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骨折かもしれないと思ったときのセルフ手当|サムスプリントを使った処置を知ろう

だれもが山でケガをしたくないと思っているが、万が一負傷してしまった場合、もしひとりだったらどうしたらいいのだろう? 今回は、手首、足首、手の指をケガした想定で、サムスプリントを使用したセルフ手当を試してみた。プロにアドバイスをもらいながら、処置方法をいっしょに学ぼう。

文◉吉澤英晃 Text by Hideaki Yoshizawa
写真◉猪俣慎吾 Photo by Shingo Inomata
出典◉PEAKS 2018年9月号 No.106

サムスプリントとは

骨折の疑いがある負傷部位を固定するために使用するエマージェンシーアイテム。スポンジのような柔らかい素材の間に薄い金属板が入っており、固定する患部の形状に合わせて自由に形を変えることが可能。非常に軽量でたたんで持ち運べるため、携行性にも優れている。

円の形にしたサムスプリントの上にビニール袋を被せれば、簡易バケツを作ることができる。トイレにもなるし、突然の嘔吐にも対応可能だ。

山でのケガと聞くと、転落や滑落などで腕や足を骨折するという大ケガをイメージする人が多いかもしれない。もちろん、このような命にかかわる重大な事故を起こすケースもあるだろう。

しかし実際に多いのは、手首や足首、手や足の指といった部位を負傷する小さなケガだ。これらは転倒や足を捻ってしまった、岩や木に足をぶつけてしまったなど、些細なことで起こりうる可能性が非常に高い。しかし、セルフ手当を行なえば自力下山もできるため、適切な処置を学ぶことはとても大切だ。

一方で、多くの処置方法を覚える前に気を付けておきたい点がある。それが、まずは事故を起こさない、ケガをしないという基本的なポイントだ。実力に見合ったグレードの山登りを計画する、ルート状況を確認しながら歩く、道具を使いこなすなど、基礎的なことを常に心がけることが重要になってくる。

これらを守りながら登山を楽しむことができれば、事故を起こす危険性はグッと減り、ケガをする可能性も減少する。そのうえで、万が一の備えでセルフ手当を学べば、より安全に登山を楽しむことができるようになるのだ。

今回は、出血しておらず、痛みや腫れがあるという想定で手当を行なった。そのため、主に患部を固定する方法を紹介している。手当に使用する救急用品はさまざまあるが、今回は軽くて携帯性に優れており、さらに使いやすいサムスプリントをセレクトした。

プロのアドバイスとともに、しっかりと学んでほしい。ただし、行動不能になるほどの痛みや腫れがある場合に無理は禁物だ。即座に救助を呼ぶか、他の人に助けを求める方法を考えよう。

手当の際の注意点

1 強い腫れ、ひどい変色は骨折の可能性あり

ケガをした場合、その症状を正確に診断することはほぼ不可能だ。しかし、ひどい痛みや変色、強い腫れがある場合は骨折の可能性が高い。そのような場合には患部を無理に動かしてはいけない。状態を維持したまま固定などの手当をすることが重要だ。

2 固定に加えアイシングを

ケガした部位を固定しながら患部を冷やすことも心がけよう。飲み水があれば、それをタオルやハンカチに含ませて、痛みがひどい箇所に当てることでアイシングできる。患部を冷やすアイシングには、痛みを軽減させ、腫れを抑制する効果がある。

3 骨折箇所以外のケガにも注意

ケガをすると、痛みが激しく、出血がひどい箇所に意識が集中してしまう。しかし、落ち着いて全身を確認して、他に痛む場所がないか、出血はしていないか確かめることが重要だ。まず全身のチェックをしてから、優先度を考えて手当を行なうようにする。

CASE.01 手首の骨折

濡れた地面や木道などで転倒してしまい、とっさに地面に手をついてしまった。そんなときに負傷しやすいのが手首だ。実際に山登りの事故では手首を痛めるケースが非常に多い。しかし自力下山は可能なので、ケガをした場合、まずは患部を固定する方法を考えよう。

1. 手首を固定するためにサムスプリントを負傷した右手に沿わせる。ヒジまでカバーする長さで、腕を包むように形状を変形させた。
2. 負傷部位を避けるように、テーピングを使用して2カ所でサムスプリントを固定。手首が動かないように強めに巻き付けた。
3. ヒジまでカバーしたほうが良いと考えてサムスプリントを長めに使用したが、結果的に固定したのは手首の周辺だけだった。

