BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ
  • Bicycle Club BOX

佐渡の大地を1泊2日で余すことなく楽しむ! 大佐渡縦走で大満喫の山旅へ

日本海最大の島、佐渡島。海に囲まれた佐渡ではシーカヤックやダイビングなどのアクティビティが楽しめるのはもちろん、南北に連なる山脈を歩く、登山好きにはたまらない本格的なトレッキングが楽しめる縦走路がじつは存在する。300万年の歴史を感じる極上のアイランドトレッキングと、佐渡の豊かな風土に育まれた食材を味わえる魅力たっぷりのジオツアーに参加してきた。

文◎阿部 静 Text by Shizuka Abe
写真◎加戸昭太郎 Photo by Shotaro Kato

佐渡の大自然を余すことなく楽しむ至極の山旅へ。

日本海側に浮かぶ、新潟県西部に位置する佐渡島。約300万年前ごろにふたつの島が隆起して、つながってできたとされ、北の大佐渡山地、南の小佐渡丘陵からなる。縦走登山を存分に楽しめるのはおもに大佐渡山地で、なかでも島内でもっとも標高の高い金北山(1,172m)までの縦走路は登山好きにはたまらない本格的なトレッキングが楽しめる人気のルート。花の時期は多種多様な花々が咲き乱れ、多くの登山者でにぎわいを見せる。

しかし今回はあえて、夏がすぎて秋の訪れを感じられる、静かな佐渡の縦走路を歩く。1日目はアオネバ登山口からスタートし、尻立山を経由してドンデン山荘で宿泊。夜はアウトドアイタリアンディナーを満喫し、2日目は金北山までの縦走路をたっぷり歩く。本格登山と佐渡の大地を味わい尽くせる1泊2日のジオトレッキングツアーだ。先日リリースされたばかりのツアーのみどころを余すことなくお届けしたい。

佐渡アウトドアベースで腹ごしらえ。

佐渡汽船のジェットフォイルで新潟港から約1時間。佐渡の玄関口となる両津港から歩いて4分、佐渡でのアウトドアアクティビティの拠点となるスポット「佐渡アウトドアベース」から旅は始まる。

併設されるカフェで提供されるホットドッグとドリンクで腹ごしらえ。この2日間の旅をアテンドしてくれる佐渡島トレッキングに長けたガイドさんと合流し、トレッキングに必要な装備だけを持って、さっそく出発。登山に不要な荷物は先に山小屋に運んでもらえるので、身軽に楽しめるところもこのツアーの魅力だ。

佐渡アウトドアベースではカフェやアウトドアショップが併設されるほか、更衣室やシャワールームも完備。これからアクティビティに向かう際の拠点として利用できて便利

1日目・アオネバ登山口~尻立山~ドンデン高原ロッジへ。

1日目は佐渡登山路の人気ルートのひとつ、アオネバ登山道からスタート。車で標高296mのアオネバ登山口まで向かい、歩きはじめる。まだまだ夏のよそおいが感じられる緑豊かなトレイルを、美しい渓谷に沿って歩いてゆく。

暖流と寒流の接点にあるため、北方から南方までの植生が混在し、日本列島の植生の縮図ともいわれ、森のなかでは植生に富んだ景色が楽しめる

「アオネバ」の由来って?

登山道の名前にある「アオネバ」。なんだか不思議な名前だけど、これは一体なにを意味しているのだろう?

「答えを探してみてください。きっと見つかるはずですよ」

ガイドさんに聞いてみると意味深げな答えが返ってきた。答えを探してみる? ということは山中にあるものなんだな、と、辺りに気を配りながら歩いていると、アオネバらしきものを発見!

「もしかして、コレですか?」

「はい、正解です!」

アオネバの正体は青い粘り気のある粘土質の土だった。アオネバ登山道のトレイル上でこの粘土層が多く見られるので、この呼び名が付けられたとか。

「アオネバ」を手で触ってみると非常にネバネバで粘土みたいな不思議な感触。登山道で発見できたらぜひ触ってみて!

