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岩稜帯を歩くには?ツルギやヤリに登る前に要チェック!

剱岳や奥穂高岳、不帰キレットなど、北アルプスの岩稜帯エリアを歩く場合には、それ相応の装備と技術、気を付けるべきことがある。この夏初めて岩稜帯を歩く人や不慣れな人は、とくに参考にしてほしい。

編集◉PEAKS編集部
文◉阿部 静
写真◉鈴木千花
監修◉佐藤勇介

教えてくれたのは

山岳ガイド/佐藤勇介さん

日本山岳ガイド協会山岳ガイドステージⅡ。一般登山からアルパイン、クライミングまで、あらゆる山をガイドする。個人山行では5月末にデナリ南壁カシンリッジへ。クライミングジム「カメロパルダリス」も経営する。

STEP1:岩稜装備の基本

岩稜帯エリアはほかの登山道とは異なり、危険度が増すため、安全な場所で身支度を整えてから向かうようにしたい。テントやマット、ドリンクボトルなど、バックパックに外付けしているものがあれば中にしまい、靴紐がほどけないようにしっかりと結ぶ。ヘルメットを正しく装着する。陽射しが強ければ、キャップではなくサングラスをかけるようにする。服装は、足さばきがよく動きやすいタイトめな服装が理想で、足まわりの快適さを意識しよう。

バックパック

岩稜帯を歩くときは出っぱった岩などの障害物もあるため、引っかかりのないシンプルなバックパックを選ぶといい。縦走時でも軽量化を意識し、外付けを極力避けること。装備はパックの中に収めよう。

ヘルメット

北アルプスの岩稜帯のほとんどがヘルメット着用奨励山域に指定されており、落石や、もしもの滑落の際に頭部を守ることができる重要装備だ。自分の頭に合った形状を選び、岩稜帯に入る前には装着する。

被り方のNG例。よく見かけるのが後傾気味になり、おでこが出すぎてしまっている被り方。頭に対して垂直に被り、あご紐もきちんと留めること。

ヘルメットの携行方法

NG携行例。ヘルメットを固定させずにぶらぶらさせないこと。登山中の障害となり、事故につながりかねないし、ほかの登山者の迷惑になる。

バックパックへの取り付け例。あご紐をパックのサイドベルトに通し、しっかり固定させる。専用のホルダーを使って固定するのもアリだ。

グローブ

岩稜帯では積極的に手を使って登るシチュエーションが多く、ケガをする可能性も高まるためグローブを装着したい。手のひらが滑りづらくなっている革製のもので手首が留められるものがベスト

シューズ

岩稜歩きの際は岩に立ちこんだときに滑りにくく、グリップ力がある、ソールの爪先部分に「クライミングゾーン」があるものを選びたい。縦走の場合はミッド~ハイカットのシューズを選ぶといい。

STEP2:歩くときの注意点

岩稜帯では、ちょっとした不注意が大きな事故のもとになりかねない。道幅が細かったり、ガレていたり、手元や足元が悪かったり、高度があるなど、不安定で危険と隣り合わせな環境ゆえ、一般的な登山道のようにはいかないだろう。そのため注意すべきこともたくさんあり、いつも以上に緊張感をもって歩く必要がある。ふだんの登山では当たり前にやってしまっていることも岩場では危険につながる行為となるため、要チェックだ。

①浮石に注意!

浮石に体重をかけてしまうと、落石を起こしてしまう危険性や、自身がバランスを崩してケガをすることも。脆そうなホールドがあったら叩いてみる、浮石の可能性があれば軽く体重を乗せて確かめるなど、注意を払う。

②すれ違い時のマナー

基本は登り優先だが、岩場の場合はそのときの状況によって判断しよう。待つ人は斜面の山側で待ち、バックパックは通行人のじゃまにならないように壁側に向けておく。なるべく広くて安全な場所で待つようにしよう。

③小物は外付けNG!

ドリンクボトルやカメラなどの小物をカラビナやドリンクホルダーなどで外付けするのは岩稜帯では避けたい。登る際に自身の障害になるばかりか、小物が岩に当たって落としてしまうこともあり、周囲の人にも迷惑がかかる。

④視界は良好に!

岩稜帯を登る際は、手がかり、足がかりを目視できることが重要だ。キャップやウエストポーチを身に着けていると、それだけで見上げたときや足元の視界が狭まってしまい、危険を伴うこともあるので装備は極力シンプルに

⑤トレッキングポールは収納!

