山のそばでものづくりvol.13「HIDA」岡田明子さん
ランドネ 編集部
- 2023年08月07日
山のそばに拠点を置き、山の恩恵を受けながらものづくりをする人々に注目する本連載。今回は、家具メーカーの代表を務める岡田明子さんにお話を伺いました。
企業理念の再編集が社長としての最初の仕事
HIDA
profile
岡田明子さん
岐阜県高山市出身。名古屋の大学を出て、アパレル系企業に就職。2021 年、8代目社長だった父親から飛驒産業を事業継承し、9代目社長に就任。高山を一望できる城山がお気に入り。https://hidasangyo.com
北アルプス・乗鞍岳の西麓に位置する岐阜県高山市。この全国有数の家具の産地で100年前から家具づくりを行なっている「飛驒産業」の9代目社長に就任したのが、岡田明子さんだ。
岡田さんは大学卒業後、地元には戻らないつもりで大手アパレル企業に就職した。しかし、地元の老舗企業を背負う父の仕事に意義を感じ2011年に飛驒産業へ入社。そして2020年に飛驒産業が100周年を迎えたのを機に、当時社長だった父親から「世代交代を」という話が出てきたという。
「飛驒産業は世襲制ではないのですが、経営手腕を買われて父が社長になり、2021年に私が事業継承しました。経営者の経験がなかったのでとても不安でしたが、なにをやるべきかを考えて、飛驒産業の歴史や想いを言語化し、次の100年を目指す体制を作ることにしました」
岡田さんは若手社員を中心に10名ほどのプロジェクトを作り、1年半をかけて企業理念を紡ぎ直した。最終的に「匠の心と技をもって飛騨を木工の聖地とする」というビジョンを〝志〞として表現し、志を実現するための4つの価値観を設定。ブランド名も「HIDA」に刷新した。4つの価値観のひとつに〝森と歩む〞があるが、家具に適さない小径の広葉樹を使用した「SUWARI」はその想いを具現化した一例だ。
雄大な北アルプスのふもとで、長い年月をかけて家具づくりを行なってきた飛驒産業。これからも時代に求められることを柔軟に汲み取りながら、匠の確かな技術とともに、ぬくもりあふれる家具を作り続けるのだろう。
HIDAの商品ラインナップ
右)CRESCENT アームチェア
飛驒産業を代表するクレセントチェアの国産材を使用したモデル。「触感のデザイン」がコンセプトで、下向きに傾斜した肘掛け、お尻の形状に合わせて立体的に削られた座面、曲木技術を駆使した背板など、座り心地を追求。91,300円(クリ)
左)kinoe チェア
伐採した木を運び出す際に、切り落とし山に捨てられてきたスギやヒノキの枝が、背もたれの笠木として活用されている。そのほかの木材は国産のクリとブナを使用。枝の均一ではない自然なフォルムがアクセントに。63,800円
正座椅子(左)、SUWARI チェア(右)
国産ナラの小径木を使用。チェアは細くて繊細かつ垂直方向の流れを意識してデザインされていて、和室にも現代建築にも合う。正座椅子は、長時間正座しても疲れない高さに設計されている。デザインは原研哉氏。27,500 円(左)、66,000円(右)
カッティングボード
天然木のカッティングボード。サイズは小・中・大の3 種類あり。家具に使われなかった木材が用いられ、材種もそれぞれ異なる一点もの。キャンプやピクニックに持っていこう。4,620円(小)、9,460 円(中)、7,040円(大)
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ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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