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アウトドア好きなわたしたちができるSDGs【#3 MaHoRoBa/エルク】

山梨県で最古参のアウトドアショップのひとつ、エルク。その代表夫婦が新たな挑戦を始めました。マイクロプラスチック排出の問題を憂い、たどり着いたのは遥か高峰にある“理想郷の天然素材”。山梨の地場産業の力を集結し、作り上げた土に還る服とは。そのものづくりをとおし、ふたりの自然への優しい視線も感じられました。

おじゃましたのはこちら

エルク
山梨県甲府市徳行4-13-9
TEL.055-222-1991
営業時間:11:00~20:00、日・祝日~19:00 定休日:火曜
www.elkinc.co.jp 

お話を伺ったのは

右)柳澤 仁さん
アメリカから帰国後、26 歳で甲府にエルクを設立する。フライフィッシングやカヤック、登山、トレランまでボーダレスに楽しむアウトドアマン。柳澤さんを慕い、お店を訪ねる一流クライマーやアルピニストは数知れず。日課は愛犬ダンテとの裏山散歩。

左)柳澤孝子さん
少年のような仁さんを、時に引っ張るしっかりもの。夫婦で山梨にゆかりのあるアウトドアマンをサポートし続ける。趣味は旅。「MaHoRoBa の将来の夢は、ポップアップ店舗の全国行脚と、伊勢丹新宿店1階のザ・ステージで取り扱われるようになること!」

富士山より高い極寒の地で生き抜く、ヤクの生命の力を宿る

――エルクは、昨年40周年を迎えられました。

柳澤仁(以下、仁) ありがとうございます。20代にアメリカを放浪した際、向こうのアウトドアカルチャーをたっぷりと浴びてきまして。カヤックにしろクライミングにしろ、彼らの外あそびへの本気度はすごかったんです。向こうは22時くらいまで明るい日もあるので、仕事終わりに川へ出かけたり。日本で仕事をしつつ外あそびも全力でやるとなると、アウトドアショップをやるしかないなと思い、開業したんです。

――当初はどのような商品が売れたんですか?

 フリースですね。ちょうど40年ほど前、フリースがウールに代わるアウトドアの中間着として大革命を起こしていたんです。

柳澤孝子(以下、孝) 週末は100枚近く売れる日もありましたよ。

 ただ、4年ほど前に衝撃的な新聞記事と出会いました。カナダの研究チームが調べたマイクロプラスチック流出問題に関するもので、化学繊維由来の服を一着洗うと何百万個ものマイクロプラスチックが排水に含まれてしまうそうです。

――大きな話題になりましたよね。

 記事では大西洋から北極海にかけ年間3500兆個の繊維状マイクロプラスチックが流出すると、試算
されてました。それを僕らの生活に置き換えると、笛吹川や釜無川に排水され、富士川を経て駿河湾に流れる。マイクロプラスチックの人体への影響は全貌が明らかにされていないけど、大量のマイクロプラスチックが注いだ駿河湾で育ったサクラエビを食べるのは感覚的にイヤです。

孝 このあたりでは、農業で遮光のために使われたブルーシートをよく見ます。風化するとシートは粉になるんですが、あれも空気中で吸ってるとなるといい気分ではないですよ。

▲「自然に入ることが自然破壊という人もいるけど、自然に入らないと気づけないこともある」と仁さん。

▲お店の入り口のすぐ正面に、MaHoRoBa各商品を陳列。陳列棚は折り畳み可能。将来は各地でポップアップ店舗としても使うことも視野に。

――その記事が、持続可能な素材を探すきっかけになったんですね。

 はい。もちろん、フリースにも良さがあるので全否定はしません。ただ、この問題を少しでも解決したいと考え、天然繊維に立ち戻り何か作れないか模索し始めたんです。

 少しお話がそれますが、そのころ、社長(仁さん)とふたりで観た映画に感銘を受けたんです。

 『山の教室』ね!

