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10周年を迎え、ニューアルバムに期待が高まるWONKが考える、山と音楽のさらなる楽しみ方

宇宙的感覚を研ぎすます「山と音楽のさらなる楽しみ方」をテーマに、さまざまなミュージシャンにインタビューしていくシリーズ。音楽フェスをはじめ、アウトドアフィールドで聴きたい音楽を紹介する。

WONK(ウォンク)

昨年、10周年イヤーを迎えたWONK。1月10日には、東京・Zepp DiverCity Tokyo(WONK Live at Zepp DiverCity」セトリプレイリスト)にて、ワンマンライブを実施し、MELRAWらホーン隊、常田俊太郎らストリングス隊を加えたスペシャルバンドセットで会場を沸かせ、ますますニューアルバムに期待が高まるが、今回、ドラム、そしてWONKのリーダーを務める荒田洸に話を聞いた。

▲WONK初となるZepp公演は大盛況(木原隆裕撮影)

——荒田さんは、アウトドアとどういったお付き合いを?

荒田:普段から草野球やランニングをしていたり、ゴルフやテニス……スポーツ全般好きで、アウトドア派ではありますが、ランドネっぽいことで言うとキャンプかな。自然の中でおいしいお酒が飲みたいって、それだけでやっていますが(笑)。

——それも大事ですよね。

荒田:やっぱり、すごく気持ちがいいんですよね。自然の環境でビール、ハイボール……ワインも持っていったりして。いつも湖畔のほうに行きますが、午前中は設営をして、昼過ぎから夜にかけてずっと飲み食いしてる。

——音楽制作において、自然の環境やそういった体験が影響を及ぼすとかはありますか。

荒田:2017年にヨーロッパツアーをした際、ツアー中に曲を作るドキュメンタリーの企画があって、実際、宿で制作しましたが、いつもと変わらないなと思って。「作る場所とできる音楽は関係ない」という思想でしたが、2022年にリリースした『artless』は山中湖の近くで合宿して制作をして、めちゃくちゃその影響を感じて、考えを改めました。めちゃくちゃ関係あるなって。

▲山中湖合宿のようす(荒田撮影)

——『artless』は有機的な要素を感じますね。

荒田:そういうサウンド感が自然と混ざっていくような感じでしたね。最初は、都心での生活と切り離して、WONKのことに集中するためだけに行った感じでしたが。

——WONKのメンバーは、それぞれのプロジェクトやワークスで多忙ですし、荒田さんはクリエイティブレーベルEPISTROPHの経営(音楽レーベルのほか、「winestand TEO」「Bar phase」などのプロデュース等も手がける)もあって、スイッチの切り替えは特に大変なのでは?

荒田:そうですね。キャンプに行くにしろ、「発注しないとな」「資料を作らないとな」とかって、どうしたって会社のことも考えていて、100%解放できていないんですけど、自然の環境で飲み食いを進めるにつれ、いい気持ちになるし、何も考えなくなって「イエーイ」ってなるところも含めて、都内とは全く違うし、自然と音楽に影響があるようにも思います。

▲2023年に清澄白河にWINESTAND TEOをオープン

——WONK結成10周年を経て、ネクストステージへ向けて充実しているように見えるのですが。

荒田:昨年、10周年にアルバムを出そうという計画がありましたが、まったく間に合わなくて(笑)。ただ、今、手応えはある。僕らは作品ごとに経験を積んでいい感じに進化できていますが、次作も、自然と次のステップへと進んでいるという感じで。昨年、メンバーとフランスに行って、この先の話もできたし、もう1回、気合いが入り直したというか。コロナ前のように海外での公演を増やして、どんどん海外に出て行きたいという話もしたりして、いいきっかけになったような気がします。

▲WONK結成10周年を経てネクストステージへ(木原隆裕撮影)

——12月には配信シングル「Snowy Road feat.9m88」のリリースもありましたが、WONK初のウィンターソングでしたね。

荒田:そうですね。最初に(井上)幹さん(Ba、Sound Engineer)から送られてきたデモを聴いて、ウィンターソングの方向性がいいんじゃないかという話になって、アレンジしていった感じですね。

——台湾を代表するネオソウル、R&Bシンガーの9m88(ジョウエムバーバー / 以下、ジョウエム)を迎え、新感覚のコラボ曲になりました。

荒田:前からメンバー内で「すごくいいシンガーがいる」「いつか一緒にやりたい」と話題になっていて。そういうのは幹さんとか(江﨑)文武(Piano、Keyboard)とか、誰かが見つけてくるんですよね。ジョウエムのほうも、2017年に来日した際にタワーレコードでWONKのアルバムを購入してくれて、好きだと言ってくれていたみたいで。オファーしたら快諾してくれました。前からみんなで聴いているアーティストだったから、実現できてすごくよかったし、「驚きがあるかどうか」って毎回重視していて、それがコラボの醍醐味だと思うのですが、今回も自分たちが作った楽曲に新しい風を入れてもらえるコラボになって、ボーカルの長塚(健斗)とジョウエムの相性も含め、すごく良かったなと思います。

