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大峰山脈・大峯奥駈道|百名山の八経ヶ岳、女人禁制の山上ヶ岳を連ねる信仰の道 〜その1〜

西日本の山のなかで、もっとも奥深く、歩き甲斐があるロングコースはどこになるのか? そのひとつの答えが、大峯奥駈道。奈良県を中心とする大峰山脈につけられた歴史ある古道だ。今回は、百名山あり、女人禁制の区間ありの、この山域の最重要区間を2泊3日で歩いた。

文◉高橋庄太郎 Text by Shotaro Takahashi
写真◉矢島慎一 Photo by Shinichi Yajima
取材期間◉2016年5月19日~21日
出典◉PEAKS 2017年5月号 No.90 

信仰の道

5月の新緑のなか、大峰山脈の稜線を行く。奥駈道出合から行者還避難小屋までは草地に木々が茂り、コース中でもとくに美しい場所だ。

なんだかぜんぜんイメージと違うぞ!? もっと重々しい雰囲気が漂い、神妙な気持ちで歩かねばならないかと思っていたというのに。これは今回のコースのためなのか、それとも絶好の天気だからか……。

行者還トンネル横の登山口から標高を上げる。

「紀伊山地の霊場と参詣道」として、2004年に熊野古道や数々の寺社仏閣ともに世界文化遺産へ登録された「大峯奥駈道」。

歴史を感じる道標。

起点と終点は奈良の吉野山と紀伊の熊野三山になり、その歴史はゆうに1200年。急峻な坂道、険しい岩場を連ねる山道には古くから修験者が行き交っていたという。

テント泊装備を奥駈道出合にデポし、身軽に八経ヶ岳へ。

現在の奥駈道は登山道としても利用されている。百名山のひとつとされる八経ヶ岳や大普賢岳への山頂往復程度であれば日帰りも可能だが、稜線の大縦走となると一筋縄ではいかない。

弥山の天河奥宮にお参り。

なにしろすべて歩き通そうとすれば、全長約170㎞。健脚であっても、1週間近くかかるだろう。僕は以前から奥駈道を一気に歩く計画を立てていた。

弥山付近から見る八経ヶ岳は堂々としている。

だが、「一気」にこだわると、いつになるかわからない。そこで方針を変え、とりあえずは奥駈道の一部を、いわゆるセクションハイクで体感してみることにした。

道端に祭られたお札。奥駈道では見慣れた光景だ。

「信仰の道」という重いイメージはどこに!? 快晴の大峯奥駈道はじつに解放的!

これを何度か繰り返せば、いずれ吉野山から熊野三山までがつながるのだ。

八経ヶ岳山頂。控えめな山頂標がいい。

まずは行者還トンネルの近くから大峰山脈の稜線に登り、はじめに八経ヶ岳へと南下する。

山頂標の傍らには、錫杖のレプリカ。

テント泊は北部の行者還避難小屋前を想定していたため、大半の荷物は分岐点にデポし、サブパックだけという身軽さだ。

弥山小屋の近くにはふっくらとした苔で覆われた場所も。

そのために足取りは早く、5月のきれいな新緑のなかを進んでいると、あっという間に弥山に到着。寄り道して天河神社奥宮に手を合わせると、すぐさま八経ヶ岳山頂へと転進した。

行者還避難小屋前でテント泊。一部の登山地図ではテント場とされていないが、実際には宿泊可能だ。

先に書いたように、八経ヶ岳は百名山のひとつとされている。だが「日本百名山」に記載されているのは、正確には「大峰山」。

崩れかけた登山道が出現。これが奥駈道らしい険しさなのか。

「広義の大峰山」は、これから歩いていく予定の山上ヶ岳から弥山、八経ヶ岳までの一帯を指し、その最高峰が「八経ヶ岳」なのである。

>>その2はこちらから

大峰山脈・大峯奥駈道|百名山の八経ヶ岳、女人禁制の山上ヶ岳を連ねる信仰の道 〜その2〜

大峰山脈・大峯奥駈道|百名山の八経ヶ岳、女人禁制の山上ヶ岳を連ねる信仰の道 〜その2〜

2021年05月19日

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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