岩稜帯に入る前にトレッキングポールは収納すること。その際にゴムバンドがあると、バックパックのウエストベルトに装着できて便利。折りたたみ式でコンパクトになるものを選ぶ。パックと背中の間に差し込む方法も有効だ。

万が一の停滞時は……

岩稜帯で急な雷雨に遭ってしまったとき、逃げ場がないときはひとまず停滞するしかない。濡れた岩は滑るので慌てずに、雨宿りできるようなハング状の場所を探し、ツエルトに包まってやりすごす。

STEP3:岩稜帯の歩き方

ここでは岩稜帯で安全に歩行するための基本的な動作を紹介するが、いきなり岩場に取り付かず、登る前に手がかりや足がかりをよく観察し、登りやすいところを見つけてから登り始める。岩に取り付くと視野が狭くなってしまい、自分の現在地を見失ってしまいがちなので、登る前にルート全体を把握しておくことも大切だ。また、岩場は土の登山道に比べると踏み跡が残りづらく進行方向を間違えやすいので、進むべき方向を明確にしてから登るとよい。

岩場の登り方

岩場を登るときは三点支持の姿勢が基本だ。手足4本のうち3本で身体を支え、残る1本で次の一手へと移動する。そのときの姿勢は上半身を起こし、壁に身体を近づけないこと。あまり腕の力に頼らず足で立ちこみながら、三点支持で重心のバランスを保つ。足幅は広げすぎず、高く上げすぎないように。

登り方のNG例。これだと上半身が壁に近すぎてしまい、身体の動きが制限されてしまうとともに、視野も狭まってしまう。

ホールドの持ち方

なるべく持ちやすい手がかりを探して手のひら全体でしっかりと岩を握り込むようにする。手がかりは、あまり遠すぎない範囲で、目線の高さで探るのがベスト。強く握り込みすぎず、腕の力だけで登らないように気を付ける。

足の置き方

足裏全体をベタっと置かずに足の親指に重心を乗せ、爪先でしっかりと乗り込む。このほうが細かい足場にも安定して乗り込むことができる。また、遠くに乗ろうとすると身動きが取りづらくなるので近場で探すようにする

足裏がベタ置きになっているNG例。この足の置き方だと伸びあがりづらい。またガニ股になるとベタ置きになりがちなので膝はまっすぐにする。

岩場の下り方

岩場からなるべく上体を離し、足元を見ながらうしろ向きに下る。怖いからと岩場にへばりつくと足元が見えなくなるうえ、身動きが取りづらい。足場を確認するときは肩越しからうしろに振り返り、たしかめる。いい足場を見つけたら、少しずつ重心移動させる

足場の確認のNG例。股の間から覗いてしまうと急斜面に見えてしまい、足がすくみ、一歩が出しづらくなってしまうのでやめよう。

トラバースの歩き方

トラバースするときも、基本は三点支持の態勢で。上体を起こし、岩に上半身が近づきすぎないようにする。手を出すよりも足を先行させ、徐々に重心移動させる。山側の足は進行方向に向け、シューズのエッジを効かせる。谷側の足の爪先はやや開く。

 

NG例。上半身が壁に近づきすぎていて、足よりも手が先行してしまっているため、三点支持のバランスが崩れ、不安定な体勢になっている。

クサリ場の注意点

登山道に取り付けられたクサリは完全に信用してはいけない。なぜなら風雨により錆びたり劣化して、脆くなっていることもあるからだ。支点がしっかりしているか、グラグラしないかなどの支点の確認を、体重をかけるまえに安全な場所で行なうようにしよう。

クサリの支点が見える場合は支点を目視し、劣化具合を目で確認する。下から登る場合には体重をかける前
にクサリを引っぱってテストし、安全性を確かめる。

こんな手がかりには要注意!
ほかにも信用してはいけない手がかりがある。劣化したロープは代表例で、いかにも摩耗しているものは頼りにしないほうがいい。木の枝を使う際も、目視とテストにより安全性をたしかめよう。

弛んだクサリの場合
クサリ場ではさまざまな状態のものがあるが、ときにはダルダルに弛んでしまっているクサリもある。そんなときは完全にクサリに頼ってしまうと振られてしまうので、補助程度に使うように心がけよう。手前を弛ませないように、軽く引きながら、真下にテンションをかけるようにする。崖側には身体の重心が流れていかないように注意する。

ハシゴの注意点

ハシゴを登るときも三点支持の体勢を忘れずに、上半身は起こし、身体がハシゴに近づきすぎないようにする。肩幅ぐらいの幅で両手でハシゴを掴みながら登るが、しがみつかず、足幅も狭めすぎず、肩幅ぐらいにする。

 

※この記事はPEAKS[2024年7月号 No.166]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。

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