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「だから、私は山へ行く」#16 真田 緑さん

山や草花などの自然をモチーフにした作品を数多く発表するテキスタイルブランド「H/A/R/V/E/S/T (ハーベスト)」の真田緑さん。山と出会い、「自分のために描きたいものができた」と話す緑さんのストーリー。

「だから、私は山へ行く」
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山や自然に対して感じる
『いい気分』を届けたい

冬の天狗岳を歩き
人生が動き出す

木々の葉の奥に見える山の稜線、春の野に咲く草花、月明かりの下に広がる針葉樹の森……。やわらかな布に描かれた模様には、山好きの心をぎゅっと掴むような不思議な魅力がある。「自然からの収穫で毎日に彩りを」をコンセプトに、自然のなかで得た体験を作品に落とし込むテキスタイルデザイナー真田緑さん。10年ほど前に登山を始めた緑さんが、はじめて自分の意志で歩いた山は、冬の天狗岳だった。

「当時は美術大学卒業後に就職したアパレルブランドで、生地の図案や色を決めるテキスタイルデザイナーとして働いていました。パリコレにも参加するブランドで、楽しくてやりがいもあったけれど、毎日終電で帰るような忙しさ。けっこう追い詰められていたのかな。都会とは違う環境で気分転換したかったんです」

そんなとき、ふらりと入った書店で手に取ったのが、雑誌の雪山特集だった。「これだ!」と思った緑さんは、誌面の雪山装備リストを参考に、すぐさま登山道具一式(15万円分!)を購入。ガイドに連絡をとり、12月の天狗岳行きを決めた。

「はじめて歩く雪山は、一面が真っ白で、人の姿もない別世界。『こんなにきれいなところがあるんだ!』と衝撃を受けました。私みたいな初心者でも一歩一歩進んでいけば、美しい景色に出会える。そのことが合理的に感じられたし、うれしかった。ずっと続けられる趣味を見つけられた気がしました」

山に魅了された緑さんは、ガイド登山を重ねていく。最初の冬〜春には、谷川岳、蝶ヶ岳、剱岳などに登頂。そして、山で過ごす時間は、緑さんの表現にも影響を与えていく。

▲2013年 の春に訪れた剱岳。父が山登りをして いて、小さな頃から山や森にときどき行って いたことも、自然が好きになったベースだ

「それまでも仕事として図案などを描いてたし、充分楽しかった。でも、山に行くようになって、自分のために絵を描きたくなったんです。山で出会った美しい景色や色彩を、自分の世界観で表現したい。そんな思いで、山で風景をスケッチしたり、家で草花を描くようになりました」

▲2014 年から7 シーズン連続で働いた穂高岳山荘で、休憩中に風景をスケッチをする緑さん。「寝ても覚めても山の上。最高でした!」

それらの作品を「世に送り出したい」と考えるようになったのは、きっと自然の流れだった。移り変わりが早く、シーズンごとに自分の作品が〝消費〞されてしまうようなファッションの世界に違和感を感じていたこともあり、緑さんは自身のブランドを夢見るようになる。そして、6年間勤めた会社をやめ、北欧のデザインやその背景にあるライフスタイルを学ぶために1年間のデンマーク留学へ。帰国後は長野に拠点を移し、2014年10月に『H/A/R/V/E/S/T』をスタートする。

日々に自然の彩りを

『H/A/R/V/E/S/T』を立ち上げてから、緑さんと自然の関わりはより深くなっていく。里山から高峰まで日本各地の山を歩くのはもちろん、夏には穂高岳山荘で働いたり、冬にはスキーを楽しんだり。「アウトドアに関しては雑食なんです」と微笑む緑さんは、自然のなかで感じた「好き」という気持ちを「やわらかくて、いろいろな使い方ができる」布という素材に込めてきた。

▲山や自然を描いたハンカチ。開いたり、畳ん だり、巻いたり。用途が幅広く、使い手に委ねられることが布という素材の魅力だという

「同じ山でも季節が変わったり、光の入り方が変わるだけで表情が違う。行くたびに新鮮な発見があるのが楽しいですね。いまは松本に住んでいるので『初雪が降った』と聞いたその日に上高地に向かうことも。新雪に包まれた焼岳と透きとおった梓川。あの景色もきれいだったなぁ」

山を歩くとき、緑さんがとくに気になるのが〝色〞だという。春の花のイエロー、どこか優しい気配を感じる夜のブルー、みずみずしい葉のグリーン。可憐で繊細な色彩は、緑さんが山で〝収穫〞したものだ。

▲春の妙義山や夏の焼岳、冬の奥大日岳など の風景を描いたポストカードも人気。手ぬぐい やハンカチなどの布はもちろん、ワッペンやス テッカーなど、さまざまなアイテムに自身が「好き」と感じた色彩と構図を表現する

「山を歩いていると、ふとした瞬間に自分の好きな色の組み合わせに出合ったりする。その感動を家に持ち帰って水彩絵の具を混ぜながら、『きれい』と思える色ができたときはうれしいですね。一番好きなのは、厳冬期の山で見る朝焼け。真っ白の雪山のうえに浮かぶピンクと紫の淡いグラデーションが美しくって。でも、あの色はなかなか描けないです」

▲厳冬期の朝焼けは、緑さんが『一番きれい』だと感じる色彩。写真は冬の燕岳で見た朝焼け

緑さんは現在、1年で3〜4作のペースで新作を発表する。近年は山小屋といっしょに手がける仕事なども増えて「山に恩返しができているようでうれしい」とにこにこ笑う。緑さんは日々どんな想いで、ものづくりと向き合っているのだろう。

「私が山へ行くのは、『いい気分』になるから。そのひと言に尽きます。だから私が作ったアイテムを手にとった人にも、山や自然の『いい気分』が伝われば、と思っています。ふと壁やかばんの中を見たときに自然を感じられて、心が潤うような気持ちになってもらえたら、こんなにうれしいことはありません」

おだやかに、やわらかく。けれどまっすぐな眼差しで話す緑さん。その言葉の響きには「H/A/R/V/E/S/T」の作品にも通じるような、やさしさと凛とした力強さがある。

真田 緑さん
1986 年生まれ。多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻卒業後、アパレルブランドでテキスタイルデザイナーとして5 年間勤務。2014年10月より自身のブランド『H/A/R/V/E/S/T』を始める。

「だから、私は山へ行く」
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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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