——英語・日本語・中国語という多言語の楽曲ですが、どのように制作したんですか。

荒田:歌詞の骨組みも幹さんが作って、長塚がその歌詞にアレンジを加えていった感じですね。ジョウエムとも連絡を取り合って、「お互いのいいところがうまく融合するように、現地の言葉でぜひ解釈を入れてほしい」とコミュニケーションをとって。彼女の中国語のバースに合わせて、長塚と僕のコーラスがさりげなく入っているんですけど、向こうの言葉で歌うから、最初はGoogleで発音を調べるところからはじまって、助詞とか発音すべきか否かわからないものは、一応発音しておいて、あとで編集で消せるようにしておこうって。彼女にも直接聞いたりもしました。

——コラボ曲のリリースが続いていますが、現在制作中だというアルバムもこうした方向に?

荒田:現状、コラボの方向はさまざまでも、ヒップホップのアルバムみたいにコラボはめちゃ多くなる想定です。リリースがいつになるかは、僕も気になっていますが、今年はアルバムを無事に出せたらいいなと(笑)。

——最後に、荒田さんはアウトドアのギアを買い揃えているそうですが、おすすめなど伺えますか。

荒田:キャンプをするためのギアは全部そろえたんですけど、その中でも気に入ってるのは、LUMENA2というLEDのランタン。めちゃくちゃいいですね。普通にプロダクトデザインとしてもかっこいいし、調光調色も細かく調整できる。ランタンって、どこかに引っかけたりしないと使えなかったりするけど、LUMENA2は磁石で、テントとかタープとか、どこにでもいい感じにくっつけられるので重宝しているんですよね。そういうところもお気に入りポイントです。

——デザインもよくて、実用的という。

荒田:そういう意味では、ユニフレームのスティックターボII(スティック型ターボライター)もめちゃくちゃいいですね。オリジナルのプロダクトデザインもかっこいいし、手持ちのデザインも変えられる。それで、火力がえぐいっていう。すごくこれも重宝しています。あとは、EPISTROPHで作った木のまな板も持っていくんですが、これはデザイン的にもアクセントになります。

▲料理人の顔も持つ、Vo. 長塚がプロデュースしたまな板

——荒田さんらしいセレクトですね。機能的でプロダクトデザインもかっこいいみたいな。

荒田:キャンプ上級者だと、いろいろこだわりもあると思いますが、僕の場合、全部のアイテムがまだ1点目なので、評価軸がそうなっちゃいましたね。

Field Like Music
◎アウトドアで聴きたい1枚。

テラス・マーティン/『Velvet Portraits』

テラス・マーティンの『Velvet Portraits』はキャンプの準備をしているときに聴くとウキウキしてくるのでおすすめですが、飲み食いがはじまるとジョン・メイヤーですね。2012-13年の『Born and Raised』『Paradise Valley』あたりはカントリー風味によった時期の2枚で、自然の中で聴くのに最適です。そして、夜はボン・イヴェール。初期のほぼ1人で作っている『For Emma, Forever Ago』(2008年)が一番気持ちよく聴ける音楽だなと思います(荒田)。

WONK

写真左から江﨑文武(Key)、長塚健斗(Vo)、荒田洸(Dr)、井上幹(B)からなるエクスペリメンタル・ソウルバンド。東京を拠点に活動し、メンバーそれぞれがソウル、ジャズ、ヒップホップ、ロックのフィールドで活動するプレイヤー/プロデューサー/エンジニアとして活躍。2016 年に1st アルバムを発売して以来、国内有数の音楽フェス出演や海外公演、成功を果たす。ジャンルや世代を超えた国内外のアーティストへの楽曲提供やリミックス、演奏参加など、音楽性の高さで多方面から支持されている。2022年、最新⽴体⾳響技術・Dolby Atmos仕様のアルバム『artless』をリリース。合宿を経て作られたこのアルバムの制作過程は、映画「Documentary of artlessー飾らない⾳楽のゆくえー」として劇場で上映され、現在Amazon Prime VideoやHulu、U-NEXTで映像配信されている。2023年の結成10周年イヤーでは、6⽉にアルファ ロメオ Tonaleとのタイアップ曲「Passione」、11月にUSのピアニストKiefer とのコラボ曲「Fleeting Fantasy feat.Kiefer」、12月に台湾のシンガーソングライター9m88とのコラボ曲「Snowy Road Feat.9m88」をリリースした。
www.wonk.tokyo

WONK – Snowy Road feat. 9m88 (Official Music Video)

WONK – Fleeting Fantasy feat. Kiefer (Official Music Video)

 

Information

DIGITAL SINGLE info.
WONK「Snowy Road feat.9m88」
available now/EPISTROPH/VMG

▼各種配信はこちらから
https://virginmusic.lnk.to/SnowyRoad

 

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ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

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