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アークテリクスが取り組むサーキュラーエコノミープログラム、ReBIRD

世界的に持続可能社会をめざす活動が広まるなか、アークテリクスの取り組みは、デザインの力で製品自体のライフサイクルを延ばし、循環させること。それが「ReBIRD」プログラム。昨秋からスタートしたこの取り組みを紹介する。

編集◉PEAKS編集部
文◉寺倉 力
写真◉宇佐美博之

アークテリクスが考える「サスティナビリティプログラム」とは?

精緻な製品開発で知られるアークテリクスは、これまで世界のアウトドア用品をリードする革新的で機能的なプロダクトを生み出してきた。それとともに、創業以来こだわってきたのは、製品の堅牢性と耐久性の追求。丈夫な製品はフィールドでの安全性と快適性に直結し、同時に製品自体が長持ちすれば、それだけ環境負荷軽減にも繋がるからだ。

アークテリクスの循環型社会への取り組みも、じつはこのシンプルな考え方に基づかれている。当然、製造工程での環境負荷軽減も推し進めているが、それ以上に、製品のライフサイクルが長ければ、それだけ原料消費と製造工程、物流などによる環境負荷の軽減に繋がるという発想だ。

これをさらに推し進めたのが、サスティナビリティプログラム「ReBird(リバード)」である。製品のライフサイクルを引き延ばすだけでなく、製品のライフサイクルそのものを循環させることが主旨だ。

プログラムには3つの柱があり、ひとつが製品のメンテナンスやリペアの「ReCARE(リケア)」。続いて製品の下取りと再販プログラムの「ReGEAR(リギア)」。三つ目は、廃棄対象製品をアップサイクルする「ReCUT(リカット)」だ。

製品に翼を与え再び空へ誘う。それが「ReBird」プログラム

「ReBird」プログラムは、2021年5月にカナダのアークテリクス本社で立ち上がった。日本では昨年(2022年)10月からで、3つの柱のうちリペアや修理を請けおう「ReCARE(リケア)」が先行して稼働している。

公式ウェブサイトには「ReBird」プログラムの詳細が紹介されているが、実際のオペレーションは東京駅に近い「アークテリクス 東京 丸の内ブランドストア」内に設けられた「ReBirdサービスカウンター」のスタッフが担当している。ニューヨーク、トロント、北京に続く世界4番目の専門カウンターで、9月には大阪・心斎橋でオープンを予定している新店舗にも設置される予定だ。

2023年秋、銀座・心斎橋・福岡にオープン。アークテリクスの国内直営店は16店舗に

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2023年08月02日

「ReBirdサービスカウンター」のサービスを受けるには、基本的に公式サイトから受付日時を予約し、当日は来店のうえ、スタッフとフェイストゥフェイスでやり取りを進めることになる。サービスカウンターでは製品の修理受付のほかに、修理に関するさまざまなアドバイスや、メンテナンスの方法なども伝えている。それ自体が大事なプログラムの一環だからこそ、オンラインではなく対面にこだわっているのだ。

その際、ファスナーのプルタブやストッパーなどのパーツ交換や、生地の小さな傷にパッチを貼るといった軽微なものはその場で無償修理。それ以上が必要な場合は預かりとなり、修理代の見積もりは後日修理センターから送られる。なお、修理箇所や内容によっては修理できないこともある。

ゴアテックス製品の洗濯というサービスもある

メンテナンスに関しては、有料の「洗濯サービス」というユニークなキャンペーンを実施している。アウトドアブランドが顧客からウエア製品を預かり、契約しているランドリーで洗うというサービスは、ほかに聞いたことがない。費用は1着2,000円から。受付は「ReBirdサービスカウンター」と、全国13カ所の直営店の店頭になる。

有料で、直接直営店に持ち込むというシステムにもかかわらず、約1カ月の間に、全国の店舗で計500着前後の申し込みがあったという。

自宅の洗濯機で洗えば簡単なのに、と思うなかれ。アークテリクスのシェルは、すべてゴアテックス素材で作られているのだが、いまだにゴアテックス製品の洗濯には抵抗感がある人が少なくないという。

