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収納上手のバックパックは美しい|スペースの効率化と安全性&利便性の向上を目指そう

外側から見ても、他人がどうパッキングしているのか、わからない。だから、どうしてもパッキングは自己流になりがちで、なかなか進歩はしない。しかしコンパクトに、確実に収納する方法はあるのです。収納上手な単独行者を目指そう。

文◉高橋庄太郎 Text by Shotaro Takahashi
写真◉熊原美惠 Photo by Yoshie Kumahara
出典◉PEAKSアーカイブ ソロトレッキング

人それぞれに駆使しているはずのパッキングのテクニック。だが具体的なテクはわからなくても、「うまいかどうか」は一目瞭然だ。ヘタな人はバックパックがいびつで容量ばかりが増え、なのに持ってみると見た目より軽い。対して、うまい人は形がすっきりと整い、小型でもずっしりと重いのだ。

ポイントは装備ごとにコンパクトにまとめ、それらをいかに無駄なスペースをなくしてバックパック内に押し込むか。同時に重要アイテムを防水し、壊れやすいものを確実に保管する。また、緊急時に必要なものは取り出しやすい場所に配置し、バックパック表面への荷物の外付けをできるだけ避けることは、歩行時の安全に大きく貢献する。パッキングは非常に頭を使う行為なのである。

方法はひとつではなく、装備に合わせて臨機応変。状況によって、レインウエアは畳むのか、ポケットに入れるのか?

方法は何通りもある。
ここで紹介するのはあくまでも一例だが、基本技から応用編まで含まれる。自分にとって便利な方法を見つけ出してほしい。

PART.1 大事なものを濡らさず汚さず壊さず

「小さな工夫が大きな差を生む」

重要ギアは安全に間違いなく保管したい。そのためにいくつかの方法を覚えよう。

1 ウエアは第一に“水対策”

着替えの濡れの防止にはドライバッグが簡単。ただしウエアをきれいに入れないと、ドライバッグは圧縮しにくいので注意したい。レインウエアは失くしやすいスタッフバッグを使わず、下の写真のようにたたむ。たとえ雨の後の濡れた状態であっても、これならフード内に大半の水がたまり、ほかのものに濡れが移る量が非常に少なくなる。

着替えは絶対にドライバッグへ。ウエアは大きさをそろえ、厚みを均一にしてたたむとコンパクトに圧縮しやすい。

レインウエアのたたみ方。

1)最初にジャケットを縦1/3くらいの幅に折る。腕も伸ばしたままそろえて並べる。2)その上にたたんだパンツを置き、裾からグルグルと巻いていく。3)そしてフードの中に押し込む。4)フードのドローコードを引けば、内部のウエアが絞られ、フード外に広がることはない。

2 機能的トイレセットを用意

トイレットペーパーは濡れに弱い。そこで表面にガムテープを巻いて防水するといい。ペーパーは中央から引き出して使う。一方の底面にも張っておくと、湿った場所にも置ける。これをメインに小型ショベルと携帯トイレをひとつのドライバッグに入れておくと、どんな場所/状況でも安心なトイレセットのできあがり。

ペーパーは食器を拭くなど、多目的に使える。土が付くショベルは、さらに薄い袋に入れるとより衛生的になる。

3 重要なものは派手な袋に

絆創膏や薬などの濡れると困るものは、やはりドライバッグに。これはかさばりよりもつぶれないことを重視し、内部のものは薄いフォーム材などのパッドで包む。自分以外の人でもひと目でわかるように、色は赤がおすすめ。貴重品も目立つ赤い収納袋ならば、紛失しにくい。

左はファーストエイドのセット。右はカギやクレジットカードなど。山では使わない貴重品をまとめて入れておく。
スマートフォンは専用ケースを使ってもいいが、文庫本にはさみ、ドライバッグに入れると、破損と濡れを同時に防げる。

4 雨の日のテントは?