Hasebe’s Check

サムスプリントの使い方を覚えよう

サムスプリントは短辺を曲げることで長辺方向に動かなくなる特徴がある。こうすることで患部を固定できるのだ。まずは正しい使用方法を覚えよう。

必要な長さと巻きつける強さに注意

短くしたサムスプリントを腕に沿わせて、患部を避けてテーピングで固定する。このときに腕が鬱血しないように、巻きつける強さには注意が必要だ。

激しく痛むときは三角巾を使用して腕を吊る

痛みがひどい場合は三角巾を使用して腕を吊る。患部をさらに安静にできるのだ。三角巾の長さや腕を吊る角度は、ラクな状態になるように調整しよう。

サムスプリントの性質を理解して本体を腕の形に変形させることが重要です。また、手首の下に詰め物をするとさらによいでしょう。腕を吊る場合は、三角巾をテーピングなどで胴体に巻きつけると安定性が増し、負傷部位をより安静に保つことができます。

CASE.02 足首の骨折

石に足を乗せた拍子に、それが動いて足首を捻ってしまった。もしくは、下山時の段差で足を置き間違えて転んでしまったなど、足にまつわる事故は非常に多い。足首をケガすると自力下山が難しくなる場合が多いので、重々注意が必要だ。

1. まずは捻挫の可能性を考えて、三角巾で足首を固定する処置を行なった。この手当だけでも、足首の動きはだいぶ制限される。
2. さらに固定する必要性を感じたので、足首を左右から挟むようにサムスプリントを使用して、足の形に合わせて形状を変化させた。
3. 最後にテーピングでサムスプリントを足首に固定した。患部を避けるように、上2カ所、下1カ所で巻きつけた。
4. 手当を終えると足首はしっかり固定されているが、最初に使った三角巾が部分的に患部に当たり、痛みを感じてしまう結果になった。

Hasebe’s Check

処置は極力シンプルに

手当は極力シンプルにしたい。今回のケースでは三角巾を使用せず、サムスプリントだけでも十分固定できる。

三角巾を使う方法も間違いではないですが、できるだけシンプルに手当をすることが大切です。サムスプリントだけを使用すればスネの部分に本体をより密着させることができ、こうすることで足首の可働域をさらに制限することが可能になります。

CASE.03 手の指の骨折

手首と同じ頻度でケガをしやすい部位が指だ。体育の授業で突き指を経験したことがある人は多いだろう。手の指以外にもつま先をぶつけて足の指を負傷する場合もある。いずれにしても、可動域を制限して固定することが重要だ。

1. 指を固定するときに真っ先に思い浮かんだのがボールペンだ。山行記録を残すために持参している人は多いだろう。
2. ボールペンを患部に当て、負傷した指1本をテーピングで固定。これで指が上下に動いたり、曲がったりすることがなくなった。

Hasebe’s Check

サムスプリントは切っても使える

ボールペンなど硬くて長さがあるアイテムも使えるが、サムスプリントを切って使用する方法がオススメだ。

まずは指一本で固定する

サムスプリントを負傷した指に当てて、左右から指を包むように形状を変化させる。まずはこの状態で固定する。

指二本で固定すると安定感が増す

近くの指が動くと負傷した指も動かしたくなってしまう。2本同時に固定すると、無意識に動くことを防げる。

セルフ手当ではその場にあるものを使って処置を行なうことが大切です。サムスプリントがある場合は、切り取っても使えることを覚えておくとよいでしょう。今回は手の指で処置を行ないましたが、足の指をケガした場合にも有効です。

教えてくれた人/長谷部雅一さん

アメリカ発祥の応急救護プログラム「メディック・ファーストエイド」の講習会なども行なうビーネイチャーのプログラムディレクター。登山ガイド資格を持ち山の経験も豊富。

僕がトライしました/ライター 吉澤英晃

探検サークル出身の駆け出しアウトドアライター。登山歴は14年。社会人山岳会に所属して、夏は沢登り、冬は雪山登山など、一年を通して山で遊ぶ生活を続けている。

出典

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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