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軽くても美味い、山ごはんの方程式

さまざまな味がワンプレートに盛られたネパール料理「ダルバート」は、すべての味を混ぜ合わせたバランスを考えて、全体の味が作られるそう。これって、なんだか山の装備を選ぶ作業に似ていると思いません? そこで、ネパール料理を得意とするULハイカーの東さんに、軽くて美味しい料理の作り方を伺ってみました。

文◉池田 圭 Text by Kei Ikeda
写真◉KiiT Photo by KiiT
出典◉PEAKS 2017年3月号 No.88

軽い食事でも、美味しさを諦めない!

もし、あなたが「料理は苦手」と山での食事を諦め気味なら、ちょっと待った。料理を感覚的なものと捉えず、山道具選びのように理論的に考えてみてはどうだろう。

今回、お話を伺った「山食音」の東さんは、以前「PLANT LAB.」という食堂を営んでいた。その旧店名が示す通り、食材をどう使ったら、どんな味が生まれるのかを日々研究し続けてきた人物だ。

「仕事として料理の研究をしてきたのですが、そのアイデアがある日、趣味で続けてきた山で美味しいものを作るための考え方と偶然クロスしたんです」と言う東さんが、基本とする食材の選び方は、主食(炭水化物)+具材+調味料という組み合わせ。

さらに、油分+タンパク質+糖質が含まれることを、味の構成要素の基本方程式と考えると、食材選びの選択肢は失敗せずに広げられるそう。

「発芽したモヤシを移動中に育てながら具材にしたり、糖質を日本酒で代替できないか、なんてことも研究しています。道中の道の駅やスーパーで見つけた食材をどう組み合わせるか考えるのもおもしろいですよ」と、心底楽しそうな東さん。その食材と味の引き出しは、いまも無限に増殖中だ。

