時間
  • 総距離:4.3km(ゴンドラ終点より)
  • 必要な装備:トレッキングポール/チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

西大巓はスノーシューを楽しめるエリアとして人気が高く、1泊2日で紹介した西吾妻山のすぐ南にそびえている。そのため西吾妻山からピストンすることもできるが、単純に西大巓をめざすだけなら、南斜面にあるグランデコスノーリゾートから登るのが近い。「山頂付近でスノーモンスターを楽しめるのはもちろん、裏磐梯の景色も眺めることができます」(テクテク・堀さん)。

吾妻連峰の名物、樹氷が育ったスノーモンスターの大群に出会う。雪山らしい景観のなかでスノーシューハイキングを存分に楽しもう。

行程はまずスキー場でゴンドラとリフトを乗り継ぎ、一気にリフトトップへ。そこから比較的なだらかな尾根を北へ向かって登ると、ほどなくして山頂に到着する。アイスアックスよりもトレッキングポール、クランポンよりもスノーシューやわかんのほうが歩きやすい。時間に余裕があれば西吾妻山をピストンするのもあり。帰路は往路を戻る。

アクセス

JR常磐西線猪苗代駅からグランデコリゾートまでシャトルバスで約45分。クルマの場合、常磐自動車道猪苗代磐梯高原ICより24㎞、約30分で到着する。

アドバイス

西大巓の山頂手前に偽ピークがあり、夏道だと直上するが、冬は南斜面を巻くように登るのがおすすめ。こちらのほうが、やさしいルート取りになる。

東北らしい奥深さを感じる

5.会津駒ヶ岳

  • コースタイム:6時間45分
  • 総距離:10km
  • 必要な装備:トレッキングポール/アイスアックス/12本爪クランポン

日本百名山のひとつに数えられる会津駒ヶ岳は、その人気の高さから冬でも入山者が多い。しかし全国的にも積雪量が多い山域になるため、他人が付けたトレースを当てにするような計画は控えたい。ラッセルもこなせる体力を備えて山頂に立った暁には、東北らしさを目の当たりにできる絶景が待っている。

奥に見えるなだらかなスカイラインの左端が会津駒ヶ岳の山頂になる。白く輝く雪景色を堪能しながら一歩ずつ歩いて行こう。

「山頂からは街が見えず、広大な山並みだけが広がっています。これこそ山の奥深さを感じることができる東北らしい景色といえるでしょう。また、日光白根山や、尾瀬の燧ヶ岳や至仏岳、越後の平ヶ岳など、周辺にそびえる日本百名山を一望できる点も魅力ですね」(テクテク・堀さん)。行程は福島県檜枝岐村にある駒ヶ岳登山口からピストン。樹林帯からスタートし、最後は森林限界を越えて山頂に達する。

アクセス

会津鉄道会津線会津高原尾瀬口駅からバスで約60分、駒ヶ岳登山口下車。クルマの場合、東北自動車道西那須野塩原ICより約91㎞、およそ2時間で駒ヶ岳登山口に到着する。

アドバイス

3月くらいまでの冬の時期はスノーシューがおすすめ。季節が春に移るにつれて雪面が固くなるので、ワカンやクランポンが必要になる。残雪期はとくに下りで事故が多いので注意して行動すること。

ロープウェイで初の雪山へ

6.北横岳

  • コースタイム:3時間
  • 総距離:3.5km(ロープウェイ終点より)
  • 必要な装備:トレッキングポール/チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)/アイスアックス/12本爪クランポン

北八ヶ岳ロープウェイで標高2,237m までアプローチできるため、北横岳山頂までの標高差は約200mしかない。体力に自信のない雪山初心者も比較的簡単に計画できる行程だ。「スタート地点の坪庭には平坦な散策路が広がり、ここだけを楽しむ方も多いですね。坪庭をすぎて雪の森を登っていくと、樹氷のあいだから八ヶ岳ブルーの青空がのぞきます。これも北八ヶ岳の魅力のひとつですね。

北八ヶ岳ロープウェイの坪庭駅を出発して坪庭へ向かう。八ヶ岳ブルーと呼ばれる青一色の空と白い雪のコントラストが美しい。

北横岳ヒュッテに到着すると山頂まであと少しですが、この先が少し急登になるのでがんばりましょう。北横岳の山頂は南峰と北峰に分かれていますが、いずれからも霧ヶ峰や美ヶ原、浅間連山、そして南アルプスや中央アルプス、御嶽山、乗鞍岳、北アルプスなどの大パノラマが広がります」(サンデイ・石川さん)。