スギの原生林群もお出迎え。

このトレイルでのみどころのひとつでもある、スギの原生林の森。佐渡の山中深くには原初からのスギの原生林が多く残り、積雪や強風に耐えながら何百年と生きながらえてきた巨木群の生命力には圧倒されるだろう。また冬季に積雪のあるこの山域では、雪の重みで枝が地面に倒れ、それが根っことなり樹木が更新される「伏上更新」もみられる。となりあう木が一見別々の樹木に見えてもじつは根っこで繋がっている兄弟ということ。日本海側のスギにみられる興味深い特性は必見だ。

アオネバ登山道の道中ではこのようなスギの巨木がいたるところで見られる。太古の森の鼓動を感じてみよう

美しき秋のドンデン山へ。

アオネバ十字路をすぎ、車道を越えてドンデン山へ。ドンデン山とは尻立山を含む、この高原一帯の総称とされている。「ドンデン」の名前の由来は複数あるようだが、曇りの天候に変わりやすいことから由来する「曇天」や、使えなくなった田んぼを指す「鈍田」、この広々とした開放的な景色におどろいたさまを指した「どんでん返し」など、どの由来もなんだか納得してしまう。

アオネバ十字路からドンデン池まで向かうまでのトレイルはがらりと一変。みごとな湿原風景が広がっていた。ススキや“佐渡のエーデルワイス”ともいわれるヤマハハコなどが群生した、しっとりとした秋景色。哀愁を感じさせるこの風景に心が震えた。

アオネバ十字路から20分ほど歩き、ドンデン池に到着。池の畔でおやつタイムを楽しむ。ガイドさんが用意してくれた、温かいコーヒーと紅茶、それから佐渡のおいしいお菓子。美しい景色を楽しみながらの休憩は幸せな時間。

ドンデン池から尻立山へラストスパート20分。本日のハイライトといっても過言ではない見晴らしの良い縦走路。秋に移り変わろうとする景色が魅力的だ。

標高740mの尻立山山頂に到着! 山頂からはドンデン高原一帯が見渡せる。6年前まで酪農農家がドンデン高原で牛の放牧を行なっていて、ヨーロッパの山々のような牛のいる風景が見られたのだとか。またいずれ放牧を再開するという話もあるそうで、近い将来に期待できるかも!?

ドンデン高原ロッジでアウトドアイタリアンディナーを満喫。

尻立山から歩いて20分。本日の宿泊地、ドンデン高原ロッジへ。車でアクセスできて、佐渡登山の拠点に最適な山小屋。ロッジには風呂もあり、電源コンセントも完備。テラスからの眺めは絶景で、佐渡の平野部から海まで一望できる。その眺めを楽しみながらいただくアウトドアディナーが、このツアーの目玉のひとつでもある。

ロッジの屋外テラスに設置されたディナースペースと焚き火。テラスから望める雲海や、ゆっくりと暮れていく山の時間を楽しみながらディナーを待ちわびる。

地元産にこだわった食材でつくる絶品イタリアンを自然のなかでいただく。

ドンデン高原ロッジのシェフによるツアーオリジナルのスペシャルディナー。佐渡産の食材をふんだんに使用したイタリアンのコースディナーを山の上で絶景の夜景とともに楽しめる。

食事とともに提供される日本酒は佐渡や新潟の酒蔵でつくられた、こだわりの逸品。ワインもイタリアンにぴったりのものが提供され、よりいっそう味わいが引き立つ。

こちらは佐渡黒豚のパテドカンパーニュと、佐渡産の野菜サラダを添えた前菜。ワインに非常に合う逸品。

焚き火台の上で煮込まれていたのはブイヤベース。佐渡でとれた地魚の旨みがたまらない。この旨味が凝縮されたスープを活用したリゾットもいただける。これまた絶品だ。

メインディッシュは佐渡黒豚のロースト。じっくり調理されたローストポークを、シェフが目の前でスライス。最後の盛り付けを実演してくれる。

食後には華やかなデザートも。アイス、ムース、パンナコッタ、タルトと、どれもとろけるおいしさ。十分にお腹は満たされていたはずなのに、やっぱりデザートは別腹。コーヒーといっしょにペロリといただいてしまった。

雲海はいつのまにか消え去り、眼下にはライトアップされた佐渡の町並みと両津湾の夜景、海にはぽつりぽつりと漁火が浮かぶ。ここでしか見られない、ドラマチックな景色をアウトドアディナーとともに満喫した。

食後はコーヒー片手に焚き火を囲んでまったりすごす時間も楽しい。天気が良ければ秋の夜空には満天の星が瞬き、いつまでも眺めていたくなる幸せなひとときだ。おいしいディナーと最高の夜景と星空に満たされて。翌日の登山への期待を胸に、暖かい布団で眠りにつく。

2日目・ドンデン高原ロッジ~金北山へ。

2日目はロッジでビュッフェ形式の朝食をいただき、今回のツアーのメインともいえる大佐渡縦走登山へ。ドンデン高原ロッジを出発し、約7時間の行程をたっぷりと歩いて金北山山頂を目指す。

