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アウトドアウエアメーカーの環境への取り組みを知る(後編)|未来のフィールドのために

主要なアウトドアウエアメーカー各社の環境への取り組みについての聞き取りを行なった。「自然環境を守るために、どんな取り組みをしていますか?」。私たちの子どもや、さらにその子どもたちが、私たちと同じく自然を楽しめるように、私たちユーザーはいまなにをすべきか、なにができるだろうか。いっしょに考えていきたい。
文◉伊藤俊明 Text by Toshiaki Ito
イラスト◉藤田有紀 Illustration by Yuki Fujita
PEAKS 2020年11月号 No.132

未来のフィールドのために【インシュレーション/フリース編】

メーカー独自で厳しい基準を設置

ダウンやウールのような動物由来の原料を使用する分野では、倫理的であることと動物愛護の観点が重要視されるようになっている。創業からダウン製品を手がけるイギリスのマウンテンイクイップメントは2016年に「ダウンコーデックス」という基準を設け、自社が扱うダウンを厳格に管理している。

ダウンコーデックスが定めるのは、「すべてのダウンは食用として人道的に処分された家畜から採取する」ことや「生存している家畜からのダウンの採取はしない」ことなど6つの項目。同社にダウンを供給するためには、これらの基準を遵守し、IDFL(International Down and Feather Laboratory) の監査を受けたのちに取引を開始する。

その後も立ち入り検査や抜き打ちの検査を最低でも年に1回は行ない、監査は継続的に続く。高品質なダウン製品は、いまやかくも貴重だ。そしてその希少性は、今後さらに高まっていくかもしれない。

マウンテンイクイップメント/クリオスジャケット

撥水ダウンもPFCフリーの時代

濡れに弱いという弱点を補った撥水ダウンは、すっかり当たり前の存在になった。多少の雨なら気にしなくてもいいダウンジャケットや、結露も怖くない寝袋は本当にありがたい。ダウン製品をリリースするメーカーのなかには独自の加工を施しているところもあるが、多くのメーカーが採用しているのが「ニクワックス・ダウン」。

ニクワックス・ダウンは、同社が手がけるメンテナンス・ケア製品と同じくPFCフリー。多くの撥水ダウンがいまだPFCの撥水剤を使用するなか、一歩先んじている。

ガチョウの落としものを大切に製品に仕上げる

ウエスタンマウンテニアリング/フラッシュジャケット

生きた鳥の羽をむしるライブピッキングの禁止や、食用に処分された鳥の羽のみを使用するなど動物愛護に根ざしたダウン採取は定着しつつあるが、より理想的な方法でダウンを集めるのがアメリカのウエスタンマウンテニアリングだ。同社は、東ヨーロッパで繁殖のためにガチョウを育てる牧場からダウンを調達している。

牧場では日中ガチョウが営巣地を離れている時間に、巣に落ちている羽毛を拾い集めるのだという。軽くハイロフトな製品のなかに、驚くほど原始的な方法で集めたダウンが詰まっている。

ついに実現した生分解ポリエステル

ザ・ノース・フェイス/スウィートウォータープルオーバーバイオ

プリマロフト・バイオは、ついに登場した生分解性の合成中綿用素材だ。しかも100%リサイクルでつくられている。生分解とは普通に着ていても劣化はしないが、土の中や水の中のような特定の条件下ではバクテリアによって分解される性質のこと。この素材はバクテリアを引きつけるよう繊維を最適化しているという。

たとえば土中に埋めるシミュレーションでは、646日間で93.7%が分解された。同条件で埋めたポリエステルは、わずか1.1%しか分解されなかった。
この冬から展開されるバイオを真っ先に使ったのがザ・ノース・フェイスだ。同社はインシュレーションウエアではなく、フリースウエアをつくった。

なぜか? それは、洗濯で抜け落ちるマイクロファイバーが海の中で分解されてほしかったからだ。さすが! プリマロフトが行なった海洋シミュレーションでは、639日間で65.5%が分解されている。

ユーザーにもできるマイクロファイバー対策

ポーラテックが製品化したパワーエア

最近認知された環境問題が、紫外線や波に砕かれて生まれるマイクロプラスチックと、洗濯などでウエアから抜け落ちるマイクロファイバーの問題。とくにマイクロファイバーは、日常的にフリースを愛用するわれわれにとって看過できない問題だ。

これに真っ正面から取り組み、従来のフリースと比べてマイクロファイバーの流失を5分の1に抑えたのがポーラテックのパワーエアだ。

パタゴニア/グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ

パタゴニアでは、ドイツの非営利団体「STOP! MICRO WASTE」が製造する「グッピーフレンド・ウォッシング・バッグ」を販売している。マイクロファイバーをキャッチできるように、内側を滑らかに仕上げたナイロン製の洗濯袋。われわれでも実行できる取り組みだ。