雨や結露でのテントの濡れは、大半がフライシートのみ。そこで収納時には水分が移らないようにフライとインナーテントを分離。撤収時が大雨ならばコンパクトさよりもスピードを重視し、たたむのをやめ、一気に押し込む。そのために収納袋はあらかじめ大きめがいい。

悪天時、テントはたたんでいるうちにドンドン濡れてしまう。ならばいっそたたまず、袋に素早く入れたほうがマシ。
濡れたフライはビニール袋に入れ、インナーテントと別に。その後スタッフバッグに入れると、インナーテントに濡れが移らない。

5 シューズ系は超軽量トートへ

サンダルをバックパックに外付けする人は多いが、これは後述するようにとても危険。大きいものではないのだから、バックパック内部にしまいたい。その際の袋は「薄い生地で洗える」素材のトートバッグがおすすめ。行き帰りのクルマやバスでは履き替えた大きなブーツも入れられるし、汚れたらすぐに洗える。

布を縫製しただけの超軽量トート。テント周りや小屋でもバッグに使え、テント内では小物の整理にも役立つ。

PART.2 圧縮、束ねる、詰め込む、重ねる……

「無駄なスペースを排除せよ」

パッキングの基本は「コンパクト化」。細かなことの積み重ねが、大きな差に。

1 クッカーの内部を最大限に活用すべし

クッカーは圧縮できないため、内部のスペースをいかに有効に使うかがカギになる。なにを入れてもよいが、同時に使用するバーナーヘッドやカトラリーなどの「食」に関係するものは相性がいい。下の写真は、その一例だ。また食関係にこだわらず、形状が安定していることを利用し、壊れやすいサングラスや電子機器などを入れる手もある。

ガスカートリッジを複数持つ場合、ガムテープで固定するとパッキングしやすい。このガムテープは道具の補修にも役立つので、ガス使用時は缶に巻き直すようにして、きれいな状態で残しておきたい。
クッカーの硬いフタは外れやすく、バックパック内で収納しにくいばかりかほかの道具を傷つけることも。付属品ではなく、伸縮性のあるメッシュ素材の袋に変えると外れにくい。

2 寝袋&マットは、もっと小さくできる!

寝袋はかさばる装備だ。だが一方で非常に圧縮することができ、かつ絶対に濡らしたくないものでもある。コンプレッションバッグを使うのもいいが、防水性が劣るため、ドライバッグによる圧縮をすすめたい。その方法は下の通り。ドライバッグは空気も通さないので、しっかり圧縮さえしてから口を閉じれば、再び空気でふくらむことはない。

1)コンプレッション前のサイズ。この寝袋はコンプレッションバッグが付属し、もともとかなり圧縮してある。だが、より防水力を高めるため、ドライバッグに入れ直す。2)まずは奥まで寝袋の一端を入れる。あとはただ押し込むのではなく、周囲の壁に沿うように手を差し込む。すると壁と寝袋表地の摩擦により、圧縮性が高まる。3)入れ終えたら体重をかけてさらに圧縮。空気を抜いて口を閉じる。4)3シーズン用寝袋が4ℓの袋に。コンプレッションバッグを使わなくても、当初とほぼ同じ大きさだ。
たたんで丸めるマットは、スタッフバッグの中で巻きが緩むとかさばる。だがストラップで束ねるだけで、収納性はアップ。

3 食材選びのキーワードは“縦長”

フリーズドライ食品は軽くて便利だがいくぶん高価。だが生ものを持っていくと、鮮度低下が問題だ。そこで第一に、少しくらいつぶれたり、カットしても日持ちする食材を吟味してみよう。野菜は根菜が腐りにくいが、丸くてパッキングに難がある。その点、細長いものは収納に便利だ。なかでもネギ、インゲン、ニンニクの芽などはかなり日持ちする。高温になりがちな雨蓋部分などには入れないようにしよう。

食材をつぶすのがどうしても嫌ならば、ボトルの中に入れる方法もあり。クッション材をはさめば、タマゴも持っていける。
食材は調理中やテント内でなにかと濡れたり、湿りがちだ。乾きやすいナイロンなどの袋に収納して持ち歩くのがベターだろう。

4 効率よく水を運ぶ

山で飲料水をたくさん持ち歩くには大きめのボトルが必要だが、どうしてもかさばってしまう。カップとの相性を考え、組み合わせて収納することで少しだけでもかさばりを抑えたい。一方、フィルム状の水筒は少々飲みにくいが、飲んだぶんだけ、かさが減るのがメリット。ただし、しっかりとフタを閉めないとバックパック内で圧縮されたときに水が吹き出してくるので、注意したい。

ぴったりサイズを選ぼう!