アクセス

JR 中央本線茅野駅から北八ヶ岳ロープウェイまでバスで約60 分。クルマの場合、中央自動車道諏訪ICより約25㎞、およそ50分で北八ヶ岳ロープウェイに到着する。

アドバイス

ルート上に危険な箇所は少ないが、坪庭や山頂では風が強いことが多いので、バラクラバやネックウォーマー、オーバーグローブなどを用意して、しっかりした防寒対策で挑むこと。

スノートレッキング入門に最適

7.入笠山

  • コースタイム:3時間
  • 総距離:3.5km(ゴンドラ終点より)
  • 必要な装備:トレッキングポール/チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

初心者向けの雪山として有名な入笠山をゴンドラトップから往復する。「冬でもゴンドラを利用して山頂近くまでアプローチできるため、手軽に雪山を楽しめます。晴天率が高く、往復3時間の整備された歩きやすいルートなので、スノーシューハイクやスノートレッキングを初めて体験したい方にもおすすめです。

入笠山の山頂は視界を遮るものがいっさいない。看板の奥に横たわる白い山脈は八ヶ岳だ。360度の展望を満喫しよう。写真提供:富士見パノラマリゾート

そして山頂に立つと待っているのは、360度の大展望! 八ヶ岳をはじめ、富士山や南アルプス、中央アルプス、金峰山などを見渡すことができます。凍結した諏訪湖に雪が積もり真っ白になっている様子を見下ろせるのも、この時期ならでは。途中にある入笠湿原は、冬になると一面真っ白な雪原が広がり、夏とは違った趣です。広い斜面をヒップそりで滑るのもおもしろいですよ」(サンデイ・石川さん)。

アクセス

JR 中央本線富士見駅から富士見パノラマリゾートまで無料シャトルバスで10分。クルマの場合、中央自動車道諏訪南IC より約4㎞、およそ10分で到着する。

アドバイス

ルート上に難しい箇所はほぼない。途中にある山小屋で休憩することも可能。下山時はゴンドラの最終運転時間に気をつけること。晴れる日が多いので、サングラスやゴーグルも忘れずに。

遮るものがない天空の稜線歩き

8.谷川岳

  • コースタイム:4時間20分
  • 総距離:6.5km(ロープウェイ終点より)
  • 必要な装備:トレッキングポール/チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)/アイスアックス/12本爪クランポン

群馬県にある谷川岳をめざす人気ルート。毎年多くの登山者で賑わっている。「谷川岳ロープウェイを使って天神平スキー場までアクセスし、標高差600mほどで山頂へ到達します。行程も短く、晴れていれば比較的危険箇所も少ないので、安全に登ることが可能です。天気がいいときは鮮やかな空のブルーと白い雪のコントラストが美しく、まるで天空にいるような稜線歩きが楽しめます。

ふたつある山頂のひとつ、オキノ耳から一ノ倉岳を望む。奥に茂倉岳と武能岳も確認できる。

また、風が強いエリアなので自然がもたらす不思議な形の雪のモニュメントに出合えるのも見どころ。山頂に到着すると、遮るものがない360度見渡す限りすばらしい絶景が広がります」(サンデイ・石川さん)。熊穴沢ノ頭をすぎた先で樹林帯を抜けるので、強風をしのげる場所がなくなる。風が強い場合は寒さに注意しよう。

アクセス

雪山初心者はこの景色を楽しんで折り返そうJR 上越線水上駅より谷川岳ロープウェイまでバスで約30 分。クルマの場合、関越自動車道水上ICより約14㎞、およそ30 分で到着する。

アドバイス

日本海からの風がぶつかり荒れやすい山域のため、天候が安定せずガスが出ているときには雪庇に注意。天候の見極めが重要になる。風が強いことも多いので、万全の防寒対策で挑もう。

 

手軽に登れる森林限界以上の雪山

9.茶臼岳

  • コースタイム:3時間20分
  • 総距離:7.5km
  • 必要な装備:トレッキングポール/12本爪クランポン

栃木県にある那須連山の一座で日本百名山のひとつ。付近に連なる朝日岳と三本槍岳とともに、那須岳と呼ばれることもある。無積雪期は那須ロープウェイを利用して山頂直下まで上がることができるが、例年12月から翌年の春まで運行を休止してしまうので、雪山登山では利用できない。

