いま、マルチに使えるファニーパックがアツい!サコッシュのあの煩わしさを解消できて、ロングトレイルハイカーにも支持されている
PEAKS 編集部
- 2024年07月26日
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バックパック軽量中型モデルを検証
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好評発売中「PEAKS 2024年9月号(No.167)」より、誌面記事の一部をご紹介します!
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腰に巻くことが基本のファニーパックは、使い方の豊富さが特長。
行動中、バックパックを背負ったままでも使いやすい小型サイズを集めてみた。
編集◉PEAKS編集部
文◉ポンチョ
写真◉後藤武久
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小型&スマートになって’90年代スタイルが戻ってきた
ファニーパック、ウエストパック、ランバーパックなどなど、呼び方はいろいろあるけれど、いずれも腰に装着できる小型バッグ。
四半世紀前、北米のトレイルで大きな腹の白人ハイカーが、そして日本の中高年百名山ハンターが小物入れとして使っていたもの。正直にいえば、カッコ悪い山スタイルの象徴だった。どんなに便利だとしても、アレはないなと思っていた……。そのバッグが、一周まわって気になる山道具として戻ってきた。
’00年代後半、パーゴワークスの前身ブランドがショルダーハーネスに吊り下げるチェストバッグを発売。ハイカーの小物入れの新定番となった。そのDNAを受け継ぎ、チェストバッグにもファニーパックにも、そしてサコッシュ的ショルダーバッグにもなるマルチバッグを、私は長く愛用。街でも山でも機能する名品だ。
そして、この10年で広まったのが、ULスタイルの小物入れ、サコッシュだ。軽さとシンプルさは、UL派でなくても登山で使いやすい。必要最小限の容量は、重くなりすぎない。でも、シンプルさを極めて、ストラップの長さ調節ができないとブラブラしてしまうのが難点……。
ちなみにサコッシュは、北米ULハイカーの愛用品ではなく、日本で独自進化したもの。北米ではファニーパックがハイカーの小物入れの主流。その実際を知った日本のハイカーがUL素材&経験を落とし込み、ファニーパックのよさが知られるきっかけをつくった。その代表が、ヤマダパックスとミヤゲン。プラットフォルムは、小型モデルの可能性を示す。
現在のファニーパックは総じて小さめ。装着性の高さと出し入れのしやすいものに進化。古くて新しいスタイルを試したくなる製品揃いだ。
1 プラットフォルム/スペアポケット
パカっと開く開口部。見た目以上の収納力。
宮城県仙台市に拠点を置くガレージブランド。’90年代的スタイルのウエストポーチを、ちょうどよい小ぶりサイズに仕上げた。出し入れ、中身の確認がしやすいように口が大きく開き、収納物が揺れないように横から見ると三角形状でボトム方向にテーパーをかけている。コンパクトだけれども、山と高原地図を折らずに収納できる大きさは、ハイカーがデザインしたモノの証。ULギアの影響も受け、シンプルさが気持ちいい。
- ¥6,380
- 重量:40g
- サイズ:W19×H13×D7㎝
- 容量:約1ℓ
- カラー:ブラック/ダイニーマグリッドストップ、他4 色
- (問)プラットフォルム
2 オガワンド/ラップサック
ウエストハーネスと干渉しないサコッシュ型ファニーパック。
ただ軽いだけでなく、軽く使える独自のアイデアが光る東京・神楽坂に工房のあるガレージブランド。このファニーパックは、本体にストレッチ素材を採用。腰に巻くことで広い開口部が自然に締まり、収納物の脱落を防ぐ。腰巻型サコッシュとも表現できるが、サコッシュ型ファニーパックと呼ぶのが使い勝手に近い。バックパックのウエストハーネスとも干渉せず、違和感もなく、ジャケットの裾下に装着できるのが、いい!
- ¥4,510
- 重量:42g
- サイズ:W42×H19㎝
- 容量:約1ℓ
- カラー:レッドオークル、他10 色
- (問)オガワンド
3 ハイテールデザイン/ザ ウルトラライト ファニーパックv1.5
デザイン重視と思いきや想像以上の装着性&使い勝手!
