adidas(アディダス)を歴史や名作、テクノロジーから振り返る|ランニングシューズブランド名鑑
RUNNING style 編集部
- 2020年03月13日
高機能スポーツシューズの代名詞「adidas(アディダス)」
ダスラー兄弟の弟・アドルフが1949年にアディダス社を設立
1924年、ドイツ南部、ニュルンベルク近郊のヘルツォーゲンアウラッハで、兄ルドルフと弟アドルフのダスラー兄弟が靴製造会社「ダスラー兄弟商会」を設立。主にルドルフが販売、運動選手として活躍した経験のあるアドルフが生産を担当したが、第二次世界大戦後からしばらくすると兄弟は別々の道を歩むこととなり、1949年、アドルフはアディダス社を設立。選手経験から培われたアドルフのクラフツマンシップから生まれるシューズは、世界中のトップアスリートから高い評価を得ることに成功。アディダスは高機能スポーツシューズの代名詞となる。
1970年代に入ると、超軽量をコンセプトに開発されたSL72はトップアスリートのトレーニングに欠かせない1足となったし、野山を駆け巡るクロスカントリー用には専用のシューズが必要であると考え、カントリーを開発するなど、同社は自他ともに認めるランニングカテゴリーをリードする存在となった。1980年代になると道路の端の傾斜がある部分を走っても着地時の足を正しい角度にキープする独立懸架システムをヒール部分に搭載したマラソントレーナーやマラソン80は、アディダスというブランドの先進性を世界中のランナーに知らしめることに成功。その機能的な有効性は今でも高く評価されている。
クッショニングとデザインを高次元で両立
さらにアディダスが他ブランドに先駆けてトライしたのが、クッショニング性能のカスタマイズ。1980年発表のL.A.トレーナーは、ショックアブソービングロッドという可変式クッショニングテクノロジーを採用。ミッドソールヒール部分のスティックを差し替えることで、各々のランナーに合わせてクッション性をアジャストすることができたのだ。ちなみにアディダスはクッショニングのカスタマイズを追求し続けたことで知られており、1994年にアウトソール内に適量の空気を注入することでクッション性を調節したチュブラー、2005年にはマイクロチップが着用者に最適なクッション性を認識し、瞬時に適切な衝撃吸収性を提供したアディダス 1へと受け継がれているのは興味深い。
一方でアディダスはデザインに関しても最先端を行くブランドとして評価されており、その象徴が1984年のマイクロペーサーだ。開会式においてロケット噴射で人間が飛行するという観客の度肝を抜くパフォーマンスが行われたロサンゼルス五輪の開催年に登場したこのモデルは、近未来を思わせるメタリックシルバーのアッパーに走行時間や歩数などを測定できるランニングコンピュータを内蔵。そのインパクトのあるデザイン、先進のテクノロジーに加え、日本での希望小売価格が5万8000円という点も大きな話題となった。
2013年、アディダスの代名詞“ブーストフォーム”が登場
そして、クッショニング戦争と呼ばれ、各ブランドが衝撃吸収反発性能を競い合った1980年代末期、アディダスは全く異なる機能性を追求するテクノロジーを発表する。それが英語で捻じれを意味するトルションであり、この中足部に配されたテクノロジーは、人間の足の動きを科学し、着用者に自然な足の動きを提供。後年復刻され、ストリートシーンでも大人気となったZX8000などのランニングシューズに初搭載され、アディダス トルションはその後も同社の基本テクノロジーとして、形状を変えるなどして進化。数多くのシューズに採用されることとなった。
様々なテクノロジーを他ブランドに先駆けて開発してきたアディダスだが、クッショニングに関しては若干劣る印象があったが、2013年、ランニングシューズのエナジーブーストに初採用されたブーストフォームにより、そんなイメージを払拭。このクッショニングマテリアルは、抜群の衝撃吸収性&反発性を確保するだけでなく、優れた耐久性も追求。さらにあらゆる温度でも本来の機能性を発揮するなど、ブーストフォームは登場と同時に数多くの着用者を魅了することに成功し、アディダスの代名詞といっても過言ではないテクノロジーとして、現在も君臨している。
adidas(アディダス)ランニングシューズ名鑑
1972年|SL72
1972年|COUNTRY(カントリー)
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1980年|LOS ANGELES TRAINER(ロサンジェルス トレーナー )
1984年|ZX500
1984年|micropacer(マイクロペーサー )
1989年|ZX8000
1991年|EQT SUPPORT(エキップメント ランニング サポート)
クロスカテゴリーで高機能モデルを展開した、エキップメントコレクションのランニングモデル
2005年|adidas 1(アディダス 1)
2013年|ENERGY BOOST(エナジーブースト)
2015年|ULTRABOOST(ウルトラブースト)
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PROFILE
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ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。
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