ETONIC/STREET FIGHTER Km 505(エトニック/ストリートファイター Km 505)1979|ランニングシューズの礎を築いた“名作”たち
RUNNING style 編集部
- 2019年02月08日
その名のとおり、舗装路で高い走行性を発揮!
1876年創立の老舗シューズブランド
「Km」という表記を見た際に、一般的には距離の単位であるキロメーターの略と認識する人が多いだろう。また、首都圏在住の人なら大手タクシー会社である「国際自動車株式会社」を思い起こす人も少なくないかもしれない。いっぽうで少数派ながら、1980年代に青春時代を過ごしたランナーなら、アメリカの老舗シューズブランドを想起する人も存在する。そのブランドこそ、当時ナイキやブルックス、ニューバランス、サッカニーとともに、アメリカンランニングブランドとして確固たるポジションを築くことに成功していたエトニックである。
エトニックは1876年にマサチューセッツ州ブロックトンでチャールズ・A・イートンが創業した靴工房を起源とする歴史あるブランド。のちにゴルフシューズで成功し、チャールズ・A・イートン ゴルフカンパニーと称していた同社は、1970年代の中期にレジャー用品への参入を推進していた、歯磨き粉や洗剤といった消費財の世界的な企業であるコルゲート・パームオリーブの傘下となり、積極的な製品展開を開始する。
1976年にはエトニックというブランド名を社名とし、ランニングがライフスタイルに根付き始めた1970年代から1980年代のアメリカ市場において、Km 501、Km 505、Km 507、Km 520といったプロダクトを展開。多くのランナーから高い支持を得ることに成功していた。なかでもKm 520は、「ザ・スタビライザー」という別名のとおり、履き口部分にまでシューレースを延長することで、着地時の安定性とフィット感を向上させたリアフット・レーシングのような、ユニークかつ先進的な構造を採用し、ランナーの注目を集めた。
ランナーのバイブル『ランナーズワールド』にも認められた「Km 505」
しかしながら、セールス面で当時のエトニックを牽引していたのは、「ストリートファイター」というサブネームをもつKm 505のほうだった。Km 505は、そのネーミングのように市街地のコンクリートやアスファルトといった、舗装路や硬い路面で高いグリップ性と優れた耐久性を発揮するアウトソールを装備したランニングシューズ。アッパー部分においてはつま先部分の広い面積にスエードを使用した点が大きな特徴だった。
さらに、当時としては画期的だったのが、異なる素材を組み合わせた立体構造のインソール。これが足との比類なきフィット感とクッション性を提供した。そんなKm 505は、当時のランナーにバイブルと崇められたランニング専門誌「ランナーズワールド」誌のシューズレビューにおいても高い評価を得ることに成功していた。
そんなエトニックだが、他社と同じくジョギングブームが一時期の勢いをなくした1980年代初期から業績が悪化すると、コルゲート・パームオリーブは本業である歯磨きや洗剤、ヘルスケア部門に資本を集中させるためにレジャー用品部門のリストラを開始。1986年、エトニックをスウェーデン発祥のシューズブランドであるトレトンに売却した。
その後もエトニックの経営権は幾度か変更され、現在はパフォーマンス向けランニングシューズの製造はされていない。ただゴルフシューズやランニングシューズ、バスケットボールシューズなどの、過去の名作をストリートシーン向けには展開しており、ゴルフコース、ストリートシーンの両方で根強い人気をキープしている。
column
エトニックのランニングカテゴリーの過去の名作群は、ここ最近日本でリリースされていなかったが、2017年春夏シーズンより日本市場での展開が開始された。
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ランニング初心者から、サブ4を目指す中級者まで楽しめるランニング専門マガジン。トレーニングやアイテムの紹介、トレイルラン、イベントまでさまざまな情報をお届けする。
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