DCF素材にポップなプリントを施し、アーティストとのコラボ商品も多い米国バージニア州のULブランド。このファニーパックもその流れを汲むポップさが最大の特長だと思って腰に巻いてみると、見た目だけでなく、機能性もしっかりと考えられた装着性のよさに感心。小物入れとしてはちょっと大きめの容量だが、500㎖ボトルも収納できるので、アタックザック的に軽快に山頂を目指すことに使えるサイズ感も秀逸だ。
- ¥16,940
- 重量:63g
- サイズ:W24×H13×D7㎝
- 容量:2ℓ
- カラー:バブルガム、他9 色
- (問)ムーンライトギア
4 ヤマダパックス/ファニーパック
左右肩掛けが選べ開口部は斜め配置。
山形発のガレージブランド。創設者が、2018年に北米ロングトレイルPCTスルーハイク時に自作したファニーパックをベースに制作。ミニマムだった容量は、500㎖ペットボトルも収納できる大きさに変更。本体生地も強度を上げ、ストラップのテープも肩の食い込みを減らす幅広へ。斜めに大きく開く開口部は、左右のどちらの肩に掛けるかで仕様を変えて対応するこだわり。UL的ながら、経験に基づいた使い勝手を重視する。
- ¥6,000
- 重量:110g
- サイズ:W42×H13×D9㎝
- 容量:1.3ℓ
- カラー:ブラック
- (問)ヤマダパックス
5 マタドール/フリーレイン ヒップバッグ
パッカブル&防水だけじゃない高いフィット感に驚く。
パッカブルのトラベルバッグで評判の米国ブランド。とくにバックパックは、パッカブル=簡易的という常識を覆すフィット感。そしてこのファニーパックも同様、装着性の高さと高機能が特長。ロールトップの開口部、シール処理された本体防水生地で高い防水性を装備。スマホやバッテリーなど行動中に濡らしたくないガジェット類の収納に最適。コンプレッションストラップも備え、走ってもブレないフィット感は驚き!
- ¥8,360
- 重量:115g
- サイズ:W25.4×H12.7×D7.6㎝
- 容量:2ℓ
- カラー:ブラック
- (問)エイアンドエフ
6 ミヤゲン/オブシパック
多くのファニーパックを研究。使いやすいサイズで機能充実。
愛知県岡崎市の創業90年の酒店でありガレージメーカーで、遠くまで歩くためのギアを手がける。北米ロングトレイルPCT挑戦時、多くのハイカーがファニーパックを愛用しているのを見て、帰国後に研究。仕事でファニーパックを使う父の意見も聞き、アウトドアでの使いやすさを追求。見た目以上の収納力、大きな開口部、使わないときには折りたためるなど、スタンダードな形状と実用性を重視した。
- ¥9,790
- 重量:94g + 22g(ベルト)
- サイズ:W23×H16×D10㎝
- 容量:1.5ℓ、フロントポケット0.3ℓ
- カラー:ホワイト、他1 色
- (問)ミヤゲン
7 パーゴワークス/スイッチL
使い方自由自在。マルチパック決定版。
実践的かつ実験的、究極のユニバーサルデザインをコンセプトにユニークなアウトドアギアを開発。道具好きの心をくすぐる日本のメーカー。このスイッチは、ハイカーの小物入れとして一世を風靡したチェストバッグ=パスファインダー同様にショルダーハーネスと連結させて身体の前に装着可能。ファニーパックとしてはもちろん、ショルダーバッグ、バックパックのアウターポケットに活用できるマルチバッグだ。
- ¥8,250
- 重量:140g
- サイズ:W28×H14×D10㎝
- 容量:2ℓ
- カラー:リサイクルポリエステルグレー、他4 色
- (問)パーゴワークス
8 ブラックダイヤモンド/ベータライト サテライトバッグ
ULパックとともに開発されたちょい大きめのマルチバッグ。
クライミング、バックカントリー、トレッキングギアを手がける米国ブランド。このバッグは、同社初のULパックとともに開発。ファニーパック、チェストバッグ、ショルダーバッグ、アウターポケットとマルチに使える。4ℓとやや大きな容量は、小さめなULパックの容量をカバーする。コンパクトなミラーレス一眼やレンズも収納可能で、本体内にはジッパー付きメッシュポケットが配され、小物の整理もしやすい。
- ¥5,830
- 重量:145g
- サイズ:W28×H17×D7㎝
- 容量:4ℓ
- カラー:マルベリーサンフレア、他1色
- (問)ロストアロー
チェックポイントは4つ!
チェック1:こだわりの形から探るパックの特長を分類
チェック2:入れすぎ注意!だけど実際にどれだけ入る?
チェック3:もっとも気になる体へのフィット感と使い勝手を検証!
チェック4:細かな部分の使い勝手までこだわるべし!
本誌では4つのポイントに注目して、各ファニーパックをレビュー!
あなたにベストなファニーパックを見つけてください。
※この記事はPEAKS[2024年9月号 No.167]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。
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PEAKS 編集部
装備を揃え、知識を貪り、実体験し、自分を高める。山にハマる若者や、熟年層に注目のギアやウエアも取り上げ、山との出会いによろこびを感じてもらうためのメディア。
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