道具選びと同じように食材の組み合わせも理論的に楽しめれば、たとえ料理が苦手でも、きっと軽くて美味しい理想のひと皿にたどり着けるはずである。

Point 01

用途に合わせて選ぶ、調理セットは3種類

調理器具は、お茶を楽しむための軽い山行用セット、簡単な食事を作るためのセット、しっかり調理するためのセットと、3つの選択肢を用意している。

お湯を沸かすだけで作れる食事なら、ガスは用いず、固形燃料で済ませれば重量はぐっと抑えられる。クッカーを食器と兼用にしてしまうのも、ひとつの手だろう。

風防を携行し、燃焼効率を高めることも結果的に軽量化につながる。

日帰り山行でお茶程度のミニマムセット

近所の里山へ日帰りで登るなら、ミニマムなお茶セットをセレクト。フォルムが美しいゴトクは「アトリエ雪月花」のものを愛用。

複数泊のグループ山行用は分離式を活用

食事を重視する山行では、分離式バーナーをチョイス。それぞれのクッカーで炭水化物と汁物を、フタで炒め物を作れば豪華な食事に。

食事用はクッカーを少しサイズアップ

一人分の食事用なら、クッカーをワンサイズアップ。燃料は山行次第で、固形とガスを使い分ける。バーナーはチタン製でわずか25g。

Point 02

食材の組み合わせは、主食+具材+調味料が基本セット

料理は、食材を主食、具材、調味料の3つに分けて、その組み合わせを楽しむもの、と考えると苦手な方にもわかりやすいだろう。

東さんは、アルファ米より早く戻る焼き米(ウェブなどで手に入る)をメインに、具材には山行前に旅先で見つけた生食材も取り入れて、組み合わせの妙を楽しんでいる。

ここで紹介した以外にも、主食にパンや麺類をチョイスするのもあり。

調味料で全体のテイストを決める

主食と具材をまとめるのが、味の方向性を決定づける調味料。冒険するのもありだが、コンソメなどスープ系ならハズレがない。

具材は旅先での出合いも重視

具材は乾物を組み合わせる。ここに、旅先で見つけた食材を追加する。もちろん、干し肉、魚介系乾物を取り入れてもいい。

主食は食感の違いを組み合わせて楽しむ

焼き米、チウラ、蕎麦の実、キヌアなどを好きな分量で混ぜて使用。混ぜることで食感の違いが出て、飽きずに楽しめる。

Point 03

油分+タンパク質+糖質が失敗しない方程式

次に考えたいのが、味の構成要素。油分+タンパク質+糖質のバランスが、旨味を生み出す方程式だ。

油分を含む肉や魚介を入れるならば油を足す量を控えてみたり、スープなどのダシを入れないなら少量の砂糖で旨みを足してみたりと、自分なりの黄金率を探す作業は楽しい。

中華系、エスニック系の乾物は要チェック

普段から乾物をリサーチしてみると、山で便利なものが見つかるかも。写真の干しタケノコ、油で揚げると美味な豆煎餅パパドゥもおすすめ。

山行内容次第では袋飯が便利

簡単に食事を済ませるなら、事前に主食と具材、調味料をひと袋にまとめた「飯袋」を作ると便利だ。山ではお湯を注ぐだけでOK。

山では良質の油をしっかり摂取するべし

食材に油分が少ない場合は、カロリーを補うためにも油を多めに使う。食事が冷めづらくなる効果もあり、山で役立つテクニックだ。

Point 04

こんなところも東さん流

既存のものをそのまま使うのもいいが、ちょっとしたひと工夫を施せば、料理はより手軽に美味しく楽しめる。東さんのラボで日々研究が進められている実験の一端をご紹介しよう。

既製品の道具を自分なりに少しカスタムして使う感覚、と言ったらハイカーにもわかりやすいかな?

自作する発酵系乾燥食材って?

旨味を多く含む自作の乾燥食材も研究中。塩を抜いた葉物の漬物の乾物は、齧るとじんわり旨味が広がる新感覚の乾物だ。

油と塩がご飯を美味くするコツ

焼き米を戻す際に、油を少々と塩ひとつまみを入れると食べやすくなる。アルファ米を戻すときにも使えるテクなので覚えておきたい。

小さな小分け袋も作っちゃえ

ちょうどいいサイズの小分け袋がないなら、シーラーで小分け袋を自作するのもあり。簡易なものなら100均でも手に入るぞ。

実際に作ってみました!

具沢山トマトスープライス

主食、具材は食感の違いを意識して選べば、お好みでOK。トマト味をベースに、クミンとニンニクでアクセントを加えた。塩、コショウは味を整えるためにお忘れなく。

材料(少なめ1食分)

  • 主食…80g
  • お好みの乾物
  • トマトペースト…1袋
  • 油…大さじ1
  • 塩…3g
  • コショウ…ひとつまみ
  • ニンニクチップ…ひとつまみ
  • クミン(お好みで)
  • 水…340㎖

作り方

1:クッカーで160㎖のお湯を沸かし、焼き米を戻す(4分ほど)。

2:同じクッカーに具材をすべて入れ、残りの水180㎖を加えて火にかける。

3:トマトペーストを入れ、味見をしながら塩コショウで味を整える。

完成!

4:油を入れる。最後にお好みでクミン、ニンニクチップを加えて完成!

Point

主食は80g。手の平に載る量が目安

一食分の主食の量は、少食な人なら80gを目安にするといいだろう。東さんは、その日の行動時間によっては倍の量を食べることもあるそう。

水は体積で1対1を目安に戻す

焼き米やクスクスを戻す水の量は、体積で1対1が目安。混ぜる食材の割合もすべて同じ分量から始め、好みで足し引きを試すといい。

スープで戻しても美味!

スープを多めに作って米を戻しても美味しい。米に油を入れることも忘れずに。油はチューブで携行すれば寒さで固まっても絞れる。

山食音

「山と道」のギアとウエア+自主レーベルのカセットテープ音源を取り扱うヴィーガン食堂として、さまざまなジャンルの人々が交流する注目店。

京都府京都市上京区河原町通今出川梶井町448-13
清和ビル2F-A
www.facebook.com/yamashokuon/

東 岳志さん

「山食音」店主。ロングトレイルから里山まで、幅広いタイプの山行を楽しむ。雪が降ればテレマークスキーも。お米好き、お酒好き。

出典

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PROFILE

PEAKS 編集部

PEAKS 編集部

装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

PEAKS 編集部の記事一覧

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