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【女人道】聖域を囲む縦走ルートから、高野三山と奥之院の山旅へ!|いま歩きたい熊野古道・高野参詣道

明治の初めごろまで女人禁制だった高野山。山内に入ることを許されなかった女性たちは、高野山の外周をめぐる女人道(にょにんみち)を通り、7つの入口に設けられた女人堂を参籠して、奥之院を遠く望みました。

教えてくれたのは
大内 征さん
日本中の低山をメインフィールドに歴史や文化を探究する低山トラベラー。高野参詣道や熊野古道の歩き旅がライフワーク。本誌連載「偏愛ハイカーに会いに行く」も好評。

古の密教の都で、新しい旅の体験を

いまや老若男女でにぎわう一大観光地の高野山だけれど、かつては山奥に秘められた密教の中心地であり、修行道場であった。

女性は、空海がつくりあげた壇上伽藍と奥之院などの聖域に足をふみ入れることが禁じられていたものの、そんな逆境もなんのその。奥之院をとり囲む高野三山をめぐり歩いたり、参詣道の入口にある女人堂に籠って真言を唱えたりと、ギリギリまで近づいては独自の信仰のスタイルをつくりあげた。

▲寺院の参道らしく、美しい杉林が続くトレイル。三つの山々を縦走するため起伏はあるものの、道はよくふまれていて歩きやすい。分岐が多いので地図は必須。

高野三山を結ぶ道を女人道と呼ぶ。厳かな祈りの道なので、さすがに山へ分け入ると歩いている観光客は見当たらない。修験者や山を嗜むハイカーにしか出会わない極上のトレイルである。人出の多い高野山だからこそ、静けさのなかを歩けるという意味でこの道の価値はとても高いと思うのだ。

山旅のスタート地点は、一の橋。奥之院の聖域に足をふみ入れると、名だたる戦国大名の墓所が集まる独特の雰囲気に圧倒される。お目当ての大名のお墓参りをしたら、いよいよ弘法大師御廟で空海さんにもごあいさつ。ここから女人道へと入り、摩尼山(まにさん)、楊柳山(ようりゅうさん)、転軸山(てんじくさん)の順で縦走する。少しでも空海の近くで祈りを捧げたいと願った女性たちの思いを感じながら、高野参詣道の歩き旅をじっくり仕上げていこう。

夜と朝は、仏教のテーマパークさながらの高野山らしく宿坊体験が最高だ。古の密教の都で、新しい旅の体験を自らつくる喜びが、ここにはある。

▲女人禁制の時代には、七つの登山口すべてにあった女人堂。現在は不動坂口のみ残っている。
▲国指定史跡地域である壇上伽藍は、空海が心血を注いでつくりあげた特別な場所。 じっくりと拝観しよう。なかでもひときわ目立つ建立物が根本大塔だ。青い空と白い雲に朱色が映えるシンボリックな姿は荘厳で、あらゆる旅人の目を奪う。
▲高野山真言宗の総本山、金剛峯寺。もともと100 以上の寺院が密集する山そのものを金剛峯寺と呼んだが、明治になってひとつの寺院の呼称となった。
▲数多の戦国大名が眠る荘厳な奥之院の三山に囲まれた最深部に位置する弘法大師御廟。永遠の瞑想に入った空海の魂は、いまなおそこに在る。

約2時間55分
一の橋
↓30分
弘法大師 御廟
↓30分
摩尼山
↓35分
楊柳山
↓50分
転軸山
↓30分
中の橋駐車場

access
公共交通機関:南海電気鉄道高野線(高野山ケーブル)・高野山駅から南海りんかんバス大門行きで約16分。自家用車:京奈和自動車道・かつらぎ西ICから大門まで約40分

周辺のお立ち寄りスポット

ゆったりすごせる宿坊で精進料理を味わう

華やかな精進料理をいただける宿坊。名物の高野豆腐を目当てにここを訪れる人も多いとのこと。部屋の窓からはきれいな庭を眺められる。個人利用でも個室の相談可能。

宿坊 成福院

住所:和歌山県伊都郡高野町高野山593
電話:0736-56-2109
料金:一泊二食付15,500円~
※部屋、料理によって異なる

 

修行僧たちが愛した伝統の味をいただく

創業約100 年、老舗の豆腐専門店。できたての生ごま豆腐を使った「ごまとうふ懐石五彩(2,200 円)」は数量限定の人気メニュー。そのほか、お土産にぴったりな豆腐スイーツなども展開。

角濱ごまとうふ総本舗 小田原店

住所:和歌山県伊都郡高野町高野山729
電話:0736-26-8895
営業時間:9:30~17:00
定休日:不定休

 


2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された熊野古道・高野参詣道。その道に一歩ふみ入れると、人々の祈りが息づいた道や自然の壮大さに魅了されます。
ご紹介した道以外にも、熊野古道・高野参詣道には魅力的な道がもりだくさん。詳しくはこちらから▽

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ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

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