金北縦走路入口からしばらく森のなかを歩いてゆく。秋の始まりでも森のなかの植物は依然として青々とした勢いが残り、秋の陽射しで鮮やかさが増す。森の香りに包まれながら、少しずつ標高を上げていく。

出発から1時間ほど。視界が抜け、「マトネ」に到着。「マトネ」とは「真の尾根」という意味で、峠の分水嶺にあたる場所を指しているそうだ。そしてここから絶景稜線の縦走路がはじまる。

絶景稜線の大佐渡縦走路に大興奮。

稜線上は前日のドンデン高原の草原風景とは一変。標高1,000m程度にすぎないものの、冬の季節風の強風により背の高い植物が生育できず、北アルプスなど標高2,000mほどの山域のような亜高山帯の植生が見られるようになる。「赤ザレ」や「青ザレ」などと呼ばれる特徴的なザレた斜面の山々が見られるダイナミックな景色は圧巻だ。稜線の両サイドには外界府と内海府が見渡せ、ここが島であることを思い出させる。島登山の魅力を感じざるをえない、みごとな光景だ。

地元名産の行動食を見晴らしのいい尾根の上でいただく。

「真砂の峰」で休憩。ガイドさんからふるまわれたキュウリに、地元の老舗のこうじ屋・塚本こうじ屋さんの味噌と甘酒をいただく。たっぷり歩いた体においしい味噌と甘酒が染みる! 元気がみなぎるふるまいがうれしかった。

絶景の稜線歩きもクライマックス。「イモリ平」「イラツボ沢のコル」「天狗の休場」など独特な地名のポイントをすぎ、一旦森のなかへと下ってゆく。

役行者像と理源大師像が草むらのなかにぽつり。金北山は金剛山、檀特山とともに佐渡の三大霊山とされ、かつては女人禁制の修験の山で「三山駆け」が行なわれていたそう。このふたりも修験者として訪れていたようだ。

「鏡池」「あやめ池」とふたつの池をすぎ、ふたたび登り坂。ラストスパートとばかりにふんばって25分。パッと空が開ければ山頂は目前。

金北山山頂に建つ金北山神社を参拝。

1,172mの山頂についにたどり着く。山頂に堂々と建つのは金北山神社のお社。山頂におじゃまする際、神社にもご挨拶。下山まで無事に見届けてもらえるよう、旅の安全祈願も。

地元食材を使ったこだわりのサンドイッチで山頂ランチ。

山頂までたっぷり歩いたあとは腹ごしらえ。ガイドさんが用意してくれた、地元の絶品食材を使ったこだわりのサンドイッチをいただく。佐渡島内にある天然酵母を使った「ポッポのパン」に挟むのは、佐渡の方言で“頑固者”を意味する店名「へんじんもっこ」のこだわりのハム。それから「佐渡乳業」の農場ナチュラルチーズ。地元で採れたレタスも挟めば、絶品サンドイッチのできあがり。眺めの良い山頂の景色も手伝って、至福のランチタイムをのんびりと楽しむ。

山頂からは国仲平野や加茂湖、内海府まで佐渡の東側が一望できる。佐渡の大地を目で見て肌で感じた2日間。この雄大な景色を眺めながら、旅の余韻に浸っていた。また、ここへ来よう。そう思わずにはいられない、何度でも訪れたくなる魅力が、この島には詰まっているのだ。

今回参加した「SADOジオトレッキングツアー」の詳細はコチラ!

雲上ロッジで星空と夜景を楽しむアウトドアディナーツアー
アイランドガイドと歩くSADOジオトレッキング

ツアー開催期間:2022年10月14日~2022年11月10日
料金:¥94,800(1人)
定員:4人
最小催行人数:2人
対象年齢:中学生以上
HP:
https://www.enjoysado.net/experience/detail.php?eid=320

SHARE

PROFILE

阿部静

PEAKS / 編集・ライター

阿部静

たっぷり歩くテント泊の縦走登山や雪山登山、クライミング、アイスクライミング、沢登り、テンカラ、バックカントリースキーなど、なんでもやりたい人。ライフワークは魚突きと山の湯探訪、狩猟採集にまつわる取材。

阿部静の記事一覧

たっぷり歩くテント泊の縦走登山や雪山登山、クライミング、アイスクライミング、沢登り、テンカラ、バックカントリースキーなど、なんでもやりたい人。ライフワークは魚突きと山の湯探訪、狩猟採集にまつわる取材。

阿部静の記事一覧

No more pages to load