現在でも活動を続ける活火山でもある茶臼岳は、ゴツゴツした岩の山肌が特徴。山頂の奥には白い噴煙を確認できることもある。

そのため、麓から歩いて山頂へ向かう場合は大丸温泉がスタート地点になり、ここから那須岳登山指導所を経由して峰の茶屋跡をめざす。稜線に出てから左手に進路を変えると茶臼岳の山頂はすぐそこだ。「峠の茶屋付近で、南にはこれから向かう茶臼岳、そして北には朝日岳を望むことができます。さらに茶臼岳の山頂に立てば、富士山や飯豊山など、遠くの山々も確認できる見事な展望を楽しめます」(リュネッツ・水戸さん)。

アクセス

JR 東北本線那須塩原駅から大丸温泉までバスで約60 分。クルマの場合、東北自動車道那須IC より約18㎞、およそ30 分で到着する。

アドバイス

装備は基本10本爪以上のクランポンとトレッキングポールがあれば十分。ただし、峠の茶屋跡より手前で風が強いと感じる日は注意が必要。とても風が強い山なので、無理は禁物だ。

キレイな尾根歩きを手軽に楽しめる

10.甲子山

  • コースタイム:3時間50分
  • 総距離:5.0km
  • 必要な装備:トレッキングポール/12本爪クランポン

那須連邦から北に向かって尾根をなぞっていくと現れるのが甲子山だ。スタート地点となる登山口は、山頂から見て東面の麓にある甲子温泉の裏手にある。まずはつづら折りの急登で一気に標高を約300m上げると、猿ヶ鼻に到達する。ここから先が比較的緩やかな尾根道になり、樹林に囲まれながら歩いていく。

左)山頂から望む甲子旭岳。実力を身に付けていつの日か挑戦したい。右)山頂へ向かう途中、樹木のトンネルのなかを登っていく。

山頂直下で甲子峠へ向かう分岐があり、ここをすぎると再び急登がはじまり、標高で50mほど登ると山頂に到着する。「山頂からは那須五峰(茶臼岳、朝日岳、三本槍岳、南月山、黒尾谷岳)を確認できる開けた眺望を楽しむことができます。南西には積雪期にしか登れない甲子旭岳(赤崩山)がありますが、難易度が高いルートなので、雪山初級者にはおすすめできません」(リュネッツ・水戸さん)。

アクセス

JR東北本線新白河駅高原口から新甲子バス停までバスで約40分。そこから徒歩約1時間で登山口に到着する。クルマの場合は、東北自動車道白河ICより約20㎞、およそ30分で甲子温泉大黒屋に到着。

アドバイス

ルート上にはとくに危険な箇所はなく、足元は10本爪以上のクランポン、アイスアックスではなくトレッキングポールで登ることができる。下山後は甲子温泉で汗を流すといい。

 

厳冬期に自然が生み出す氷の華が見られる

11.三峰山

  • コースタイム:4時間40分
  • 総距離:9.0km
  • 必要な装備:トレッキングポール/チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

三峰山は奈良県の東部、御杖村にある日本三百名山のひとつ。標高は1,235mと高くはないが、冬になると樹木にできる霧氷が有名で、毎年多くの登山者が訪れている。登山口からは車道も利用しながら山頂に向けて歩いていこう。よく整備された道なので、危険箇所はほとんどない。

氷の華とも呼ばれる樹木の枝に現れる霧氷が三峰山の冬の名物。鑑賞できる期間は短く、主に厳冬期の1~3月に楽しめる。写真提供:御杖村観光協会

「三峰山は樹林が美しいので一年をとおしておすすめしたい山ですが、冬はとくに霧氷がすばらしい。シロヤシオの群生地である八丁平では、強風が作り出す見事な霧氷林を楽しめます」(ロッジ大阪店・瀧倉さん)。例年、霧氷が見ごろをむかえるシーズンにあわせて、麓にある、みつえ青年旅行村では「三峰山 霧氷まつり」を土日祝日に開催している。地域の特産品なども販売しているので、下山後に立ち寄ってみるのもいいだろう。

アクセス

クルマの場合、京奈和自動車道三宅ICより約54㎞、およそ1時間20分で登山口に到着。例年、土日祝日は近畿鉄道棒原駅より奈良交通臨時直通バス「霧氷号」が運行する(※要問合せ)。