カップとボトルの口径がピッタリと合っていると、パッキングの無駄をなくすことができる。収納性でいえば、カップの持ち手は邪魔なだけ。ないものか、折りたためるものがいい。
大きい水筒でも形状が変わるタイプのものは収納しやすい。また小型を複数使うと、バックパック内の隙間に押し込むことが簡単。パッキングの仕方と好みによって考えよう。

スタッフバッグは小さめで揃える

各種スタッフバッグを使えば細かな荷物の整理ができ、コンパクトなパッキングを目指すのにも役立つ。ただし、大きいものは内部の荷物が安定しないので、小型のものをたくさん用意しよう。バックパック内では容量1 ~ 8ℓほどが使いやすく、大きくても15ℓ程度があれば充分だ。それぞれの防水性、通気性などの持ち味も考えて選びたい。

防水性

ドライバッグの数々。丈夫な素材のほうが確実に防水性を発揮する。中央は圧縮すると空気が抜けて便利なタイプだが、少々高価。シルナイロン製は傷みやすいが薄くて軽い。

ナイロンやメッシュ

一般的で安価なスタッフバッグはナイロンやポリエステル製。メッシュ製は中身が見やすく、濡れたものを入れるのにも適している。値段や素材の特性で使い分けをしたい。

PART.3 便利で安全、そしてコンパクトさを追求

「実践! 現場主義パッキング術」

小分けした道具が揃えば、バックパックへの最終パッキング。ここがキモ!

1 パッキングは「縦」に!

最重要ポイントはバックパック内のもっとも下部。この部分を「大きな輪」だと考え、縦方向にテント、寝袋、マット、着替えなど「柔らかいもの」をぎゅうぎゅうに押し込み、目についた隙間にも細いペグなどをさらに差し込む。

スタッフバッグに入った装備の多くは細長いので、詰め込みやすいはずだ。そして詰めれば詰めるだけ口径内で圧縮が進み、省スペース化が進む。横に積み重ねると圧縮できないばかりか、装備間の隙間がどこにあるかわからず、デッドスペースが生まれてしまう。

最下部を安定させたあと、その上に順次荷物を重ねていくが、これもできるだけ縦方向に。重いものは上部または背中に近い部分に入れると、全体の重心バランスがよくなる。反対に軽いものは外側に入れることを心がけると、荷物が軽く感じる。

1)1段目となるいちばん下には、細長いものをとにかく詰め込む。1本の指さえ差し込めないほど押し込むと、装備同士で圧迫され、より圧縮が進む。2)2段目も同様。硬いクッカーやガスは圧迫できないが、できるだけ隙間がなくなるように工夫する。隙間には防寒着などを入れてもよい。3)いちばん上には重い食材や水、すぐに取り出したいものなどを入れるようにしよう。
これが「縦詰め」パッキングのイメージ。詰め込みやすいだけではなく、上からは多くの装備を確認しやすく、必要物を取り出しやすいのも大きなメリット装備同士が圧迫!

2 重要ギアをアクセサリーポケットへ

行動中、立ったままで何度も使うことが多いギアは、アクセサリーポケットに入れると便利だ。具体的には地図やカメラ、メモ帳などである。ポケット自体が防水性のものもあるが、開け閉めが面倒なものが多く、それならば防水性の袋を内部に忍ばせておき、降雨時にだけ取り出して収納するほうがなにかとラクだ。