独自のウール中綿は人気商品の端切れでできた

スマートウール/スマートロフト-X60フーディ

スマートウールもまた、環境対策に積極的に取り組むメーカーだ。メインの素材であるウールは、ニュージーランドで厳格につくられているZQメリノを使用。化学繊維をブレンドする製品では、できるかぎりリサイクルポリエステルやナイロンを採用する。

ユニークなのが独自のウール中綿「スマートロフト」で、こちらはリサイクルウール。人気アイテム、メリノ250のパターンを切り出す際に生じた端切れを集めて裁断、プレスしてつくっている。

製品の環境への配慮を店頭のスタッフにも知らせる

アウトドアリサーチ/ヘリウムダウンフーディ

RDS(Responsible Down Standard)は、ダウンやフェザーが動物愛護に根ざして適切に採取されたものであることを保障する認証。タグを見たことがある人も多いだろう。アウトドアリサーチもRDSダウンを使うメーカーだが、同社はさらに、製品を扱うディーラーに独自のシートを配布している。

シートはその製品がどういう点で環境に配慮しているかを明確にしたもので、たとえば写真の製品は「ブルーサイン認証の素材」と「RDS認証のダウン」にチェックマークが付く。シートにはほかにも「リサイクル素材」「PFCフリー撥水加工」などの項目があり、製品のサスティナビリティがひと目でわかるようになっている。

地球のための選択肢を提供する新しい国産ブランド

スタティック/アドリフトジップフーディ

ウエストコム、クラックスなどを取り扱うスタティックブルームは今年、「地球のための“ 選択肢”を提供する環境配慮型ブランド」として「スタティック」を立ち上げた。この秋登場した写真の製品は、エコテックス認証を受けた国内工場で製造するフリースを使用。

バイオマス(植物由来)の染色を行ない、生地を作る際のゴミはリサイクルに回している。苦労の末に見つけたファスナーはYKKの「ナチュロン」。テープもエレメントもリサイクルポリエステルでできている。

環境負荷軽減と機能を両立

ピークパフォーマンス/アルゴンジャケット

ピークパフォーマンスのアルゴンジャケットは、サスティナブルな同社のものづくりを象徴するモデル。表地と中綿、裏地のすべてにリサイクル素材を使っている。中綿はイタリア・サーモア社のものを使用。

特徴的なバッフルは縫製や圧着ではなく、表地と裏地を編み込む二重織りによってつくりあげている。環境負荷を抑えながらも機能や使い勝手は妥協していないのは、さすが。リサイクル・イノベーション製品として、2019年のISPO金賞を受賞した傑作だ。

未来のフィールドのために【ベースレイヤー編・その他】

自社の天然由来素材製品でつくる小さくも美しい循環

使い古したウエアが時を経て美味しいメニューに生まれ変わる。プロジェクトは循環型デザインの美しさを「体験」として提供した。フーディニ/ウィメンズアウトアンドアバウトシャツ

スウェーデンのフーディニは、大量生産や大量消費をよしとせず、シンプルで長く使えるものづくりを信条としている。環境問題への取り組みは創業当初から積極的で、2019年にはすべての製品にリサイクル素材、リサイクル可能素材、生分解性素材、ブルーサイン認証済み素材のいずれかを使用するなど、実践的、かつ持続的な活動を続けている。

同社の環境活動のなかでもユニークなのが、2016年にスタートした「フーディニ・メニュー」だろう。このプロジェクトは、フーディニの天然由来素材を使用するウエアをコンポストに入れ、そこでできた肥料で野菜をつくり、その野菜を使った料理をレストランで提供するというもの。

生分解性を維持するために、フーディニは天然由来素材の製品には化学繊維を混紡しておらず、だからこそ小さいながらも美しいこの循環が完成した。YouTube に「The Houdini Menu」という短い動画が上がっている。ちなみに同社は、天然由来素材の中古ウエアも資源として再利用することを推奨しているが、興味がある人はコンポストへ。

小さく刻んで混ぜ込めば6カ月から12カ月ほどで土に分解されるという。

羊のストレス緩和に早くから着手したブランド

アイスブレーカー/200オアシスロングスリーブクルー

ニュージーランドのアイスブレーカーは、2008年に羊へのミュールジングを禁止した。ミュールジングとは、蛆虫の寄生を防ぐために子羊の臀部の皮膚と肉を切り取る手術のことで、一般的に無麻酔で行なわれる。

いまでは多くのブランドがノンミュールジングのウールを使うようになったが、他社に先駆けての取り組みだった。羊をめぐる仕事が国の重要な産業でもあるニュージーランドでは、健康でストレスのない環境で羊を育てることを義務づける「ZQメリノ」という認証があるが、現在、ミュールジングの禁止はそのなかにも盛り込まれている。