 原題は『Lunana: A Yak in the Classroom』といって、つまりヤクのいる教室です。ヒマラヤ山脈の標高4,800mにある村・ルナナを描いた映画で、毛を編んだりフンを燃料にしたりと、ヤクからいろんな恩恵をもらっている。自然との共生が美しく、こういうところが私たちの目指す〝マホロバ(理想郷)〞かもしれないねって話し合いました。

 時をほぼおなじく、風力発電による電力の導入など、南アルプス市で環境保全に取り組むベビーニットメーカーの小林メリヤスさんに、いい素材がないか相談したんです。コットンやウールを見せてもらい、最後に「こんなのもあります」と見せてくれたのがヤクの毛糸。

 あ!ヤク!って(笑)。

 触るとしっとりなめらかで 非常に軽い。あとで知りましたが、ウールより30%軽く、保温力は130%と高いんです。映画との運命的リンクもあり『これしかない!』と、ヤクの毛糸で試作を始めました。

▲縫製前の柔らかなヤクの毛糸。
▲ヤクの糸とフリース生地をつけたアイスの棒。土中に埋めて、分解速度の実験に使用。

――商品化されたMaHoRoBaのストールを巻いてみましたけど、ふわりと軽やかです。

仁 僕自身、軽量インサレーションのプリマロフトより軽く感じました。

孝 ポリエステルは500年経っても土に還りませんが、ヤクの毛は5年で還ります。刈る毛もアゴとお腹
の下だけで、丸刈りにしないぶんヤクへのストレスも少ないんです。

――今回のMaHoRoBaでの取り組みが評価され、甲府市のSDGs推進パートナーに登録されました。

 私見ですが、山用に開発されたウエアって、街着としても広く愛用されるようになっています。フリースしかり、ダウンしかり。環境への意識を変えるMaHoRoBaのような服が、アパレル全体にも広がっていったらと思っています。

 自然のなかへ入っていくアウトドアマンだからこそ、その意識は強くもちたいです。W杯で日本人のゴミ拾いが賞賛されていたけれど、山においては当たり前の行為。これからもローインパクトを考え、美しい山梨の自然を維持していきたいです。

――今日は都心から来ましたが、笹子トンネルを抜けたあとの、南アルプスと甲府盆地は美しかったです。

 うれしい!私は、山梨こそが日本のマホロバと思ってます。

仁 今回のMaHoRoBaは、小林メリヤスや公式webのデザイナーさんまで、純山梨メイドにこだわりました。第二・第三弾も山梨メイドを大切にし、地元を盛り上げたいです。

▲ヤク・シルク・コットン混紡のアームウォーマーとネックウォーマー。薄手の春~秋仕様。
▲山梨県西桂町のメーカーmuto とコラボしたガーゼストール。極細の糸を使い、心地よい肌触り。

地元職人が紡いでいく、メイドイン南アルプス

小林メリヤスは、1949年創業。繊細な肌の赤ちゃんへ向けたオーガニックコットン製品など、ベビーニット分野での草分け的存在。地元の人々の雇用に積極的で、なかには40年近く務める熟練職人も!2020年には工場で使う全電力を風力発電に切り替え。

▲一度洗うことで、購入後に洗濯しても縮みはほぼない。洗いに使うのは南アルプスの弱軟水で、ニットの風合いを引きたてる。
▲編地のループ一つひとつに針を通し、リンキングミシンで縫製する襟付け作業。
▲襟は縫い代の少ないすっきりした仕上がり。
▲120℃の蒸気をあて生地を整える。
中から光を透かし不備がないか検品。

街着はもちろん、山着でこそ真価を発揮

ヤク畦編みセーター 
¥35,000

ふんわりとした風合いのニットは、寒い日の日常着として重宝。細部を見ると、ラグランスリーブや長めに設定された後ろ見ごろなど、秋から冬山の中間着として使うための心配りが随所に。

まずは小物でヤクの毛糸の温もりを実感

ネックウォーマー
¥4,500
ニットキャップ
¥5,800
アームウォーマー
¥3,400

2021 年のプレ販売ですぐに完売した、スマホを使いやすいフィンガーレスのアームウォーマーをはじめ、買いやすい価格帯の小物も充実。寒いときこそ暖かくしておきたい手首や首回りを、ヤクの毛糸でしっかり保温。ニットキャップはウール製より、かぶり心地が軽やか!

使ったら手放せなくなる、肌触りとぽかぽか感

ストール
¥18,000

胸元までしっかり温かい大ぶりサイズながら、その軽さに驚かされる。両端にポケット付きなので、ちょっと出かけるときの小物入れに。各商品ヤクの毛色を活かしたダンテブラウンとダンテナチュラルの二色展開。

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ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

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