手軽に洗濯機で洗えることを知らなかったり、洗い方に不安がある人も多いようだ。そうしたゴアテックス製品洗濯への敷居を下げ、洗濯の重要性を伝えることも、むしろ、この点が大きな狙いだったりする。

PFCフリーってなに? 変化の時を迎えた、シェル素材の撥水加工。

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2021年10月21日

というのも、シームテープ剥離や水漏れといったゴアテックス製品の故障の多くは、洗濯や乾燥といった必要なメンテナンスが足りていないことが原因だという。実際、「修理依頼で持ち込まれる製品は、圧倒的に洗濯された気配がない」という。アークテリクス以外でも、いくつかのアウトドアブランドの担当者から聞いた話だ。

要するに、ゴアテックス製品の洗濯は製品寿命を左右する大事な要素であり、それはまさに「ReBird」プログラムで取り組むに値する、ということだ。

「ReBird」プログラムはまだはじまったばかり

「ReBird」プログラムがスタートして半年が経ったいま、社内ではどう自己評価しているのだろうか。また、この先はどんな展開をみせるのだろうか。アークテリクスのマーケティングマネージャー、林克洋さんに話を訊いた。

——「ReBird」プログラムの現状、進捗状況などを教えてください。

林:丸の内の「ReBirdサービスカウンター」では、今年に入ってからは毎月100名以上のお客様を迎えています。これまで一番多かった月は、3月で160人超。やはりウインターシーズンが一段落したタイミングで、メンテナンスに出そうと考えた方が多かったのでしょうね。この先はおそらく夏山シーズンが終わった秋が混み合いそうです。内容的には、ゴアテックスのアパレル製品がほぼ50%で、バックパックが20%、インサレーション製品とソフトシェルパンツがそれぞれ15%です。

——「ReBirdサービスカウンター」はこの先も直営店で増やしていくのですか?

林:もちろん、それは望ましいところですが、ある程度のスペースが必要なので既存の直営店にいますぐ追加するのは難しい。また、一定の広さが必要なのでこの先オープンする新店舗にもれなく、というわけにもいきません。今年の10月までの間に、銀座、大阪、福岡に新たな直営店がオープンする予定ですが、そのなかでは大阪の心斎橋店のみになります。

——「ReBird」の残り2つについてはいつごろからスタートしますか?

林:次に日本で始めたいと考えているのは、製品の下取りと再販プログラム「ReGEAR」です。基本アパレルに限られますが、お客様が使っていた製品を有償で引き取り、それをしっかりレストアして、新品の30%オフくらいの価格で再販する。すでに北米はスタートしていて非常に好評ですし、日本でも始めたいところですが、製品の回収システムや、リペアセンターの準備などがあるので、すぐ来年というわけにはいきません。

——「ReCUT」についてはいかがでしょうか?

林:「ReCUT」にはいくつかのパターンがあります。たとえば、工場出荷前の最終チェックで商品としての基準を満たせなかった製品を、工場内でリメイクし「ReCUT」製品として販売する。または、生地が完全に剥離してしまったジャケットは修理ができないため、痛んでいない部分の生地を使って、ポーチやティッシュボックスなどを作る。その意味では「ReBird」プログラムの最後の砦、ゴールキーパーのような役割です。ただし、生産量を予測できないため、ストアのオープンやイベント時のスペシャルプロダクトのような販売に留まっています。

——プログラムスタートから半年強ですが、どう評価されていますか。

林:プログラム自体は、具体的な数字としての目標は掲げていないんですよ。とくに現在国内で展開している「ReCARE」サービスでは、最終的には数字を増やすのではなく、たとえばシェルの「洗濯サービス」のように、お客様ご自身が自分の家でメンテナンスできることを知り、より高い頻度で洗濯していただくことが目的ですからね。その意味では、少なくとも1カ月で500着前後のゴアテックスウエアがこのサービスによって洗濯されたことは、それだけ理解が広まったとプラスに考えています。

“ReBIRD”を公式ページでチェック

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PEAKS 編集部

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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