胸のアクセサリーポケットにはカメラを入れると使いやすい。利き手の反対側につけるとラクに手が伸ばせ、すぐに取り出せる。脱落防止にストラップで固定し、内部に防水性の袋も入れて水濡れ対策も万全に。
バックパックに取り付けるアクセサリーは、行動中の体にぶつからない場所のみに付けること。この写真では腕に干渉しているように見えるが、実際に歩くときには当たらない。
細長いマップケースは持ち歩きにくい。そこで腰のポケットに半分だけ入れ、体の前面に固定し、いつでも見られる状態に。これもストラップで落下防止。
腰のポケットには地図やGPSなど。マップケースを使わず、柔らかな防水性の袋に地図を入れ、小さめに折りたたんで入れておくのもよい方法だ。

3 ポケットとファスナー部の有効活用

到着まで使わないものは奥にしまい、行動中に使うものや緊急時に必要なものは、取り出しやすい場所に入れておく。これがパッキングの大前提。バックパックはモデルよって細部が大きく異なるため、右の写真はあくまでも一例だ。雨蓋部分をわざわざ外さなくても必要物が出せるようにパッキングをしておくと手間がかからず、時間も無駄にしない。

フロントのポケットにはレインウエア、ゲイター、バックパックカバーなどの急な天候変化に備えたものをまとめて。
雨蓋には行動食や飲料水が入ったボトルといった休憩中に必要なもの。小屋での受け付けに必要なサイフなども、ここに。
下部にファスナーがあれば、出番は少なくても重要なファーストエイドセットなど、緊急を要する道具を手前側に。

4 「外付け」はやめる!

まるでバックパックを飾り付けるかのように、さまざまな装備を外付けするのが流行っているが、必要品以外は避けておきたい行為。体の感覚より出っ張ったものは周囲に引っかかりやすく、危険個所では非常に厄介だからだ。

サンダルは袋に入れてバックパック内に収納し、ボトルでもせいぜいサイドポケットに収めたい。また、カップ類の外付けも汚れて不衛生なだけだ。引っかかりやすい大きなマットも取り付け方を工夫すれば、危険性は下げられる。

最近人気復活の折りたたみ式マット。手軽で安価だが、収納性は低い。バックパックのボトムに取り付けると下り道で岩にぶつかって滑落の原因になったり、木の枝が茂る場所でも引っかかって体力を消耗する。これはサイドにつけても同様で、とても危険。登山道が広い山や傾斜が緩い山ではいいが、岩場やヤブが深い山ではほかのタイプがいい。
安全な取り付け方は、バックパックの幅に合わせて広げ、フロントに。これなら岩や木の枝に引っかかりにくい。
トレッキングポールをバックパックのループに掛けて持つ人は多いが、緩んで落下しがち。紛失防止にはサイドポケットだ。鋭い先端にはプロテクターを付け、周囲の安全にも注意。雪面用のスノーバスケットは、すぐに使えるようにサイドにつけると便利だ。ポールやボトルはカラビナで固定するか、ヒモを結んで落下の防止を。
サイドのポケットに入れたテントのポールやボトルも、岩場などではよく引っかる。落下させて紛失するならまだしも、バランスを崩して自分自身が滑落する危険も。そこで岩壁がサイドに続く場所では、モノは反対側のポケットに移す。スペースに余裕があれば、危険な場所ではすべてバックパック内に収納したい。

パックライナーという選択肢

バックパック防水のもっともポピュラーな方法は、全体をカバーで覆うこと。だが、どこかしらかの浸水は避けられず、カバーが破れることも多い。その点、巨大ドライバッグとして内部のものすべてを防水するパックライナーを使えば、防水は完璧。ただ大きな生地が邪魔になり、パッキングには少々コツがいる。

購入の際は自分のバックパックよりもひとまわり大きいものを選ぶ。内部ではどうしてもシワがより、ジャストサイズではパッキングに時間がかかる。
大きめのパックライナーならパッキングはスムーズ。上部に余裕があれば、わざわざ丁寧に口を閉じなくても、丸めるだけで防水性は充分だ。
パックライナーを使った際の内部イメージ。レインウエアやゲイターはライナーの外に出しておくと、必要なときにすぐに取り出せる。

私が教えます/高橋庄太郎

アウトドアライター。著書に『トレッキング実践学』『北アルプス テントを背中に山の旅へ』(小社刊)があり、パッキングのテクにはいくばくかの自信も。

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