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山中に温泉が沸いている理由に迫る【Part.2】温泉が生まれるメカニズム

温泉は日本全国随所に点在し、こと登山後に楽しめる温泉地は数知れない。それはなぜなのか? 山岳地帯に温泉が数多ある理由を探ってみたい。

文◉堀内一秀、山本晃市 Text by Kazuhide Horiuchi, Koichi Yamamoto
写真◉鈴木千花、宇佐美博之、後藤武久 Photo by Chica Suzuki, Hiroyuki Usami, Takehisa Goto
イラスト◉藤田有紀 Illustration by Yuki Fujita
監修◉関 豊(日本温泉協会) Supervision by Yutaka Seki

温泉が生れるメカニズム

【火山性温泉と非火山性温泉、生成の仕組み】

温泉成因のメカニズム
日本国内の温泉成因のメカニズムは、「火山性温泉」と「非火山性温泉」がほとんどを占める。一部、箱根などのように噴気に水を当てて温泉としているものもある。ちなみに、人工的なボーリングによる強制的なポンプアップは、温泉を末永く利用するため各都道府県で規制が設けられている。近年では、温泉枯渇防止への配慮がより重視されるようになっている。

温泉生成の代表的なメカニズムは、その産状の違いによって大きくふたつに分けられる。
「火山性温泉」と「非火山性温泉」だ。

「火山性温泉」は、文字どおり火山が直接的に関連する。火山地帯の地下数~十数キロという地底部分にはマグマ溜りがあり(上図)、周辺一帯が1,000℃以上の高温環境となる。

この構造によって周囲の地下水が温められ、地上に湧出した温水が「火山性温泉」と呼ばれている。

一方、「非火山性温泉」は、主に「化石海水型」(上右図)と「深層地下水型」(上左図)がある。前者は地殻変動によって地底に閉じ込められた太古の海水が温められたもの、後者はマグマとは異なる地下の高温岩体により地下水が温水化したもので、それぞれが地上に湧出したものを「非火山性温泉」と呼んでいる。

「化石海水型は、数百年、あるいはそれ以上前にその部分が海であったエリアが多いんですね。深層地下水型は、高温岩体があるからこそ温水化します。いずれにせよ、日本が火山列島であることが遠因となっているといえるでしょう」

日本温泉協会の関氏は、そう指摘する。温泉成因のメカニズムを深くたどっていくと、「火山性温泉」「非火山性温泉」、いずれのタイプも日本が火山列島であることが大きく関連していることがよくわかる。

先述のとおり、温泉形成に不可欠な要素である「熱」の供給源は、もとをただせば火山・マグマによるものなのだ。では、温泉成因のもうひとつの不可欠な要素、「水」はどのように生み出されるのか?

火山地域と非火山地域の地下の温度構造
火山地帯の地下では200℃以上の水や水蒸気が上昇し、大量の熱量を地上に伝播。これが温泉地形成の大要因となる。

雨や雪など地表に降った水分、さらには海水や空気中の水分の一部が地中に浸み込み、地下水となる。地下水は30 ~ 40年かけて循環していると考えられており、これを「循環水」という。この「循環水」の一部が温泉の「水」要素となり、現状では温泉の95%を占めているという。

残りの5%は、地球内部やマグマの中にもともとある「起源水」、または「処女水」と呼ばれるものだ。これは温泉の湧出量が降水量よりも多いことから推測された学説で、現在では「循環水」「処女水」両方とも温泉の「水」源とされている。

地下水が地上に湧出する仕組みは、大きくふたつ。ひとつは断層やプレートの裂け目を通り、地表へと湧出する、いわゆる自然湧出。もうひとつはボーリング(掘削)だ。

「温泉法」により、25℃未満でも一定の成分を含めば温泉と定義されて以来、地下水を汲み上げるボーリングタイプの温泉も近年多々目にするようになってきている。

※資料・データ提供「日本温泉協会」

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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