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売り切れゴメン!アイアンメスティン開発秘話【PGL備忘録#2】

山岳専門メディア「PEAKS」の下部組織「PEAKS GEAR LABORATORY(PGL)」では、多種多様なアウトドアギア(主に付録)の研究開発を日々行なっている。

その研究室長である朝比奈耕太が、ギア開発過程を通じてのあれやこれを記す備忘録。

今回は、3月31日に発売となった「CAMP TOOLS メスティンレシピBOOK」の特別付録「アイアンメスティン」についての話し。

自宅のキッチンでガスコンロでもオーブンでもIHでも調理可能(レンジだけ不可!)。でも、やっぱり、野外の焚き火で愛してあげて

出版業界史上、(たぶん)最大重量の付録完成!

この半年、精魂こめて制作したアイアンメスティンをようやくみなさんにお披露目することができた。おかげさまで販売成績は絶好調!オンライン書店では発売当日に欠品となり、各所への追加補充に追われている(それにしても転売ヤーはなんとかならんのか!)。

そもそもの話でいえば、メスティンを鉄鋳物でつくることはこの数年間考えていたことだ。トランギア社のアルミ製メスティン自体、僕がアウトドアの雑誌媒体に関わることになった30年近く前から販売されていて、その歴史はここでは割愛させてもらうけど、正直に言うと優先的に使おうと思ったことはない。焦げつきやすさと収納性の観点から、ほかにいくらでも高性能なクッカーの選択肢があったからだ。それがこの数年のソロキャンプブームから状況は一変。値頃な価格と料理の写真映え、手軽なイメージもあって、市場在庫が品切れになるほどの人気商品となったことはご存じの通り。

そこで、である。発想を転換して山旅ではなくキャンプに振りきり、しっかりとした調理ができる鉄鋳物にすれば、多少重くても便利なソロ用調理器具としてありなのではないかと再認識したのだ。前回のCAMP TOOLS付録「クラムシェル・ミニダッチ」で鉄鋳物に初挑戦して、開発上のポイントは理解していたのだがひとつ大問題が。それが厚さ3cmの壁である。

サイズは約9.5(縦幅)×18(横幅)×5.3cm(高さ)。持ち手は別体で使用時に差し込んで使用する。この深型を付録で実現できて感無量

細かい内容は省くが、一般的な雑誌の付録にはいくつかのルールがある。本からはみ出さず、厚さは3cm以内、そして、荷崩れしないようにしっかりとした梱包をすることなど。モノが薄い場合はビニール包装でもOKだけど、ある程度の付録規模になると段ボール箱に入れる必要がある。クラムシェルミニダッチの評判のなかで、もっと深さがほしいという声はよく聞いた。でも、この箱の厚さ3cmが付録の可能性を制約してきたわけで、どうしようもないと諦めていたのだ。なので、アイアンメスティンもオリジナルEC商品として開発するつもりだった。

しかし、あるとき他社の媒体で圧倒的に分厚い付録を発見した。さっそく取次会社(出版流通の元締め)の担当者に問い合わせてみると、どうやら知らぬ間にルール改正が行われていたことが判明。早く言ってよ!である。そこからは試作品の開発を猛スピードで着手。同時に梱包方法を取次関係者と綿密に打ち合わせした。なんせ、想定重量2kg。配送中に荷崩れでも起こしたら文字通り事故である(雑誌業界では納品・発売に間に合わない流通遅延のことを“事故”と呼ぶが、それとは別のリアル事故……)。

アイアンメスティンの場合、3Dプリンターによる試作品制作は都合5回を数えた。とにかくこだわったのが本体と蓋の接合精度。ガタつかず、かつ熱膨張しても問題のないクリアランスは職人の方々の経験値による部分が大きい。心から感謝を申し上げたい。できあがった本生産品は完璧な仕上がりと自負している。

アイアンメスティン料理選手権もスタート

盟友、アウトドアコーディネーターの小雀陣二さんからもお墨付きをいただき、今回のレシピ開発にも協力してもらった。どちらが付録かわからないとの声も大きい本誌のレシピ集だけど、3名のアウトドア料理の専門家にご協力をいただき、レパートリー豊かなメニューが出揃った。ぜひ、掲載している料理を試していただき、アイアンメスティンの可能性を見出してほしい。そして、自信ありの一品が仕上がったのなら、現在開催中の「アイアンメスティン料理選手権」にも投稿・ご参加を!

同じ場に集ってのワイワイはなにものにも変え難いけれど、ソロでの活動をSNSでワイワイやるのも意外とオツなものだ。そうコロナ禍は教えてくれたのだから。

優秀作にはオリジナルギアをプレゼント!「アイアンメスティン料理選手権」

「CAMP TOOLS メスティンレシピBOOK」の発売を記念して、恒例の料理選手権を開催します。写真でも動画でも投稿はOK!ふるってご参加ください。

詳細はこちらから!

 

朝比奈耕太(あさひな・こうた)

PEAKS GEAR LABORATORY(ピークス・ギア・ラボラトリー)研究室長。アウトドア業界に関わって四半世紀、その間に培った知見でオリジナル商品を多数開発。PEAKS / CAMP TOOLS 編集長を兼務する。

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PROFILE

朝比奈耕太

フィールドライフ, PEAKS / フィールドライフ編集長

朝比奈耕太

PEAKS GEAR LABORATORY(ピークス・ギア・ラボラトリー)研究室長。アウトドア業界に関わって四半世紀、その間に培った知見でオリジナル商品を多数開発。フィールドライフ / CAMP TOOLS 編集長を兼務する。

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PEAKS GEAR LABORATORY(ピークス・ギア・ラボラトリー)研究室長。アウトドア業界に関わって四半世紀、その間に培った知見でオリジナル商品を多数開発。フィールドライフ / CAMP TOOLS 編集長を兼務する。

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