アドバイス

雪が深い場合は6本爪のクランポンが最適だが、山麓では歩きにくい。路面が氷結している場合はチェーンスパイクがおすすめになるが、今度は山頂部の雪道が滑りやすい。適宜、道具を使い分けよう。

厳冬期でも入山者が多い比良山系の盟主

12.武奈ヶ岳

  • コースタイム:4時間
  • 総距離:4.5km
  • 必要な装備:トレッキングポール/チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

滋賀県にあり、琵琶湖の西側で南北に連なる比良山地。その山域の最高峰が、標高1,214mの武奈ヶ岳だ。スタート地点は西側の麓にある坊村の集落。ここから御殿山ルートをたどって、まずは御殿山に登る。さらに北に向かって一度標高を下げるとワサビ峠。この先が武奈ヶ岳の山頂だ。

琵琶湖の対岸から望む比良山地。標高は決して高くないが、雪を被り湖上に浮かぶようにどっしりと構える山容は見応えがある。写真提供:びわ湖大津観光協会

「山頂からは、東に琵琶湖と鈴鹿山脈、西に京都北山、南に大比叡・湖南アルプス、北に伊吹山と白山と、360度山並みを一望することができ、しばし時間を忘れさせてくれる絶景に出会えます。バリエーションを含め複数のルートを楽しめるのも魅力です」(ロッジ大坂・瀧倉さん)。帰路は往路を戻らず、山頂から北尾根を少し降りた地点から北西に派生する通称「細川尾根」を一気に下山するのが近道。ブナ林も堪能できる。

アクセス

JR湖西線堅田駅より坊村バス停までバスで50分。帰りは朽木栃生から南へ歩いた場所にある細川バス停からJR湖西線堅田駅までバスで60分。タクシーでJR安曇川駅へ向かうこともできる。

アドバイス

積雪状況により6本爪クランポン以上の装備が必要。トレッキングポールを持つといい。スノーシューがあれば深雪の上も歩けるので、ルートの途中で遊べるエリアがさらにひろがる。

つなげて歩く見晴らしの良いルート

13.権現山・蓬莱山

  • コースタイム:5時間30分
  • 総距離:6.5km(ロープウェイまで)
  • 必要な装備:トレッキングポール/チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

武奈ヶ岳からさらに南の位置に連なる比良山地の二座をつなげて歩く見晴らしのいいルート。下山にロープウェイを使える嬉しい行程だ。まず権現山の西側にある平バス停から出発し、アラキ峠をすぎると、ほどなくして権現山に到着する。「出発から一時間半ほどで権現山の山頂に着くや否や、視界に琵琶湖が飛び込んできます。そこから蓬莱山に向かって緩い登り下りを歩きましょう。

紹介した行程では下山時にロープウェイを利用するが、逆回りでスタート時に乗車すれば、条件次第で雲海を楽しむこともできる。写真提供:びわ湖大津観光協会

右手には絶えず琵琶湖と鈴鹿山脈を確認することができます。途中にある小女郎ヶ池では凍結した池の上を縦横無尽に歩き回ることができ、これも楽しみのひとつです」(ロッジ大阪・織田さん)。蓬莱山に到着したらスキー場の脇を歩いて打見山へ向かう。ここからびわ湖バレイロープウェイを使えば、一気に山麓駅まで下ることができる。

アクセス

JR湖西線堅田駅より平バス停まで40分。帰りはロープウェイ山麓駅のそばにあるびわ湖バレイバス停からJR湖西線志賀駅まで約10分。

アドバイス

6本爪クランポン以上の装備が必要。アイスアックスではなくトレッキングポールを準備するといい。積雪状況に合わせてスノーシューを持っていくと、さらにルートを楽しむことができる。

らくらくアクセス、低リスクで霧氷を楽しむ

14.富士見台高原

  • コースタイム:4時間20分
  • 総距離:8.5km(ロープウェイ終点より)
  • 必要な装備:トレッキングポール/チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

富士見台高原は、長野県と岐阜県の県境にあり、スノーシューツアーを楽しめるエリアとしても人気が高い。スタート地点は、ヘブンスそのはらスノーワールドのゴンドラとリフトを乗り継いだ先のゲレンデトップ。林道などを利用して比較的なだらかなアップダウンを繰り返しながら、標高1,739mの富士見台に向かおう。