のびのびと育ったZQメリノの羊毛は、健康状態が悪い羊の毛に比べて直径が均一で高品質といわれている。

電気と水でウールを洗うクリーンな代替技術

ポイント6/ハイキングミックスストライプミディアムクルー

ウールは通常、大量の水と塩素などの化学薬品で洗浄・下処理されるが、アメリカのポイント6は、電気と空気の力でこれを行なっている。オーストラリアのスードウォールグループが開発した「ネイチャーテックス・プラズマ」は、プラズマ処理によってウール繊維表面のスケールを変化させ、洗濯などによるフェルト化を防ぐ新しいクリーニング技術だ。

水や化学薬品に頼らず、さらに電力は再生可能エネルギーを使用。ブルーサインとエコテックスの認証も受けており、クリーンで持続可能な代替技術として業界で注目を集めている。

貴重な羊毛を無駄にしない職人のリサイクル技術

「原料」は色を揃えてまとめられる。ティートンブロス/ファラロンシャツ

愛知県の一宮を中心とする尾州地区は日本最大の繊維産地。とくにウール製品の製造が盛んで、尾州のウールは、世界でもイタリアのビエラと並び称されるほど高く評価されている。ティートンブロスには、尾州のウール製造技術を活かした「MOB(Masters of Bishu)」というシリーズがあるが、写真は、尾州に古くからある「毛七」でつくられるシャツ。

毛七とは再生羊毛のことで、使わなくなった衣類を集め、一度綿状に戻して再び繊維として蘇らせる。着古したセーターや裁断くずのような原料は人の手でよりわけられる。このとき色を揃えることで染めなくても使える環境負荷の低い糸ができる。

再生羊毛は、毛が7割だから毛七。原料を綿に戻すと繊維が短くなるが、化学繊維で補うことで強度があり、風合いの良い糸がつくれる。半世紀前から伝わる職人の知恵だ。

自然のなかで遊ぶためになにをすべきか

オリジナルマウンテンマラソン(OMM)は、山岳マラソンやファストハイキングを想定したウエアやギアを揃えるメーカー。本国イギリスで1968年から開催されている山岳マラソンレースがそのままメーカーの名前になった。

このOMMレースは近年日本でも行なわれるようになり、ナビゲーションをはじめとする「山の実力」が試されるイベントとして人気を博している。その一方で懸念されるのが、多くの参加者が特定のエリアに集まることによる環境へのインパクトだ。

本国イギリスでは専属のエコロジストを起用してイベント前と後の環境を調査し、レポートを公表している。調査は6つの段階で行なわれ、生態学的に影響を受けやすい地域は立ち入り禁止にするなどして環境へのダメージを軽減する。自然のなかで遊ぶことの責任とはなにかを学ぶ、ひとつの好例だ。

適切に採取されて正しく使われたウールの証

ダーンタフ/ハイカーブーツソックスフルクッション

RWS(Responsible Wool Standard)は、P.113で紹介したRDSと同じく国際的に活動する非営利団体テキスタイルエクスチェンジが管理・運営する認証。画期的なのはウール牧場からウエアメーカーに至る、サプライチェーンのすべての事業所に認証を義務付けていることだ。

ウールが動物愛護の精神に根ざして適切に採取されていることを保証するのはもちろんのこと、そこから先の調達を担うトレーダーや、製糸工場、製織工場やウエアメーカーまで、適切にそれを扱っているかも監査する。

つまり、このタグがついていれば、不当な混ぜ物が入っていたりする心配もないということ。ウールをメインに扱うメーカーでは、ダーンタフがこのRWS認証を受けている。スローライフ発症のアメリカ東海岸で生まれたソックスブランドだ。

愛着あるウエアをゴミにせず再生の環に加わろう

着なくなったウエアを回収してリサイクルする取り組みは各社が手がけているが、ここではゴールドウインの「グリーンサイクル」を紹介したい。ゴールドウインでは、ザ・ノース・フェイスなどの直営の店舗に回収ボックスを設置し、自社以外の製品もその質や状態にかかわらず回収している

。回収後のリサイクルは、欧州や北米を中心に63カ国で古着と靴の回収事業を展開する「I:Collect」(通称I:Co「アイコ」)や、「あらゆるものを循環させる」をテーマに日本環境設計が行なうリサイクルプロジェクト「BRING」とも連携して展開。

使えるものはリユースに回し、そうでないものはリサイクル工場を経由し、原料にして、たとえば東レのようなサプライヤーに届ける。大きな企業も参加する大きな循環。ウエアを持参するごとに500 円のクーポンがもらえるのもうれしい。

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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