富士見台へ向かう途中、カラマツ林につく霧氷を鑑賞しながら林道を歩いていく。危険箇所はないが、天気がいい日を狙って計画しよう。

「名古屋市から約1時間半で樹氷の世界にアクセスできる好立地がおすすめポイント。富士見台までの行程で、カラマツの林に現れる霧氷など雪山を堪能できる絶景が広がります。積雪が多いときはスノーシューがあると便利で、笹原の上を自由自在に歩いてスノーシューハイキングを楽しみましょう。稜線では南アルプス、北アルプス、御嶽山、白山などを望めます」(アルススポーツ・羽場崎さん)。

アクセス

東京方面からは、中央自動車道飯田山本ICより約14㎞、およそ20分でヘブンスそのはらスノーワールドに到着。大阪や名古屋方面からは、中央自動車道園原ICより950m。およそ2分で到着する。

アドバイス

積雪が多いときはスノーシューやワカンがあったほうが足が沈まないので快適に歩くことができる。ヘブンスそのはらスノーワールドではスノーシューのレンタルも行なっているので確認してみるといい。

国道から簡単にアクセスできる隠れた名山

15.蛇峠山

  • コースタイム:4時間
  • 総距離:7.5km
  • 必要な装備:トレッキングポール/チェーンスパイク(もしくは軽アイゼン)

長野県の南部にある阿智村、阿南村、平谷村の境に位置する隠れた名山。日本百名山を執筆した深田久弥が書いた「百名山以外の50名山」にも名を連ねている。ルートは車道と登山道が入り組んでおり、難しい箇所はない。山頂付近にはかつて武田信玄が使用したと伝わる狼煙台跡がある。

山頂へ向かう蛇峠遊歩道の入り口。林道から外れて樹林帯のなかへ入っていく。厳冬期になると積雪があり、辺り一面が雪に覆われる。

「この山は深田久弥氏が茅ヶ岳で急逝する直前にピークを踏んだ山としても知られています。標高は1,664mと小ぶりな山ですが、適度な積雪があるので十分雪山歩きを堪能できます。冬は国道沿いからスタートするのがおすすめ。狼煙台から広がる。南、中央、北アルプスが一望できる大パノラマを楽しみましょう」(アルルスポーツ・羽場崎さん)。

アクセス

名古屋、大阪方面からは、中央自動車道園原IC より約21㎞。東京方面からは中央自動車道飯田山本ICより約20㎞。いずれもおよそ30分で治部坂高原スキー場に到着する。

アドバイス

積雪が多いときはスノーシューやワカンがあるといい。ところどころ凍結したアスファルト道も通るので、積雪が少なくてもチェーンスパイクなど簡易クランポンがあると安全で歩きやすい。

冬のアルプスを歩く、本格的雪山登山の入門コース

16.木曽駒ヶ岳

  • コースタイム:4時間50分
  • 総距離:4.0km(ロープウェイ終点より)
  • 必要な装備:アイスアックス/12本爪クランポン

駒ヶ根ロープウェイを利用して中央アルプスの日本百名山をめざす。ロープウェイの終点、千畳敷駅から一歩外に出ると、すぐそこが標高2,612mの雪山の世界だ。真っ白な千畳敷カールを登り山頂へ向かう。降雪があると千畳敷カールは雪崩が発生するので、天候はしっかりチェックしよう。

乗越浄土から見下ろす千畳敷カール。スタート地点からここまでに現れる八丁坂の登り下りは、アイスアックスとクランポンが必携。

「雪の急峻なルートや気象条件の悪い冬の稜線など、冬の登山で体験する要素が適度に体験できる、初めて本格的な雪山を楽しむには最適なコースです。稜線に立つと南アルプスをはじめ、北アルプス、八ヶ岳、御嶽山も望めます。ホテル千畳敷を利用して、1泊2日で三ノ沢岳まで楽しむことも可能です」(アルススポーツ・羽場崎さん)。

アクセス

JR飯田線駒ヶ根駅前バス停から駒ケ岳ロープウェイがあるしらび平バス停まで約45分。クルマの場合、中央自動車道駒ヶ根ICより2㎞、およそ3分で菅の台バスセンターに到着。ここで路線バスに乗り換える。

アドバイス

アイスアックスとクランポンは必須装備。樹林がないので風が強いこともあるので防寒対策は万全に。千畳敷カール内は雪崩のリスクが高いので、夏道を避けて必ず冬道を通行することを守ろう。

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PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

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